2008年10月30日 10:26

どうか、皆様方が、人々との絆を大切にしてほしいです。長生きして、そして、幸せであって欲しいと願います。

生き残った帝国ビザンティン (講談社学術文庫 1866) (講談社学術文庫 1866)

僕がうつ病で失業していて、何もない状態で、生活を送っていられるのは、ギフト券を贈ってくださるお方のご善意ご慈悲、そしてアフィリエイトで買ってくださるお方々のおかげで、とても感謝しております。

うつ病でまだ今いきなり働くのは無理と精神科の先生にいわれているんですが、それでも、なんとか、就職口を探しています。精神障害保健福祉手帳が発行される(申請から発行には時間が掛かるので、今年申請しても発行は来年になります)と、精神障害者枠の就職口も出来るので、なんとかそれまで、頑張ろうと思います。

毎月ギフト券を贈って下さる方のおかげで、生活がとても助けられております。本当にどうもありがとうございます。

僕を助けて頂いているお方、皆様方になにかお役立ちできることを一生懸命考えております。僕は物質的に何もお礼をすることができず、考えることと、知識と分析しかありませんので、今後の日本でどうやったら人々が生き残れるかについて、考えております。皆様方に少しでもお役立ちしたいです。

まず、大前提として、日本の衰退は不可避であると考えます。本年度の国債(日本国の借金)が30兆円を突破すると考えられます。今後も、国債の増加は避けられず、もはや財政的に日本は非常にギリギリというか、実質的に限界突破してしまっている巨大借金国家です。おそらく国債を永久債化すること(償還不可能化)を、財務省は考えているのではないかと僕は推測しています。日本は外貨準備高が多く対外債務は少ないので、国債が償還不可能になっても、日本国民が泣きをみるだけで、他国へ返還できなくなるということはないので、IMFに頼らずにすむ可能性があります。日本の実体状況は少子高齢化と技術力のグローバル化による拡散により、実体的にも衰退は不可避であり、国家的な財政規模を縮めていくしかなく、国債は次第に永久債化される(10年国債を20年国債に引き上げのような形でだんだんと国債償還を抑えてゆく)と考えられます。英国のコンソール債のような形に、日本の国債がなって行くのではないかと僕は考えています。

これは日本の実体的な衰退とともに、日本の信用(円の信用)が国際的に低下することを表します。デフォルトせずに、日本が動いていくには国債を永久債化してゆく(国債の利息だけ払い続け、元本は償還期間を長期化して返還不可とする)しかなく、これは日本国の信用度をじわじわ低下させるでしょう。しかし、国債を帳消しにしようとしたら、ハイパーインフレを起こして最終結果はデフォルトしかなく、そうなれば完全に日本は破綻してしまうので、これ以外(じわじわと国債を永久債務化する)に取る方法がないのではないかと思います。

国債の永久債務化は、じわじわと日本国に対する経済的信用度を低下させますので、現在の一時的円高から、次第に円安の方向に向かうと思います。しかし、それが景気の回復と繋がるかは別の問題で、国力が衰退していると見られている状況での円安は、衰退し、貧困層が増加し、食料を輸入に頼っている日本にとって、メリットよりデメリットの方が大きくなると思います。今後10年の間にスタグフレーションが急速に進んでゆくと思います。

国家衰退時にどのような状況が訪れるかということですが、これは基本的にスタグフレーションと失業率の上昇、社会保障の停止・低下などが起こります。日本でもこの状況は避けられないと思います。治安悪化を防ぐため、統制が強化され、自由が失われてゆきます。ローマ帝国の衰退崩壊とその後のビザンティン帝国への移行の歴史を描いた井上浩一さんの著書「生き残った帝国ビザンティン」という歴史書があります。僕はこの本は、和書の歴史書の中でも最高峰に位置する名著だと思っていて、昔からよく読んでいました。ここでのローマ帝国・ビザンティン帝国の衰退崩壊の例はその後のその他諸々の国家の衰退歴史にも見られる、統制が強化され、豊かであるからこそ生まれる文化も失われてゆくことを描いています。

