2009年04月29日 22:15

僕の好きなヴァイオリニスト、最も高齢にて最も優雅な女性ヴァイオリニスト、マエストロ、イダ・ヘンデル。

ヴァイオリン小品集
グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲
魂のシャコンヌ イダ・ヘンデル・ヴァイオリン・リサイタル

先のエントリより、悲劇の夭折した天才女性演奏家、チェリストのジャクリーヌ・デュ・プレ、ヴァイオリニストのジネット・ヌヴーについて書きましたので、今回は、悲劇ではなく、長命にて今現在も活躍中の女性ヴァイオリニストを紹介したいと思います。戦中戦火の労苦がありましたが、平和な今は長命にして活躍中の最も高齢にて最も優雅なマエストロ、天才女性ヴァイオリニスト、イダ・ヘンデルについてご紹介致します。僕の倍を遥かに超える年齢で、僕が生まれるずっと前から活躍している、僕の好きなヴァイオリニストです。日本によく来てくれて演奏してくれることでも有名な親日ヴァイオリニストで、今年の9月にも日本に来日致します。

ウィキペディア「イダ・ヘンデル」
イダ・ヘンデル CBE(Ida Haendel CBE、1928年12月15日 - )は、ポーランド出身のイギリスの最長老ヴァイオリニスト。ワルシャワ音楽院に学んだ後、ベルリンでカール・フレッシュに、またパリでジョルジュ・エネスコにも師事。第二次世界大戦中は、他の多くのユダヤ系ヴァイオリニストと同じく、英軍・米軍のために慰問演奏を行なった。鋭いテクニックと、ニュアンスに富んだ音色が特徴的だが、気品よりは感情表出の激しさによって、女性ヴァイオリニストの中でも一頭地を抜いている。

影響を受けた芸術家として、同郷の先輩ヴァイオリニスト、ブロニスワフ・フーベルマンや、指揮者ラファエル・クーベリックへの傾倒を語っている。

今なお現役で、テクニックや艶やかな音色にはいささかの衰えもみせてはいないが、1980年代の実質的な活動停止や、録音嫌い(長いキャリアにもかかわらず、録音数は非常に少ない)、長年にわたって実年齢を伏せてきたことから、「マルツィやヌヴーと同世代の伝説の女性ヴァイオリニスト」といわれ続けてきた(それでも生年については諸説あり、1924年生まれ説も有力である)。先年、ウラジミール・アシュケナージとの共演によるCD制作によって見事な復活を果たし、1998年には指揮者サイモン・ラトルと、2004年にはピアニストフー・ツォンとともに来日も果たしている。現在はカナダ在住といわれる。

余談ですが上記ウィキペディアでは彼女の生年を1928年と書いていますが、彼女の生年は彼女自身曰く不詳であり、彼女自身が明かしていないので、生年1928年と書くのはちょっとどうかな、とは思うのですが…。彼女の名アルバム「ヴァイオリン小品集」ライナーノーツより引用致します。

2003年12月に行われたイダ・ヘンデルの来日公演リサイタルと、日本フィル・ハーモニー定期に出演してのブラームスのコンチェルト演奏は本当に素晴らしかった。ブラームスのコンチェルトの日などは、本編が万雷の拍手で終了した後にアンコール曲を演奏。最後は、「私でない、もっと偉大なヘンデルの曲」などと冗談を言って、G・F・ヘンデル作曲、カール・フレッシュ編曲による「祈り」を弾いた。単純な音の配列にもかかわらず、またそれゆえにこそ、歌う楽器=ヴァイオリンの本領を存分に発揮した素晴らしい演奏だった。チャイコフスキーの「四羽の白鳥の踊り」の粋なセンスも忘れられない。また、コンチェルト演奏時のヨアヒムのカデンツァならではの粋な改変を加えた「ヨアヒム・ヘンデル版」だった。

