2016年11月

2016年11月22日 11:40

「トランプ氏、就任初日にTPP離脱へ」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161122-00000004-jij_afp-int
【AFP=時事】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領は21日、日米などが署名した環太平洋連携協定(TPP)について、選挙戦の公約通り、「就任初日に」離脱する考えを明らかにした。トランプ氏は就任後100日間の優先事項の概略を説明する動画メッセージで「われわれの法を回復し、雇用を取り戻すため、就任初日に大統領令で実行できる行動のリストを作成するよう、私の政権移行チームに指示した」と述べた。その上で「貿易に関しては、わが国に災難をもたらす恐れがある環太平洋連携協定からの離脱の通知を出すつもりだ。その代わりに、雇用と産業を米国に取り戻す公平な2国間貿易協定の交渉を進めていく」と言明した。【翻訳編集】 AFPBB News

やった!!日本の医療制度・食文化・娯楽文化・経済そのものを破壊して日本人を生活できなくする恐るべきグローバル協定TPP、グローバル多国籍企業が日本を破壊する為に生み出したグローバル協定TPPが遂に完全に終焉した!!ありがとうトランプ!!トランプさんに大統領が決定した後も、もしかしたらTPP離脱の選挙公約ひっくり返しちゃうんじゃという不安があったので、やっとその不安が解消されました。就任初日のTPP離脱を明言してくれて本当に安心できましたね。本当に良かった。トランプのおかげで日本は救われたね…。

お礼にトランプと名づけた高個体値ポケモンをミラクル交換で流すことにします(トランプヤングースだと限定されすぎるので色々なポケモンにトランプと名づける)。アメリカに届け!!

ポケモンwiki「国際結婚」
ポケットモンスターにおける国際結婚とは、タマゴから色違いポケモンが生まれやすくなると言われている方法の俗称である。「国際法」、「国際孵化」などとも呼ばれる。通常、タマゴから色違いポケモンは1/8192の確率で孵化すると言われているが、育て屋に預ける両親の国籍を別にすることによって、その確率を上げる事が出来るという。

具体的に何匹目くらいで生まれたかについては100〜1000匹程度の報告が多いが、これは必ずしも1000匹目までに生まれる可能性が高いという訳ではない。それ以上の数についてはそこまで粘って報告を挙げている人が単に居ないだけかも知れないからである。

ポケトレ連鎖ができないポケモンはこの方法を使って出すのが最良の手段である。

国籍の判定は、ポケモンの言語による。第五世代以前は、ロムによって設定されている言語。
第六世代以降は、ロムの言語とは関係なく、ゲーム開始時にユーザーが選択した言語。

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2016年11月21日 19:09

赤木智弘「世界の右傾化を支える「ポリコレ棒」とは何か」
http://blogos.com/article/198700/
正義の審問官にとっては自分の考えるPCこそが正義に他ならない。正義なのだから対話など必要なく、悪に対して一方的に押しつける態度にしかならない。それに反発する他者は「分かっていない、頭の悪い人」か「悪」なのだから、前者に対しては「しつけ」として、後者に対しては「正義の発露」として、いくら叩いても構わないという心情に至る。

これ、橘玲氏とか岡田斗司夫氏も昔から同じこと言ってますね。元を辿るとニーチェの「道徳の系譜」なんですな。道徳(ここではポリティカル・コレクトネス)の系譜学的分析です。岡田斗司夫さんの政治論・道徳論を語った著書「スター・ウォーズに学ぶ国家・正義・民主主義」より引用しますね。

人間は道徳的に他人を責めることで快感を得る
『他人を道徳的に攻撃すると、脳の快感を司る部分が激しく活性化することが分かっています。道徳は(他人を攻撃することで本能的攻撃衝動を充たすという形で)最大の娯楽の一つですが、それを認めるのは(道徳の根幹を揺るがす為)不都合なので、人々は怒りによって、自分の「不道徳(攻撃性)」を正当化しようとするのです。
(橘玲「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」)』

つまり、こういう風に人を責める(道徳をふりかざして人を責める)のは「良い」「悪い」の問題ではなく、私らの脳に(本能的攻撃衝動として)あらかじめプログラムされているという訳ですね。

タレントのベッキーの不倫にしても、ショーン・Kの経歴詐称疑惑にしても、不道徳だといって責める人が必ず出てくるけど、この人達は何の権利があって責め立てているのかよくわからないし、本人達も自分に対しなぜこれほど怒りを感じるのか理解していないでしょう。

そういう理由のない怒りだとか衝動というものを、私達は持っている。その怒りを収めるために「生贄を殺す」ことが政治の本質なのではないでしょうか。(中略)

例えば、人類学者ジェームズ・フレイザーの「金枝篇」には、未開社会における「王殺し」の神話や伝承が多数収録されています。(中略)地震や日照りについて誰も責任はとれませんが、取れないといって放っておいては私らの感情(自分が損なわれたと感じた時にはその分の損失分かそれ以上の分について他の誰かを損なわせようとする本能的攻撃衝動)は納得しない。何かで鬱憤を晴らさないと我慢できなくなってしまう。

不道徳と思われる人を見かけたらその本人を攻撃して鬱憤を晴らせばいいんですが、国や社会に対する不満のはけ口としては、結局王様が(生贄として)一番適当なんですよ。(中略)

結局のところ政治とは、理不尽に暴発する民衆の心をいかに管理し、どういう方向に誘導するかなんですね。
(岡田斗司夫「スター・ウォーズに学ぶ国家・正義・民主主義」)

橘玲氏とか岡田斗司夫氏は、赤木さんの論を一歩進めた地点から政治を眺めていて、『リベラルとは民衆の一部に「ポリティカル・コレクトネス」という「道徳=暴力への正当性」を与えることで力を得たが、やりすぎて失墜した』『政治とは暴力に道徳的正当性を与えることで民衆を支配するシステムである』と考えているんですね。これはニーチェの「道徳の系譜」に思想の源流があって、欧米のポスト・ニーチェの思想家もだいたいこの考えですね。日本の思想家だと東浩紀氏なんかもこれと同じ考え方をしていますね。

でも、これ、その通りだとしても、何も現状は変わらないんですよね…。ニーチェの道徳の系譜でもそうですが、こういう系譜学は最後は「人間の本性」「人間の本能」「社会とは本性・本能を制御するための技法があるだけの荒野」というところに結論が帰結してしまうので、攻撃的本能に基づいてポリティカル・コレクトネスで他者を攻撃し続けるような人を誰も止められないし(本性・本能なので止められない)、もうどうしようもない。あらゆる破壊的なものは人間の本性、人間の本能に基づいているから…。

ドイツの思想家スローターダイクは著書「シニカル理性批判」でポスト・ニーチェ思想(上記の思想)を批判して、ニーチェ的系譜学に基づいて道徳の欺瞞を暴いても、結局は何の意味も無い。なぜならそれは理想や道徳の欺瞞を暴き道徳とは本能に基づく暴力の正当化であると暴くだけで、新しい理想や道徳については何も提示できないからだ、それはただシニカルな上から目線のインテリであるだけで、社会に対するコミットメントを致命的に欠いている無責任なスタンスである、と述べていますが、私はその通りだと思いますよ…。