ローマ帝国は自由が大きく、それがローマの強みでもありましたが、衰退してゆくに連れ、内向きとなり、統制が強化されました。特に大きいのは結婚・離婚・再婚についてです。ローマでは基本的に市民間においては市民間の富を超えた結婚・離婚・再婚が自由で、それがローマの強みとなっていました。非常に力のある一族の誰かが、貧しい人であっても、こいつは使えると思って自分の一族に入れたり、男女の間がらでは貧しい人に恋をして、貧しい人と結婚すると、その貧しい人の一族やとりまきも一気に上昇します。結婚・離婚・再婚が自由なのが、ローマの市民間の富を越えた自由を齎し、それがローマの活力の一つでした。有名なところでは元農民から皇帝になったユスティヌスなど、豊臣秀吉のような皇帝が幾人もいます。また女性では皇帝ユスティニアヌスの妻、皇妃テオドラが有名です。テオドラは貧困層の生まれ、サーカスの熊使いの娘で踊り子ですが、性的な踊り子、いわゆるストリッパーで、また娼婦でもありました。ユスティニアヌスは劇場で裸で性的な痴態を見せるテオドラに一目ぼれし、彼女に求婚し、正統なる皇妃としました。テオドラは極めて美しく聡明な芯の強い女性でローマ帝国を確りと磐石なものにした偉大なる皇帝と呼ばれるユスティ二アヌスをよくサポートした素晴らしい良妻であったといわれています。

しかし、ローマ帝国が衰退するに連れ、あらゆる規制が強化されました。ローマは衰退して行くにつれ次第に内向きにならざるをおえず、結婚・離婚・再婚が非常に制限されるようになりました。特に、一度結婚すると離婚はほぼ不可能なようになり、富による身分制度的なものが強化されてゆきました。これは帝国の衰退を抑えようとしたものですが、逆に衰退を早めたと考えられます。

例えば、昔だったら、皇帝がテオドラと結婚できたのも、それは結婚・離婚・再婚の自由によるものです。もし、テオドラが問題を起こしたらいざとなったらテオドラを離縁してしまえば、皇帝の名には傷はつかないのです。これはあくまで仮定の話で、実際はテオドラは立派な女性でした。貧困層に生まれ、性的な踊り子で娼婦だったテオドラは、先にも書きましたように美しく聡明な、そして自らの命すら皇帝や国家の為に賭すことのできる芯の強い見事な女性でした。皇帝ユスティアヌスが反乱を起こされ最大の危機の時に、逃亡しようとしたユスティアヌスとその臣下を強い口調で演説して見事に諌め、それによって、反乱を鎮圧し皇帝ユスティアヌスの治世が本格的に始ることになります。彼女はローマの磐石さを創った女性として有名です。彼女の演説は歴史書にも記録されています。僕は歴史が好きなんですが、皇妃テオドラは僕にとって歴史の中の憧れの女性です。

(ベリサリウス将軍の反乱によりユスティアヌス)皇帝は事態に絶望し、逃亡を決意する。船が用意され、荷物や財宝の積込みが命じられた。この時に皇妃テオドラが、浮き足だった人々に向かって強い口調で演説を行った。

『たとえそれ(逃亡)によって命ながらえるとしても、いまは逃げる時ではない。皇帝たりし者が亡命者の身たることはできない相談である。私も、出会う人々が私に向かって「皇后陛下」と呼び掛けないような日々を送りたくない。逃亡すれば身の安全が得られるとしても、果たしてそれは命と引き替えにしてよかったといえるものだろうか。私は古(いにしえ)の言葉が正しいと思う。「帝位は最高の死装束である」』(戦史一巻24章33〜37の演説の要約)

彼女が本当にこのような演説をしたのか、それとも歴史家プロコピオスの創作かは不明だが、少なくともテオドラが夫ユスティアヌスに、死を覚悟して踏みとどまるべきであると助言したことは確かであろう。(貧困層に生まれ、性的な踊り子、娼婦として)たくましく生き抜いてきたテオドラの真骨頂が発揮されたときであった。テオドラがいなければ、ユスティアヌスは数年で帝位を追われた無能な皇帝というだけで終わったであろう。テオドラの言葉に励まされて皇帝は踏みとどまる決意を固めた。
(井上浩一「生き残った帝国ビザンティン」)

ユスティアヌス皇帝は反乱を鎮め、聡明なる皇妃テオドラとともに、ローマ・ビザンティン帝国を拡大し、豊かにしました。しかし、長い歴史の中で、その豊かさが失われてゆきます。ちょうど今の日本のように、貧しくなり、それによって先に書いたように社会の統制が強化されます。キリスト教の名目の元、離婚の自由がなくなり、富による身分制度が、まさしくこの日本国のように非常に世間体的な形で形成されてゆき、テオドラのような女性が活躍できる機会が失われてゆきました。また、豊かさが失われるに連れ、文化も衰退してゆきました。有名な「パンとサーカス」の終焉です。

