2012年12月

2012年12月22日 20:55

更新期間が空いてしまい申し訳ありません。体調を崩していて、熱が下がらない状態で寝込んでおり、何も出来ない状態が続いております…。真に申し訳ありません…。生活も苦しく、もしアフィリエイトでお買い物や、amazonギフト券を贈って頂けることがありますと、とても助かります…。このような更新しか出来ず申し訳ありません…。

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2012年12月11日 19:07

華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

体調を崩しており、更新できず、申し訳ありません…。伊坂幸太郎さんのエッセイ「仙台ぐらし」の中に、『人間は生活に余裕がないと娯楽を楽しむこともできない』ということが書いてありましたが、まさにそういう感じの状態で、日々を送るだけで精一杯というような状況でして、更新がなかなかできず、本当に申し訳なく思います…。

何か良いことを書ければと思い、最近読んだ本で、一番良かった本について書きますね…。

上田早夕里さんの長篇SF「華竜の宮」読了。この本は最近読んだ本の中で、一番面白かったですね…。地球規模の大規模な天災により、海面が大幅に上昇した未来世界(25世紀)を舞台に、将来(100年内)、更に壊滅的な巨大天災が発生し、人類を含む地球生命の大規模な滅亡が起きることが分かり、その滅亡をなんとかして防ごうという人々の努力を描いたSF作品です。

このSFの面白いのは、地球を襲う大規模災害自体は防げないと科学的に判断されて、如何にその災害と災害から起きる地球環境の大異変を和らげるか、という努力を行っていくところですね。大規模災害は、地中のマグマの噴出で、それによって噴出物が地球上空全体を覆うことで、地球が長期間、極度に冷却される(いわゆるスノーボールアースになる)ということなんですが、その災害の発生事態は防げない。ゆえに、如何にそれが起きた時、そしてその後の備えを作るかということに主眼が置かれて物語が進みます。

物語の主人公は日本の外交官で、あまり派手な活躍、アクション映画的な活躍はせずに、ひたすら、各勢力との根回しと外交交渉をして、色んな勢力の利害調整を図って、少しずつ様々な策を進めていくのも面白いです。主人公のやってることは凄く地味なんですが、それを凄く丁寧かつ読みやすく俯瞰的に描いているので、地味な外交の根回しと交渉が凄く面白い。SFというより、ノンフィクションの面白い外交ドキュメンタリーを読むような感触があるのが良かったですね。

また、主人公のパートナーである人工知性体も凄く魅力的で、最後に人類は、人類が滅亡したとしても、その生きてきた証を残したいと、生命体である人類とは違って、過酷な宇宙環境に適応できる人工知性体達を外宇宙へ旅立たせるのですが、それが実に素晴らしい余韻を残します…。

本作、ベストSF2010の第一位に輝いた作品ということで読んだのですが、まさに冠に偽りなしの良作でした。様々なアイデアが盛り込まれたSFとしても、群像劇を描く人間ドラマとしても、プロフェッショナルの仕事を描いた作品としても、全てにおいて優れた良作小説、ぜひご一読をお勧めする作品ですね。

華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

スノーボール・アース: 生命大進化をもたらした全地球凍結 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
仙台ぐらし



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2012年12月05日 06:42

浦賀和宏さんの長篇小説「松浦純菜シリーズ」九部作の最終巻「生まれ来る子供たちのために」読了。図書館で九部作を少しずつ借りてちまちま読んでいたんですが…。

( ゚д゚)ポカーン

いやもう、読了後

( ゚д゚)ポカーン

( ゚д゚)ポカーン

( ゚д゚)ポカーン

という感じで呆然としてました。とんでもない怪作シリーズですが、この終わり方はあまりに怪作過ぎる…。ネットの感想に漫画「なるたる」の読後感に似ていると感想がありましたが、僕は筒井康隆さんの中篇「幻想の未来」の読後感を思い出していましたね…。突然、人類とか生命とかが一挙に滅亡して今までの物語が全部チャラになって、今まで形作っていた「理解可能な物語世界」を全部投げ捨ててハチャメチャにぶっ飛んだ世界に凄い勢いで吹っ飛んでいくところが…。

いやあ…なんていうか…。なんとも…。絶句…って感じです…。

史上稀に見る読書体験と言う感じでして、まあたまにはこういう読書体験もいいかなと…。ただ、とても他の方にお勧めできる小説ではないですね…。九部作もあるので読むのに時間が掛かりますし…(一応、最終巻であるこれ一冊読めば九部作のだいたいのストーリーは分かるようになってます)。先日紹介した「郭公の盤」はエンターテイメントとして面白かったですが、本作は特にエンターテイメントとして面白い訳でもないので…。本作はエンターテイメント性をわざとマイナスにしてる感じに構成されています。本作、とんでもなく奇怪な怪作を読んで( ゚д゚)ポカーンとしてみたいお方々にだけお勧めと言う感じです…。

生まれ来る子供たちのために (講談社ノベルス)
幻想の未来 (角川文庫 緑 305-1)



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2012年12月03日 07:48

日本有数のホラー作家である牧野修さん田中啓文さん両氏の共著である伝記ホラー小説「郭公の盤」を読了。夜寝る前に少し読み始めたら、とても面白くて、止めどころがなくて夜を徹して一気に読んでしまいました。田中啓文さんの怪作伝奇ホラー「ベルゼブブ」を更にパワーアップさせたような大怪作です。

前半は大人しめで、牧野修さんらしい、ちょっとずつ不気味さが増していく展開が実に見事なんですが、だんだんぶっ飛んできて、中盤から終盤にかけては、ああ…実に田中啓文さんらしいという感じの、めちゃくちゃにぶっ飛んだ展開になります。全体的に見て、凄く馬鹿馬鹿しいノリなんですけど凄く読ませるんですね。終盤のとんでもない展開を含めて僕としては非常に面白い伝奇スペクタクル小説でした。でっかいホラ話としての伝奇小説として、凄く面白い怪作にして良作と思います。伝奇小説好きにはぜひ読んでほしい小説ですね。

郭公の盤
郭公の盤

ベルゼブブ (トクマ・ノベルズ)
そこに、顔が (角川ホラー文庫)



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