2009年02月25日 22:05

ひれ伏して、救いを祈っております。ヴァイル指揮「モーツァルト『レクイエム』ランドン版」

モーツァルト:レクイエム(ランドン版)

先に書きましたとおり、財界と繋がる政治家達が資金集めのパーティーを開催するように、富の再分配を否定し差別発言を繰り返す東工大教授にして出版界と閨閥で繋がった財界与党御用学者の取り巻きの右派右翼エリートブルジョワジーの若手アカデミシャン達が乱痴気パーティをただいま現在開いているようで、とても胸が重くて気分が辛いです。この国に対する絶望が深く増してゆくばかりで、とても悲しい気持ちです。お腹が痛いです。

とても気持ちが重くて、お昼ごろ、猫のために尿シート買いに行って、本屋さんで「猫生活」立ち読みした後、帰ってきて、猫の世話をして(去年から太ってきているので心配で、ダイエット用にキャットフードを切り替えました、猫用のささみ肉が好きでにゃ〜んて鳴いてお腹すいているときにあげると喜ぶので、よくあげてたのがよくなかったのかなと思って反省しています)、猫は可愛くて心和んだのです。猫のダイエットについては以下のリンクが詳しいです。おやつあげすぎはよくないみたいです。あと、餌をあげないのは絶対にダメです。今までちゃんと定期的にごはんを食べていた猫が三日間食べられないでいると、脂肪肝になってしまいます。人間よりも猫は身体がちっちゃいのでデリケートです。以下のリンク先勉強になります。

ネコの健康・ネコの病気−Vol.3 ネコの肥満とダイエット
http://allabout.co.jp/pet/cat/closeup/CU20041010B/index2.htm


猫の世話をして猫と遊んだあと、その後横になっていたら、やはり僕は病気なのか、うつ状態が出てきて、残酷で無慈悲な日本の若手エリート達の酒宴パーティが今行われているのかと思い出してぐったりしてしまい、ひたすらモーツァルトの作曲した鎮魂歌、ヴァイル指揮ランドン版「レクイエム」を聴いていました。モーツァルトの「レクイエム」は不可解な経緯を辿った奇異な名曲でして、モーツァルトの未完成の遺筆を様々な弟子達が改稿・追稿させて完成させた曲であり、後の世でもたびたび改変が行われたので、僕の知る限り十種類近い数の異稿があります(もっとあるかも知れません)。主に使われるのは歴史性を重視したジュスマイヤー版ですが、僕は美学性を重視したランドン版の方が好きです。ゴテゴテしており、聴いていてどうしてもモーツァルト的ではない感じのジュスマイヤー版より、ジュスマイヤー版よりもシンプルなランドン版は、遥かにモーツァルトのオリジナルの感性を残した「レクイエム」であるように僕には聴こえます。

モーツァルトの曲の中でもフリーメーソン関係楽曲と並んで謎が深いと一般にされるのがこの「レクイエム」です。モーツァルトの作曲したフリーメーソン関係楽曲の謎というのは、単にモーツァルトが人道的コスモポリタン団体としてのフリーメーソンの熱心な会員だったからフリーメーソンに曲を捧げただけで、実際は特に謎でもなんでもないのですが、後世、フリーメーソンが陰謀論によって陰謀組織に仕立て上げられてゆくなかで生まれた偏見的俗説です。こういった偏見的俗説の誕生には後のナチスと通ずるドイツの右派国粋主義派が関わっているとされています。こういった偏見的な謎話は相手にする必要はない話です。実際のモーツァルトの曲の真の謎として存在するのは、こちらの「レクイエム」の方です。余談ですが、僕はモーツァルトのフリーメーソン関係楽曲はとても好きです。モーツァルトはフリーメーソンに理想を抱いていたのだろうなということが感じられる名曲揃いです。「モーツァルト:フリーメーソンのための音楽集」で聴くことができます。

モーツァルト:フリーメーソンのための音楽集
モーツァルト:フリーメーソンのための音楽集

また、これも余談ですが、ついにモーツァルトの170枚組全集が二万円を切っております。昔(といっても十数年ぐらい近い前です)五十万円とかだったことを思うと、良いことなんですが、昔から三千円でコツコツモーツァルトのアルバム買っていた身としてはとても複雑な気分です。二万円弱なので、普通のアルバムより高いですが、170枚組なのでコストパフォーマンスは抜群です。モーツァルト好きでお金のあるお方にお勧め致します。モーツァルトの十代の頃の曲とかとてもいいです。神童だということが実に良くわかります。

モーツァルト:作品大全集(170枚組)/Mozart: Complete Works 170 CD BOX
モーツァルト:作品大全集(170枚組)/Mozart: Complete Works 170 CD BOX