社会に対して影響力のある文筆家や思想家が悉く「政治とは民衆の不合理な暴力に道徳的正当性を与えて民衆の攻撃的本能の流れを操作する営みである」「ゆえに社会の不合理は何一つ改善することはできないしそのような仕組みを作ることもできない。なぜなら人間は攻撃的本能に支配された根底的に邪悪な救い難い存在であり、その攻撃性をある程度制御する以外にできることはないからである」みたいな非常にシニカル(冷笑的)でペシミスティック(悲観的)なポスト・ニーチェ的最終結論を出されても、「えっ」って思いますよ、民衆の一員としては…。「人間は根本的に邪悪で世の中に救いはないから社会を良くするなんてアキラメロン」って言ってるのと同じですからね…。結局それは「社会にも人間にも根底的に救いはない」と述べて人々を絶望させることで今現在の支配階級の立場を強化しているだけですよね…。

ちなみにこれは本題とは関係の無い軽い余談ですが、東浩紀氏がトランプ大統領について語っている最近出ていたニコニコ動画みたら以前よりも物凄く太っていて驚愕したんですが…。もしかしたら東浩紀氏の思想に太る要因があるんじゃないかなあ…。肥満をテーマにアシモフらが編纂したアンソロジー「The Science Fiction Weight-Loss Book」で「太る要因の一つは自分に対する楽観主義と外部に対する冷笑主義である」みたいなこと書いてありましたが、東氏の思想ってまさにそれそのものなので、心配になりましたよ…。更に余談ですが、ITベンチャー企業の起業家であり作家である上田岳弘さんの「太陽・惑星」は両作共にまさに上記のポスト・ニーチェ主義の帰結による人類の避け難い完全絶滅を描いている奇妙な味のSFで非常に面白かったですね。特に「惑星」、ゲームのシュタインズ・ゲートを更に先鋭化したような、あらゆる時間に偏在できる能力の持ち主がどのように行動しても、アップルをモデルにしたIT企業の暴走によって引き起こされる最終的な人類史の流れによる人類の完全絶滅は避けられないという、人類にとことん絶望しきっている「惑星」の展開とか、まさにポスト・ニーチェ思想だなと感じました。日本の新富裕層であるITベンチャーの起業家がこういうの書いちゃうくらい、人類全体に対するシニカルな視野が社会の上層にも広がっているのだなと感じさせましたね…。閑話休題。

私は、やはり、希望とか理想がないと社会が良くなる可能性すら閉ざされると思うので「政治とは民衆の不合理な暴力に道徳的正当性を与えて民衆の攻撃的本能の流れを操作する営みである。ゆえにポリティカル・コレクトネスを掲げて暴力を道徳の名の元に振るう人間を止めることはできない。なぜならそれは攻撃性という生物学的本能だからである。終わり」みたいな感じで終わって欲しくないと思います。思想家がシニカルで絶望的な視点だけを「これこそが系譜学的真理!」として出してきても、「社会と民衆は根底的に最悪であると上から目線で分析するだけのあんたたち自体は、一体何のためにいるの?」って思うだけですよ…。バーニー・サンダースがトランプ大統領に理想主義的な要求を出していますが、こういった形で、社会の希望とか理想を何処かに存在するものとして常に掲示し続けることが、社会的影響力を持つ人々の責務としてあると私は思いますね。

アメリカ政治はトランプ対バーニー・サンダースで動き始めた
http://blogos.com/article/198672/
 11月16日、水曜日夜、バーニー・サンダーズ上院議員は、選挙が終わってからはじめて、まとまった演説をし、大きな注目を集めた。フェースブックでは、もう60万の人がみている。
https://www.facebook.com/PoliticalRevolution/videos/1308001395918740/
 このワシントンのジョージタウン大学で行われた演説で、サンダースは、いくつかの問題についてトランプ次期大統領とともに働けることを希望しているといった。(中略)

(1)トランプ氏は社会保障予算をカットすることはしない。メディケアとメディケードを切ることはしないといった。私は拡充せよと主張するが、切らないというのは前提であり、重要な約束だ。

(2)トランプ氏は、1兆ドルを我々の公共的なインフラ整備に投下すると約束した。それをすれば何百万もの給料の良い仕事口ができる。これも私の主張に共通する。

(3)私は、今日の連邦の最低賃金が飢餓賃金であり、それは1時間につき15ドルにアップされねばならないと主張した。トランプ氏は、1時間につき10ドルまで最低賃金を上げなければならないと言った。これは十分ではないが、一つのスタートだ。

(4)トランプ氏は、ウォール街の許しがたい強欲さと悪行を批判し、ニューディールで採用されたグラス・スティーガル法を復活するといった。これは最大の焦点のひとつだ。賛成なことはいうまでもない。

(5)トランプ氏は、6週の有給出産休暇を実現すると約束した。地球上で主要な文明国といえば少なくとも12週の有給の家族と病気療養休暇が条件だが、これもスタートとしては重要だ。

(6)トランプ氏はTPPなどの我々の壊滅的な貿易政策を変えるといった。これも賛成だ。

 時代錯誤の無知で頑迷な人種差別、外国人ヘイト、性差別などではまったく妥協はしない。しかし、以上が、誠実に行われるかどうかが問題だ。

 大統領候補が、この国の労働家族に偽善や嘘をいうことはゆるされないことは分かっているはずだ。これらを注意してみていくし、一緒にできることはいくらでも協力する。期待していると言ってもよい。
  
 以上が演説の主な内容の一部。

私はこの演説に(上記のURLから実際に見れます)全面的に賛同できますね。こうやって社会に理想や希望を掲げるのが、社会的な有力者の本当にやるべきことだと思います。ポスト・ニーチェ的絶望の解毒剤としては「正義論の名著」とか凄く良かったですね。

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スティグリッツ氏警告「トランプは危険人物」
http://toyokeizai.net/articles/-/145890
――ドナルド・トランプ次期大統領が掲げる政策をどうとらえていますか。

同氏の主張には根本的な問題がある。歳出を増やす一方で、全所得層への減税を実施し、米国政府の予算を均衡化すると言うが、三つを同時に行うことはできない。(中略)

──全所得層への大幅減税についてはどう思いますか。

富裕層が最も恩恵を受け、富める者がさらに富み、格差が拡大するだろう。

連邦最低賃金を(10ドル以上に)上げるとも主張しているが、これも実現不可能なことを公約している。引き上げてくれればいいとは思うが、共和党は反対の立場を取っている。トランプは、共和党が異を唱える多くのことを公約している。(中略)

──教授はグローバル化の弊害も指摘されています。自由貿易協定で、米製造業の雇用が減少したそうですね。

米国人の下位90%は、収入が伸び悩んでいる。その点から見ると、米経済は悲惨な状況にある。トランプは、有権者の経済に対する不満を利用した。もっとも、その問題を解決するには最悪の人物だ。彼は格差を拡大する。富裕層に必要なのは減税でなく、累進課税の強化だ。

──年内の利上げは?

