こころ
2016年12月14日 02:03
理想の彼女彼氏だけではなく、理想のなんとか〜が流行ってますね。彼氏彼女じゃないジャンルなら、あまりセンシティブにならずにすんで気楽に楽しめそうな感じで良いですね。ゲームで遊ぶの大好きなので「理想のゲーム製作者」で一つやってみますね。
「理想のゲーム製作者」
・外見はどうでもいい
・ゲームが好き
・ゲームプレイヤーに対して誠実な作り手
・ゲーム製作は大変だが過剰に無理をしない…(身体を壊したら大変…)
・ゲーム内でプレイヤーに過度な負担を求めない(ゲーム内運要素が大きすぎる、ひたすら時間掛けてレベル上げしないと先進めない等の過度なストレス要因がない)
・ゲーム外でプレイヤーに過度な負担を求めない(過度な有料課金や関連商品等の過度な金銭を求める仕組みがない)
・ビッグマウスをメディアで叩かない
・バグが少ない、バグがあった場合の修正パッチ配布が迅速
・ゲーム難易度の細やかなカスタマイズができる(イージー・ノーマル・ハード等のカスタマイズで初心者から上級者まで幅広く遊べる)
・ゲーム自体が面白くてやり応えがある
・発売日をきちんと守る
個人的には坂口博信さん、堀井雄二さん、データイーストのゲーム開発チーム(ヘラクレスシリーズ、メタルマックスシリーズ最高だった。残念ながら倒産し消滅しました…)任天堂のゲーム開発チームの一部(マリオチーム・ゼルダチーム・カービィチーム)、アトラスのゲーム開発チームの大体全部とか理想のゲーム製作者ですね…。アトラスがナムコの一部だったFC女神転生の頃からずっとアトラスゲーをやってますが今に至るまでアトラスゲーははずれが無いのが素晴らしい。ドット絵FFやスクウェアのトムソーヤーやクロノトリガーの頃の昔のスクウェアなんかも大好きで理想のゲーム製作者でしたね…。
今、昔の本置いてあるところを見てみたら数十年前に、植松伸夫さんにFF攻略本に書いてもらったサイン本、いまだに手元にありました。昔は、スクウェアは凄くユーザーフレンドリーな会社で、スクウェアの製作スタッフとユーザーで一緒に玉川の河原でご飯を食べるピクニックイベント(もちろん完全無料です。学生や子供がかなりきてた)とかユーザーとのほのぼのした交流イベントをやってたんですね。スクウェアの色んな情報を教えてくれる無料の電話サービス(こちらからスクウェアに電話を掛ける)とかあって、そこでユーザー交流イベントの告知をしていました。
今のスクエニは北米販路重視の海外シフトした大企業(海外の成人プレイヤーをメインとして重視している体制)ですから…もう昔のようなローカルな日本でのユーザー交流はないでしょうね…。FF15の前夜祭で、アメリカの成人プレイヤー達とイベントを行っているFFスタッフさん達を見ると、もうFFスタッフさんが日本の小学生ぐらいの子供と楽しく交流しているユーザーイベントとか、ちょっと考えられない光景ですし…。レベルファイブの日野社長とかポケモンの開発スタッフさんとか、ユーザー交流イベントで妖怪ウォッチやポケモン大好きな子供達と楽しく遊んでくれそうですが、今のFFは層が違いすぎると感じる…。
よく子供向けの創作において言われるのは、子供は頭身が低いデフォルメキャラに親しみと共感を感じる(子供自身が大人より背が低いため)みたいなことはよく言われてまして、ポケモンとか妖怪ウォッチとかドラゴンクエストとかその辺意識している感じなんですね。ピカチュウとかジバニャンとかスライムはそういう親しみやすいキャラなんですね。ただ、北米の成人プレイヤー向けにゲームを特化させる、つまりゲームを徹底的な現実の写実路線に特化させると、もうそういう頭身が低いデフォルメキャラは出せなくなってしまう…(写実路線だとデフォルメ自体できなくなるため)。
なんでスクエニ(のスクウェアの方。エニックスの方のドラクエは子供に今も人気)は、ファイナルファンタジーを大人向けゲームに特化して、ゲーム好きな子供の層を完全に捨てちゃったのかな…。子供向けの方ではポケモンや妖怪ウォッチには勝てないから子供向けはキングダムハーツに任せて、FFでは子供を最初から捨てるという発想もあるのかな…(ただ、キングダムハーツも、シナリオが複雑化しすぎて、子供がついていけなくなっているように思います)。昔を知っているものとしては寂しいですね…。
昔はFFって子供にもすごく人気があったんですよ。それこそポケモンに匹敵するぐらいの人気がありました。小学校の教室がDQ派とFF派と両方好きな派(私はこれでした)に分かれてるって感じでしたよ。
今は、ドラクエのナンバリングやスピンオフを3DSやPS4やスマホでプレイする子供は結構いても、ファイナルファンタジー15をプレイする子供は、世界的に見てもまずいない(いたとしても非常に少ない)でしょうね…。基本的に北米成人プレイヤー向けですから…。
少子化社会である日本の子供よりも、パイの大きい北米の成人プレイヤー向けにゲームデザインを特化するというスクエニの大きな成長戦略は分かりますが、それでも、FFがその路線に乗ってしまったことは、FFをFC1からずっとやってきたものとしては寂しいと、どうしても感じますね…。15でもうこの路線に完全に入ってしまった以上、今後のファイナルファンタジーも、ずっと北米の成人プレイヤー向けの「写実的でカッコイイFF」になることは、確定的な訳で…。
もはや二度と、FF1〜6、9ぐらいの中世ファンタジー的な牧歌的なFFが遊べないであろうことが悲しい…。
いつか、坂口さんがスクエニに戻って、日本の子供も楽しめるRPGをもう一度作るとか、できないのかな…。坂口さんに、課金スマホゲーではない、買いきりで楽しめる据え置きか携帯機の作品、子供も楽しめる本当の王道RPG(グランブルーファンタジーのことではありません)をまた作って欲しいです…。
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任天堂(2016-12-22)
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New ニンテンドー3DS LL メタリックブラック
任天堂(2014-10-11)
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・ゲームが好き
・ゲームプレイヤーに対して誠実な作り手
・ゲーム製作は大変だが過剰に無理をしない…(身体を壊したら大変…)
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・ゲーム外でプレイヤーに過度な負担を求めない(過度な有料課金や関連商品等の過度な金銭を求める仕組みがない)
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・バグが少ない、バグがあった場合の修正パッチ配布が迅速
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・ゲーム自体が面白くてやり応えがある
・発売日をきちんと守る
個人的には坂口博信さん、堀井雄二さん、データイーストのゲーム開発チーム(ヘラクレスシリーズ、メタルマックスシリーズ最高だった。残念ながら倒産し消滅しました…)任天堂のゲーム開発チームの一部(マリオチーム・ゼルダチーム・カービィチーム)、アトラスのゲーム開発チームの大体全部とか理想のゲーム製作者ですね…。アトラスがナムコの一部だったFC女神転生の頃からずっとアトラスゲーをやってますが今に至るまでアトラスゲーははずれが無いのが素晴らしい。ドット絵FFやスクウェアのトムソーヤーやクロノトリガーの頃の昔のスクウェアなんかも大好きで理想のゲーム製作者でしたね…。
今、昔の本置いてあるところを見てみたら数十年前に、植松伸夫さんにFF攻略本に書いてもらったサイン本、いまだに手元にありました。昔は、スクウェアは凄くユーザーフレンドリーな会社で、スクウェアの製作スタッフとユーザーで一緒に玉川の河原でご飯を食べるピクニックイベント(もちろん完全無料です。学生や子供がかなりきてた)とかユーザーとのほのぼのした交流イベントをやってたんですね。スクウェアの色んな情報を教えてくれる無料の電話サービス(こちらからスクウェアに電話を掛ける)とかあって、そこでユーザー交流イベントの告知をしていました。
今のスクエニは北米販路重視の海外シフトした大企業(海外の成人プレイヤーをメインとして重視している体制)ですから…もう昔のようなローカルな日本でのユーザー交流はないでしょうね…。FF15の前夜祭で、アメリカの成人プレイヤー達とイベントを行っているFFスタッフさん達を見ると、もうFFスタッフさんが日本の小学生ぐらいの子供と楽しく交流しているユーザーイベントとか、ちょっと考えられない光景ですし…。レベルファイブの日野社長とかポケモンの開発スタッフさんとか、ユーザー交流イベントで妖怪ウォッチやポケモン大好きな子供達と楽しく遊んでくれそうですが、今のFFは層が違いすぎると感じる…。
よく子供向けの創作において言われるのは、子供は頭身が低いデフォルメキャラに親しみと共感を感じる(子供自身が大人より背が低いため)みたいなことはよく言われてまして、ポケモンとか妖怪ウォッチとかドラゴンクエストとかその辺意識している感じなんですね。ピカチュウとかジバニャンとかスライムはそういう親しみやすいキャラなんですね。ただ、北米の成人プレイヤー向けにゲームを特化させる、つまりゲームを徹底的な現実の写実路線に特化させると、もうそういう頭身が低いデフォルメキャラは出せなくなってしまう…(写実路線だとデフォルメ自体できなくなるため)。
なんでスクエニ(のスクウェアの方。エニックスの方のドラクエは子供に今も人気)は、ファイナルファンタジーを大人向けゲームに特化して、ゲーム好きな子供の層を完全に捨てちゃったのかな…。子供向けの方ではポケモンや妖怪ウォッチには勝てないから子供向けはキングダムハーツに任せて、FFでは子供を最初から捨てるという発想もあるのかな…(ただ、キングダムハーツも、シナリオが複雑化しすぎて、子供がついていけなくなっているように思います)。昔を知っているものとしては寂しいですね…。
昔はFFって子供にもすごく人気があったんですよ。それこそポケモンに匹敵するぐらいの人気がありました。小学校の教室がDQ派とFF派と両方好きな派(私はこれでした)に分かれてるって感じでしたよ。
今は、ドラクエのナンバリングやスピンオフを3DSやPS4やスマホでプレイする子供は結構いても、ファイナルファンタジー15をプレイする子供は、世界的に見てもまずいない(いたとしても非常に少ない)でしょうね…。基本的に北米成人プレイヤー向けですから…。
少子化社会である日本の子供よりも、パイの大きい北米の成人プレイヤー向けにゲームデザインを特化するというスクエニの大きな成長戦略は分かりますが、それでも、FFがその路線に乗ってしまったことは、FFをFC1からずっとやってきたものとしては寂しいと、どうしても感じますね…。15でもうこの路線に完全に入ってしまった以上、今後のファイナルファンタジーも、ずっと北米の成人プレイヤー向けの「写実的でカッコイイFF」になることは、確定的な訳で…。
もはや二度と、FF1〜6、9ぐらいの中世ファンタジー的な牧歌的なFFが遊べないであろうことが悲しい…。
いつか、坂口さんがスクエニに戻って、日本の子供も楽しめるRPGをもう一度作るとか、できないのかな…。坂口さんに、課金スマホゲーではない、買いきりで楽しめる据え置きか携帯機の作品、子供も楽しめる本当の王道RPG(グランブルーファンタジーのことではありません)をまた作って欲しいです…。
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2016年11月21日 19:09
赤木智弘「世界の右傾化を支える「ポリコレ棒」とは何か」
http://blogos.com/article/198700/
正義の審問官にとっては自分の考えるPCこそが正義に他ならない。正義なのだから対話など必要なく、悪に対して一方的に押しつける態度にしかならない。それに反発する他者は「分かっていない、頭の悪い人」か「悪」なのだから、前者に対しては「しつけ」として、後者に対しては「正義の発露」として、いくら叩いても構わないという心情に至る。
これ、橘玲氏とか岡田斗司夫氏も昔から同じこと言ってますね。元を辿るとニーチェの「道徳の系譜」なんですな。道徳(ここではポリティカル・コレクトネス)の系譜学的分析です。岡田斗司夫さんの政治論・道徳論を語った著書「スター・ウォーズに学ぶ国家・正義・民主主義」より引用しますね。
人間は道徳的に他人を責めることで快感を得る
『他人を道徳的に攻撃すると、脳の快感を司る部分が激しく活性化することが分かっています。道徳は(他人を攻撃することで本能的攻撃衝動を充たすという形で)最大の娯楽の一つですが、それを認めるのは(道徳の根幹を揺るがす為)不都合なので、人々は怒りによって、自分の「不道徳(攻撃性)」を正当化しようとするのです。
(橘玲「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」)』
つまり、こういう風に人を責める(道徳をふりかざして人を責める)のは「良い」「悪い」の問題ではなく、私らの脳に(本能的攻撃衝動として)あらかじめプログラムされているという訳ですね。
タレントのベッキーの不倫にしても、ショーン・Kの経歴詐称疑惑にしても、不道徳だといって責める人が必ず出てくるけど、この人達は何の権利があって責め立てているのかよくわからないし、本人達も自分に対しなぜこれほど怒りを感じるのか理解していないでしょう。
そういう理由のない怒りだとか衝動というものを、私達は持っている。その怒りを収めるために「生贄を殺す」ことが政治の本質なのではないでしょうか。(中略)
例えば、人類学者ジェームズ・フレイザーの「金枝篇」には、未開社会における「王殺し」の神話や伝承が多数収録されています。(中略)地震や日照りについて誰も責任はとれませんが、取れないといって放っておいては私らの感情(自分が損なわれたと感じた時にはその分の損失分かそれ以上の分について他の誰かを損なわせようとする本能的攻撃衝動)は納得しない。何かで鬱憤を晴らさないと我慢できなくなってしまう。
