2016年12月03日 00:26

小田嶋隆「インチキメディアの時代到来」事実を伝えるべきニュースや科学的情報等の「小説化」

小田嶋隆「インチキメディアの時代到来」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/120100072/
新聞社が運営するサイトでも、見出しの付け方は、5年前に比べてあきらかに扇情的になっている。紙の見出しとウェブ上の記事の見出しの乖離(←紙の新聞の見出しは「記事の要約」を基本に書かれるが、ウェブの記事の見出しには、同じ記事でも、よりクリックを誘発しやすい扇情的でひっかかりのある言葉が選ばれる)も、ますます広がっている。

これは私も凄く感じますね…。本来は事実を伝えるべきニュースや科学的情報(医療情報等)がネットメディアでは「小説化(フィクション化)」されてどんどん扇情的になってきて、おかしくなっているように思います。以前、作家の円城塔さんが、面白い小説の書き方指南として、「事実を重視して生真面目に書かれる論文とは逆に書け」的なことを述べていたのを思い出しました。本来は論文的な書き方(事実を重視し生真面目に書く書き方)をされなければいけないニュースや技術情報が、ネットのアクセス数稼ぎのために小説化、それも扇情的なフィクション化をされて、その結果、不確かで危険な情報(誤った医療情報等)がどんどん世の中に拡散されている感じです…。こういうネットメディアの流れには不安を感じますね…。

これはボルヘスが言ったのだと思うが、短く書けるものは短く書いてしまえば良い。これはエーコが言ったのだと思うが、ポルノ映画と映画を区別するものは、意味のないドライブシーンがあるかどうかである。これはカルヴィーノが言ったのだと思うが、説明をしていないことを気づかせない「軽さ」や「速さ」が重要である。全体的には(創元SF短編賞応募作品には)真面目さが目立っている。論文ではない訳だから、表に出てくる生真面目さは「真面目に見えるように書かれている」という以上の深みを持たない。
(円城塔「第四回創元SF短編賞選考経過及び選評」「極光星群」より)

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