イエレンFRB(米国連邦準備制度理事会)議長は制約がある中で非常によくやっている。金融政策だけで完全雇用は実現できない。財政出動が必要なのは明らかだが、共和党が反対してきた。与党になれば、一転して景気刺激策を取るかもしれないが。

先進国の大半がそうだが、米国の金融政策も非常に微妙な状況にある。現在の低金利下では景気浮揚は限定的。財政政策が必要だ。低金利は格差を広げたり、金融市場を歪めたりする懸念もある。(中略)慎重を期するなら、彼(トランプ)が間違いを犯したときに景気を浮揚できるよう(利下げできるよう)、今のうちに利上げするほうがいい、となるだろう。

──日本はいまだにデフレから脱却できません。

日本の過密さを考えると、人口減少は、たぶんいいことだ。低成長は気にならない。成長率(国内総生産=GDP)に目が行きすぎている。

デフレは、低成長、つまり総需要の不足によって生み出される症状だから、総需要が増えればプラスになる。

政府債務もさほど懸念していない。債務の多くは、日本銀行が(国債買い入れの形で)保有しているからだ。

気掛かりがあるとすれば、時間当たりの生産性が高くないことだ。生産性向上には、大学や研究機関への投資を増やし、より付加価値の高い産業を育成する必要がある。

私が重視するのは、生活水準や失業率、格差、貧困、時間当たりの生産性だ。日本の失業率は高くないが、格差は大幅に拡大している。デフレのような「症状」と違い、こうした点を注視している。

「富裕層に必要なのは減税でなく、累進課税の強化だ。」
「日本の失業率は高くないが、格差は大幅に拡大している。」
本当にこの通りとしか言いようがないですね…。補足すると、現在の日本のように格差が拡大すると、中間所得層が消滅して低所得層が爆発的に増えていくんですが、低所得層は良い働き先を見つけることも、大学に行くことも、そしてそれ以前に勉強することさえも全て金銭的及び生育環境的な理由で不利益をこうむるので、低所得層の個々の生産性が低下してそれにより国家全体の生産性も大きく低下するんですね。格差が拡大して低所得層が増えていくということは、総需要が減少して総生産性が低下して国家そのものが先進国から発展途上国に落ちていくということとイコールですのに、日本の政財界はそのことを完全に無視しているのが(世界的な大企業は多国籍大企業として動けばいいので日本はどうでもいいと考えている。日本ローカル企業は壊滅的打撃を受けるが危機感がなぜかゼロ)、日本の絶望的でお先真っ暗なところなんですね…。

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2016年11月20日 16:53

ポケモンサンムーンプレイヤーを悩ませる「仲間呼び」、何とかしたいと思いませんか?

ゲットしたい野生が仲間を呼びまくりでうざすぎる!

├ 1.状態異常攻撃を使う

│    [まちがい]
│      一つの方法ではありますが、状態異常が効くとは限らないのが難点です。
│      それよりも別の手段を探してみませんか?
│      ちょっとしたボール選びでなんとかなるかも?
│              ↑
│          ココがポイント!

└ 2.開幕クイックボールを使う

      [せいかい]

クイックボール無双ゲームだと気付くか否かが本作の評価の分かれ目になる気がします…。個人的には私はポケモン全部集めるとかやらずにストーリーだけガンガン進めて遊んでストーリークリアしたらそこでポケモン終わりなのであまり気にならないのですが(寧ろバトル難易度が一ひねりしてあるのが面白く感じる)、ポケモンはポケモン全部集めて、対戦してからが本番という多くのプレイヤーにはきついという言葉すら足りないような鬼仕様ですね、仲間呼び…。流石にこれは公式がオンラインパッチ配布して修正されるんじゃないかな?

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2016年11月19日 18:25

魔法少女育成計画第七話視聴。魔法少女育成計画の正体は甲賀忍法帖バジリスクだった…!?魔法少女の姿してハードゴア・アリスとか名乗っている薬師寺天膳殿が出てきたんですが…。ハードゴア・アリス、銃撃でミンチよりもひでえや状態にした後に強酸で全て溶かしてガソリンで焼いて灰をコンクリ詰めにして海底に沈めてもすぐに復活するとか、不死再生能力者の中でも最強クラス過ぎませんかね…。藤井八雲とか麻生祇燐とかの超常的な不死再生能力者でも、ここまで強烈に再生復活はできなそうですし…。

魔法少女育成計画、魔法少女という超常的な特殊能力者同士が集団で殺し合いするデスゲームの物語なので、完全にバジリスクっぽいですね。全然事前情報なしで見ているので、魔法少女物だと思ったら実はバジリスクだったとは驚かされる…。超能力者同士の殺し合いを裏で糸を引いて仕組んだ南光坊天海=ファヴって感じですね。魔法少女の能力は敵魔法少女を殺すために存在しているとか、魔法少女物は果てしなく遠くに来てしまいました…。

あと、今期はドリフターズといい、魔法少女育成計画といい、バイオレンスな表現を物凄く頑張っているアニメが多くて、好感が持てますね。アニメは地上波で見ているので、過激な表現を真っ黒な黒塗りとかで隠して「ちゃんと表現されているのが見たい人はブルーレイで見てね」的な表現規制アニメを見ると物凄くがっかりする…。今期のアニメはバイオレンスな表現を隠さずにかなりダイレクトに地上波で映していて、製作側が規制派のクレームを恐れた自主規制することなく、表現の自由を頑張っているなと感じられて応援したくなりますね。「アニメは子供の物」みたいなイメージがあるのか、地上波放映アニメは全般的に過剰なまでに自主規制が強いですが、魔法少女育成計画のような大人向けの深夜放映の地上波アニメの表現規制のレベルは地上波で放送される洋画表現の規制レベルに準ずる形でいいと思います。

私は、日本のアニメで思い切り大人向けの作品を作るのが難しい原因の一つには、地上波アニメの表現の自主規制問題が大きくあると思っているので、その部分が解決されれば、黒沢清監督作品とか、ダリオ・アルジェント監督作品のような、言語化不可能な表現の領域において大人の鑑賞に深く堪え得る作品ができる可能性はかなりあると思うんですよね…。

私は幼い頃、陽気な学校生活を送っていたが、感覚の中ではいつも違和感を感じていた。自分がここにいるのは間違っているという感じだった。私の目に見える世界とみんなが感じている世界は微妙に異なっていると思っていた。私が見ている夜はもっと暗く、息をしているように思えた。自然は美しく優しいだけではなく、夜になると本性を表すように思えた。それを言葉で説明することはできるが、ビジュアルだけはどうやっても伝えることができないと思っていた。

ダリオ・アルジェント監督の映画をはじめて観た時、私は心底ほっとした。私の目に見えているのと同じ色で世界は描かれていた。いまだに、他のどの映画でも、その体験には出会っていない。彼の描く夜が、孤独が、私の世界と全く同じ生々しい色彩に溢れていて、私はなぜか彼の作品の中ではじめて真のくつろぎを覚えた。それは、殺人とか恐怖とかのことではなく、その背景に常にある徹底的な孤独の、色彩だと思う。あのような孤独な世界では、死は常に隣に、生々しく息づいている。だから、恐怖が彼にとって人生を描く唯一の手段なのだと思う。彼の映画はホラーというジャンルに厳密には属していない。かといって彼は抽象的な映画を撮っているわけではない。彼は心理学的な象徴の世界とそこにひそむ美と、厳密にいえば人生に対するある種の愛情を彼の心理そのままに忠実に表現しているのだと思う。
(吉本ばなな「ばななブレイク」)