閑話休題して「レクイエム」の話に戻します。「レクイエム」は頼んだ者も不明という伝説がありますが、今のところ、フランツ・フォン・ヴァルゼック伯爵が秘密裏に使いを出して頼んだのだろう、またモーツァルト自身は伯爵の依頼であることを知らなかった可能性が高いとされているのが定説と考えてよいかと僕の知る限りでは思います。レクイエムの不可解さは、モーツァルトの未完成の遺稿がどのような弟子及び弟子達の合議(モーツァルトには何人もの弟子がいます)によってどのような意図でどのように改変されたか、詳細が分かっていないことです。モーツァルトの意志がどのくらい、弟子に反映しているかも謎です。資料探しは徹底的に行われており、それでも情報が足りないので、おそらくは永遠のミステリーとなると思われます。クラシック音楽はその名の通り古くからの音楽であるので、過去の情報が失われたことによるクラシック史上のミステリーが無数にあり、そこがまたクラシックの興味の尽きないところです。

余談ですが、モーツァルトの死因について色々取りざたされていますが、僕は画家ラファエロ(僕の好きな画家です。いつか機会があれば、もう一度絵を見て、文章を書きたい画家さんです)などと同じ原因、疲労心労によって身体が弱ったところに感染症に感染した病死だと思います。殺人とかそういうことは単なるゴシップ話の粋を超える話ではないと思います。映画「アマデウス」ではサリエリが悪者(殺人犯)にされてましたが、サリエリがモーツァルトを殺すとか、音楽史的に考えられない話だと思います。サリエリは映画とは逆に穏健温厚な人柄で知られ、モーツァルトの支援者でした。僕は「アマデウス」を見てサリエリを気の毒に思いました。吉良上野介もそうですが(吉良は暗愚な君主として知られる浅野長矩よりもはるかに名君で良き治世を行い、領地の民達にとても敬愛されていました。しかしそれにもかかわらず、芝居として暗愚の浅野を名君、名君の吉良を悪者にした虚構の「忠臣蔵」が日本中にばら撒かれたことにより、吉良は気の毒に日本史に名だたる悪者にされています)、史実的には立派だった歴史的人物がフィクションで悪者にされているのを見ると僕は気の毒に思います。忠臣蔵の史実的実際については、小林信彦さんの小説「裏表忠臣蔵」がとても詳しく、また実際の史実を丹念に探って書かれた極めて上質のノンフィクション的な小説であり、お勧め致します。閑話休題して「レクイエム」の話に戻します。

モーツァルトの未完成遺稿「レクイエム」を彼の妻、コンスタンツェ・モーツァルトが完成させようと、アイブラーに依頼しましたが、その以前に既にフライシュテットラーとジュスマイヤーが改稿・追稿をしているとされています。またアイブラー自身は『私は死に際のモーツァルトを助けた』と書き残しているので、アイブラーの改稿・追稿がモーツァルトが亡くなる前にモーツァルト自身に指示されて行ったのか、彼自身の独断の構想なのかも不明です。モーツァルトの指示説と独断説が両方あります。アイブラーの改稿・追稿はジュスマイヤーらの改稿・追稿よりも遥かに優れておりモーツァルトらしいのですが、証拠が何も無いので、全ては謎に包まれています。

マニアックな話を長々してしまい申し訳ありません。まとめますと、モーツァルトのレクイエムは、モーツァルト自身が完全に完成させたところは、第一楽章レクイエム・エテルナムのみで、あとは未完成の草稿しかなく、それを弟子や後世の作曲家達が様々に改稿・追稿して完成させたものなので、様々なバージョンのレクイエムのうちどれが一番完全なバージョンに近いレクイエムかというのはナンセンスなんですが(モーツァルトが書いたもののみを認めるということになると、第一楽章しか演奏できません)、僕個人としては、一番完成度が高い、モーツァルトらしい良い意味のシンプルさを持っているのはランドン版(H・C・ロビンズ・ランドンが完成させたバージョン)だと思います。モーツァルト好きとして様々なバージョンの「レクイエム」を聴き比べた結果、ランドン版が一番美しかったと感じています。あくまで僕の個人的感想ですが、ジュスマイヤーの作曲家としてのレベルはかなり低いと感じます。モーツァルトとは作曲能力の桁が違いすぎるため、ジュスマイヤー版を聴いていると違和感(曲がモーツァルトらしくなくゴテゴテしている)を感じます。ランドン版はそういった違和感を感じることがすくない滑らかなレクイエムだと僕は感じます。以下、ヴァイル指揮ランドン版「レクイエム」のライナーノーツから引用します。

未完のまま残されたモーツァルトの「レクイエム」は、周知のように、弟子のジュスマイヤーにより完成された。ランドンの解説にもある通り(明らかに師モーツァルトとは作曲能力に極端な差があった)ジュスマイヤーの補筆は作曲理論上の初歩的な誤りを含むだけでなく、モーツァルトの個人様式、さらには18世紀後半の時代様式にも合値しない点が散見される。(中略)
20世紀後半(クラシック音楽を歴史的オリジナル性よりも美的オリジナル性で評価する傾向が高まり)、特に1970年代からはジュスマイヤー版の不備を正した形で作成されたエディション(異稿)が次々に出版されるようになったのである。(中略)1980年代以降になると、さらに積極的な訂正・加筆を実施したエディションが乱立することになった。(中略)