不道徳と思われる人を見かけたらその本人を攻撃して鬱憤を晴らせばいいんですが、国や社会に対する不満のはけ口としては、結局王様が(生贄として)一番適当なんですよ。(中略)
結局のところ政治とは、理不尽に暴発する民衆の心をいかに管理し、どういう方向に誘導するかなんですね。
(岡田斗司夫「スター・ウォーズに学ぶ国家・正義・民主主義」)
橘玲氏とか岡田斗司夫氏は、赤木さんの論を一歩進めた地点から政治を眺めていて、『リベラルとは民衆の一部に「ポリティカル・コレクトネス」という「道徳=暴力への正当性」を与えることで力を得たが、やりすぎて失墜した』『政治とは暴力に道徳的正当性を与えることで民衆を支配するシステムである』と考えているんですね。これはニーチェの「道徳の系譜」に思想の源流があって、欧米のポスト・ニーチェの思想家もだいたいこの考えですね。日本の思想家だと東浩紀氏なんかもこれと同じ考え方をしていますね。
でも、これ、その通りだとしても、何も現状は変わらないんですよね…。ニーチェの道徳の系譜でもそうですが、こういう系譜学は最後は「人間の本性」「人間の本能」「社会とは本性・本能を制御するための技法があるだけの荒野」というところに結論が帰結してしまうので、攻撃的本能に基づいてポリティカル・コレクトネスで他者を攻撃し続けるような人を誰も止められないし(本性・本能なので止められない)、もうどうしようもない。あらゆる破壊的なものは人間の本性、人間の本能に基づいているから…。
ドイツの思想家スローターダイクは著書「シニカル理性批判」でポスト・ニーチェ思想(上記の思想)を批判して、ニーチェ的系譜学に基づいて道徳の欺瞞を暴いても、結局は何の意味も無い。なぜならそれは理想や道徳の欺瞞を暴き道徳とは本能に基づく暴力の正当化であると暴くだけで、新しい理想や道徳については何も提示できないからだ、それはただシニカルな上から目線のインテリであるだけで、社会に対するコミットメントを致命的に欠いている無責任なスタンスである、と述べていますが、私はその通りだと思いますよ…。
社会に対して影響力のある文筆家や思想家が悉く「政治とは民衆の不合理な暴力に道徳的正当性を与えて民衆の攻撃的本能の流れを操作する営みである」「ゆえに社会の不合理は何一つ改善することはできないしそのような仕組みを作ることもできない。なぜなら人間は攻撃的本能に支配された根底的に邪悪な救い難い存在であり、その攻撃性をある程度制御する以外にできることはないからである」みたいな非常にシニカル(冷笑的)でペシミスティック(悲観的)なポスト・ニーチェ的最終結論を出されても、「えっ」って思いますよ、民衆の一員としては…。「人間は根本的に邪悪で世の中に救いはないから社会を良くするなんてアキラメロン」って言ってるのと同じですからね…。結局それは「社会にも人間にも根底的に救いはない」と述べて人々を絶望させることで今現在の支配階級の立場を強化しているだけですよね…。
ちなみにこれは本題とは関係の無い軽い余談ですが、東浩紀氏がトランプ大統領について語っている最近出ていたニコニコ動画みたら以前よりも物凄く太っていて驚愕したんですが…。もしかしたら東浩紀氏の思想に太る要因があるんじゃないかなあ…。肥満をテーマにアシモフらが編纂したアンソロジー「The Science Fiction Weight-Loss Book」で「太る要因の一つは自分に対する楽観主義と外部に対する冷笑主義である」みたいなこと書いてありましたが、東氏の思想ってまさにそれそのものなので、心配になりましたよ…。更に余談ですが、ITベンチャー企業の起業家であり作家である上田岳弘さんの「太陽・惑星」は両作共にまさに上記のポスト・ニーチェ主義の帰結による人類の避け難い完全絶滅を描いている奇妙な味のSFで非常に面白かったですね。特に「惑星」、ゲームのシュタインズ・ゲートを更に先鋭化したような、あらゆる時間に偏在できる能力の持ち主がどのように行動しても、アップルをモデルにしたIT企業の暴走によって引き起こされる最終的な人類史の流れによる人類の完全絶滅は避けられないという、人類にとことん絶望しきっている「惑星」の展開とか、まさにポスト・ニーチェ思想だなと感じました。日本の新富裕層であるITベンチャーの起業家がこういうの書いちゃうくらい、人類全体に対するシニカルな視野が社会の上層にも広がっているのだなと感じさせましたね…。閑話休題。
私は、やはり、希望とか理想がないと社会が良くなる可能性すら閉ざされると思うので「政治とは民衆の不合理な暴力に道徳的正当性を与えて民衆の攻撃的本能の流れを操作する営みである。ゆえにポリティカル・コレクトネスを掲げて暴力を道徳の名の元に振るう人間を止めることはできない。なぜならそれは攻撃性という生物学的本能だからである。終わり」みたいな感じで終わって欲しくないと思います。思想家がシニカルで絶望的な視点だけを「これこそが系譜学的真理!」として出してきても、「社会と民衆は根底的に最悪であると上から目線で分析するだけのあんたたち自体は、一体何のためにいるの?」って思うだけですよ…。バーニー・サンダースがトランプ大統領に理想主義的な要求を出していますが、こういった形で、社会の希望とか理想を何処かに存在するものとして常に掲示し続けることが、社会的影響力を持つ人々の責務としてあると私は思いますね。
アメリカ政治はトランプ対バーニー・サンダースで動き始めた
http://blogos.com/article/198672/
11月16日、水曜日夜、バーニー・サンダーズ上院議員は、選挙が終わってからはじめて、まとまった演説をし、大きな注目を集めた。フェースブックでは、もう60万の人がみている。
https://www.facebook.com/PoliticalRevolution/videos/1308001395918740/
このワシントンのジョージタウン大学で行われた演説で、サンダースは、いくつかの問題についてトランプ次期大統領とともに働けることを希望しているといった。(中略)
(1)トランプ氏は社会保障予算をカットすることはしない。メディケアとメディケードを切ることはしないといった。私は拡充せよと主張するが、切らないというのは前提であり、重要な約束だ。
(2)トランプ氏は、1兆ドルを我々の公共的なインフラ整備に投下すると約束した。それをすれば何百万もの給料の良い仕事口ができる。これも私の主張に共通する。
(3)私は、今日の連邦の最低賃金が飢餓賃金であり、それは1時間につき15ドルにアップされねばならないと主張した。トランプ氏は、1時間につき10ドルまで最低賃金を上げなければならないと言った。これは十分ではないが、一つのスタートだ。
(4)トランプ氏は、ウォール街の許しがたい強欲さと悪行を批判し、ニューディールで採用されたグラス・スティーガル法を復活するといった。これは最大の焦点のひとつだ。賛成なことはいうまでもない。
(5)トランプ氏は、6週の有給出産休暇を実現すると約束した。地球上で主要な文明国といえば少なくとも12週の有給の家族と病気療養休暇が条件だが、これもスタートとしては重要だ。
(6)トランプ氏はTPPなどの我々の壊滅的な貿易政策を変えるといった。これも賛成だ。
時代錯誤の無知で頑迷な人種差別、外国人ヘイト、性差別などではまったく妥協はしない。しかし、以上が、誠実に行われるかどうかが問題だ。
大統領候補が、この国の労働家族に偽善や嘘をいうことはゆるされないことは分かっているはずだ。これらを注意してみていくし、一緒にできることはいくらでも協力する。期待していると言ってもよい。
以上が演説の主な内容の一部。
私はこの演説に(上記のURLから実際に見れます)全面的に賛同できますね。こうやって社会に理想や希望を掲げるのが、社会的な有力者の本当にやるべきことだと思います。ポスト・ニーチェ的絶望の解毒剤としては「正義論の名著」とか凄く良かったですね。
スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」 岡田斗司夫の空想政治教室 (SB新書)
著者:岡田 斗司夫
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道徳の系譜学 (光文社古典新訳文庫)
著者:フリードリヒ ニーチェ
光文社(2009-06-11)
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善悪の彼岸 (光文社古典新訳文庫)
著者:フリードリヒ ニーチェ
光文社(2009-04-09)
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シニカル理性批判 (MINERVA哲学叢書)
著者:ペーター スローターダイク
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正義論の名著 (ちくま新書)
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太陽・惑星
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2016年11月19日 13:21
ポケットモンスターサン・ムーン、サンをプレイ中ですが凄い面白いですね!!パートナーはニャビーにしました。ポケモンはブラックホワイト2をクリアした後はそれ以降のポケモンをやっていなかったので、物凄く派手かつ遊びやすくなっていて(あまり育成とか捕獲にこだわらなくてもストーリーがガンガン進んでバトルが派手でテンポが最高に良い)良い感じに物凄く進化していて驚きました。New3DSは持っていないので無印の3DSLLで遊んでますが、特に問題なく楽しく遊べています。
ただ、3DSだとどうしてもハード性能的限界を感じるので(十二分に面白いですが、ただ多分もっと派手に演出したかったんだろうなあと感じさせるところが結構ある)、ニンテンドースイッチでポケモンが出ると良いなあ…。
ポケットモンスター サン - 3DS
任天堂(2016-11-18)
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ただ、3DSだとどうしてもハード性能的限界を感じるので(十二分に面白いですが、ただ多分もっと派手に演出したかったんだろうなあと感じさせるところが結構ある)、ニンテンドースイッチでポケモンが出ると良いなあ…。
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2016年11月18日 10:32
月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)
牧野修「月世界小説」読了。私は牧野修さんの本はノベライズやシリーズ物も含めて商業出版されたものは全部読んでおりますが(亜羅叉の沙等の別名ペンネームの同人誌作品は入手が困難なので商業出版されたNULLの一部作品以外は読んでないです)、個人的には間違いなく牧野修さんの作品の集大成であり最高傑作だと思いますね。
本作は今までの牧野修さん作品の主体(メタ次元と狂気と言語への偏執+コテコテ大阪ノリいちびり)に筒井康隆「虚構船団」山田正紀「神狩り」山本弘「ギャラクシー・トリッパー美葉」を三身悪魔合体してぶち込んだような作品でして、この例えが分かるお方々には最高に面白い作品だと思います(というかこの例えが分かる人は既に読んでそうですが…)
百聞は一見にしかず。本作の特徴的なシーンを引用しますね。
このシーンは無限大の平行宇宙全ての命運を掛けた神との最終決戦のシーン、これまでずっと共に戦ってきた戦友が死んでゆく物凄く悲壮なシーンの筈なのに読者はゲラゲラ笑うしかないというこの狂気!!まさにメタ狂気としか言いようが無い。
ちなみに余談ですが、本作の主人公、全ジャンル主人公最強ランキングの暫定1位のハリイ・ガーバー(ルーディ・ラッカーの小説の登場人物)に勝てるんじゃないかな。本作の主人公は、自分のいる世界の語り手であり世界を語りなおすことができるので、それは、どういう次元とかどういう世界とかがどうこうでなくて、常に自分のいる世界の一階層上のメタ視点(三人称、小説を執筆する作者の視点)から一人称で世界を語れる存在であるということなんですね。ハリイ・ガーバーがどれほど高次元に居ても、彼が語ることのできる存在、三人称視点で語られてしまう存在、すなわち小説の主人公である以上、原理的に本作主人公に勝てないように思いますね。全ジャンル主人公最強ランキングのルールだと同時に同場所同世界(語れる場所)に存在して戦いが始まる訳ですから、本作主人公が相手のいる次元のメタ次元から戦いを語って「わたしは戦いが始まると同時にハリイ・ガーバーに勝っていた。ハリイ・ガーバーが持っているとされていた能力は全て妄想に過ぎず、彼には戦いの前から何一つ能力などなかったのだ」とでも語ったら終わりですからね。メタ次元からのメタ視点(作家の視点、三人称視点)からしてみれば、語られる下位階層(物語世界)でのスピードとか物理的強さとか全く無意味な訳です。どんな強いキャラが出てくる小説であっても、一番強いのはそれを書いている作者さんでして、作者さんの語りによって、彼らは世界の中を動いている訳ですからね。閑話休題。
本作のことに戻りますと、個人的に最高に面白かったのは、この「月世界小説」自体がメタ仕掛けのトラップボムみたいなもので、この小説を日本語で最初から最後まで読んだ読者は全員「神VS人類の森羅万象全てのマルチユニバースを賭けた究極の戦い」に巻き込まれてしまうところですね。ほんと、読み終わって、「やられた!!」って気持ちになりました。ゲームの「ガンパレード・マーチ」や「Ever17」とかにもあるメタ仕掛けですが、本作はより徹底的かつ究極的に、読み手を否応無く神との戦いの前線に無理やり参戦させてしまうのが、もう流石ですとしか言いようが無い!小林泰三の「本」に出てくる「本」を読んで親方様がいつのまにかインストールされた読者や「ジョジョの奇妙な冒険」で矢に撃たれてスタンドが発現したスタンド使いのような気持ちになれます。日本語オソロシスって気持ちになれる究極の日本語論日本語小説ですね。日本語は神滅剣アル・ゾディアだった!?