私がアニメの魔法少女育成計画を見て「良いな」と感じるのはまさにここですね。本作において魔法少女達が人知れず凄惨で血みどろの殺し合いをするのは、いつも夜なんですね。夜に魔法少女に変身する彼女達は常に殺される不安と恐怖、そして殺戮に対する衝動を抱えている。その恐怖に充ちた焦燥と暗い衝動を夜の暗黒、先の見えない暗さと共に魔法少女達の孤独な姿として毎回見事に表現しているところが、私は本当に素晴らしいなと思いますね…。

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ポケットモンスターサン・ムーン、サンをプレイ中ですが凄い面白いですね!!パートナーはニャビーにしました。ポケモンはブラックホワイト2をクリアした後はそれ以降のポケモンをやっていなかったので、物凄く派手かつ遊びやすくなっていて(あまり育成とか捕獲にこだわらなくてもストーリーがガンガン進んでバトルが派手でテンポが最高に良い)良い感じに物凄く進化していて驚きました。New3DSは持っていないので無印の3DSLLで遊んでますが、特に問題なく楽しく遊べています。

ただ、3DSだとどうしてもハード性能的限界を感じるので(十二分に面白いですが、ただ多分もっと派手に演出したかったんだろうなあと感じさせるところが結構ある)、ニンテンドースイッチでポケモンが出ると良いなあ…。

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2016年11月18日 10:32

月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)

牧野修はときに「現実崩壊感覚」の描写に優れているなどと評されることがあるが、これは評論家たちに特有のもってまわった言い方であって、要するに「狂気」を描写することに誰よりも優れているのだ。
(山田正紀「わが子よ、月世界小説を読みなさい」)

牧野修「月世界小説」読了。私は牧野修さんの本はノベライズやシリーズ物も含めて商業出版されたものは全部読んでおりますが(亜羅叉の沙等の別名ペンネームの同人誌作品は入手が困難なので商業出版されたNULLの一部作品以外は読んでないです)、個人的には間違いなく牧野修さんの作品の集大成であり最高傑作だと思いますね。

本作は今までの牧野修さん作品の主体(メタ次元と狂気と言語への偏執+コテコテ大阪ノリいちびり)に筒井康隆「虚構船団」山田正紀「神狩り」山本弘「ギャラクシー・トリッパー美葉」を三身悪魔合体してぶち込んだような作品でして、この例えが分かるお方々には最高に面白い作品だと思います(というかこの例えが分かる人は既に読んでそうですが…)

百聞は一見にしかず。本作の特徴的なシーンを引用しますね。

その時銃声が聞こえた。
「退避!」
叫んだのは石塚だ。
皆が一斉に階段の影に隠れた。
「道夫(脚注1)、策敵開始だ!」
返事はなかった。

脚注1:本名ハットラレ半蔵。恥ずかしがり屋の忍術使い。得意な忍術はいろいろ返し。怖くなるといろいろ裏返してみせる。口癖は「ひっくり返っちゃったでござる」。

「撃たれたよ」
情けない声がした。見ると太秦映画村でしか見たことのない忍者装束を着た道夫が、泣き出しそうな顔で石塚を見ている。
「どうやら脚注弾で撃たれたみたいでござる。それではここらでドロンでござる。いろいろ返し!」
ぽん、と気の抜けた炸裂音とともに、道夫の姿が消え、代わりに血塗れの臓物が現れた。
どこからともなく道夫の声がした。
――ひっくり返っちゃったでござる。

「どこから撃ってきている」
石塚が呟いたのと同時に、カラスが陰から飛び出した。
「あの馬鹿!」
石塚の悪態はカラスの銃声で聞き取れない。
「菱屋、急げ。この物語は既に誰かによって語られている。我々は《累》の力を得なければ、この物語に介入も出来ない」
菱屋が唸る。そう云われても、彼にはどうしたらよいのかがわからないのだ。
唐突に銃声が止んだ。
「カラスさん(脚注2)」
呟いて、しくじったことに気がついた。カラスに打ち込まれた脚注弾が、今の台詞で有効になったのだ。

脚注2:坂之上フンギリ博士。オランダ生まれの工学博士。比較的踏ん切りがいい。我慢できずオナニーをすると消える呪いを掛けられている。

切ない喘ぎ声が、しんとした部屋に響いた。カラスの姿はもうない。
「菱屋!」
石塚に睨まれるが、菱屋にはどうしようもない。残されたのはこの二人だけだ。

本だ本。
冷や汗を流しながら菱屋は考える。
月世界小説に何かヒントがあるはずだ。いや待てよ。今語られているこの物語が月世界小説そのものではないのか。月世界小説月世界小説。
そうだそうだそうであるなら……。
そうかそうなのかそうだったのか。
そこでようやくわたしは気がついた。この物語が誰によって語られているか、だ。
そう、既に描写を終えている。それはわたしだ。
わたしが――菱屋修介でありヒッシャー・シュスケットであるわたしがこれを語っている。そして語られた物語がそのまま世界になっているのなら、わたしは今《累》と共にいるのだ。

気がつくと同時に、わたしは全ての状況を把握していた。

索敵を開始する。

室内の描写をテキスト解析し、三人称視点がどこに最も近づいていたか――所謂観察点POVを探し出すのだ。すぐに敵の位置が正確な三次元座標で表示される。

相手は不可視である。もともとそれは非言語的存在なのであり、認知されないことが前提だ。

銃火が見えた。

発射された脚注弾が石塚へと向かうのが見える。

私は細く長い《累》の指でそれを掴み取った。高速で動いている訳ではない。物語に関与すれば、時間を引き延ばすことなどわけもない。

さて、反撃だ。

わたしは座標で示された地点へと機銃を向けて、ファントム・トリガー(幻銃爪)を引いた。銃火とともに7・62ミリ校正赤色弾がリズミカルに発射される。
トルトルトルトルトルツメトルツメママトルママママママママトルママトルママトルトルトルトルトル!!
間違いなくわたしは《累》を通じて敵の物語に関与している。続けてわた














  を避けた。物語に亀裂が生じた。さすがはミッシングページ・ボム(落丁爆弾)の力だ。何ページを無駄にしたか知らないが敵は既にいない。

「《累》を世界n+1へ」
云ったのは部隊長だ。
わたしにはどうすれば良いか判っていた。
わたしは耳を澄ます。目を皿のようにする。犬となって気配を嗅ぎ、皮膚を粟立てて存在を感知する。舌を伸ばし次元を舐める。
聞こえた。
もう一つの《累》とそれに乗ったもう一人の菱屋修介の声が。
〔私は警告する。集え。そして戦え〕
避けた次元からどっと流れ出した暗い濁流が、わたしを《累》を呑み込む。
濁った血にも似たそれは《累》の暗く淀んだ呪詛の力だ。
そして我々は神の御前へと召喚されるのだった。
(牧野修「月世界小説」)

このシーンは無限大の平行宇宙全ての命運を掛けた神との最終決戦のシーン、これまでずっと共に戦ってきた戦友が死んでゆく物凄く悲壮なシーンの筈なのに読者はゲラゲラ笑うしかないというこの狂気!!まさにメタ狂気としか言いようが無い。