新しいエディションの態度は、いわば「歴史的な観点」と「美学的な観点」のどちらかによるかで、評価が別れる。つまり、いくら拙劣(モーツァルトの遺稿を初歩の初歩からミスしているレベルの低い補筆で台無しにしている)とはいえ、弟子のジュスマイヤーが亡き師匠の遺作を完成させたという歴史的事実を重視するのか、あるいはジュスマイヤーの「非モーツァルト」的な様式をよりモーツァルト的なものとし、「レクイエム」をより(美学的に)充実した作品に変貌させることを良しとするのか、ということである。(中略)

ジュスマイヤーが完成させたという歴史的事実(歴史的観点重視の立場)からすれば、(ジュスマイヤー版とはかなり違っている)このランドン版もフィクションの産物以外の何物でもないとは言えるだろう。だが、かれがこのフィクション(ランドン版)を構築する際に用いた素材は、(モーツァルトの弟子でコンスタンツェ・モーツァルト未亡人から遺稿を託された)アイブラーの補筆という「歴史的」なものであり、その点が、他のエディション、特にモーンダー版やドゥルース版との大きな違いである。(中略)

ランドン版は、アイブラーの補筆を積極的に取り込んだ結果、特にオーケストラレーションの面でジュスマイヤー版とはやはり大きな違いが見られる。例えば、「ディエス・イレ」におけるトランペットとティンパニのファンファーレ音型は、モーツァルトが好んだ付点リズム付きものを中心としており、アイブラーがジュスマイヤーよりもモーツァルトの個人様式に接近していることがわかる。(以下、延々と違いの説明が続きますが略します)
(ヴァイル指揮「モーツァルト『レクイエム』ランドン版」ライナーノーツより)

モーツァルトに長生きしてほしかったというのは、僕も含めてあらゆる世界中の大勢のモーツァルトファンの切なる願いであると思います。モーツァルトの夭折は悲しく無念です。また、ジュスマイヤー版「レクイエム」を聴くと、あまりにもゴテゴテしていて、なぜ未完成遺稿を完成させたのがジュスマイヤーなのか、もう少しモーツァルトのニュアンスに近い作曲能力を持つ作曲家がいなかったのだろうかという思いを抱きます。その点、ランドン版はシンプルで、ジュスマイヤー版よりもモーツァルト本来のニュアンスに遥かに近いと感じられる作品です。僕はモーツァルトのレクイエムの様々な異稿の中でも、このランドン版が一番好きです。辛いことがあったとき、うつ病になる前からたびたび聴いていました。ジュスマイヤー版をくり返し聴くのはちょっと辛いですが(ジュスマイヤー版はゴテゴテしているのでくり返しきくと疲れます)、ランドン版はすっと心に良い意味で入り込んでくる感じのする名曲でくり返し聴いていると気持ちが少し楽になります。お勧めのアルバムです。既にジュスマイヤー版やモーンダー版、ドゥルース版、レヴィン版などの他のエディションをお聴きになったお方々にも、このランドン版の「レクイエム」をまだ未聴のお方々には、ぜひ聴いてほしいなと思います。他のエディションを既にお聴きのお方々にもお勧めできる名盤だと僕は思います。

今、心痛と生活困窮で大変辛いので、今も聴いていて、ちょうど第四楽章みたいな気持ちです。お恵みもてお助けしてくださるご慈悲あるお方々いらっしゃいましたら、心から感謝致します。辛い気持ちです。最後に、第四楽章を引用致します。

モーツァルト
「レクイエム」
第四楽章「思い出したまえ」

あわれみ深きイエズスよ、わがために
天降りたまいしを思い出したまい、
かの日、われを失いたもうことなかれ。

おんみはわれを求め、疲れて座したまい、
われを購わんとし十字架の苦しみを忍びたまえり。
かかる辛苦を空しくしたもうことなかれ。

正しく罰したもう審判者よ、
応報の日の前に
赦しのめぐみをほどこしたまえ。

われ罪人なれば嘆き、
罪にわが顔は赤らむ。
神よ、ひれ伏して願い奉るものを惜しみたまえ。

おんみはマグダラのマリアをゆるし、
盗賊の願いをききとどけたまえ、
われにもまた望みを与えたまえり。

わが願いはふさわしからざれども、
おんみはよきお方にてあれば、めみぐみもて、
われを永遠の火に焼かれざるよう救いたまえ。

われを羊の群のなかにおき、
山羊の群よりひきはなし、
おんみの右に立たしめたまえ。

あらゆることが激変して、大変何もかも苦しくて、ひれ伏して、救いを祈っております。

参考作品(amazon)
モーツァルト:レクイエム(ランドン版)
モーツァルト:フリーメーソンのための音楽集
モーツァルト:作品大全集(170枚組)/Mozart: Complete Works 170 CD BOX
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