2008年07月31日 19:08

今日は僕が映画史上で最高峰であると感じる映画「裁かるゝジャンヌ」を観ました。真に信じる、真に愛することについて。

裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション
今日は調子が良かったので、友人から貸してもらっている「裁かるゝジャンヌ」を観ました(DVD欲しいんですが、今の僕には金額的にとても手が届きません)。僕がこれまで観てきた映画における絶対的な最高峰であると感じられました。映画では「ミツバチのささやき」とかも本当に実に素晴らしい作品、大好きな作品ですが、今の僕には、ジャンヌが最高峰と感じられます。次点がミツバチという感じです(以前はミツバチが一番だったのですが、うつ病になって感覚が変わった感じです)。今回改めてジャンヌを観て、以前、うつ病に掛かる前に観たときよりも遥かに激しく、心魂を揺さぶられました。

この映画の凄いところは、演出も物凄い(ほとんどがジャンヌの顔のクローズアップ)んですが、宗教的な主題を描いた最高峰の作品と感じるところ、ジャンヌ・ダルクを普通の村の無学な少女として描きながら、なおかつその少女が、神を、真に信じる、真に愛しているところを、ジャンヌ・ダルクを責め立てる審問官達とのやりとりから明らかにしていくところです。審問官達はあらゆる方法、ただ責め立てるだけでなく、ジャンヌを騙したり、もっと直接的に死に掛けるまで拷問に掛けたり、火あぶりにするぞと脅したり、とてつもなく残酷にジャンヌを責め立てるんですね。審問官達はジャンヌ自身に「自分は悪魔の手先である」と云わせたい訳です。

そして、ジャンヌは、本当は、どんなことにも耐えられる英雄豪傑でもなんでもなく、神を信じ啓示を受けて、真っ正直に行動していたゆえ、そんな責めにあったら誰だって辛いわけで、不安と恐怖の中でぼろぼろ泣くんですね。恐れと不安と悲しみで一杯になった表情がクローズアップで観ているものの心を抉ります。特に僕は今、ジャンヌみたいな状態(強い恐れと不安と悲しみ)があるので、物凄く、共感しました。

あまりの非道な責めに、ずっと真っ正直に答えていたジャンヌも、一度は、自分が悪魔の手先であることを認める改悛の証明書にサインしちゃうんですね。でも、ここからが凄いところで、ジャンヌは審問官達を呼び戻し、大きな過ちを犯した、火あぶりの恐怖ゆえに嘘のサインをしてしまったことを懺悔して、私は、改悛の証明書にサインした過ち以外は、神と共に誠実にあったことを云うんですね。そうして、火あぶりにされることになるんですが、やっぱり怖いんですね。苦痛が短くありますようにって祈るんですね。そして火あぶりにされてゆくんですね…。このシーンとか、とてつもない表現しようのないものを表現しています。

淀川長治さんは映画作り(物語作りと言い換えてもいいと思います)に携わるものなら、まず第一に観なくてはならない作品とこの作品を述べていますが、僕は、真に信じること、真に愛することについて、想うものなら、まず第一に観なくてはならない映画であると感じています。皆さんにもぜひ観て欲しい映画作品です。日本ではあまり知られていませんが、この映画を作ったカール・テオドール・ドライヤー監督の作品は本当に凄いです。 魂が揺さぶられ、自らが見る前と見た後で変わってゆくのが感じられます。

言葉では表現できない、映画としての頂点の映画と思います。ぜひ、皆様もご覧になることお勧め致します。

後、最後に、これの僕の私観ですが、この映画にでてくるジャンヌ、責められるの辛いし痛いの辛いし怖いの辛いと感じる普通の女の子だけれど、真に信じる、真に愛することを胸に抱いているジャンヌ・ダルク、こういう女の子、僕の好きな貴い聖なる女性です。AIRの観鈴と重なります。

参考作品(amazon)
裁かるゝジャンヌ クリティカル・エディション
ビクトル・エリセ DVD-BOX - 挑戦/ミツバチのささやき/エル・スール
ビクトル・エリセ DVD-BOX - 挑戦/ミツバチのささやき/エル・スール
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