ちなみに余談ですが、本作の主人公、全ジャンル主人公最強ランキングの暫定1位のハリイ・ガーバー(ルーディ・ラッカーの小説の登場人物)に勝てるんじゃないかな。本作の主人公は、自分のいる世界の語り手であり世界を語りなおすことができるので、それは、どういう次元とかどういう世界とかがどうこうでなくて、常に自分のいる世界の一階層上のメタ視点(三人称、小説を執筆する作者の視点)から一人称で世界を語れる存在であるということなんですね。ハリイ・ガーバーがどれほど高次元に居ても、彼が語ることのできる存在、三人称視点で語られてしまう存在、すなわち小説の主人公である以上、原理的に本作主人公に勝てないように思いますね。全ジャンル主人公最強ランキングのルールだと同時に同場所同世界(語れる場所)に存在して戦いが始まる訳ですから、本作主人公が相手のいる次元のメタ次元から戦いを語って「わたしは戦いが始まると同時にハリイ・ガーバーに勝っていた。ハリイ・ガーバーが持っているとされていた能力は全て妄想に過ぎず、彼には戦いの前から何一つ能力などなかったのだ」とでも語ったら終わりですからね。メタ次元からのメタ視点(作家の視点、三人称視点)からしてみれば、語られる下位階層(物語世界)でのスピードとか物理的強さとか全く無意味な訳です。どんな強いキャラが出てくる小説であっても、一番強いのはそれを書いている作者さんでして、作者さんの語りによって、彼らは世界の中を動いている訳ですからね。閑話休題。

本作のことに戻りますと、個人的に最高に面白かったのは、この「月世界小説」自体がメタ仕掛けのトラップボムみたいなもので、この小説を日本語で最初から最後まで読んだ読者は全員「神VS人類の森羅万象全てのマルチユニバースを賭けた究極の戦い」に巻き込まれてしまうところですね。ほんと、読み終わって、「やられた!!」って気持ちになりました。ゲームの「ガンパレード・マーチ」や「Ever17」とかにもあるメタ仕掛けですが、本作はより徹底的かつ究極的に、読み手を否応無く神との戦いの前線に無理やり参戦させてしまうのが、もう流石ですとしか言いようが無い!小林泰三の「本」に出てくる「本」を読んで親方様がいつのまにかインストールされた読者や「ジョジョの奇妙な冒険」で矢に撃たれてスタンドが発現したスタンド使いのような気持ちになれます。日本語オソロシスって気持ちになれる究極の日本語論日本語小説ですね。日本語は神滅剣アル・ゾディアだった!?

人は決して二つの役割(ロール)を同時に受け入れることが出来ない。自己とは統合された何かだからだ。もし二つの役割が同居してしまったら、それはすなわち狂気に陥ったということだ。統合失調症というのはそういうことだ。自己を成立させる言語も、当然のことだが二つ以上の言語を同時に受け入れることは出来ない。二つ以上の公式言語が存在する多言語社会では、二言語変種使い分け(ダイグロッシア)や三言語変種使い分け(ポリグロッシア)と呼ばれる使い分けが生じる。それは例えば使用される領域(ドメイン)や相手との社会的関係などによって決定されるのだが、モザイクのように多言語が入り組むことはまずない。二つの言語が同時に使用されないのは、二つの役割を同時に受け入れられないことと全く同じ意味を持つ。

しかし日本人は大和言葉の中にそのまま漢語を取り入れた。漢語をそのままに表記し、そのままで翻訳してしまったのだ。そして翻訳のために読み足した部分を書き写す記号として「仮名」を生んだ。本来の日本語を「仮の名」と呼んだのだ。それに対する「真名」が、外来語である漢語だ。

こうして言語に文化的政治的格差から上下関係が生まれること自体は良くある。例えばローマ帝国が拡大していくにつれ、ラテン語が使用される領域も広がっていく。ラテン語は『文字の技術(グラムマテイカ)』と呼ばれ、支配者階級によって公的に残される文章は全てラテン語で、必然的にラテン語を解さないものは身分の低いものとなる。こうして土着の言葉、つまり俗語が公用語に呑まれて消えていくこともある。

中国が領土を広げる過程は漢語の文化的侵略の歴史でもある。そして文化的に独立すれば漢語は消えていく。例えば韓国はその途中でハングルと漢字が共存していたが、戦後ハングルが公用化され、漢字は消えた。ベトナムでも漢字が消え、クォックグーという独自の表記体系になった。

しかし日本語はそうはならなかった。

仮名と真名は二つとも一つの言語の中で生き残ったのだ。表意文字と表音文字、上位言語と俗語、男の言葉と女の言葉、外国語と自国語が一つの表記の中で共存する。それで日本民族が発狂したなどと云う話は聞かない。

それを許したのは西洋的な意味での自己とは異なる二つの、あるいはそれ以上の自己を平行処理することが可能なメタ言語が日本語だからだ。そして日本語を理解することで日本語脳が生まれる。
(牧野修「月世界小説」)

いままで、るる書きしるしてきたことはすべて『月世界小説』を解説するための準備であり、いわば助走なのだといっていい。助走にずいぶん紙数を費やしてしまったが、それはそれだけ『月世界小説』が歯ごたえのある――こんなふうに書くと、だいたいの「解説」では大あわてで、「でも無類におもしろい」と付け加えるのが、いわばお約束のようになっているのだが、この場合はそれがほんとうなのだから仕方がない――でも無類におもしろい小説なのだ。
(山田正紀「わが子よ、月世界小説を読みなさい」)

私も本書が無類に面白い小説であることを保証しますよ!!皆さんにぜひ最初から最後までじっくりと読んで欲しいですね。そして神と戦うペルソナ使い…もとい日本語使いとして目覚めるのです(えっ!?)

月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)
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2016年11月16日 16:16

グローバリゼーション・パラドクス: 世界経済の未来を決める三つの道

トランプ旋風を分析した大澤真幸「トランプのふしぎな勝利」読了。トランプ旋風の分析は専門家から門外漢まであらゆる人が行っていますが、私個人としては、この「トランプのふしぎな勝利」が最も納得の行く分析でしたね。一読の価値有りと思います。

大澤真幸「トランプのふしぎな勝利 上」
http://news.livedoor.com/article/detail/12290620/
大澤真幸「トランプのふしぎな勝利 下」
http://news.livedoor.com/article/detail/12290621/
 まず、はっきりと言っておこう。確かにトランプは勝った。そして、私は今、トランプの人種主義や性差別主義が、トランプの魅力にもなっていると述べた。しかし、トランプに投票した人が、トランプと同様に人種主義的であると思ったら大間違いである。トランプに投票した人が、トランプと一緒に、女性蔑視していると考えたら、事態を見誤ることになる。まして、トランプ支持者は、ハラスメントの推進派だなどと考えたら、とんでもない。もし、真正の人種主義者やほんとうの家父長制的性差別主義者しか、トランプを支持しなかったら、彼は選挙に完敗していただろう。