彼女の生年ははっきりしない。本人も女性(イダ・ヘンデル)に直接年齢を尋ねようとする無礼なインタビュアには、のらりくらりとかわしている。(イダ・ヘンデル「あらあら、レディに年を尋ねるものではありませんわ」)「1923年、24年、28年」の諸説があることをここに明記すればじゅうぶんだろう。生まれはポーランド。10代の頃から「天才少女」としてヨーロッパ中を湧かせたが、さすがに1970年〜80年代には、その活動は停滞期に入った。しかしその後、(円熟味を増した演奏活動を再開し)真の意味で「ヴァイオリンの巨匠」として復活、現在に至っている。たぶんソリストとしては、現役最高齢の女性ヴァイオリニストだろう。

このディスクの演奏・録音は1960年代初期にチェコで収録された貴重なものである。
(イダ・ヘンデル「ヴァイオリン小品集」ライナーノーツより)

僕は彼女の2000年以降の演奏と、1960年代(このアルバム等)、そしてそれ以前の「天才少女」として騒がれた頃の更に古い演奏を聴きましたが、齢を重ねるうちに演奏技量にどんどん磨きがかかっていくのを感じて、素晴らしい美しさだと思いました。彼女の演奏を聴いていると、平野耕太さんのコミック「ヘルシング」の次のシーンが脳裏に思い浮かびます。

エリザベス女王
「………お久しぶりね、ヴァンパイア」

吸血鬼アーカード
「50年程ぶりかな。そうかもうクイーンになったのだったな」

エリザベス女王
「顔を良くお見せなさい。あなたは何も変わらないのねアーカード。わたしはもうこんなに、こんなにも年老いてしまいました。もうしわくちゃのお婆ちゃん」

吸血鬼アーカード
「貴方も、50年前の様なおてんばのままだお嬢さん。いや、貴方は今こそが確実に美しいのだ、クイーン」
(平野耕太「ヘルシング」)

イダ・ヘンデルの70年間に渡る演奏を聴いていると、まさに『貴方も50年前の様なおてんばのままだ、お嬢さん。いや、貴方は今こそが確実に美しいのだ、クイーン』としか言い様のない感じです。まさに『貴方は今こそが確実に美しいのだ、クイーン』です。外見とは関係のない、内面における美の永遠性が演奏から溢れ出しているのを感じます。

イダ・ヘンデルは僕の好きなヴァイオリニスト、美の永遠なる内面性を感じさせてくれる、最も高齢で最も優雅な現役女性ヴァイオリニストです。彼女のアルバムはどれもご一聴、ぜひお勧め致します。彼女はレコーディングを好まないので、録音が各社に分散しており、彼女の音楽アルバムはバラバラに集めてゆくしかないのですが、特にお勧めなのは、先に挙げた「ヴァイオリン小品集」「グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲/ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲」はまず第一にお勧めです。他にお勧めは「ラロ:スペイン交響曲」「チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲」「プラハのイダ・ヘンデル」です。そして、これらのアルバムと、僕の知る限り最新の演奏である2000年代のリサイタルのアルバム「魂のシャコンヌ〜イダ・ヘンデル・ヴァイオリン・リサイタル」を聴き比べると、美の内面性は齢を超えて永遠に輝き続けるということが心からよく分かって素晴らしいと思います。

余談ですがソニーの公式サイトではイダ・ヘンデルの生年が1926年になっていますね…。古典派.comの公式サイトだと、ウィキペディアと同じ1928年になっていますし、バラバラです…。本人が「レディに年を尋ねるものじゃないわよ」って昔から言っておりますのに…。女性は永遠に敬愛すべきレディなのですから、インタビュアーさんは年齢を根掘り葉掘り尋ねちゃいけませんよ…。

古典派.comイダヘンデル公式サイト
https://www.shop.kotenha.com/ec-classic/pc/package_details/index.php?package_id=4109011869&PHPSESSID=5a281a9188cf914911f7f25823bfd67a
1928年ポーランド生まれ、今年80歳を迎える伝説のヴァイオリン奏者イダ・ヘンデルが2008年4月来日時に残した最近録音。年齢による肉体的衰えが現れやすいヴァイオリン奏者だが、この録音でのヘンデルはそうしたことをほとんど感じさせないばかりか、年輪を重ねたことによる音楽の深まりを聞かせてくれます。まさに衰え知らぬ不屈の音。20世紀におけるヴァイオリン演奏の伝統を今に受け継ぐ真正の正統派です。