私も本書が無類に面白い小説であることを保証しますよ!!皆さんにぜひ最初から最後までじっくりと読んで欲しいですね。そして神と戦うペルソナ使い…もとい日本語使いとして目覚めるのです(えっ!?)
月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)
著者:牧野 修
早川書房(2015-07-08)
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虚航船団 (新潮文庫)
著者:筒井 康隆
新潮社(1992-08-28)
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神狩り (ハヤカワ文庫JA)
著者:山田 正紀
早川書房(2010-04-05)
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神狩り2 リッパー (徳間文庫)
著者:山田正紀
徳間書店(2010-06-15)
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ギャラクシー・トリッパー美葉(1) 10万光年のエスケープ
著者:山本 弘
アドレナライズ(2015-07-13)
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ギャラクシー・トリッパー美葉(2) 空のかなたのユートピア
著者:山本 弘
アドレナライズ(2015-07-13)
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ギャラクシー・トリッパー美葉(3) 寄り道だらけのオデッセイ
著者:山本 弘
アドレナライズ(2015-07-13)
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人獣細工 (角川ホラー文庫)
著者:小林 泰三
KADOKAWA / 角川書店(2014-11-25)
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ペルソナ5 - PS4
アトラス(2016-09-15)
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PlayStation 4 Pro ジェット・ブラック 1TB (CUH-7000BB01)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(2016-11-10)
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PlayStation 4 ジェット・ブラック 1TB(CUH-2000BB01)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(2016-09-15)
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牧野修はときに「現実崩壊感覚」の描写に優れているなどと評されることがあるが、これは評論家たちに特有のもってまわった言い方であって、要するに「狂気」を描写することに誰よりも優れているのだ。
(山田正紀「わが子よ、月世界小説を読みなさい」)
牧野修「月世界小説」読了。私は牧野修さんの本はノベライズやシリーズ物も含めて商業出版されたものは全部読んでおりますが(亜羅叉の沙等の別名ペンネームの同人誌作品は入手が困難なので商業出版されたNULLの一部作品以外は読んでないです)、個人的には間違いなく牧野修さんの作品の集大成であり最高傑作だと思いますね。
本作は今までの牧野修さん作品の主体(メタ次元と狂気と言語への偏執+コテコテ大阪ノリいちびり)に筒井康隆「虚構船団」山田正紀「神狩り」山本弘「ギャラクシー・トリッパー美葉」を三身悪魔合体してぶち込んだような作品でして、この例えが分かるお方々には最高に面白い作品だと思います(というかこの例えが分かる人は既に読んでそうですが…)
百聞は一見にしかず。本作の特徴的なシーンを引用しますね。
その時銃声が聞こえた。
「退避!」
叫んだのは石塚だ。
皆が一斉に階段の影に隠れた。
「道夫(脚注1)、策敵開始だ!」
返事はなかった。
脚注1:本名ハットラレ半蔵。恥ずかしがり屋の忍術使い。得意な忍術はいろいろ返し。怖くなるといろいろ裏返してみせる。口癖は「ひっくり返っちゃったでござる」。
「撃たれたよ」
情けない声がした。見ると太秦映画村でしか見たことのない忍者装束を着た道夫が、泣き出しそうな顔で石塚を見ている。
「どうやら脚注弾で撃たれたみたいでござる。それではここらでドロンでござる。いろいろ返し!」
ぽん、と気の抜けた炸裂音とともに、道夫の姿が消え、代わりに血塗れの臓物が現れた。
どこからともなく道夫の声がした。
――ひっくり返っちゃったでござる。
「どこから撃ってきている」
石塚が呟いたのと同時に、カラスが陰から飛び出した。
「あの馬鹿!」
石塚の悪態はカラスの銃声で聞き取れない。
「菱屋、急げ。この物語は既に誰かによって語られている。我々は《累》の力を得なければ、この物語に介入も出来ない」
菱屋が唸る。そう云われても、彼にはどうしたらよいのかがわからないのだ。
唐突に銃声が止んだ。
「カラスさん(脚注2)」
呟いて、しくじったことに気がついた。カラスに打ち込まれた脚注弾が、今の台詞で有効になったのだ。
脚注2:坂之上フンギリ博士。オランダ生まれの工学博士。比較的踏ん切りがいい。我慢できずオナニーをすると消える呪いを掛けられている。
切ない喘ぎ声が、しんとした部屋に響いた。カラスの姿はもうない。
「菱屋!」
石塚に睨まれるが、菱屋にはどうしようもない。残されたのはこの二人だけだ。
本だ本。
冷や汗を流しながら菱屋は考える。
月世界小説に何かヒントがあるはずだ。いや待てよ。今語られているこの物語が月世界小説そのものではないのか。月世界小説月世界小説。
そうだそうだそうであるなら……。
そうかそうなのかそうだったのか。
そこでようやくわたしは気がついた。この物語が誰によって語られているか、だ。
そう、既に描写を終えている。それはわたしだ。
わたしが――菱屋修介でありヒッシャー・シュスケットであるわたしがこれを語っている。そして語られた物語がそのまま世界になっているのなら、わたしは今《累》と共にいるのだ。
気がつくと同時に、わたしは全ての状況を把握していた。
索敵を開始する。
室内の描写をテキスト解析し、三人称視点がどこに最も近づいていたか――所謂観察点POVを探し出すのだ。すぐに敵の位置が正確な三次元座標で表示される。
相手は不可視である。もともとそれは非言語的存在なのであり、認知されないことが前提だ。
銃火が見えた。
発射された脚注弾が石塚へと向かうのが見える。
私は細く長い《累》の指でそれを掴み取った。高速で動いている訳ではない。物語に関与すれば、時間を引き延ばすことなどわけもない。
さて、反撃だ。
わたしは座標で示された地点へと機銃を向けて、ファントム・トリガー(幻銃爪)を引いた。銃火とともに7・62ミリ校正赤色弾がリズミカルに発射される。
トルトルトルトルトルツメトルツメママトルママママママママトルママトルママトルトルトルトルトル!!
間違いなくわたしは《累》を通じて敵の物語に関与している。続けてわた
を避けた。物語に亀裂が生じた。さすがはミッシングページ・ボム(落丁爆弾)の力だ。何ページを無駄にしたか知らないが敵は既にいない。
「《累》を世界n+1へ」
云ったのは部隊長だ。
わたしにはどうすれば良いか判っていた。
わたしは耳を澄ます。目を皿のようにする。犬となって気配を嗅ぎ、皮膚を粟立てて存在を感知する。舌を伸ばし次元を舐める。
聞こえた。
もう一つの《累》とそれに乗ったもう一人の菱屋修介の声が。
〔私は警告する。集え。そして戦え〕
避けた次元からどっと流れ出した暗い濁流が、わたしを《累》を呑み込む。
濁った血にも似たそれは《累》の暗く淀んだ呪詛の力だ。
そして我々は神の御前へと召喚されるのだった。
(牧野修「月世界小説」)
このシーンは無限大の平行宇宙全ての命運を掛けた神との最終決戦のシーン、これまでずっと共に戦ってきた戦友が死んでゆく物凄く悲壮なシーンの筈なのに読者はゲラゲラ笑うしかないというこの狂気!!まさにメタ狂気としか言いようが無い。
ちなみに余談ですが、本作の主人公、全ジャンル主人公最強ランキングの暫定1位のハリイ・ガーバー(ルーディ・ラッカーの小説の登場人物)に勝てるんじゃないかな。本作の主人公は、自分のいる世界の語り手であり世界を語りなおすことができるので、それは、どういう次元とかどういう世界とかがどうこうでなくて、常に自分のいる世界の一階層上のメタ視点(三人称、小説を執筆する作者の視点)から一人称で世界を語れる存在であるということなんですね。ハリイ・ガーバーがどれほど高次元に居ても、彼が語ることのできる存在、三人称視点で語られてしまう存在、すなわち小説の主人公である以上、原理的に本作主人公に勝てないように思いますね。全ジャンル主人公最強ランキングのルールだと同時に同場所同世界(語れる場所)に存在して戦いが始まる訳ですから、本作主人公が相手のいる次元のメタ次元から戦いを語って「わたしは戦いが始まると同時にハリイ・ガーバーに勝っていた。ハリイ・ガーバーが持っているとされていた能力は全て妄想に過ぎず、彼には戦いの前から何一つ能力などなかったのだ」とでも語ったら終わりですからね。メタ次元からのメタ視点(作家の視点、三人称視点)からしてみれば、語られる下位階層(物語世界)でのスピードとか物理的強さとか全く無意味な訳です。どんな強いキャラが出てくる小説であっても、一番強いのはそれを書いている作者さんでして、作者さんの語りによって、彼らは世界の中を動いている訳ですからね。閑話休題。
本作のことに戻りますと、個人的に最高に面白かったのは、この「月世界小説」自体がメタ仕掛けのトラップボムみたいなもので、この小説を日本語で最初から最後まで読んだ読者は全員「神VS人類の森羅万象全てのマルチユニバースを賭けた究極の戦い」に巻き込まれてしまうところですね。ほんと、読み終わって、「やられた!!」って気持ちになりました。ゲームの「ガンパレード・マーチ」や「Ever17」とかにもあるメタ仕掛けですが、本作はより徹底的かつ究極的に、読み手を否応無く神との戦いの前線に無理やり参戦させてしまうのが、もう流石ですとしか言いようが無い!小林泰三の「本」に出てくる「本」を読んで親方様がいつのまにかインストールされた読者や「ジョジョの奇妙な冒険」で矢に撃たれてスタンドが発現したスタンド使いのような気持ちになれます。日本語オソロシスって気持ちになれる究極の日本語論日本語小説ですね。日本語は神滅剣アル・ゾディアだった!?