 それでは、なぜ彼は勝てたのか。とてつもない欠陥に見える彼の顰蹙ものの言動が、どうしてポジティヴな要因に転化したのか。

 もう一度、クリントン側を見よう。繰り返すと、そこには、ほとんどすべての立場、すべての価値観が多文化主義的な包摂されている。だから負けるはずがないように見える。しかし、彼女は負けた。ということはどういうことか。その「すべての立場」が前提にしていること、どんな価値観を主張するものも「それだけは前提だよね」と自明視していること、そのことが有権者に拒否された、と考えなくてはならない。それは一体何なのか。

 答え。それは、グローバル資本主義である。これだけは基本的な土俵である。これだけは、受け入れなくてはならない。これさえ、グローバル資本主義さえ受け入れてくれれば、どんな立場、どんな価値観でも許容しよう。これが、クリントン陣営である。

 多文化主義とか、political correctnessとは、グローバル資本主義を受け入れる限りでの多様性ということである。それだけ受け入れれば、どんな立場も寛容に平等に受け入れましょう、というわけだ。だって、そうでしょう。これ(グローバル資本主義)以外の選択肢はないのだから。……というのがクリント側の主張である。

 すると、当然、グローバル資本主義の不可避の産物は、グローバル資本主義に必然的に随伴するものは受け入れなくてはならない、ということになる。たとえば、それは何か。とてつもない不平等や、とんでもない階級的搾取である。それは、幾分かは緩和できても、無にすることはできない。資本主義は、「格差(不平等)」を食って生きているのだから。

 そうすると、クリントン側の主張は、欺瞞的なものにも聞こえてくる。なぜかと言えば、彼女たちは客観的には次のような態度をとったことになるからだ。一方で、「私たちはどんな価値観も公平に平等に受け入れます」と言いながら、他方で、最も過酷な不平等(資本主義がもたらす格差)だけは容認する、と。

 有権者からすると、こんな気分になる。ろくな収入も仕事すらもなく、社会から、「お前はゴミだ」と言われているときに、移民も大事だとか、LGBTの人に寛容に、だとか言われてもなあ〜。かつてのオバマ大統領のスローガンを変形させると、クリントンのスローガンは、客観的にはこうである。Change without Change. 資本主義という枠組みを変えないならば、どう変えてもよい。…ということは、本質的なところは変わらない、ということになる。格差や搾取は、基本的にはそのままなのだから。(中略)

 トランプが言っていることは、実質的には次のようになる。資本主義がもたらす成果、それがもたらす富をいただこう。ただし、「格差」は抜きにしてみせよう。いや、少なくとも、アメリカ人は搾取されない(仮に搾取する側になるとしても)資本主義にして見せよう。

 実際、トランプを支持している人が期待したのはこれである。資本主義の実りである富はある。しかし、自分たちは絶対に搾取されない。そんな資本主義をいただこう。

 それで、そんな資本主義は可能なのか。無論、不可能である。そんな都合のよいことができるくらいなら、最初からそうしている。トランプが公約したこと、トランプに期待していることは、端的に不可能だ。それは、「資本主義なき資本主義」と言っているに等しいからだ。

 にもかかわらず、人々は、トランプを支持したとき、半信半疑ながら、そんな都合のよいことが、搾取なき資本主義のようなことが可能かもしれない、という夢を見ているのである。半信半疑ではある。だから、アイロニカルな没入なのだ。しかし、アイロニカルであっても、没入は没入である。

 だが、どうしてそんな夢を見ることができるのか。ここで、あの顰蹙を買った言動が効いてくる。非常に寛容な多文化主義でさえも、さすがに容認してくれそうもないような、あからさまに非道徳的な言動をとること。非の打ち所もなく、反論もできないようなpolitical correctnessのルールを、堂々と恥ずかしげもなく蹂躙すること。このことが、誰もが当然のように前提にせざるをえない地平の外に出ることが可能だ、という幻想を生むからである。拒否できそうもない地平とは、もちろん、グローバル資本主義である。

 多文化主義やpolitical correctnessは、いわば、グローバル資本主義の政治的な表現である。誰もが、それらを蹂躙することには躊躇を覚える。どこかおかしいところがある、何か胡散臭いと感じても、どうしても、多文化主義やpolitical correctnessを否定することはできない。そんなふうに感じているとき、一人の男が、平気な顔をして、それらを侵犯し、蔑ろにしてみせた。このとき、人々は、別に、彼の人種主義や性差別がすばらしい、と思うわけではない。ただ、その言動は、多文化主義やpolitical correctnessと表裏一体にくっついているグローバル資本主義の外に出ることが可能なのかもしれない、ということを表現するサインになるのだ。(中略)

 私は、現在の選挙結果を前向きに考えることにした。絶対に優位だと思ったクリントンが負けた。ということは、人々は、ある意味で、「革命」を求めているのだ。ここで革命というのは、自明とされている前提を――つまり資本主義を――相対化するような変動という意味である。この自明の前提(グローバル資本主義)そのものの帰結が、もはや耐え難いのだ。

 では、トランプを選んだということは、それ自体、「革命」なのか。そうではない。今述べたように、それは失敗に終わる。端的に不可能なことを実現しようとしているのだから。

 だからといって、クリントンを選んだとしても、救われはしない。クリントンを大統領にするということは、致命的な生活習慣病を抱えながら、対症療法だけで延命するようなものだ。細々と寿命を少しは延ばすことにはなるが、致命的な病は致命的な病だ。人は病を徹底して治す機会を逸して、いずれ死ぬ。

 トランプは危険な賭けだが、そのはっきりとした失敗を媒介にして、人々は、初めて、真の革命の必要を自覚するだろう。私は、つい先日、『可能なる革命』(太田出版)という本を出したばかりだ。トランプ大統領(の選択)自体は、未だ〈可能なる革命〉ではない。しかし、それは〈可能なる革命〉に至るために、絶対に通過しなくてはならない試練であり、失敗なのかもしれない。クリントンを取っていたら、革命は端的に不可能になっていた。

完全に同意する分析ですね。最後に自分の著書を宣伝しているのはご愛嬌ですが、主な論旨について私も大澤真幸氏と全く同じく思います。「(グローバリズムを推し進める)クリントンを取っていたら、革命は端的に不可能になっていた」というのは、後述しますが、ダニ・ロドリックも同じようなこと述べていますね。

「ここで革命というのは、自明とされている前提を――つまり資本主義を――相対化するような変動という意味である。この自明の前提(グローバル資本主義)そのものの帰結が、もはや耐え難いのだ。」

ヒラリーの言っていたことは大澤真幸氏が述べるようにグローバル資本主義を不可侵な聖域であり推進すべきものとしている時点で深い欺瞞なんですね。彼女が日本の安倍首相と同じく熱狂的なグローバリストであり国家よりも多国籍大企業を優越させるグローバル資本主義の尖兵であることは彼女のあらゆる発言や行動から誰でも分かる訳ですよ…。

「クリントン側の主張は、欺瞞的なものにも聞こえてくる。なぜかと言えば、彼女たちは客観的には次のような態度をとったことになるからだ。一方で、「私たちはどんな価値観も公平に平等に受け入れます」と言いながら、他方で、最も過酷な不平等(グローバル資本主義がもたらす格差)だけは容認する」

