2009年05月23日 16:09

地デジカの擬人化たん化(メタ擬人化)について。擬人化たんについての斉藤環氏の論考。二次創作と音楽編曲。

擬人化たん白書

地デジカの無断美少女イラストに「断固として許さない」と民放連
http://news.livedoor.com/article/detail/4131783/
このこと(地デジカの二次創作)に対して日本民間放送連盟は「許されるものではない。断固、厳しく対応する」と当編集部の取材にコメントした。

ニコニコ大百科(仮)「地デジカ」
http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%9C%B0%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%AB
地デジカとは、アナログ放送から地上デジタル放送への移行をPRするシカのマスコットキャラクターである。(地上アナログ放送は、2011年7月24日に終了します)
二次創作は禁止しているらしいが、イラストの増加は止まりそうにない。

地デジカ - chidejika_jp(地デジカ二次創作ポータルサイト)
http://chidejika.jp/

前回のエントリにて書きました通り、憲法に違反する検閲や著作権の過剰行使など、日本国憲法に背いた権力の不当な弾圧があるところ、日本共産党が助けにゆきますので、二次創作好きのお方々は選挙でどうか日本共産党をよろしくお願いします。

しかし、日本民間放送連盟のけち臭い対応は心底驚愕しました。地デジを広めるなら、二次創作を容認した方が圧倒的に知名度UP上の有益な効果があるにも関わらず「断固として許さない」とは…。

新型インフルエンザのネタ化が着々と進行していますね。フリーザ様(CV中尾隆聖)の歌う「パンデミックageるよ」激しく吹きました。「パンデミックミクにしてやんよ」の新作「パンでミク」も出てきて吹きました。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/838694.html


先日上記のエントリで書きました「えここたんブーム」、東北電力(先日上記のエントリでは間違えて東京電力と書いてしまってごめんなさい)のエコアイスキャンペーンが成功したのは、東北電力のエコアイス擬人化たんキャラクター「エコアイスのえここたん」の二次創作を東北電力が「人々にエココが歓迎されることでエコアイスの知名度UPに繋がる」と歓迎した柔軟な姿勢にとったことにより、二次創作ブームが起きてえここたん人気が炸裂したことが大きいこと、日本民間放送連盟は知らないのかなと思います。

「エコアイスちゃん」アニメ化決定!
http://www.nmt.ne.jp/~oshino/diary/ecoice.htm
ことし4月〜6月にかけて行われた東北電力のエコ・アイス普及拡大キャンペーンで、すっかりおなじみになったマスコットキャラクター「エコ子ちゃん」のアニメ化が決定しました。(中略)

物語
クリーン・アイランドに住むエコ子ちゃんは、ペンギンの両親に育てられた10才の女の子。ある日、島に現れたDr.エゴの野望を打ち砕くために、エコ子ちゃんが立ち上がります。たくさんの「いいこと」をすることで周囲の人の愛情を蓄え、それをエネルギーに変換する「微熱式戦闘システム」。それが生み出す胸キュンドキドキエネルギーで「エコアイスちゃん」に変身したエコ子ちゃんが、地球や環境に優しい戦いをボランティアで繰り広げていきます。
詳しくは、東北電力の情報誌「ファミータ」で連載中の「エコアイスちゃん」(作・渡辺祥智さん)をご覧ください。

●「エコ・アイス」ってなに?
電気料金が安く、電力需要も少ない夜間に氷や温水を作って、そのエネルギーを蓄え、昼間の冷暖房に利用する「蓄熱式空調システム」の愛称です。夜間エネルギーを使うため経済的で、省エネルギーで地球温暖化防止にも貢献します。

擬人化についての専門書「擬人化たん白書」でも触れられていますが、現代日本では擬人化ではなく擬人化たん化(キャラクターをそのまま擬人化するのではなく、萌える擬人化たん化する)することで、人気が爆発的に増大する(逆に、アメリカなどでは、そのまま擬人化のみされる)という特徴があるらしいです。「擬人化たん白書」に収録の斉藤環氏の論考を抜粋して引用致します。