婚姻制度をものさしにして、キリスト教の浸透の度合いをはかってみよう。ローマ社会においては、離婚・再婚が自由であったことはよく知られている。これに対しキリスト教は「神が結び合わせてくださったものを人は離してならない」という聖書の言葉にあるように、離婚に対しては厳しい制限を加えていた。

古代ローマの協議離婚、すなわち当事者たちの合意による離婚の制度は、それに反対するキリスト教の浸透とともに、次第に制限されていった。しかし六世紀の『ローマ法大全』においても離婚に対する制限は緩く、大幅な離婚の自由が認められていたのである。

ところが(帝国が衰退した)八世紀のレオーン三世の発布した『エロクゲー法典』になると、先にあげた聖書のことばを引用して、原則として離婚を禁止すると定めている。(中略)

(帝国の衰退の象徴は「離婚の禁止」とともに)もうひとつは、ローマ帝国から受け継がれた「パンとサーカス」(文化)の制度が消滅したことである。(中略)「サーカス」(文化)の変貌の背景には「パン」(豊かさ)の消滅があった。先に述べたように、ヘラクレイオス皇帝は穀倉地帯のエジプトが失われたのをきっかけに、首都市民(帝国の主なる文化の担い手達)への「パン」の配給の停止を決定した。その後イスラムの軍勢が都に迫ってくると、帝国政府は食料を自ら確保できない市民の国外退去を命じた。
(井上浩一「生き残った帝国ビザンティン」)

僕は上記の帝国の衰退が、日本の衰退と重なって見えます。国家衰退時にはあらゆる全方面で統制が強化され、文化もまた、豊かさの消失の中で消えてゆく、そういった事態が長期的スパンで日本に訪れると思います。

また、男性よりも女性の方がキツイ立場に置かれる可能性が高いと思います。性的な踊り子で娼婦であったテオドラは見事な皇妃としての実務的な働きによって、帝国を支えました。しかし、日本は既に衰退期のローマ・ビザンティン帝国のように、富の格差から生まれる世間体による差別、そして男尊女卑の差別がある国家です。そして、日本の豊かさが失われることは不可避と思われますし、そうなると国家から豊かさが失われるにつれ、僕のような貧困層、男女共に貧しい人々は非常にキツイ状態に置かれますが、特に女性が大変だと思います。

僕は皇妃テオドラが歴史の中の憧れの人なんですが、性的な踊り子で娼婦でそして優れた皇妃であったテオドラが憧れの人になった後、佐野眞一さんのノンフィクション「東電OL殺人事件」を読んで、とても深いショックを受けました。被害者の方が、殺された一因は、被害者の方の絶望、女性である限り、どれだけ優れており、どれだけ努力しても、東京電力の役職にはつけないという絶望が感じられるからです。日本の大企業における総合職の女性に対する陰湿な男女差別の体質です。被害者の方が、たった一人、役職につく寸前で病死した父の無念を晴らすため、東京電力の総合職として必死に孤独に頑張りながら(他の総合職達は皆男性です)、女性である限り役職にはつけないと思い知らされ、生活の為ではなく、自分を痛めつけるために娼婦になる転落が始る軌跡を見ると、悲しくて、目を瞑ると、日本というこの国の腐敗した邪悪な龍の顎、牙が無数に生えた邪悪な開かれた顎が見えるようで、凄くショックでした。「東電OL殺人事件」はノンフィクションの最高峰と思います。一読をお勧め致します。

テオドラのように、強く生きたいと願いますが、みんながみんな強く生きられるわけではありません。国家が衰退してゆくなかで、人々が大勢生き残った例があります。ソ連邦崩壊です。ソ連邦は経済的に崩壊しましたが、心配されていた餓死などによる人口の半減は起こりませんでした。ソ連邦崩壊の中で貧しく死んでいった人々も悲しいことですがいます。ただ、それでも大勢のロシアの人々が生き残りました。国家が崩壊すると、貧困層の死による人口の半減が起きるのですが、ロシアではそれがほぼ起こらなかった、これについてご説明いたします。