ということな訳です。グローバル資本主義の齎す格差を前提とした政治なんてこと言われたら貧しい人にとっては「はぁ?何言ってるの?」としか思わないですよ。オバマ大統領の8年間で、富は上層階級に集中して貧富の差は拡大し、アメリカのジニ係数は全く変動しなかった、つまり景気が良くなっているのではなく、上昇した景気分の利益は全てグローバル経済の上層階級が掻っ攫っていった訳です。そんな政治を更に続けるとか、そりゃ悪夢以外の何物でもないでしょう。

日本なんかますます訳が分からなくて、ヒラリー支持で安倍不支持という人がテレビに出てくる識者と呼ばれるような人々に一杯いる訳ですよ。でもヒラリーの政策と安倍の政策ってほとんど同じじゃないですか。グローバリズム拡大、グローバリズム拡大の結果として起きる貧富の格差の拡大の是認、軍事展開重視、多国籍大企業を国家主権よりも優遇、他国への介入主義。日本のニュース番組とか見ているともう本当に、「お前は何を言っているんだ」と言いたくなるコメンテーターがわんさかいますよ…。

ハーバードの国際経済学者ダニ・ロドリックは、「グローバリゼーション・パラドクス 世界経済の未来を決める三つの道」として、以下の三つは、二つしか達成できない世界経済のシステムになっていることを語っています。究極的には、ある程度成功した国家のその後に進む道というのは下記の三つのうちどの二つを取るかという選択になってくるということなんですね。

1.グローバリズムによる自由資本主義(=貿易の活性化及び貧富の格差の拡大と貧困層の増大)

2.国家主権(=国家が市場からの要求に対して国家の独立性を保てるかどうか)

3.民主主義(=議会制民主主義。国民が選挙により国家の行く末を決めることが出来る国民国家かどうか)

分かりやすいところで言えば、中国は3を捨てて1と2に特化した国家なんですね。EU圏はこれはちょっと複雑なんですが、大雑把に言えば1と3を取って2を捨てているんですが、2の欠片がまだ地域ごとに残っていて、2と3が強くなるとその地域はEUから離脱していく(イギリスのように離脱していく)という感じです。日本はTPP条約が発効してISD条項により国家主権が多国籍企業の権限によって制限されていくようになると、EU圏と同じく1と3を取って2を捨ててゆくタイプになるんですが、TPPが頓挫しそうなのでなんとかそこまではゆかずに踏みとどまっているところです。

で、アメリカもグローバリズムを推し進めてEU圏タイプの1と3を取って2を捨てていく形になるのかと思われたら、それに思い切りブレーキが民主主義的に掛かった、それがトランプの勝利(2・3の勝利)なんですね。ダニ・ロドリックはこのことを予想していて、グローバリズムによる自由資本主義は国内の貧富の格差と貧困層の増大を齎すので、民主主義国民国家においては、人々のボトムアップな声(下からの声)としてまさに民主的にストップが掛けられるだろう。結果、民主主義国民国家においては2と3の勢いが増して、世界は無秩序にグローバル化が進むのではなく、グローバル化にストップが掛かる地域と掛からない地域が混合したカオスな状態になるだろうって予想しているんですね。

ダニ・ロドリックは貧しい人々を救うべきと考える本当の意味のリベラルで理想主義者的なところのある経済学者でして大勢の人々を貧しくしていくグローバリズムの進行に反対しているので(ちなみに余談ですが、グローバリズムに賛成するリベラルはリベラルではなく、世界的収奪者とかワンワールド主義者とか、リベラルではなく別名を名乗って欲しい…)、最終的には人々の善意と良識によって2と3が最終的に民主主義国民国家では選ばれるだろうというのは彼の願望が入った予想なんですが、トランプの勝利というまさにその通りのことが起きたことは、真に希望だと思います。

今回のことで一番重要なことは、グローバリズムで利益を得る超少数のグローバル富裕層以外の人々、つまり地球上のほとんどの人々にとってみれば、1の勢いが強まるというのは悪夢以外の何物でもないということです。21世紀はグローバリスト対反グローバリストが戦う世紀になると予想致しますね。

あと、リベラルの中でも、グローバリストリベラルと反グローバリストリベラルはもう完全に正反対に政治的立ち位置が違うのに、「リベラル」で一緒くたにされるのは、本当になんとかしてほしいです…。TPPを支持するようなグローバリストリベラルはリベラルじゃなくて、格差拡大賛成論者とかワンワールド主義者とかギャラクシーエンパイア主義者とか名乗ってくれないかなあ…。彼らの理想は銀河帝国ですから…。

パルパティーン
「銀河の安全と安定を恒久的に維持していくために、共和国は解体・再編され、新しく第1銀河帝国が誕生する!より安全で安定した共同体に変わるのだ!」

銀河帝国議員達「一つの法!一つの意志!一つの安定!」
(スターウォーズ シスの復讐)


グローバリゼーション・パラドクス: 世界経済の未来を決める三つの道グローバリゼーション・パラドクス: 世界経済の未来を決める三つの道
著者:ダニ ロドリック
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スター・ウォーズ エピソード3:シスの復讐 (講談社文庫)
著者:マシュー・ストーヴァー
講談社(2016-12-16)
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著者:大澤真幸
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大葉ナナコ「母親のエネルギーをもっともっと」ポンチ絵の来歴と母性看護学の問題
https://twitter.com/i/moments/798455581782654976

官邸公式HPに置かれている上記の図、これ、完全に母原病概念ですよね…。子供と母親がイコールで結ばれていて、本来は存在する子供と生育環境の関係性、母子関係性以外の関係性を全く見ていない。こんな亡霊みたいな母子関係性特化概念がいまだに存在するとか、非常に暗澹となるんですが…。

ウィキペディア「母原病」
母原病(ぼげんびょう)とは、日本の精神科医久徳重盛が1979年に発表した精神病の概念で、児童の身体的あるいは精神的な病気の多くは、母親の子供への接し方に原因があるとするものである。科学的根拠がなく、個人的な主張の域を出ない疑似科学の類であるが、これを主張した書籍は日本でベストセラーになり、日本の大衆に一定の影響を与えた。

1979年、久徳の著書『母原病―母親が原因でふえる子どもの異常』(サンマーク出版 ISBN 4763182196)が日本でベストセラーになった。当時の日本では不登校(当時は「登校拒否」と呼ばれるのが一般的)の問題が起き始めていた。久徳は「登校拒否は母原病」(=児童の登校拒否は母親の接し方に原因がある)と主張し、多くの母親を「自分が悪いのだ」と自責の念に駆りたてた。現在ではその説はほとんど事実上の説得力を持たなくなっている。

虐待などがあった場合、それは子どもの精神的な歪みにつながる可能性があるが、久徳が指摘する「母原病」はそのような特殊なケースではなく、一般的なレベルでの「甘やかし」であるとか、「愛情不足」であるといったもののことを言う。(中略)

母原病という表現は批判を受けて減りつつあるが、ジェンダーの責任を女性個人に転嫁し自閉症や不登校への誤解を招く表現として「母子密着」や「日本型親子関係」などが依然として唱えられる傾向にある。

1980年代にインチキ精神医学の母原病(未成年の問題行動や精神病・神経症は母親の育て方に全ての原因があるとするトンデモ精神医学、母親は子供に全精力を注ぐべきという論調で兼業主婦に対する批判としても機能した)の概念が日本中で広まってしまい、それによって子供の問題の責任を全て押し付けられた母親の育児ノイローゼやしつけの神経症的行き過ぎなど問題が多発したんですね…。

