2008年09月03日 04:01

お腹が空くと白っぽい雪のようなものが目の前にチラチラする幻覚症状がでて、僕の中に白い雪が降っているようです。

お腹が空いて苦しくて眠れなくて、最近、栄養失調なのか、お腹が空くと白っぽい雪のようなものが目の前にチラチラする幻覚症状が現れます。決して積もらない雪が見るもの全てに降っているような感じです。

もうすぐ診察日なので、それまで頑張って、なんとか食べて、診察に行くことが救いです。お腹が空いてても余り食べられないので。

数ヶ月頑張って生き延びれば、精神障害者保健福祉手帳が発行されるので、そうしたら、生活保護とかも受けられるかも知れない(ダメかもしれないです)ので、なんとか節約して頑張って生き延びたいです。

僕の中でだけ降っている白い雪を見ながら、パウル・ツェランの詩を思い出していました。白い雪から白亜紀を連想し、白亜紀というところで、まさに白亜紀だなと…。

パウル・ツェラン
「暗闇に包みこまれて」

暗闇に包みこまれて
鍵の権能が。
牙が統治する、
白亜紀の跡から、
世界の‐
秒に逆らって

ツェランの詩の中では非常に明晰で分かりやすい詩です。「暗闇に閉ざす鍵の権能」、つまり、人々を閉じ込める(脱出不可能にする)権力システム、「牙が統治する、白亜紀の跡から、」最も強く獰猛な肉食恐竜が頂点に立ち弱い生き物を食って支配する、弱肉強食の白亜紀と現代が重なります。現代のシステムに閉じ込められた人々(弱い人々)は強い人々に食われる(文字通り命を奪われる)ということです。世界の‐秒に逆らって、つまり、滅んだはずの弱肉強食の恐竜の世界が軍事統治により復活しているということです。当然、ナチスドイツの支配を指しているんですが、僕には、現代日本の支配のように感じます。お腹が空いても、何も助けのない、貧困層は、ただ、閉ざされた外から不可視の檻に入れられる。企業収益の役に立たない存在(労働力にならない存在)は死ねとしか考えていない経済権力だけの、日本のシステム、軍隊が企業に変わっただけで、辛いです…。

スターリン批判の詩を書いて収容所に投獄され殺害されたソ連の詩人オシップ・マンデリシュタムはこのように書いています。「ツェラーン 人と思想」より。

人は誰にも友人がいる。何故詩人は自分がとにかく一番親しい人間である友人を相手として書いてはならないのか。(なぜ詩は私信ではなく、未来の不特定多数に開かれているのか)。

――船員は(船が遭難・沈没してゆく)生きるか死ぬかの時に、自分の名と自分の運命を書いたものを壜に入れて封印し、海中に投げ込む。長い年月がたった後に砂丘を歩いているとき、私はそれを砂の中に見つける。私は手紙を読み、今になって行方不明者の遺志と事件の日時を知る。私にはそうする権利(壜の中の手紙を読む権利)があったのだ。私は他人宛の手紙(私信)は開封したことがない。壜の中にあった手紙はその発見者宛だったのである。私は壜を発見した、ということは私は謎の隠れた受取人という訳である。

僕がここに貧困の生活の記録を残しているのも、壜を未来へ送っているわけで、僕がいなくなった後も、文章は残る、そしてそれを読んで、この弱肉強食の世界について、考え、一人でも、それを改めるために行動する人が出てきてくれたら、嬉しいです。

最後に、バラチンスキーの詩を「ツェラーン 人と思想」よりから紹介します。未来に宛てて書かれた詩です。トラークルの詩「グローデッグ」もまた、未来に宛てて書かれていますが、こちらは図書館に返してしまって、手元にないので引用できませんが、ご興味があったら、こちらも読んでみてほしいです。

バラチンスキー
「僕の才能など取るに足りない、それに僕は有名でもない、
でも僕は生きている――
僕の存在を貴重に思ってくれる
誰かがこの世にいてくれるから。
僕よりはるか未来の人が僕の詩のなかにそれを
再び見つけ出す、すると僕の魂は――
誰がそれを知りえよう――その人の魂と結ばれる。
僕は友人を僕の世代に見つけたが、
読者は未来に見出すだろう。」

今、まだなんとか無職で収入の無い貧困の中で生き延びられていられるのは、ギフト券を贈ってくださる方々、アフィリエイトで買ってくださる方々が、いらっしゃるおかげで、「でも僕は生きている――僕の存在を貴重に思ってくれる誰かがこの世にいてくれるから。」そのものです。本当にありがとうございます。

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