2008年11月29日 13:57

CNNのニュースを見ていて心が真っ暗になりました。この世界はおかしいです。

半生の記 (新潮文庫)

NHK衛星第一PM1:00からのCNNニュースを見ていて心が真っ暗になりました。ニュースの内容をご紹介致します。

旦那さんが亡くなって、小さい赤ん坊を抱えて失業して路上生活をしているシングルマザーを路上生活者支援団体が助けようとして、このまま冬が来たら凍え死んでしまうから、リーマンブラザーズ所有の誰も使ってない空き家(サブプライムローンでアメリカ中に誰も住んでいない空き家が沢山あります)に一時的に避難させていたら、路上生活者支援団体やその奥さんとかは不法家宅侵入として警察に逮捕されて(リーマンブラザーズが所有する誰も住んでいない空き家にはいったからの理由で!!)強制退去させられるというニュースで、警察署から出たら、この奥さんと赤ん坊は死んじゃう可能性が高い訳で、見ていて心が真っ暗になりました。

この世界はおかしいです。例えば僕が家賃滞納で追い出されて住む所を失い(これは例えばの話で今はまだ大丈夫です)、冬になって凍えてしまい、先に挙げた超富裕層の東大閥保守権力者の高名権威ある学者たる東浩紀氏や宮台真司氏の大きなお庭があってお部屋が沢山余っておられる豪邸の門扉でチャイムを鳴らして『凍えて死にそうです。どうか、偉大なる東浩紀様や神聖なる宮台真司様の豪邸のお外側、大きなお庭の暖房スチームの傍に寒くて凍えそうなので居させて頂けませんか』といったら、門扉の時点で警備会社のガードマンが続々と出てきてボコボコにされて警察に連れて行かれるのがおちな訳です。東浩紀氏の場合は黙って警備会社ボコボコケースだと思いますが、宮台真司氏ならば、『我が一族は祖父の時代より皇室とゆかり深き神聖なる一族だぞ、下郎!!控えおろう!!』と言い放って、その後警備会社ボコボコケースかもしれません。どちらにしてもろくな結果にならないことは分かっておりますので、僕はそのような行いは致しません。

ただ僕は、先のアメリカのニュースのような、富者が圧倒的な権威権力を持って、貧しい人々を皆殺しにしてゆく日米の在り方はおかしいと思います。そして、東浩紀氏は環境管理という制度を唱えて、「エリート(東大閥)が社会を設計し、富者はゲーテッドタウンに住み、貧者はスラムに住めばよい」というお考えで社会を設計しており、宮台真司氏は「日本国民は天皇陛下を崇め奉ってどのような苦しみと死が待ち構えようとも一切文句をいうべからず」という時代錯誤も甚だしい戦中思想をばら撒いて、その戦中思想を現実化するための社会設計が必要だ、それは皇室とゆかり深き東大閥の官僚と東大閥の社会学者達(つまり皇室とゆかりの深い宮台真司氏の派閥です)が行うと唱えています。宮台真司氏の述べられておられることは『貴族院政治を復活させよ!』ということとしか、簡略して述べればそれしか言ってない様に思います。

この世界に僕は心底絶望しています。僕は働きながら大学に通った夜間私大法学部の出で、日本国憲法・日本国法律・法哲学をやりましたが、現実と法律及び法の理念(生存権等)の乖離が極限まで甚だしく、もうこの国は絶望的だと思います。何もかも絶望的です。

(雨風しのいで駅で横たわる人々)並びて隅にうずくまれる男、女、――骸骨の如く黒み痩せたるあり、蒼く膨れたるあり、悉く栄養失調症をあらわし、結核の末期にすすめるものあるか、死するがごとく咳き込む声きこゆ。まれに、雑巾の如き座布団大の毛布持てるものはこれ大富豪に該当するものの如く、これに三人の子供を眠らせたり、狭ければ子供皆膝を揃えて座れる姿勢のまま、前に伏してねむるなり。一人あばれて他押し出さるれば泣きもせで傍のコンクリートに座り眼をこすりこすり、この侵略者がもとの位置に戻るまで黙して待つ。傍に三才ばかりの女の子、短き鉛筆のかけらにてコンクリートの上に描きて遊べり、これ深夜の一時の景なり。小さき頭の傍に、ちびたる下駄、緒の切れし草履ならべあるいは唯一の財産なるべく涙こぼれるいじらしさなり。(中略)嬰児、蒼くシナびて、泣声を発するも能わず、如何なる星の下にとはかかる生命を言うなるべし。虱たかれるか大人子供悉く夜中全身を爪にて掻き毟りつつ眠る、母、時に起きて子の衣服(?)をとりて虱をとる、子は裸にされて立ちたるまま、泣きもせず之を待つ。この人々全て恥は勿論既に全く生きる気力を失いたり、動物並と言いたいけれど動物以下なり。ゴーゴリの『どん底』の連中ははるかにこれらより上等なり。夜明けせまらんとして駅前には早くも今日の選挙に対する最後の怒鳴り声聞こえゆ。一日の選挙日何千円かしらざれども、その金あらば自らの選挙を放棄し、その金にてバラックでも建ててこれらの母と子を収容する正気ある人なきや、これを見れば山本有三も誰も悉く馬鹿の張本人なりと言わざるを得ず。
(山田風太郎「戦中派闇市日記」)

僕はいずれ死が訪れたとき、きっとこう思います。『濁った世界の、暗い全生であった』

参考作品(amazon)
半生の記 (新潮文庫)
半生の記 (新潮文庫)
戦中派闇市日記―昭和22年・昭和23年
戦中派闇市日記―昭和22年・昭和23年

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