1990年代頃からやっと母原病=インチキ精神医学であり、子供の問題の全てを母親に押し付けるのはおかしいという問題意識が広まってきて(この問題について母原病概念を批判したフェミニズムは社会科学的に評価されるべきだと思います)、母親に子供の責任の全てを転嫁する悲劇が収まったのに…いまだに母原病の亡霊がうろついてるのか…。非常に暗澹たる気持ちになりますね…。

今の医学(発達心理学等)だと子供の成長はその生育環境に大きく左右されるとされていて、それは母子関係のような部分的要素ではなく、その子供のいる全体的生育環境によるとされていますね。だからこそ、社会全体の子育て支援・環境整備が重要なんですね。こんなこと門外漢の私が述べるまでもなく、国の専門組織である厚生労働省や文部科学省とかはちゃんと知っている筈なのになんで官邸にこんな母子関係のみに特化した画像を出しているのか理解に苦しみます…。

社会を結びなおす――教育・仕事・家族の連携へ (岩波ブックレット)社会を結びなおす――教育・仕事・家族の連携へ (岩波ブックレット)
著者:本田 由紀
岩波書店(2014-06-05)
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子育て奮闘中の母ちゃんドクターが書いた 「男の子ママ」の悩みをぶっとばす言葉子育て奮闘中の母ちゃんドクターが書いた 「男の子ママ」の悩みをぶっとばす言葉
著者:須藤 暁子
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2016年11月15日 14:13

フランス・ドイツにスティーブン・バノン氏のブライトバート・ニュースが進出という記事を昨日読んで、フランス、ドイツは今どうなっているのかなと思って調べてみたら…。

現在のフランスって、現大統領のオランド氏が貧困層や非エリート層を口汚く罵倒していたことがマスコミにすっぱ抜かれて大スキャンダルになっており、オランド大統領の支持率は4%しかないんですね。欧州の歴史以来、ぶっちぎりの歴史的最低支持率で歴史上で最も不人気な大統領と呼ばれているそうです。フランスの左派政党である社会党から大統領になった人が貧困層や非エリート層に差別意識丸出しで罵って支持を全て失うとか、意味が分からな過ぎる…。一体なんなんこれ…。

自滅するフランス大統領:奈落の底へ(英エコノミスト誌 2016年11月5日号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48357
 2人のジャーナリストが先月出版した、オランド大統領(社会党)との録音されたインタビューに基づく全662ページの書籍で、オランド氏はありとあらゆる人を侮辱していた。判事、サッカー選手、自身の内閣の閣僚などだ。

 再選を目指す指導者が、フランス大統領選挙の6カ月前にそのような政治的自殺行為をみせたことで、大統領の味方は唖然とし、彼の政治家としての将来はとめどなく落下することになった。(中略)

 衝撃的だったのは、オランド氏が語ったことだ。大統領は司法を「臆病な機関」と呼び、フランスのサッカー代表チームを「育ちの悪いガキ」、貧しい人を「歯抜け」と呼んだ。フランス議会のクロード・バルトローヌ議長の名声を、そして自身の内閣のナジャット・ヴァロー・ベルカセム教育大臣の学歴をけなした。どちらもオランダ氏とは異なり、エリート官僚養成大学院のフランス国立行政学院を出ていない。オランド氏は話のついでに、フランスのシークレットサービスによる標的の殺害を4件承認したことを認めた。ダメージは一瞬にして訪れた。(中略)

 出版後に実施された世論調査では、オランド氏の支持率はわずか4%だった。

オランド大統領が意味不明すぎるスキャンダルを起こしたことで、これで、フランスの左派の政治力は終わった訳でして、フランスの大統領選はサルコジ対ルペンという右派対超右派という対決になると考えられているようです…。ちなみにサルコジは以前よりも更に右に突き進んでいるので、超右派対超右派の戦いと言ってもいいかも。両方とも親米・親民族主義の政治家でしてトランプ大統領陣営にとってはどっちが勝ってもやったぜひゃっほいほい!みたいな感じですな…。

このオランド大統領ってほんと、なんなの…。貧しい人達の支持で大統領になったのに、貧しい人や非エリートを差別して罵るとか、本当に意味が分からな過ぎるよ…。

フランスの政治情勢…理解を絶している…。

ドイツも反EUと民族主義を掲げる右派政党AfDが大きく伸びていますが、政治的実権を握れるかどうかは極めて微妙な情勢みたいです。まずはフランスがどうなるかですね…。ドイツには数百年前から根底的な国の流れにフェルキッシュ・ナショナリズム(ドイツ民族至上主義的ナショナリズム)が存在するので、日本人としては国としては信用できないという想いがありますね(フェルキッシュはドイツに数百年前からある伝統的思想でドイツ民族至上主義であり日本人のような非白人の人種を根幹的に認めない思想)。もちろん、個々人を見ればドイツにも良い人は沢山いると思います、私もドイツの芸術文化大好きですし。ただ、なぜか日本人には親ドイツ主義者かつドイツという国家が大好きな人間が多いですが、ドイツという国の成り立ちとその底流を考えれば、実際は日本国にとって最も警戒すべき国家の一つだと思います。

ウィキペディア「フェルキッシュ」
フェルキッシュは、フォルクからの派生語として重要な語である。フェルキッシュは19世紀末から第二次世界大戦終了時までドイツに おいて普通に使われ、当時の出版物と政治において大きな役割を果たした。20世紀の中頃からこの表現は殆ど使われなくなった(独和辞典では古語として扱われている)。しかしながら、ドイツにおいてこの語に合致した運動や政党が2013年‐2014年頃から勃興し、フェルキッシュという語を使った解説記事が増えている。(中略)

フェルキッシュは「民族の、国家主義的」と訳される場合もあるが、近代ドイツの歴史と密接につながっているため、英語のナショナリズム (nationalsm) ともエスノセントリズム (ethnocentrism) とも異なる意味を含んでいる。(中略)

2016年になって、ドイツのための選択肢(AfD)党首フラウケ・ペトリーはこのフェルキッシュ概念を再び肯定的に使うことが必要になってきていると表明した。さらに、フェルキッシュを人種主義的と見なす否定的見解はお粗末な短絡的思考であり、フェルキッシュなる語は民族に関する特質を示しているに過ぎないとも語った。

欧米での右派の伸長は、彼ら欧米諸国右派の思想が民族主義的かつ白人至上主義的な思想と結びついており、日本人が非白人の黄色人種であることを考えれば、日本に対して人種的な側面で世界が大きくマイナスの方向に動いていく可能性があることを、日本人は真剣に受け止めるべきだと思いますね…。彼らが唱える非白人は劣等であり悪であると定義する人種理論は日本人にとって最大限に警戒すべき危険なものです。

人間には「フィガロの結婚」を作曲し、システィーナ礼拝堂の壁画を描き、ペニシリンを発明することができます。その一方で戦争を起こし、暴力を振るい、人を殺めもします。だから肝心なのは常に人間そのもので、人間に関する理論ではないのです。
(フェルディナント・フォン・シーラッハ「日本の読者の皆さんへ」「禁忌」より)

禁忌禁忌
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2015-01-10)
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