2008年06月21日 04:30
水木しげる「神秘家列伝」 心が痛くならない本
水木しげる「神秘家列伝」
僕は、辛いことがあって心身崩してから、ずっと眠れなくて、お医者さんに睡眠薬処方してもらって眠れるようになったんですが、やっぱり、辛いことが強いときは今も眠れなくて、そういうとき、好きな本も一ページも読めない(読もうとしても辛いことが頭をぐるぐる回っちゃう)んですが、そんなときでも、読める本が、水木しげるさんの本で、大好きですね…。
特に好きなのは、水木しげるさんの「神秘家列伝」って本で、この本、水木しげるさんの作品の中で僕は一番大好きです。
この本は、水木しげるさんの本の中で歴史に残る最高傑作か?と考えると、それは、難しいところ(僕は水木しげるさんの本の中で歴史に残るような最高の作品はコミック昭和史だと考えています)ですが、それでも、僕の中では一番大好きな大切な本です。
神秘家、不思議やオカルトに真面目に傾倒する人々を、ネズミ男が案内役に、飄々と紹介していくんですが、読んでて、心が落ち着くんですね…。心が痛くならない。それは紹介する人々を凄く公平に優しく描いているから。水木しげるさんが個人的にとても敬意を持つ人(スウェーデンボルグとか)にも公平で、真っ直ぐで、誠心で、静かで穏やかな眼差しで描いているんですね。神秘家はみんな変わり者ですが、馬鹿にしたり上下つけたりせず、公平に見ている。こういう、変わった人たちを、穏やかに、静かに、敬意と公平を持って紹介していくって、水木しげるさんの、とてもいいところ、漫画評論家の夏目房之介さんが、水木しげるは決して人間中心主義を採らずに、公平に、世界(風景)と人間を、静かに見ていくというようなことを仰っていましたが、そういうのが、人物伝として、とてもよく描けていて、大好きな漫画です。
コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」(これもいい本ですが…)とか、神秘家を描く作品は色々ありますが、どうしても、神秘家を特別扱いしたり、逆にちょっと馬鹿にするようなところがあったりして、心が痛いなって感じるんですが、水木しげるさんの眼差しにはそういう、人を区分けして上下にするようなところがなくて、読んでて、心が落ち着くんですね…。
それに、描かれる神秘家達の良いところ、喜ばしいところだけじゃなくて、ダメなところ、辛いところ、苦悩や苦しみも、きちんと描かれていて、とても魅力的に感じます。本当に大好きな本です。そして、人間への眼差しが、公平なだけじゃなく、凄く静かな優しさがあって、神秘家の多くは、私生活は恵まれないことが多くて、第一巻第一話のスウェーデンボルグも、晩年は凄く苦しんだんですが、最後の一コマが、水木しげるさんの静かな優しさを感じて、僕はもう大好きです。この第一話「スウェーデンボルグ」読んでそれで嵌ったんですね。それからずっと読みました。このシリーズ素晴らしい本です。良かったら、皆さんにも、読んで欲しいなと思う本です。
あと、この本、古今東西世界中の神秘家達を沢山紹介することで、例えばキリスト教だったら天使、仏教だったら仏というように、何かみんな凄く大きな繋がりを見ている、それは、それぞれ名前や解釈が違うということで、本当は、とても大きなもの(一つではなくとても色々あって、人間の知覚を超えている大切なもの)があるんではないかということを、一生懸命示唆していて、そのことを水木しげるさんも後書きとかに直接書いているんですね。これ、僕の尊敬する中村元さんっていう哲学者・宗教学者の方が仰られていることと同じで、感動しました。中村元さんの「東洋のこころ」って本に詳しくでています。神秘家列伝面白かったら、ぜひそちらも読んでみて欲しいなと思います。
参考図書(amazon)
水木しげる「神秘家列伝 第一巻」
水木しげる「神秘家列伝 第二巻」
水木しげる「神秘家列伝 第三巻」
水木しげる「神秘家列伝 第四巻」
水木しげる「神秘家列伝」
水木しげる「コミック昭和史」
水木しげる著作一覧
中村元「東洋のこころ」
コリン・ウィルソン「アウトサイダー」
僕は、辛いことがあって心身崩してから、ずっと眠れなくて、お医者さんに睡眠薬処方してもらって眠れるようになったんですが、やっぱり、辛いことが強いときは今も眠れなくて、そういうとき、好きな本も一ページも読めない(読もうとしても辛いことが頭をぐるぐる回っちゃう)んですが、そんなときでも、読める本が、水木しげるさんの本で、大好きですね…。