人は決して二つの役割(ロール)を同時に受け入れることが出来ない。自己とは統合された何かだからだ。もし二つの役割が同居してしまったら、それはすなわち狂気に陥ったということだ。統合失調症というのはそういうことだ。自己を成立させる言語も、当然のことだが二つ以上の言語を同時に受け入れることは出来ない。二つ以上の公式言語が存在する多言語社会では、二言語変種使い分け(ダイグロッシア)や三言語変種使い分け(ポリグロッシア)と呼ばれる使い分けが生じる。それは例えば使用される領域(ドメイン)や相手との社会的関係などによって決定されるのだが、モザイクのように多言語が入り組むことはまずない。二つの言語が同時に使用されないのは、二つの役割を同時に受け入れられないことと全く同じ意味を持つ。
しかし日本人は大和言葉の中にそのまま漢語を取り入れた。漢語をそのままに表記し、そのままで翻訳してしまったのだ。そして翻訳のために読み足した部分を書き写す記号として「仮名」を生んだ。本来の日本語を「仮の名」と呼んだのだ。それに対する「真名」が、外来語である漢語だ。
こうして言語に文化的政治的格差から上下関係が生まれること自体は良くある。例えばローマ帝国が拡大していくにつれ、ラテン語が使用される領域も広がっていく。ラテン語は『文字の技術(グラムマテイカ)』と呼ばれ、支配者階級によって公的に残される文章は全てラテン語で、必然的にラテン語を解さないものは身分の低いものとなる。こうして土着の言葉、つまり俗語が公用語に呑まれて消えていくこともある。
中国が領土を広げる過程は漢語の文化的侵略の歴史でもある。そして文化的に独立すれば漢語は消えていく。例えば韓国はその途中でハングルと漢字が共存していたが、戦後ハングルが公用化され、漢字は消えた。ベトナムでも漢字が消え、クォックグーという独自の表記体系になった。
しかし日本語はそうはならなかった。
仮名と真名は二つとも一つの言語の中で生き残ったのだ。表意文字と表音文字、上位言語と俗語、男の言葉と女の言葉、外国語と自国語が一つの表記の中で共存する。それで日本民族が発狂したなどと云う話は聞かない。
それを許したのは西洋的な意味での自己とは異なる二つの、あるいはそれ以上の自己を平行処理することが可能なメタ言語が日本語だからだ。そして日本語を理解することで日本語脳が生まれる。
(牧野修「月世界小説」)
いままで、るる書きしるしてきたことはすべて『月世界小説』を解説するための準備であり、いわば助走なのだといっていい。助走にずいぶん紙数を費やしてしまったが、それはそれだけ『月世界小説』が歯ごたえのある――こんなふうに書くと、だいたいの「解説」では大あわてで、「でも無類におもしろい」と付け加えるのが、いわばお約束のようになっているのだが、この場合はそれがほんとうなのだから仕方がない――でも無類におもしろい小説なのだ。
(山田正紀「わが子よ、月世界小説を読みなさい」)
私も本書が無類に面白い小説であることを保証しますよ!!皆さんにぜひ最初から最後までじっくりと読んで欲しいですね。そして神と戦うペルソナ使い…もとい日本語使いとして目覚めるのです(えっ!?)
月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)
著者:牧野 修
早川書房(2015-07-08)
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虚航船団 (新潮文庫)
著者:筒井 康隆
新潮社(1992-08-28)
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神狩り (ハヤカワ文庫JA)
著者:山田 正紀
早川書房(2010-04-05)
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神狩り2 リッパー (徳間文庫)
著者:山田正紀
徳間書店(2010-06-15)
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ギャラクシー・トリッパー美葉(1) 10万光年のエスケープ
著者:山本 弘
アドレナライズ(2015-07-13)
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ギャラクシー・トリッパー美葉(2) 空のかなたのユートピア
著者:山本 弘
アドレナライズ(2015-07-13)
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ギャラクシー・トリッパー美葉(3) 寄り道だらけのオデッセイ
著者:山本 弘
アドレナライズ(2015-07-13)
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人獣細工 (角川ホラー文庫)
著者:小林 泰三
KADOKAWA / 角川書店(2014-11-25)
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ペルソナ5 - PS4
アトラス(2016-09-15)
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PlayStation 4 Pro ジェット・ブラック 1TB (CUH-7000BB01)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(2016-11-10)
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PlayStation 4 ジェット・ブラック 1TB(CUH-2000BB01)
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2016年11月16日 02:45
大葉ナナコ「母親のエネルギーをもっともっと」ポンチ絵の来歴と母性看護学の問題
https://twitter.com/i/moments/798455581782654976
官邸公式HPに置かれている上記の図、これ、完全に母原病概念ですよね…。子供と母親がイコールで結ばれていて、本来は存在する子供と生育環境の関係性、母子関係性以外の関係性を全く見ていない。こんな亡霊みたいな母子関係性特化概念がいまだに存在するとか、非常に暗澹となるんですが…。
1980年代にインチキ精神医学の母原病(未成年の問題行動や精神病・神経症は母親の育て方に全ての原因があるとするトンデモ精神医学、母親は子供に全精力を注ぐべきという論調で兼業主婦に対する批判としても機能した)の概念が日本中で広まってしまい、それによって子供の問題の責任を全て押し付けられた母親の育児ノイローゼやしつけの神経症的行き過ぎなど問題が多発したんですね…。
1990年代頃からやっと母原病=インチキ精神医学であり、子供の問題の全てを母親に押し付けるのはおかしいという問題意識が広まってきて(この問題について母原病概念を批判したフェミニズムは社会科学的に評価されるべきだと思います)、母親に子供の責任の全てを転嫁する悲劇が収まったのに…いまだに母原病の亡霊がうろついてるのか…。非常に暗澹たる気持ちになりますね…。
今の医学(発達心理学等)だと子供の成長はその生育環境に大きく左右されるとされていて、それは母子関係のような部分的要素ではなく、その子供のいる全体的生育環境によるとされていますね。だからこそ、社会全体の子育て支援・環境整備が重要なんですね。こんなこと門外漢の私が述べるまでもなく、国の専門組織である厚生労働省や文部科学省とかはちゃんと知っている筈なのになんで官邸にこんな母子関係のみに特化した画像を出しているのか理解に苦しみます…。
社会を結びなおす――教育・仕事・家族の連携へ (岩波ブックレット)
著者:本田 由紀
岩波書店(2014-06-05)
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子育て奮闘中の母ちゃんドクターが書いた 「男の子ママ」の悩みをぶっとばす言葉
著者:須藤 暁子
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おやすみ、ロジャー 朗読CDブック ([CD+テキスト])
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官邸公式HPに置かれている上記の図、これ、完全に母原病概念ですよね…。子供と母親がイコールで結ばれていて、本来は存在する子供と生育環境の関係性、母子関係性以外の関係性を全く見ていない。こんな亡霊みたいな母子関係性特化概念がいまだに存在するとか、非常に暗澹となるんですが…。
ウィキペディア「母原病」
母原病(ぼげんびょう)とは、日本の精神科医久徳重盛が1979年に発表した精神病の概念で、児童の身体的あるいは精神的な病気の多くは、母親の子供への接し方に原因があるとするものである。科学的根拠がなく、個人的な主張の域を出ない疑似科学の類であるが、これを主張した書籍は日本でベストセラーになり、日本の大衆に一定の影響を与えた。
1979年、久徳の著書『母原病―母親が原因でふえる子どもの異常』(サンマーク出版 ISBN 4763182196)が日本でベストセラーになった。当時の日本では不登校(当時は「登校拒否」と呼ばれるのが一般的)の問題が起き始めていた。久徳は「登校拒否は母原病」(=児童の登校拒否は母親の接し方に原因がある)と主張し、多くの母親を「自分が悪いのだ」と自責の念に駆りたてた。現在ではその説はほとんど事実上の説得力を持たなくなっている。
虐待などがあった場合、それは子どもの精神的な歪みにつながる可能性があるが、久徳が指摘する「母原病」はそのような特殊なケースではなく、一般的なレベルでの「甘やかし」であるとか、「愛情不足」であるといったもののことを言う。(中略)
母原病という表現は批判を受けて減りつつあるが、ジェンダーの責任を女性個人に転嫁し自閉症や不登校への誤解を招く表現として「母子密着」や「日本型親子関係」などが依然として唱えられる傾向にある。
1980年代にインチキ精神医学の母原病(未成年の問題行動や精神病・神経症は母親の育て方に全ての原因があるとするトンデモ精神医学、母親は子供に全精力を注ぐべきという論調で兼業主婦に対する批判としても機能した)の概念が日本中で広まってしまい、それによって子供の問題の責任を全て押し付けられた母親の育児ノイローゼやしつけの神経症的行き過ぎなど問題が多発したんですね…。
1990年代頃からやっと母原病=インチキ精神医学であり、子供の問題の全てを母親に押し付けるのはおかしいという問題意識が広まってきて(この問題について母原病概念を批判したフェミニズムは社会科学的に評価されるべきだと思います)、母親に子供の責任の全てを転嫁する悲劇が収まったのに…いまだに母原病の亡霊がうろついてるのか…。非常に暗澹たる気持ちになりますね…。
今の医学(発達心理学等)だと子供の成長はその生育環境に大きく左右されるとされていて、それは母子関係のような部分的要素ではなく、その子供のいる全体的生育環境によるとされていますね。だからこそ、社会全体の子育て支援・環境整備が重要なんですね。こんなこと門外漢の私が述べるまでもなく、国の専門組織である厚生労働省や文部科学省とかはちゃんと知っている筈なのになんで官邸にこんな母子関係のみに特化した画像を出しているのか理解に苦しみます…。
社会を結びなおす――教育・仕事・家族の連携へ (岩波ブックレット)
著者:本田 由紀
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子育て奮闘中の母ちゃんドクターが書いた 「男の子ママ」の悩みをぶっとばす言葉
著者:須藤 暁子
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おやすみ、ロジャー 朗読CDブック ([CD+テキスト])
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2016年11月04日 22:02
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
私、ガンバ率0%固定バグについて昨日と今日2回問い合わせしてますが、運営から完全に何も返事がないですね。同じバグが起きている複数のフレさん達も運営に問い合わせて返事がないって言ってますし、もう個人的には諦めてドラクエ10のプレイを完全休止してフリーゲームとかで遊んでいます。フレもこのバグでドラクエ自体のやる気を失ってるフレが多いですね…。たぶん、いつになるか分かりませんが(予想ではかなり先だと思います)、クラス班を元に戻すとき同時に戻せばいいと考えているのではないかと。