まず、ロシアの食料自給率の高さです。ロシアの全世帯の四分の一が、都市部の住民も含め(都市部の住民が持つ田舎の住居兼畑・鶏小屋はダーチャと呼ばれます)、自家菜園の生産で自給自足していました。ロシア農業食料省の統計では、ソ連邦崩壊直前にも、約一億人がジャガイモを生産し、約5000万人が肉を自給していたとされています。

また、ロシアはソ連時代は共産主義国家でしたので、「五ヵ年計画」でライフラインを整えおり、公共料金はほぼ無料でした。ソ連邦崩壊後もその状況が続いたので、電気・ガス・水道を使うことができました。またロシアは計画経済により生産設備と病院・学校・保養施設がワンセットで作られていたので、国営の生産設備が潰れて民営化されても、そこで働く人々とその家族は、病院や学校を無料で使うことができます。ロシアは基本的に、最低限の安上がりで人々が暮らせるように社会システムが構築されていた、これは日本とは全く違うシステム、ロシアが国家経済崩壊のダメージを最小限に抑えた、ロシアの智慧ともいえるシステムです。

そして何よりも根幹的なことは、家族・親族の結びつきと地域共同体の人々の助け合いがあったことで、社会の人々の互いの信頼による相互扶助が機能しました。1998年のロシアの高齢者年金月平均支給額は400ルーブルです。一人当たりの最低生計費が500ルーブルです。残り100ルーブルをどうしたかというと、家族親戚一同や隣近所の人々が貧しい中でも、相互扶助して、餓死しそうな人々を助けたのです。もし、この社会相互扶助がなければ、大勢の餓死者が出てしまったといわれています。ロシアの強い民族性が、このときは社会的相互補助を良い意味で力強く手助けしました。ロシアの強い民族性(ロシア民族同士で助け合う意識)は高野雅之さんの「ロシア思想史 メシアニズムの系譜」が参考図書になると思います。

しかし、日本では、地域共同体及び民族性はほぼ完全に崩壊しており、家族・親族の結びつきも核家族化によって希薄化しています。日本の未来は僕は数十のケースを推測しましたが、どれも悲劇的です。とても悲しく思います。日本では社会保障が停止した後、個々が孤立化したまま大勢亡くなってゆく可能性が高いです。

ただ、日本に今から未来に希望のある可能性としては、今からでも共同体を大切にすること、家族・親族・隣近所の人々・友人達を大切にすること、いざというときに、相互扶助的な関係で支えあって生きてゆけるように、今からでも、少しずつ努力することで、日本が崩壊してゆくなかでも、生きのびれる可能性が上昇すると思います。

人と人との絆を大切にすることが、人のためにすることが、自分のためにもなる、そういった関係を構築できた人々が生き残る社会になると思います。これは僕の最も楽観的なケースの推測で、悲観的な推測は、永井豪さんの漫画「デビルマン」のような破滅的世界の訪れ、疑心暗鬼と憎悪による全ての崩壊です。

僕はこのことに気づくのが遅すぎて、現実での友人関係が希薄で、借金を頼んでも断られ、自分が人と人との絆を大切にしてこなかった報いを受けている、だから、いずれは最悪の自身に訪れるケースとして貧困の挙句死んでもそれは自業自得で、自分自身の責任だと思っています。後、僕の友人は派遣社員をやっていた頃の友人で、彼らも決して裕福ではないので、借金を申し込んだ僕は過っていたと思います。心から申し訳なく思っています。裕福な方の友人・知人が僕にはおらず、一度だけ面識のある非常に裕福なポストモダンの学者さんに二度ほどご相談のメール致しましたが、完全に無視され、これもまた、僕の人徳の無さの致すところであり、自分自身の手によって、自分は滅んでゆくのだなと思います。

ゆえに、どうか、皆様方には、人々との絆を大切にして、人々と仲良く、優しくしてほしいです。それはきっと、どう予想しても暗黒の未来しかないこの日本国において皆様方が生きのびる最後の大切なる生命の糧となると思います。

どうか、皆様方が、人々との絆を大切にしてほしいです。長生きして、そして、幸せであって欲しいと願います。

参考作品(amazon)
生き残った帝国ビザンティン (講談社学術文庫 1866) (講談社学術文庫 1866)
生き残った帝国ビザンティン (講談社学術文庫 1866) (講談社学術文庫 1866)
東電OL殺人事件 (新潮文庫)
東電OL殺人事件 (新潮文庫)
ロシア思想史―メシアニズムの系譜
ロシア思想史―メシアニズムの系譜
デビルマン 愛蔵版 (KCデラックス)
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