2008年06月14日 13:10

空の青、海の青、豊饒と空虚の青

自然に広がる青が好きです。空に広がる明るくて薄い無限の青、海に広がる深々と水を湛えている無限の青、どちらも大好きです。どちらも無限に広がって、豊饒で、空虚であるところが、とても好きです。とても美しいと感じます。海をうたった僕の好きなゲーテの詩を「ゲーテ詩集」より紹介します。

ゲーテ
「海の静けさ」
深き静けさ、水にあり、
なぎて動かず、わたつうみ。
あまりになげる海づらを
ながむる舟人の憂い顔。
風の来たらん方もなく、
死にもや絶えし静けさよ!
果てしも知らぬ海原に
立つ波もなし見る限り。

平家物語の海に身投げするときの「海の底にも都はあります」やシュペルヴィエルの「海に住む少女」とかの美しさ、それは反語であって、海の無限の青(空の無限の青も)には、人間的なものは何もないんですね。豊饒な空虚が広がっている。そういう青が、僕はとても好きです。

ゲーテ詩集 (新潮文庫)
海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)


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