おそらく運営は、このガンバ率固定0%バグの存在を完全にスルーするつもりなんじゃないかと不安を感じています。運営的には、『アスフェルド学園はソロ志向のコンテンツなので、プレイヤー間に不具合による圧倒的格差が付いても問題ない』という、「それなんてビッグブラザー?」とでも聞き返したくなるようなプレイヤーの気持ちを一ミリも顧慮することない考えでいるのではないかと…。「自由は屈従である」…。
私個人としては、ガンバ率0%不具合でプレイヤー間に致命的格差が付く方が、クラス班変更不具合より更に重大な問題と思います。しかし運営は逆に、クラス班変更不具合が騒がれたことで、ガンバ率固定0%バグの方はたいした問題ではないと考えているのではないかと推察します。
このツイートの感嘆符の多さを見ると、今現在も回復アイテムを毎一時間事に100個以上、ブローチを毎一時間事に数個ずつゲットしてブローチ厳選し続けており、既に道具欄と装備欄が回復アイテム99と神ブローチで埋まったまるすけさんと、道具欄と装備欄がバグでスカスカのおてうさんの間に、取り返しのつかない完全な絶対的格差がついちゃっているので、自分は何も悪くないのにゲーム内の理不尽で不条理な不具合によってライバルまるすけさんにゲーム内格差で取り返しのつかない完全な敗北を帰すというおてうさんの強烈な無念さと絶望、おてうさんの焦りと怒りと悲しみがひしひしと強烈に伝わってきますね…。
今回の不具合で、一時間ごとに数百のアイテムとブローチを入手し続けているまるすけさんに対し、何も貰えないおてうさんは学園のステータスや強さでもはや永遠に追いつけなくなってしまったわけですね(まるすけさんのHP888がついてトータルHP32アヌビスブローチと違い、おてうさんには神ブローチは何もなく、おそらく今後もこのままバグが継続するならそういったブローチは入手できない、バグに巻き込まれているおてうさんはアイテムがないため道具使い系スキルノートを使いこなすこともできない)。もう既に諦めた私のように、「このゲームはダメだ、『2足す2は5である』的理不尽に充ちていてこれ以上向き合っていたら不条理すぎて正気が失われていく」と見限ったらすぐ他のゲームに移ってしまう移り気で逃避的なプレイヤーとは違い、ドラクエ10というゲームシステムに対して、真の向上心を抱くプレイヤーとしてゲームに真っ直ぐ向き合うおてうさんとしては本当に悔しくて辛いことだと思います…。同じバグに見舞われているものとして心から悲しみに共感致しますよ…。
ただ、重大なことは、これはドラクエ10の運営に限らず、どこもMMOの運営は(MMOの運営に限らず効率を最重視する集団統治システムは)、大枠的には国家システムや戦争システムと完全に同じで、一つの『多数の人間を統治して制御するシステム』でしかないんですね。ゆえにそこにおいて個人個人の想いなんてものは全く顧慮していないですよ。国家や戦争が人間の想いを踏みにじるのと同じく、MMO運営も個人の気持ちを踏みにじりますし、システムに対して人間性を期待したら裏切られて深い傷を負うことになります。近代統治学を生み出したミシェル・フーコーは言っています。統治システムに「期待してはならない、警戒しなくてはならない」と。そして当然ながら、洗練された国家の統治システムなどに比べれば、予算も人員も足りないMMO運営の統治システムの方が遥かに理不尽で不条理な訳です。
そして、1984年的な理不尽極まりない不条理なシステムに真剣に向き合うと、自分も1984年のウィンストン・スミスや未来世紀ブラジルのサム・ラウリーのように圧倒的理不尽な不条理に飲まれて頭と心がやられてしまうので、理不尽で不条理で対処しようのない不幸に見舞われたときは野良犬に噛まれた不運や落雷に打たれた不運と同じであるとでも思って、あまりに理不尽極まりないシステムに真剣に自己を向きあわせないようにしてほしい、どうかおてうさんには気をつけてほしいです…。
強烈に理不尽な不条理に直面して、それに真っ向から向き合ってしまうと、心を病んでしまいます…。そういうときは、逃げるのも大切です。
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
著者:ジョージ・オーウェル
早川書房(2009-07-18)
販売元:Amazon.co.jp
未来世紀ブラジル [Blu-ray]
出演:ジョナサン・プライス
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2014-07-02)
販売元:Amazon.co.jp
魂を統治する 私的な自己の形成
著者:ニコラス・ローズ
以文社(2016-06-24)
販売元:Amazon.co.jp
ドラゴンクエスト 蒼天のソウラ 8 (ジャンプコミックス)
著者:中島 諭宇樹
集英社(2016-11-04)
販売元:Amazon.co.jp
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おてう@ドラクエ10極限攻略データベース @oteu_dq10
https://twitter.com/oteu_dq10/status/794498574054658049
【拡散希望】ガンバ率が0%から全く動かないんだけどまだ広場の不具合に載ってないから、同じバグ起きてる人はがんがん問い合わせしていこう!!!ちなみに同じクラスの他の人はちゃんとガンバ率上がってたからこれはバグ!!!こうしてる間にもアイテム取り損ねて大損してるよ!!!!!!!
私、ガンバ率0%固定バグについて昨日と今日2回問い合わせしてますが、運営から完全に何も返事がないですね。同じバグが起きている複数のフレさん達も運営に問い合わせて返事がないって言ってますし、もう個人的には諦めてドラクエ10のプレイを完全休止してフリーゲームとかで遊んでいます。フレもこのバグでドラクエ自体のやる気を失ってるフレが多いですね…。たぶん、いつになるか分かりませんが(予想ではかなり先だと思います)、クラス班を元に戻すとき同時に戻せばいいと考えているのではないかと。
おそらく運営は、このガンバ率固定0%バグの存在を完全にスルーするつもりなんじゃないかと不安を感じています。運営的には、『アスフェルド学園はソロ志向のコンテンツなので、プレイヤー間に不具合による圧倒的格差が付いても問題ない』という、「それなんてビッグブラザー?」とでも聞き返したくなるようなプレイヤーの気持ちを一ミリも顧慮することない考えでいるのではないかと…。「自由は屈従である」…。
戦争は平和である (WAR IS PEACE)
自由は屈従である (FREEDOM IS SLAVERY)
無知は力である (IGNORANCE IS STRENGTH)
(オーウェル「1984年」)
私個人としては、ガンバ率0%不具合でプレイヤー間に致命的格差が付く方が、クラス班変更不具合より更に重大な問題と思います。しかし運営は逆に、クラス班変更不具合が騒がれたことで、ガンバ率固定0%バグの方はたいした問題ではないと考えているのではないかと推察します。
2足す2は5である、もしくは3にも、同時に4と5にもなりうる。
(オーウェル「1984年」)
おてう@ドラクエ10極限攻略データベース @oteu_dq10
https://twitter.com/oteu_dq10/status/794498574054658049
【拡散希望】ガンバ率が0%から全く動かないんだけどまだ広場の不具合に載ってないから、同じバグ起きてる人はがんがん問い合わせしていこう!!!ちなみに同じクラスの他の人はちゃんとガンバ率上がってたからこれはバグ!!!こうしてる間にもアイテム取り損ねて大損してるよ!!!!!!!
このツイートの感嘆符の多さを見ると、今現在も回復アイテムを毎一時間事に100個以上、ブローチを毎一時間事に数個ずつゲットしてブローチ厳選し続けており、既に道具欄と装備欄が回復アイテム99と神ブローチで埋まったまるすけさんと、道具欄と装備欄がバグでスカスカのおてうさんの間に、取り返しのつかない完全な絶対的格差がついちゃっているので、自分は何も悪くないのにゲーム内の理不尽で不条理な不具合によってライバルまるすけさんにゲーム内格差で取り返しのつかない完全な敗北を帰すというおてうさんの強烈な無念さと絶望、おてうさんの焦りと怒りと悲しみがひしひしと強烈に伝わってきますね…。
今回の不具合で、一時間ごとに数百のアイテムとブローチを入手し続けているまるすけさんに対し、何も貰えないおてうさんは学園のステータスや強さでもはや永遠に追いつけなくなってしまったわけですね(まるすけさんのHP888がついてトータルHP32アヌビスブローチと違い、おてうさんには神ブローチは何もなく、おそらく今後もこのままバグが継続するならそういったブローチは入手できない、バグに巻き込まれているおてうさんはアイテムがないため道具使い系スキルノートを使いこなすこともできない)。もう既に諦めた私のように、「このゲームはダメだ、『2足す2は5である』的理不尽に充ちていてこれ以上向き合っていたら不条理すぎて正気が失われていく」と見限ったらすぐ他のゲームに移ってしまう移り気で逃避的なプレイヤーとは違い、ドラクエ10というゲームシステムに対して、真の向上心を抱くプレイヤーとしてゲームに真っ直ぐ向き合うおてうさんとしては本当に悔しくて辛いことだと思います…。同じバグに見舞われているものとして心から悲しみに共感致しますよ…。
ただ、重大なことは、これはドラクエ10の運営に限らず、どこもMMOの運営は(MMOの運営に限らず効率を最重視する集団統治システムは)、大枠的には国家システムや戦争システムと完全に同じで、一つの『多数の人間を統治して制御するシステム』でしかないんですね。ゆえにそこにおいて個人個人の想いなんてものは全く顧慮していないですよ。国家や戦争が人間の想いを踏みにじるのと同じく、MMO運営も個人の気持ちを踏みにじりますし、システムに対して人間性を期待したら裏切られて深い傷を負うことになります。近代統治学を生み出したミシェル・フーコーは言っています。統治システムに「期待してはならない、警戒しなくてはならない」と。そして当然ながら、洗練された国家の統治システムなどに比べれば、予算も人員も足りないMMO運営の統治システムの方が遥かに理不尽で不条理な訳です。
そして、1984年的な理不尽極まりない不条理なシステムに真剣に向き合うと、自分も1984年のウィンストン・スミスや未来世紀ブラジルのサム・ラウリーのように圧倒的理不尽な不条理に飲まれて頭と心がやられてしまうので、理不尽で不条理で対処しようのない不幸に見舞われたときは野良犬に噛まれた不運や落雷に打たれた不運と同じであるとでも思って、あまりに理不尽極まりないシステムに真剣に自己を向きあわせないようにしてほしい、どうかおてうさんには気をつけてほしいです…。
強烈に理不尽な不条理に直面して、それに真っ向から向き合ってしまうと、心を病んでしまいます…。そういうときは、逃げるのも大切です。
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
著者:ジョージ・オーウェル
早川書房(2009-07-18)
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未来世紀ブラジル [Blu-ray]
出演:ジョナサン・プライス
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2014-07-02)
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魂を統治する 私的な自己の形成
著者:ニコラス・ローズ
以文社(2016-06-24)
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ドラゴンクエスト 蒼天のソウラ 8 (ジャンプコミックス)
著者:中島 諭宇樹
集英社(2016-11-04)
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2016年09月02日 18:26
まずはお礼を。8月上旬にamazonギフト券贈って頂いてありがとうございます。気づくのが遅く、お礼申し上げるのも遅くなって申し訳ないです(今日気づきました)。お金のない生活なのでとても助かります。心から感謝致します。
ゲームは最近はカルドセプトリボルトをちょこちょこやる以外は何もやっていなくて…。家庭用ゲームはお金が掛かるので、なかなか色々なゲームを遊ぶということは出来ない感じですね…。カルドセプトリボルトは暇つぶしにちょうどいいカードボードゲームなのでお勧めです。一試合15分〜20分くらいで、ネット対戦もコンピュータとの戦いも楽しめます。ちなみに私は水単色防御型ケルピー足止めデッキ(モンスターは水単色で防御・補助カードてんこもりで敵をケルピーで足止めして通行料を頂くデッキ)で遊んでいます。ケルピー足止めデッキはコンピュータ戦では無類の強さですが(対コンピュータならどんな勝負でも足止めでほぼ100%勝てる)、ネット対戦だとケルピーを集中して狙われるのでかなり弱めな方な感じですね…。