彼女は実に70年以上の演奏歴を持つにもかかわらず、自己の演奏に対する評価の厳しさ、解釈を固定化してしまう録音への嫌悪から正規録音はCDにしてわずか15枚程度。その録音嫌いで通した伝説のヴィルトゥオーゾが、自分の解釈を後世に残すべく録音したアルバムがこの作品です。

バッハ、モーツァルトに始まりヴィエニャフスキにいたる7曲を集めた華麗なヴァイオリン名曲集は何れもイダ・ヘンデルが長年愛奏してきた作品。特にバッハの「シャコンヌ」はイダ・ヘンデル自信が熱い思いいれを持つ曲(私も)であり、リサイタルでも頻繁に取り上げられるこだわりの曲。当盤の演奏でも18分に渡って繰り広げられる独奏ヴァイオリンの孤独なモノローグをほぼワンテイクでまったく弛緩することなしに描ききった圧倒的名演です。

ソニー・ミュージックイダ・ヘンデル公式サイト
http://www.sonymusicshop.jp/detail.asp?goods=BVCC000031116
封じ込められていた伝説の扉が、いま、開かれる――

1926年ポーランド生まれ、今年82歳を迎える伝説のヴァイオリニスト、イダ・ヘンデルが2008年4月来日時に残した最新録音をCD化。ヴァイオリニストは、ピアニストなど他の器楽奏者に比べ年齢による肉体的衰えが表れやすいのですが、この録音でのヘンデルはそうしたハンディを殆んど感じさせないばかりか、年輪を重ねたことによる音楽の深まりを如実に聴かせてくれます。ヘンデルは82歳を迎えた現在も立派な現役のヴァイオリニストであり、カリフォルニアを本拠地にして、欧米での演奏活動を続けています。

バッハ、モーツァルトにはじまり、ヴィニャフスキにいたる7曲を集めた華麗なヴァイオリン名曲集で、いずれもイダ・ヘンデルが長年愛奏してきた愛着のある作品ばかりです。特にバッハの「シャコンヌ」については、イダ・ヘンデル自身が熱い思い入れを持つ曲であり、リサイタルでも頻繁に取り上げるほか、録音も数種類発売されています。当盤の演奏も、18分にわたって繰り広げられる独奏ヴァイオリンの孤独なモノローグを、ほぼワンテイクでまったく弛緩することなしに描ききった圧倒的な名演です。彼女がほぼ半世紀にわたって愛奏してきたストラディヴァリウス(1696年製)の類まれな音色もほれぼれするほどです。

最近は数年おきにひっそりと来日していたイダ・ヘンデルですが、2008年4月のリサイタル・ツアーに続き、2009年9月には、東京紀尾井ホールをはじめ、全国6箇所でのソロ・ツアーが予定されています。

僕はお金がなくて生活困窮しており、2009年9月のコンサートに行くのは確実に不可能ですが、もし、僕の紹介でイダ・ヘンデルのヴァイオリンの魅力が少しでも皆様方に伝わって、コンサートに行ってみようと思われたりするお方々がいらっしゃれば、音楽好き、そしてイダ・ヘンデルの美しい演奏のファンとしてこれ以上の喜びはありません。

生活に困っているなか、皆様方にはお助けして頂き、本当にありがとうございます。生活困窮すると切実に苦しいのですが、生活を助けて頂き、心から感謝致します。お金が全くないため、ご紹介できるものが図書館にある音楽アルバムや本に限られていますが、そのなかから良質なものを紹介して、少しでも皆様方のお役立ちになれれば、心から幸いです。皆様方に音楽の喜び、生活の喜びがあることを祈ります。

参考作品(amazon)
ヴァイオリン小品集
グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲
ラロ:スペイン交響曲
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
「プラハのイダ・ヘンデル」 [Import] (IDA HAENDEL IN PRAGUE|IDA HAENDEL IN PRAGUE)
魂のシャコンヌ イダ・ヘンデル・ヴァイオリン・リサイタル
HELLSING 1 (1) (ヤングキングコミックス)
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