アスペクト「擬人化たん白書」収録
『擬人化たん分析 「萌え」は「フェチ」をいかに超えるか』(斉藤環)

擬人化って言うのは、けっこう古くからある現象だ。神話や伝説、あるいはイソップ寓話みたいなものを含めれば、擬人化は(表現の)歴史そのものと同じくらい古いともいえる。もちろんマンガのキャラクターに限っても「アンパンマン」とかあるわけだけど、ここでは「萌え擬人化」に限った話をしよう。(中略)

フェチ(フェティシズム)には靴とか下着とか眼鏡とかの「実体」が必要だけど、「萌え」にはとくに(実体、崇拝対象物の実在性・唯一オリジナリティは)特に要らない。むしろ実体はなくなって、イメージだけの方が良いのかも。(中略)フェチは「部分」で、萌えは「全体」に対する志向。だって下着フェチは、(下着にのみフェティシズムを抱いているゆえ)下着の持ち主の人格(キャラクター性)はどうでもいいわけでしょ?(中略)

でも、(萌えの場合はそれが一見フェティシズムに見えても実際は)猫耳や眼鏡、ツインテールやアホ毛に萌えるとしたら、それがどんなキャラのものか、やっぱすごく気になるじゃない。つまり、萌え要素(猫耳萌えなどの部分へのフェテッシュ)は(萌えにおいて)すごく重要なんだけど、でも最終的には(フェティシズムのように、部分が全体と切り離されておらず)その所有者、キャラクター(猫耳ならば、猫耳をつけているキャラクター)という全体性が必要なんじゃないかな。(中略)

こんなふうに、(キャラクター全体への志向である)萌えと、(部分への志向である)フェチの違いって、意外と大きい。もっと言えば、萌えっていうのは、実は(フェティッシュには存在しない全体性を担保する)「キャラ」(全人性)とすごく深い関係にあるということが、いまさらながら良くわかるね。(つまり、例えば、スク水フェチの場合は、誰が着ていたスク水でも愛好の対象になるが、スク水萌えの場合は「地デジカが着ていたスク水だから萌える」のようにキャラクターへの愛着によって愛着が個別化されている)。

でもそれだけじゃない。通常の擬人化(例えば地デジカのような擬人化)と萌え擬人化(例えば地デジカの更なる萌え擬人化)は、さらに違っているかもしれないんだ。(中略)

(既に擬人化されたキャラクターを更に擬人化たん化して萌えるのは)「擬人化の擬人化」、つまり、擬人化の自乗だよね。言い換えれば、「メタ擬人化」ってことだ。この手続きは、一つの萌えキャラに対して、重層的な萌えレイヤーを次々と発見(創造)していく感じに近いのかも。

たとえば、今、(オリジナルの)「ナウシカ」に素で萌えるのはちとキビしいかもしれないけど、ちょっと幼くして「ナウシカたん」みたくすればOKでしょ。そんな感じ。

こう考えていくと、萌え擬人化というよりは、むしろ萌えキャラ化という方が正確なんだろうね、やっぱり。(中略)

キャラ化と擬人化は、たぶん方向性が全然異なる。たとえば、擬人化のもとにあるのは対象への感情移入だけど、キャラ化(擬人化たん化)は対象から(萌えという)感情を受け取らされちゃう感じ、とでも言えばいいのかな?

どっちも物語化、虚構化への欲望が基本にあるんだけど、擬人化の場合は、擬人化する側が物語の主人公だ(擬人化の創り手が物語を制御する)。でもキャラ化(擬人化たん化)はそうじゃない。当然、常にキャラクターが主人公で、こっち(キャラ化の創り手も含めた萌えている方は)勝手に萌えている傍観者ということになる。

してみると、萌えっていうのは、実は「欲望の主体から降りる」感覚に近いのかなあ?う〜ん、いやいや、これはきっと超大切な問題に違いない!びんちょうタンのおかげで、良いヒントをもらったよ!