本は図書館で借りて色々読んでいるんですが、お金がなくて本が買えなくて、無料で本が借りれる図書館がメインリソースなので、図書館にあってまだ誰にも借りられていなくてなおかつ面白そうな本ばかり読んでいる感じでして、このブログでマイナーな本ばかりご紹介することになっていて申し訳ないなという気持ちがあります…。メジャーな本は人気がありすぎて、図書館で借りるのは一苦労(予約が沢山入っていて貸し出しまで相当に時間が掛かる)ので…。
今回は、そんな中でも、凄く幅広くお勧めできる最近見つけた本ということで、「クトゥルー・ミュトス・ファイルズ」をご紹介致します。これは創土社という全く聞いたことのなかった出版社さんから出ているクトゥルフ神話の書き下ろしアンソロジー・シリーズ物なんですが、アンソロジーに書く作者さん達のチョイスが渋くて、どの本も読みやすくて凄く面白い!!クトゥルフ神話に造詣の深い、非常に目利きの優れたアンソロジストの編集者さんがいる出版社さんなんだなとちょっと感動しましたね。
「クトゥルー・ミュトス・ファイルズ」公式サイト
http://www.soudosha.jp/Cthulhu/index.html
このシリーズから沢山出ていますが、お勧めとしては、クトゥルフ神話の一作をオマージュした短編を数人の作者さん達がそれぞれ個別の短編で描くシリーズが一番のお勧めですね。良い意味でクトゥルフ神話のプロによる二次創作という感じで読んでいて非常に楽しい。元々クトゥルフ神話ってこういう風に複数の作家さん達がそれぞれに世界を拡張していく二次創作的シェアードワールドですからね。本シリーズを読んでいるとダーレスのクトゥルフ・ホラー・アンソロジーとか彷彿とさせて、21世紀の現代に、19世紀末の風味を残した大好きなクトゥルフ・アンソロジーがまた楽しめるのは、本当に嬉しいなと思いますね。
特にお勧めは山本弘さんのゲームブックが楽しい山本弘、小林泰三、林譲治著の「超時間の闇」、クトゥルフ神話を逆説的に上手くひっくり返してる小林泰三さんの短編が見事な小林泰三、羅門祐人、小中千昭著「彼方からの幻影」がお勧めですね。このシリーズ読んでいるとダーレスの名アンソロジー「漆黒の霊魂」とか思い出して、昔書かれた名作ホラーアンソロジーが、もう新作を読むことは叶わぬ想いだった古き良きホラー・アンソロジーが、新たな装いで生まれ変わって新作として再び読むことができているとの想いで胸が一杯になりますね…。
カルドセプト リボルト
任天堂(2016-07-07)
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漆黒の霊魂 (ダーク・ファンタジー・コレクション)
論創社(2007-03)
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超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)
著者:山本 弘
創土社(2013-11-07)
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彼方からの幻影 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)
著者:小林泰三
創土社(2016-07-25)
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ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8)
チャールズ・ウォードの系譜 (The Cthulhu Mythos Files 6)
ダンウィッチの末裔 (The Cthulhu Mythos Files 5)
ユゴスの囁き (The Cthulhu Mythos Files)
インスマスの血脈 (The Cthulhu Mythos Files)
クトゥルーを喚ぶ声 (The Cthulhu Mythos Files)
無名都市への扉 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)
狂気山脈の彼方へ (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)
遥かなる海底神殿 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)
死体蘇生 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)
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ゲームは最近はカルドセプトリボルトをちょこちょこやる以外は何もやっていなくて…。家庭用ゲームはお金が掛かるので、なかなか色々なゲームを遊ぶということは出来ない感じですね…。カルドセプトリボルトは暇つぶしにちょうどいいカードボードゲームなのでお勧めです。一試合15分〜20分くらいで、ネット対戦もコンピュータとの戦いも楽しめます。ちなみに私は水単色防御型ケルピー足止めデッキ(モンスターは水単色で防御・補助カードてんこもりで敵をケルピーで足止めして通行料を頂くデッキ)で遊んでいます。ケルピー足止めデッキはコンピュータ戦では無類の強さですが(対コンピュータならどんな勝負でも足止めでほぼ100%勝てる)、ネット対戦だとケルピーを集中して狙われるのでかなり弱めな方な感じですね…。
本は図書館で借りて色々読んでいるんですが、お金がなくて本が買えなくて、無料で本が借りれる図書館がメインリソースなので、図書館にあってまだ誰にも借りられていなくてなおかつ面白そうな本ばかり読んでいる感じでして、このブログでマイナーな本ばかりご紹介することになっていて申し訳ないなという気持ちがあります…。メジャーな本は人気がありすぎて、図書館で借りるのは一苦労(予約が沢山入っていて貸し出しまで相当に時間が掛かる)ので…。
今回は、そんな中でも、凄く幅広くお勧めできる最近見つけた本ということで、「クトゥルー・ミュトス・ファイルズ」をご紹介致します。これは創土社という全く聞いたことのなかった出版社さんから出ているクトゥルフ神話の書き下ろしアンソロジー・シリーズ物なんですが、アンソロジーに書く作者さん達のチョイスが渋くて、どの本も読みやすくて凄く面白い!!クトゥルフ神話に造詣の深い、非常に目利きの優れたアンソロジストの編集者さんがいる出版社さんなんだなとちょっと感動しましたね。
「クトゥルー・ミュトス・ファイルズ」公式サイト
http://www.soudosha.jp/Cthulhu/index.html
このシリーズから沢山出ていますが、お勧めとしては、クトゥルフ神話の一作をオマージュした短編を数人の作者さん達がそれぞれ個別の短編で描くシリーズが一番のお勧めですね。良い意味でクトゥルフ神話のプロによる二次創作という感じで読んでいて非常に楽しい。元々クトゥルフ神話ってこういう風に複数の作家さん達がそれぞれに世界を拡張していく二次創作的シェアードワールドですからね。本シリーズを読んでいるとダーレスのクトゥルフ・ホラー・アンソロジーとか彷彿とさせて、21世紀の現代に、19世紀末の風味を残した大好きなクトゥルフ・アンソロジーがまた楽しめるのは、本当に嬉しいなと思いますね。
特にお勧めは山本弘さんのゲームブックが楽しい山本弘、小林泰三、林譲治著の「超時間の闇」、クトゥルフ神話を逆説的に上手くひっくり返してる小林泰三さんの短編が見事な小林泰三、羅門祐人、小中千昭著「彼方からの幻影」がお勧めですね。このシリーズ読んでいるとダーレスの名アンソロジー「漆黒の霊魂」とか思い出して、昔書かれた名作ホラーアンソロジーが、もう新作を読むことは叶わぬ想いだった古き良きホラー・アンソロジーが、新たな装いで生まれ変わって新作として再び読むことができているとの想いで胸が一杯になりますね…。
この核(核兵器)の時代において、人間の想像力が生み出したとてつもない恐怖話を集めたホラー・アンソロジーなどほとんど時代遅れのように思える。おそらくこの作品集の中でも、ウィリアム・ホープ・ホジスン、ロバート・E・ハワード、M・P・シールのような何十年も前の作品はかなり時代がかっていて驚くほどだろう。
しかしあえて私はここでは現代ホラーではなく、なぜか私の心をとらえて離さないさまざまなホラーを取り上げようと思う。古めかしいものからサイコもの、超自然ものからデイヴィッド・H・ケラーの「思い出」のような象徴的な恐怖、ロバート・E・ハワードの「灰色の神が通る」で効果的に描かれている血みどろの戦いの恐怖までいろいろだ。(中略)
「漆黒の霊魂」はすでに出版されている作品を限定された分野から選び並べたアンソロジーではなく、さまざまなジャンルの小説の楽しみを奇妙な話が好きでたまらない読者のみなさんに提供したものである。
(オーガスト・ダーレス編「漆黒の霊魂」)
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漆黒の霊魂 (ダーク・ファンタジー・コレクション)
論創社(2007-03)
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超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)
著者:山本 弘
創土社(2013-11-07)
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彼方からの幻影 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)
著者:小林泰三
創土社(2016-07-25)
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ホームズ鬼譚~異次元の色彩 (The Cthulhu Mythos Files 8)
チャールズ・ウォードの系譜 (The Cthulhu Mythos Files 6)
ダンウィッチの末裔 (The Cthulhu Mythos Files 5)
ユゴスの囁き (The Cthulhu Mythos Files)
インスマスの血脈 (The Cthulhu Mythos Files)
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2016年08月29日 20:03
隠し部屋を査察して (創元推理文庫)
カナダの幻想文学作家エリック・マコーマックの短編集「隠し部屋を査察して」読了。素晴らしく面白かった!!本作家の作品は北米ではカフカ的作品と評されているようですが、カフカと言うよりボルヘスですね。読了して真っ先にボルヘスの「伝奇集」が頭に浮かびました。ボルヘスの短編が好きなお方々はぜひ読んで欲しい!!間違いなくご満足頂けるかと思います。
また、本作の幻想短編の特徴として、ボルヘス的奇想にプラスアルファとして、SF的なロジカルな奇想が盛りだくさんであるところですね。この辺は、スタニスワフ・レムの短編とか彷彿とさせます。作者自身もレムの作品を意識しているようでして、本作の表題作「隠し部屋を査察して」は、奇想天外な異能の怪人達が収容されている施設を査察していく物語ですが、その中に出てくる「六人目の隠し部屋の収容者」のエピソードは、レムの「航星日記・第十三回の旅」に出てくるパンタ国のエピソードと全く同じですね…。ぶっちゃけ、あまりに全く同じ(話の筋・展開・使われるアイデア等全て同じ)なので、日本の有名作家同士とかだと盗作として大問題になりそうですが、カナダのマイナーな幻想文学作家の短編の1エピソードと、レムのSFの1エピソードが全く同じということに気づくのは、世界広しと言えども地球上で私ぐらいしかいなさそうなので、問題になることはないでしょうね。まあ、世界中で誰にも気づかない書物の出来事に、自分だけが気づくというのは読書家として最高の楽しみでありますね。ちなみにレムの「航星日記・第十三回の旅」はレムの「短編ベスト10」に収録されていますので、読み比べてみるのもお勧めです。
レムに限らず、ボルヘスを初めとして色んな幻想文学をオマージュしているなと感じさせる作品集ですが、本作の作品それぞれが短く非常に切れ味が良いので、元ネタのことはあまり気にならないですし、逆に「こうきたか!」という感じで面白さを感じさせてくれる良質の幻想文学短編集です。奇想にはグロテスクな要素もありますが(日本作家だと式貴士さんとか彷彿とさせます)、どの短編も読みやすくてあっさり目なので、グロテスクな要素を引っ張ることはなく、気軽に読みやすくて面白いです。幻想文学の面白みを凝縮したかのような短編、ぜひにご一読お勧め致しますね。素晴らしい面白さを保証致します。ここ数年の間に読んだ短編の中でも一番のお勧めと言えるでしょう!