特に好きなのは、水木しげるさんの「神秘家列伝」って本で、この本、水木しげるさんの作品の中で僕は一番大好きです。
この本は、水木しげるさんの本の中で歴史に残る最高傑作か?と考えると、それは、難しいところ(僕は水木しげるさんの本の中で歴史に残るような最高の作品はコミック昭和史だと考えています)ですが、それでも、僕の中では一番大好きな大切な本です。
神秘家、不思議やオカルトに真面目に傾倒する人々を、ネズミ男が案内役に、飄々と紹介していくんですが、読んでて、心が落ち着くんですね…。心が痛くならない。それは紹介する人々を凄く公平に優しく描いているから。水木しげるさんが個人的にとても敬意を持つ人(スウェーデンボルグとか)にも公平で、真っ直ぐで、誠心で、静かで穏やかな眼差しで描いているんですね。神秘家はみんな変わり者ですが、馬鹿にしたり上下つけたりせず、公平に見ている。こういう、変わった人たちを、穏やかに、静かに、敬意と公平を持って紹介していくって、水木しげるさんの、とてもいいところ、漫画評論家の夏目房之介さんが、水木しげるは決して人間中心主義を採らずに、公平に、世界(風景)と人間を、静かに見ていくというようなことを仰っていましたが、そういうのが、人物伝として、とてもよく描けていて、大好きな漫画です。
コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」(これもいい本ですが…)とか、神秘家を描く作品は色々ありますが、どうしても、神秘家を特別扱いしたり、逆にちょっと馬鹿にするようなところがあったりして、心が痛いなって感じるんですが、水木しげるさんの眼差しにはそういう、人を区分けして上下にするようなところがなくて、読んでて、心が落ち着くんですね…。
それに、描かれる神秘家達の良いところ、喜ばしいところだけじゃなくて、ダメなところ、辛いところ、苦悩や苦しみも、きちんと描かれていて、とても魅力的に感じます。本当に大好きな本です。そして、人間への眼差しが、公平なだけじゃなく、凄く静かな優しさがあって、神秘家の多くは、私生活は恵まれないことが多くて、第一巻第一話のスウェーデンボルグも、晩年は凄く苦しんだんですが、最後の一コマが、水木しげるさんの静かな優しさを感じて、僕はもう大好きです。この第一話「スウェーデンボルグ」読んでそれで嵌ったんですね。それからずっと読みました。このシリーズ素晴らしい本です。良かったら、皆さんにも、読んで欲しいなと思う本です。
あと、この本、古今東西世界中の神秘家達を沢山紹介することで、例えばキリスト教だったら天使、仏教だったら仏というように、何かみんな凄く大きな繋がりを見ている、それは、それぞれ名前や解釈が違うということで、本当は、とても大きなもの(一つではなくとても色々あって、人間の知覚を超えている大切なもの)があるんではないかということを、一生懸命示唆していて、そのことを水木しげるさんも後書きとかに直接書いているんですね。これ、僕の尊敬する中村元さんっていう哲学者・宗教学者の方が仰られていることと同じで、感動しました。中村元さんの「東洋のこころ」って本に詳しくでています。神秘家列伝面白かったら、ぜひそちらも読んでみて欲しいなと思います。
われわれの住んでいる地球には、「目に見えないもの」もいる。すなわち、そういうものをいろいろ工夫して見ようとした人達が、この「神秘家」である。それぞれびっくりするほど真剣で真面目である。そういう努力をして見る人もいるが、「生まれつき見える」人もたまにいる。
(水木しげる「神秘家列伝」)
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水木しげる「神秘家列伝 第一巻」
水木しげる「神秘家列伝 第二巻」
水木しげる「神秘家列伝 第三巻」
水木しげる「神秘家列伝 第四巻」
水木しげる「神秘家列伝」
水木しげる「コミック昭和史」
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中村元「東洋のこころ」
コリン・ウィルソン「アウトサイダー」
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