2008年06月23日 10:07

ブライアン・P・クイン「「うつ」と「躁」の教科書」」読んでます

これ、大切な友達に教えてもらった本(本当にありがとう)で、苦しいときに読んでます。うつ病の実践的な詳しいことと辛いときの対処法が載っていて良い本です。ありがとう。

うつ病の人にとって、考えないようにするという努力は必ず失敗する。患者の脳は、そうはたらくしかなくなっているのである。

不快な思考をどうにかしてやろうとする方法は、うまくいかないばかりか、うつ病の人には逆効果である。その理由は二つあり、第一の理由はしごく単純である。つまり、何かを考えないようにするということは、考えないようにすると考えていることで、結局、心はそのことに囚われている。第二の理由はうつ病の人は自己批判的になりすりるというところにある。「問題を考えるのを止めろという友人のアドバイスは間違っている」などとは考えず、「自分に間違ったところがある。私の心は弱いんだ。このパターンから抜け出さなくは」と考えるものなのである。そしてさらに意気阻喪して、憂うつになる。

そこで、もっと穏やかで受動的なやり方のほうがうまくいくかもしれない。仮に以下のやり方がうまくいかなかったとしても、患者のせいではないということを忘れないように。単にこの方法が良いやり方ではないというだけのことかもしれないのだから。

穏やかに「意識を逸らす」アプローチは、基本的に次のように考えるようにするところからスタートする――うつ病が適切に治療されないうちは、頭のなかに非現実的な不安や、しつこい自己不信や、つらい自己批判や、苛立ちや、陰気な考えが浮かんでくるのは防ぎようがない。これはうつ病の症状であって、熱がインフルエンザの症状であるのと同じである。残念な考えかもしれないが、すくなくとも自分でどうにもならないことに対して、不当な責任感を抱かずにすむ。

次に、患者の心の中に、自分が正当な理由もなく落ち込み、心配し、苛立っているということを理解している部分が、ほんのわずかでもなければならない。そのわずかな合理的意識を利用して、気持ちを別の方向に向けるのである。もし全面的に問題を考え続ける気持ちしかないのなら、意識を逸らすことなどできはしない。

自分のなかに不快な思考や感情があることを認め、それがうつ病の症状であると考えられるようになったら、少しずつ、意識の焦点を他に移していくことを試みる。問題の思考が頭の中に浮かんでくることは防ぎようがないだろうが、うまくいけば、ときおり他のことを考えられるかもしれない。注意すべきは、うつ病のときは、心の中の声が、今心配し、落ち込み、苛立っていることに注意を向けるのが大切だと休みなく訴えかけてくることである。この心の声にはとても説得力がある。けれども、少しでもその声を信じてはいけない。不快で強迫的な思考や感情から注意を離せば離すほど、その声は小さくなる――少なくともしばらくは。いったん注意を逸らしたら、それで終わりと思わないほうがよい。最初のうちは、この努力を何度も繰り返さなければならないだろう。意識を逸らしたと思っていても、ふと気がつくと、もとの心配や、不快なイメージや感情が戻ってきているのである。

中程度より軽いうつ病で、何か楽しめることのある人は、その楽しいことや、自分が立派に感じられること、幸福感を高めてくれることなどに意識を向けてみる。子どもがいる人なら、自分が人生で何も成し遂げていないという思いに苛まれているとき、子どもと遊んでみるといい。子どもたちのほほえみ、走り方、たわいのないおしゃべりやしぐさ。そんなちょっとしたことに目を向けてみよう。心配事や、自分のダメさ加減に気持ちが戻ってしまっていることに気づいたら、まず、うつ病のはたらきだからそれはしかたがないことと受け入れ、それから穏やかに注意を子どもたちに向け直す。子どもがいない人や、ほとんど何も楽しいと思えなくなっている人は、日常の雑用に注意を向けてみよう。心配事に気持ちが引き戻されたときは、何度でも注意をむけなおさなければならない。これは正常なことなので、あきらめずに続けること。繰り返しているうちに、だんだん注意を向けなおせるようになっていくものである。

心配したり、憂うつになったり、苛立ったりしているのが、うつ病のせいできちんとした理由もなくそうしているのかどうか、自分でもはっきりしないときには、信頼できる家族や友人、セラピストに話をするといいだろう。うつ病で生まれる考え方は、なかなか巧妙にできていて、その思考や感情が本当はうつ病の症状であることが見抜けないことがある。そんなとき他人の見方はとても参考になる。

適切な治療を受けいていたとしても、うつ病の人というのは、本人が望んでいるほどストレスに強くなく、ストレスのもとで不快な気分を抱きやすい。気分障害とは基本的に、ストレスに対する許容量の先天的な不足であるということを思い出して欲しい。たいていのひとは身体のホメオスタシスのメカニズムが働いてバランスをとっているが、うつ病の人では、このメカニズムに、気分を安定させる仕事をこなす十分な能力が欠けている。脳の生化学機能がわりあい簡単にバランスを崩してしまうのである。人と話すことにより、いろいろなバランスを維持しやすくなる可能性もある。
(ブライアン・P・クイン「「うつ」と「躁」の教科書」)

今日、凄く辛いことがあって、お腹が痛くなって下してしまって、ずっと腹痛が続いてて、凄く辛かったんですが、この本、とても優しく真面目にうつ病の人向けに書かれた医学書でこれ読んで、まだ腹痛ひどくて辛いですが、少し楽になりました。助けてくれる人がいて、本当にどうもありがとう。

「うつ」と「躁」の教科書


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