隠し部屋を査察して (創元推理文庫)
著者:エリック・マコーマック
東京創元社(2006-05-20)
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短篇ベスト10 (スタニスワフ・レム・コレクション)
著者:スタニスワフ・レム
国書刊行会(2015-05-25)
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伝奇集 (岩波文庫)
著者:J.L. ボルヘス
岩波書店(1993-11-16)
販売元:Amazon.co.jp
パラダイス・モーテル (創元ライブラリ)
著者:エリック・マコーマック
東京創元社(2011-11-29)
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ミステリウム
著者:エリック・マコーマック
国書刊行会(2011-01-25)
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カナダの幻想文学作家エリック・マコーマックの短編集「隠し部屋を査察して」読了。素晴らしく面白かった!!本作家の作品は北米ではカフカ的作品と評されているようですが、カフカと言うよりボルヘスですね。読了して真っ先にボルヘスの「伝奇集」が頭に浮かびました。ボルヘスの短編が好きなお方々はぜひ読んで欲しい!!間違いなくご満足頂けるかと思います。
また、本作の幻想短編の特徴として、ボルヘス的奇想にプラスアルファとして、SF的なロジカルな奇想が盛りだくさんであるところですね。この辺は、スタニスワフ・レムの短編とか彷彿とさせます。作者自身もレムの作品を意識しているようでして、本作の表題作「隠し部屋を査察して」は、奇想天外な異能の怪人達が収容されている施設を査察していく物語ですが、その中に出てくる「六人目の隠し部屋の収容者」のエピソードは、レムの「航星日記・第十三回の旅」に出てくるパンタ国のエピソードと全く同じですね…。ぶっちゃけ、あまりに全く同じ(話の筋・展開・使われるアイデア等全て同じ)なので、日本の有名作家同士とかだと盗作として大問題になりそうですが、カナダのマイナーな幻想文学作家の短編の1エピソードと、レムのSFの1エピソードが全く同じということに気づくのは、世界広しと言えども地球上で私ぐらいしかいなさそうなので、問題になることはないでしょうね。まあ、世界中で誰にも気づかない書物の出来事に、自分だけが気づくというのは読書家として最高の楽しみでありますね。ちなみにレムの「航星日記・第十三回の旅」はレムの「短編ベスト10」に収録されていますので、読み比べてみるのもお勧めです。
レムに限らず、ボルヘスを初めとして色んな幻想文学をオマージュしているなと感じさせる作品集ですが、本作の作品それぞれが短く非常に切れ味が良いので、元ネタのことはあまり気にならないですし、逆に「こうきたか!」という感じで面白さを感じさせてくれる良質の幻想文学短編集です。奇想にはグロテスクな要素もありますが(日本作家だと式貴士さんとか彷彿とさせます)、どの短編も読みやすくてあっさり目なので、グロテスクな要素を引っ張ることはなく、気軽に読みやすくて面白いです。幻想文学の面白みを凝縮したかのような短編、ぜひにご一読お勧め致しますね。素晴らしい面白さを保証致します。ここ数年の間に読んだ短編の中でも一番のお勧めと言えるでしょう!
隠し部屋を査察して (創元推理文庫)
著者:エリック・マコーマック
東京創元社(2006-05-20)
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短篇ベスト10 (スタニスワフ・レム・コレクション)
著者:スタニスワフ・レム
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伝奇集 (岩波文庫)
著者:J.L. ボルヘス
岩波書店(1993-11-16)
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著者:エリック・マコーマック
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2016年08月23日 12:17
マザーランドの月 (SUPER!YA)
世界的に評価の高いイギリスの児童文学作家・ジュブナイル作家のサリー・ガードナーの代表作「マザーランドの月」読了。カーネギー賞を始めとする世界中のあらゆる児童文学賞を総なめにしたジュブナイル(少年少女向け)作品でして、まあ子供向けなのかなと思って読み始めてみたら…
思い切り衝撃を受けました…
完全に大人の鑑賞に堪え得る作品というか、物凄くハードな社会状況を描いた作品でして、子供が読んでも面白いけど、十二分に大人向け作品でもあると思いますね。アゴタ・クリストフの「悪童日記」とか、オーウェルの「1984年」とかに近い、極めて現代性のある(差別や障害の問題、優勢思想と人種差別と情報操作による恐るべき国家統治の問題を描いている)、歴史改変ジュブナイルSFでして、絶望的な世界での子供達の苦闘を描くディストピア小説です。主人公が子供なので、地獄としか言いようのない世界での戦いが、感動的だけど痛々しい…。
作者さんが本書に対するインタビューで述べられている通り(作者さんはインタビューでマザーランドはナチスをモティーフにしていると述べている)、本書は「ナチスドイツ(本書ではマザーランドと呼ばれている)がイギリスに勝利し(おそらくロシアにも勝利している模様)、アメリカと戦い続けている世界」での、ナチスドイツ統治下にある1956年のイギリスが舞台です。日本人としては、ナチスドイツが世界的大勝利した世界で日本はどうなっているのか興味がありますが(障害者排除と人種差別による帝国主義を描いているので、この世界観だと日本はアメリカと組んで連合国側で第三帝国と延々と戦っているのかな…)、その辺のことは全く語られない(イギリスはナチスドイツに情報統制されていて、まだ少年の主人公は真実性のある情報をほとんど入手できない)ので不明です。
主人公は、帝国主義国家マザーランド統治下のイギリス(完全に属国化されており、ゾーンと呼ばれている)の少年スタンディッシュ。両親は既にいません(はっきりとは描写されないが、両親はマザーランドに対する反逆者として拷問にあった後、抵抗運動に参加して死亡したと思われる)。主人公の彼は識字障害(読み書きができない)を持つ障害者で、純血ではなく(非白人の血が入っている)、そして虹彩異色症(オッドアイ、左右の目の色が違う)でして、このイギリス(ゾーン)は人種差別と障害者排除を掲げる優生思想の帝国の支配下にあるため、いつガス室の収容所に送られて抹消(虐殺)されるか分からない、常にギリギリの状態のところにいる少年です。健常者の為の学校にゆき、学校でどんなにいじめられたり理不尽があっても逆らわずに、問題を起こさずに耐え続けることで、なんとか収容所行きを免れています。
主人公のスタンディッシュは賢明かつ勇敢で、洞察力に優れており、自分の置かれているギリギリの状況を完全に理解して行動することで、綱渡りのようにギリギリそれを乗り越えながら進んでゆきます。
本書は彼の視点から世界を描いており、アゴタ・クリストフの「悪童日記」と同じで、非常に短い断章の積み重ねで物語が進んでいくのですが(物語構成に「悪童日記」の影響が見られる)、なおかつ面白いのが、断片の時系列がバラバラなんですね。断片ごとにあちこちに時系列が飛ぶ、主人公スタンディッシュの自由連想的な断片になっている。最後まで読むとどうしてこういう時系列なのかが分かります…。本書の感想で、「なぜ時系列がバラバラなのか分からない」というのがありましたが、最後で全てが分かるようになっている。本書は『走馬灯』なんですね…。
本書はスタンディッシュの戦いと愛と友情を描き、彼の勇敢なレジスタンスを描いていますが、本当に絶望的で悲劇的な展開なので、衝撃を受けましたね…。こういう強烈にハードな本が世界的な児童文学賞を総なめにするというのは、やはり世界は凄いなと感じました。本書は十代前半の少年を主人公にした十代前半向けの小説(ジュブナイル)でして、日本だったら、ライトノベルということになると思いますが、ラノベで本書を出そうとしたら版元はどこであっても「あまりに悲劇的で残酷で問題提議的過ぎる!」と言って出版が全て拒否されることは間違いないでしょうから…。国家の優生思想による人種差別や障害者差別といったテーマは日本のライトノベルレーベルで決して出版できないテーマ(日本のライトノベルは重いテーマを主題にすることが許されない)ですからね…。本書のような小説は日本では大人向けとして出版するしかないし、そうなるとジュブナイル(十代向け)という形式で出版できないので、本書は日本では決して生まれることのないタイプの傑作ジュブナイルSFです。ちなみに漫画は活字に比べると子供向けでも表現するテーマが相当に自由なので、漫画としてなら日本でも本作のような傑作が生まれる可能性はあります。
余談ですが、マスメディアは「日本凄い!!」をひたすら念仏のように繰り返すのはいい加減やめて、日本が海外より劣っているところ、例えば上記で挙げた様な文化発信側(出版社側)の自己規制問題とか、そういう今現在日本にある問題を如何に改善して日本を開かれた文化国家にしてゆくか、そういう未来志向の発信をして欲しいですね。この小説の「勝利した第三帝国」は「帝国凄い!!」というプロパガンダの塊で、現代日本と重なりますよ…。「大手マスメディアが自国を狂ったように賛美する」というのは、自国の問題から人々の目を背けさせるための独裁的プロパガンダに他ならないんですよね…。日本もどんどんおかしな方向(テレビを中心とした大手マスメディアが自国を熱狂的に賛美し続けている)に進んでいて寒気がします…。閑話休題。
本書は、上記で挙げたような、「日本凄い!!」ならぬ「帝国凄い!!」の巨大なプロパガンダに対するレジスタンスの戦いになっていく物語。本当に絶望的で悲劇的な物語ですが、それでも、読了感は決して悪くないんですね。それは、主人公の誇り高さと高潔さと友情への想いが、最後の最後まで伝わってくるから…。多様な読み方のできる本ですが、主人公は、最後は、自由や帝国主義との戦いといった抽象的なお題目ではなく、友情の為に殉じたんだと思いますね…。大傑作です。ぜひご一読をお勧めしますね。普段、ライトノベルとかしか読まない人々にも読んで欲しい本です。こういう十代向け小説もあるんだということをぜひ感じて欲しいですね…。
マザーランドの月 (SUPER!YA)
著者:サリー ガードナー
小学館(2015-05-20)
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「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜
著者:早川 タダノリ
青弓社(2016-06-30)
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悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
著者:アゴタ クリストフ
早川書房(2001-05)
販売元:Amazon.co.jp
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
著者:ジョージ・オーウェル
早川書房(2009-07-18)
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世界的に評価の高いイギリスの児童文学作家・ジュブナイル作家のサリー・ガードナーの代表作「マザーランドの月」読了。カーネギー賞を始めとする世界中のあらゆる児童文学賞を総なめにしたジュブナイル(少年少女向け)作品でして、まあ子供向けなのかなと思って読み始めてみたら…
思い切り衝撃を受けました…
完全に大人の鑑賞に堪え得る作品というか、物凄くハードな社会状況を描いた作品でして、子供が読んでも面白いけど、十二分に大人向け作品でもあると思いますね。アゴタ・クリストフの「悪童日記」とか、オーウェルの「1984年」とかに近い、極めて現代性のある(差別や障害の問題、優勢思想と人種差別と情報操作による恐るべき国家統治の問題を描いている)、歴史改変ジュブナイルSFでして、絶望的な世界での子供達の苦闘を描くディストピア小説です。主人公が子供なので、地獄としか言いようのない世界での戦いが、感動的だけど痛々しい…。
作者さんが本書に対するインタビューで述べられている通り(作者さんはインタビューでマザーランドはナチスをモティーフにしていると述べている)、本書は「ナチスドイツ(本書ではマザーランドと呼ばれている)がイギリスに勝利し(おそらくロシアにも勝利している模様)、アメリカと戦い続けている世界」での、ナチスドイツ統治下にある1956年のイギリスが舞台です。日本人としては、ナチスドイツが世界的大勝利した世界で日本はどうなっているのか興味がありますが(障害者排除と人種差別による帝国主義を描いているので、この世界観だと日本はアメリカと組んで連合国側で第三帝国と延々と戦っているのかな…)、その辺のことは全く語られない(イギリスはナチスドイツに情報統制されていて、まだ少年の主人公は真実性のある情報をほとんど入手できない)ので不明です。
主人公は、帝国主義国家マザーランド統治下のイギリス(完全に属国化されており、ゾーンと呼ばれている)の少年スタンディッシュ。両親は既にいません(はっきりとは描写されないが、両親はマザーランドに対する反逆者として拷問にあった後、抵抗運動に参加して死亡したと思われる)。主人公の彼は識字障害(読み書きができない)を持つ障害者で、純血ではなく(非白人の血が入っている)、そして虹彩異色症(オッドアイ、左右の目の色が違う)でして、このイギリス(ゾーン)は人種差別と障害者排除を掲げる優生思想の帝国の支配下にあるため、いつガス室の収容所に送られて抹消(虐殺)されるか分からない、常にギリギリの状態のところにいる少年です。健常者の為の学校にゆき、学校でどんなにいじめられたり理不尽があっても逆らわずに、問題を起こさずに耐え続けることで、なんとか収容所行きを免れています。