アスペクトの「擬人化たん白書」はこの手の研究書(オタク文化研究書)のなかではダントツに出来が良い、充実した濃い研究書でして、オタク文化や擬人化たんに興味のあるお方々にはとてもお勧めです。

ちなみにどーでもいい余談ですが、この本にてコンビニ擬人化も紹介されていますが、ローソンさんが僕は好きです。…ほんとうにどうでもいいことですね、すみません…。

ウィキペディア「コンビニたん」
コンビニたんとは、画像掲示板 ふたば☆ちゃんねるの「二次元裏@ふたば」掲示板において、有志(掲示板の参加者)たちが「既存のコンビニエンスストアをキャラクター化・擬人化する」という企画のもとにデザインした少女キャラクター群である。 なお、現在では「〜たん」という呼び名が不評である為、「双葉町☆コンビニーズ」という通称で呼ばれている。(中略)

コンビニたんの各キャラクターは、実在のコンビニチェーンをモチーフに、それぞれのコンビニチェーンの特色などをコスチュームや性格に(ある程度)織り込んだキャラクターとしてデザインされている。(中略)

ローソン
ローソンの擬人化少女。「擬人化コンビニたんはないのですか?」というスレ立ての際の擬人化イラストが事実上ふたば☆ちゃんねる内での最初のコンビニ擬人化。様々な擬人化デザインが存在し、「双葉町☆コンビニーズ」としては二番目にデザインが多い。以下には代表として前述の擬人化を紹介する。

外見的な特徴はギャザーの入ったスカートの上に青いケープなど青い服に帽子、手袋、ブーツ、青いロングヘアなど全身青に統一されている。帽子の形から、『ドラゴンクエストIII』の女僧侶のような格好であると言われている。シルエットはロゴの形状から全体的に砂時計型のデザイン、また「ほっとステーション」からの連想で暖かな服装&性格設定である。外見から年齢設定は15〜17歳。

癒し系として生まれたこともあり、過激なネタに走ることは少ない。初期にあった「ローソンたん、コンビニたん」などの呼び方への反発や、その落ち着いたキャラ性格から「ローソンさん」と自然に「さん付け」されるキャラになっている。(現在ではたんと呼ばれるコンビニ擬人化は少ない) とはいえ、初期に天然ボケ属性がついたため「なんでもかんでも温める」というカオスな一面もあり、危険なものを温めた結果、「パーン」という音と共に赤ピンクの液体を浴びたりもする。(その際「返り血じゃなくシロップですー」という台詞が付けられる事が多い)

ロゴを見ての通り、牛乳と関わりのあるコンビニでそれをきっかけに「牛乳屋なのに乳がないキャラにしよう」ととしあき(ふたば参加者の一般名称)の思いつき(というよりロリコン趣味)により貧乳コンプレックス。その為他キャラに絡む場合、落ち着いた物腰であいづちを打つ他に、天然ボケで呆れられる、他人の乳を気にする、というパターンが多い。

前述の設定も含め、代表的な台詞として「あたためますか?」がある。

双葉町コンビニーズ保管庫
http://convenies.fc2web.com/

閑話休題して元の話に戻しますと、あまり著作権を過剰に適用するのは文化も経済も両方を大きく損ねることになると思います。僕はクラシック音楽が好きなんですが、クラシック音楽も著作権がガチガチになったことで、編曲(交響曲をピアノ曲化したりする曲のアレンジ)が自由に出来なくなって、それはクラシック音楽衰退の一因に繋がっています。

今の時代は著作権の縛りが歴史上最も厳しい時代であり、歴史的遊び人にして天才作曲家にして天才編曲家のフランツ・リストがいたら、活躍するのはとても難しかっただろうなあと感じるような状況です。リストのベートーヴェン編曲集(リストはベートーヴェンの全交響曲(第一〜第九)を全部ピアノ曲化しました)は、オリジナルと聴き比べるととても楽しく面白い名編曲揃い、オリジナル交響曲と編曲の聴き比べお勧め致します。

参考作品(amazon)
擬人化たん白書
Beethoven/Liszt: Symphonies Nos. 1-9(ピアノ編曲版第一〜第九)
ベートーヴェン:交響曲全集(5枚組フルトヴェングラー・ウィーンフィル)
クラシックストア
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