主人公のスタンディッシュは賢明かつ勇敢で、洞察力に優れており、自分の置かれているギリギリの状況を完全に理解して行動することで、綱渡りのようにギリギリそれを乗り越えながら進んでゆきます。
本書は彼の視点から世界を描いており、アゴタ・クリストフの「悪童日記」と同じで、非常に短い断章の積み重ねで物語が進んでいくのですが(物語構成に「悪童日記」の影響が見られる)、なおかつ面白いのが、断片の時系列がバラバラなんですね。断片ごとにあちこちに時系列が飛ぶ、主人公スタンディッシュの自由連想的な断片になっている。最後まで読むとどうしてこういう時系列なのかが分かります…。本書の感想で、「なぜ時系列がバラバラなのか分からない」というのがありましたが、最後で全てが分かるようになっている。本書は『走馬灯』なんですね…。
本書はスタンディッシュの戦いと愛と友情を描き、彼の勇敢なレジスタンスを描いていますが、本当に絶望的で悲劇的な展開なので、衝撃を受けましたね…。こういう強烈にハードな本が世界的な児童文学賞を総なめにするというのは、やはり世界は凄いなと感じました。本書は十代前半の少年を主人公にした十代前半向けの小説(ジュブナイル)でして、日本だったら、ライトノベルということになると思いますが、ラノベで本書を出そうとしたら版元はどこであっても「あまりに悲劇的で残酷で問題提議的過ぎる!」と言って出版が全て拒否されることは間違いないでしょうから…。国家の優生思想による人種差別や障害者差別といったテーマは日本のライトノベルレーベルで決して出版できないテーマ(日本のライトノベルは重いテーマを主題にすることが許されない)ですからね…。本書のような小説は日本では大人向けとして出版するしかないし、そうなるとジュブナイル(十代向け)という形式で出版できないので、本書は日本では決して生まれることのないタイプの傑作ジュブナイルSFです。ちなみに漫画は活字に比べると子供向けでも表現するテーマが相当に自由なので、漫画としてなら日本でも本作のような傑作が生まれる可能性はあります。
余談ですが、マスメディアは「日本凄い!!」をひたすら念仏のように繰り返すのはいい加減やめて、日本が海外より劣っているところ、例えば上記で挙げた様な文化発信側(出版社側)の自己規制問題とか、そういう今現在日本にある問題を如何に改善して日本を開かれた文化国家にしてゆくか、そういう未来志向の発信をして欲しいですね。この小説の「勝利した第三帝国」は「帝国凄い!!」というプロパガンダの塊で、現代日本と重なりますよ…。「大手マスメディアが自国を狂ったように賛美する」というのは、自国の問題から人々の目を背けさせるための独裁的プロパガンダに他ならないんですよね…。日本もどんどんおかしな方向(テレビを中心とした大手マスメディアが自国を熱狂的に賛美し続けている)に進んでいて寒気がします…。閑話休題。
新聞は月面着陸計画の記事ばかりだった。おれは「新聞」って言葉を覚えた。この言葉を目にしたのは、初めてだった。じいちゃんはいつも「プロパガンダの紙くず」って呼んでいたから。ヘクターが新聞の内容を読んでくれた。いつも同じくだらない記事だった。偉大なるマザーランドのこととか、宇宙を征服する宇宙飛行士がいかに純血かとか。しまいには、紙は字が書いてない方がよっぽど使えるという結論に達した。
(サリー・ガードナー「マザーランドの月」)
本書は、上記で挙げたような、「日本凄い!!」ならぬ「帝国凄い!!」の巨大なプロパガンダに対するレジスタンスの戦いになっていく物語。本当に絶望的で悲劇的な物語ですが、それでも、読了感は決して悪くないんですね。それは、主人公の誇り高さと高潔さと友情への想いが、最後の最後まで伝わってくるから…。多様な読み方のできる本ですが、主人公は、最後は、自由や帝国主義との戦いといった抽象的なお題目ではなく、友情の為に殉じたんだと思いますね…。大傑作です。ぜひご一読をお勧めしますね。普段、ライトノベルとかしか読まない人々にも読んで欲しい本です。こういう十代向け小説もあるんだということをぜひ感じて欲しいですね…。
ヘクターには薬がいる。ヘクターの顔が見られれば。聞こえるのは、ヘクターの胸が蛇みたいにシュウシュウいってる音だけだ。
言葉は、音をおおいかくしてくれる。
だから、俺はしゃべった。「おまえがいなくなってから、でかい穴があいたんだ。あんなでかい穴が心にあいてちゃ、まともに歩き回ることもできなかった」
ヘクターはなにも言わなかったけど、聞いてるのはわかった。いまの俺には、薬代わりになるものは言葉しかなかった。
「おまえは無意味な世界に、意味を作ってくれた。お前が宇宙の靴をくれたから、俺はほかの星を歩けるようになった。おまえがいないと、俺は迷っちまうんだ。左も右もない。明日もない。延々と昨日が連なってるだけだ。今、なにが起ころうとかまいやしない。もうおまえのことをみつけたんだから。だから俺はここにきたんだ。おまえのために。愛するおまえのために。親友のために。兄弟のために」
(サリー・ガードナー「マザーランドの月」)
マザーランドの月 (SUPER!YA)
著者:サリー ガードナー
小学館(2015-05-20)
販売元:Amazon.co.jp
「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜
著者:早川 タダノリ
青弓社(2016-06-30)
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悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
著者:アゴタ クリストフ
早川書房(2001-05)
販売元:Amazon.co.jp
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
著者:ジョージ・オーウェル
早川書房(2009-07-18)
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2016年08月18日 22:45
クララ殺し (創元クライム・クラブ)
小林泰三さんの新作「クララ殺し」読了。不思議の国のアリス&鏡の国のアリスの世界をメインモティーフとした傑作ミステリ「アリス殺し」の続編でして、今回の舞台はホフマン宇宙(幻想作家E・T・A・ホフマンの様々な作品が混ざり合ってできた宇宙)です。
とても面白いかったんですが、誰でも知っている不思議の国のアリス&鏡の国のアリスの世界に比べると、ホフマンの作品の世界というのは、少々マニアックでしてとっつきにくいというのはあるかも知れません…。本作で描かれる世界はホフマンの「黄金の壺」「くるみ割り人形と鼠の王様」「砂男」「マドモワゼル・ド・スキュデリ」がメインモティーフとなった世界なんですが、どれも昔読んだと思うんですが、「砂男」くらいしか記憶になかった…。
あとは、これまでの小林泰三作品に出てきた登場人物がスターシステムとして出てきますが、まあこれはファンサービスでして大筋には関わってこないので、特に気にしないで読めますね。やはり、ホフマンの原典を読んでいるかどうかが大きく面白さに関わる感じです。上記のホフマンの原典を図書館で借りて読んでから本作を読み直したら新しい面白さがあったので、まさに作者さんの術中に嵌っているって感じでしたね。
ホフマンの原典と読み比べると面白さが倍増するので、本作を読むときはホフマンの原典も手元において読み比べるのがお勧めですね。本作は前作「アリス殺し」と同じく、小林泰三さんの小説の醍醐味である「異常に論理的かつすっとぼけたナンセンス会話が無性に不気味かつ面白い」というのが最大限に活かされた傑作です。
クララ殺し (創元クライム・クラブ)
著者:小林 泰三
東京創元社(2016-06-30)
販売元:Amazon.co.jp
アリス殺し (創元クライム・クラブ)
著者:小林 泰三
東京創元社(2013-09-20)
販売元:Amazon.co.jp
砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)
著者:エルンスト・テオドール・アマデウス ホフマン
光文社(2014-01-09)
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黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫)
著者:ホフマン
光文社(2009-03-20)
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クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)
著者:E.T.A. ホフマン
岩波書店(2000-11-17)
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小林泰三さんの新作「クララ殺し」読了。不思議の国のアリス&鏡の国のアリスの世界をメインモティーフとした傑作ミステリ「アリス殺し」の続編でして、今回の舞台はホフマン宇宙(幻想作家E・T・A・ホフマンの様々な作品が混ざり合ってできた宇宙)です。
とても面白いかったんですが、誰でも知っている不思議の国のアリス&鏡の国のアリスの世界に比べると、ホフマンの作品の世界というのは、少々マニアックでしてとっつきにくいというのはあるかも知れません…。本作で描かれる世界はホフマンの「黄金の壺」「くるみ割り人形と鼠の王様」「砂男」「マドモワゼル・ド・スキュデリ」がメインモティーフとなった世界なんですが、どれも昔読んだと思うんですが、「砂男」くらいしか記憶になかった…。
あとは、これまでの小林泰三作品に出てきた登場人物がスターシステムとして出てきますが、まあこれはファンサービスでして大筋には関わってこないので、特に気にしないで読めますね。やはり、ホフマンの原典を読んでいるかどうかが大きく面白さに関わる感じです。上記のホフマンの原典を図書館で借りて読んでから本作を読み直したら新しい面白さがあったので、まさに作者さんの術中に嵌っているって感じでしたね。
『クララ殺し』では十九世紀初頭に活躍したドイツの作家、エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンの小説が主要なモティーフとなっています。以下、主に関連のある作品について簡単なあらすじを付しましたので、本編を読了ののち、参照して再読してみてください。そしてぜひホフマンの作品に触れてみてください。『クララ殺し』の物語に隠された様々な謎がすっきり解けることでしょう。
(小林泰三「クララ殺し」)
ホフマンの原典と読み比べると面白さが倍増するので、本作を読むときはホフマンの原典も手元において読み比べるのがお勧めですね。本作は前作「アリス殺し」と同じく、小林泰三さんの小説の醍醐味である「異常に論理的かつすっとぼけたナンセンス会話が無性に不気味かつ面白い」というのが最大限に活かされた傑作です。
「ところで、さっき君は何か訊きたいって言ってなかったっけ、ビル?」
「ああ、そうだった。……ええと。何を訊くんだったっけ?」
「訊きたいと思ったのは君だからね。僕がいくら考えてもわかりやしないさ」
「じゃあ、何を訊いてほしい、ナターナエル?」
「えっ?僕が考えるのかい?」
「そりゃ、君の問題だからね」ビルは自信たっぷりに言った。
「いや。君の問題だよ」
「ほら。君の問題だ」
「それはつまり」ナターナエルはうんざりした表情で言った。「君の言う『君』と僕の言う『君』が同一人物だと思ってるってことなのかい?」
「ええ。同じ名前なんだから、同一人物でしょ?」
「違うよ。君は代名詞という言葉を聞いたことがないのかい?僕が『君』という時はビルのことだし、君が『君』という時は僕のことなんだ」
「なるほど。それで、会話が噛み合わなかったのか?」ビルは感心して言った。「いいことを聞いちゃったな。僕が『君』と言う時、それはナターナエルのことなんだね」
「いや。そうとは限らないよ。たいていは僕のことではないんじゃないかな?」
「『僕』じゃなくて『君』の話をしているんだよ」
(小林泰三「クララ殺し」)
クララ殺し (創元クライム・クラブ)
著者:小林 泰三
東京創元社(2016-06-30)
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アリス殺し (創元クライム・クラブ)
著者:小林 泰三
東京創元社(2013-09-20)
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砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)
著者:エルンスト・テオドール・アマデウス ホフマン
光文社(2014-01-09)
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黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫)
著者:ホフマン
光文社(2009-03-20)
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クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)
著者:E.T.A. ホフマン
岩波書店(2000-11-17)
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