2016年08月18日 22:45
小林泰三「クララ殺し」読了。傑作「アリス殺し」の続編、とても面白かった。ホフマンの原典と読み比べがお勧めです。
クララ殺し (創元クライム・クラブ)
小林泰三さんの新作「クララ殺し」読了。不思議の国のアリス&鏡の国のアリスの世界をメインモティーフとした傑作ミステリ「アリス殺し」の続編でして、今回の舞台はホフマン宇宙(幻想作家E・T・A・ホフマンの様々な作品が混ざり合ってできた宇宙)です。
とても面白いかったんですが、誰でも知っている不思議の国のアリス&鏡の国のアリスの世界に比べると、ホフマンの作品の世界というのは、少々マニアックでしてとっつきにくいというのはあるかも知れません…。本作で描かれる世界はホフマンの「黄金の壺」「くるみ割り人形と鼠の王様」「砂男」「マドモワゼル・ド・スキュデリ」がメインモティーフとなった世界なんですが、どれも昔読んだと思うんですが、「砂男」くらいしか記憶になかった…。
あとは、これまでの小林泰三作品に出てきた登場人物がスターシステムとして出てきますが、まあこれはファンサービスでして大筋には関わってこないので、特に気にしないで読めますね。やはり、ホフマンの原典を読んでいるかどうかが大きく面白さに関わる感じです。上記のホフマンの原典を図書館で借りて読んでから本作を読み直したら新しい面白さがあったので、まさに作者さんの術中に嵌っているって感じでしたね。
ホフマンの原典と読み比べると面白さが倍増するので、本作を読むときはホフマンの原典も手元において読み比べるのがお勧めですね。本作は前作「アリス殺し」と同じく、小林泰三さんの小説の醍醐味である「異常に論理的かつすっとぼけたナンセンス会話が無性に不気味かつ面白い」というのが最大限に活かされた傑作です。
クララ殺し (創元クライム・クラブ)
著者:小林 泰三
東京創元社(2016-06-30)
販売元:Amazon.co.jp
アリス殺し (創元クライム・クラブ)
著者:小林 泰三
東京創元社(2013-09-20)
販売元:Amazon.co.jp
砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)
著者:エルンスト・テオドール・アマデウス ホフマン
光文社(2014-01-09)
販売元:Amazon.co.jp
黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫)
著者:ホフマン
光文社(2009-03-20)
販売元:Amazon.co.jp
クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)
著者:E.T.A. ホフマン
岩波書店(2000-11-17)
販売元:Amazon.co.jp
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小林泰三さんの新作「クララ殺し」読了。不思議の国のアリス&鏡の国のアリスの世界をメインモティーフとした傑作ミステリ「アリス殺し」の続編でして、今回の舞台はホフマン宇宙(幻想作家E・T・A・ホフマンの様々な作品が混ざり合ってできた宇宙)です。
とても面白いかったんですが、誰でも知っている不思議の国のアリス&鏡の国のアリスの世界に比べると、ホフマンの作品の世界というのは、少々マニアックでしてとっつきにくいというのはあるかも知れません…。本作で描かれる世界はホフマンの「黄金の壺」「くるみ割り人形と鼠の王様」「砂男」「マドモワゼル・ド・スキュデリ」がメインモティーフとなった世界なんですが、どれも昔読んだと思うんですが、「砂男」くらいしか記憶になかった…。
あとは、これまでの小林泰三作品に出てきた登場人物がスターシステムとして出てきますが、まあこれはファンサービスでして大筋には関わってこないので、特に気にしないで読めますね。やはり、ホフマンの原典を読んでいるかどうかが大きく面白さに関わる感じです。上記のホフマンの原典を図書館で借りて読んでから本作を読み直したら新しい面白さがあったので、まさに作者さんの術中に嵌っているって感じでしたね。
『クララ殺し』では十九世紀初頭に活躍したドイツの作家、エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンの小説が主要なモティーフとなっています。以下、主に関連のある作品について簡単なあらすじを付しましたので、本編を読了ののち、参照して再読してみてください。そしてぜひホフマンの作品に触れてみてください。『クララ殺し』の物語に隠された様々な謎がすっきり解けることでしょう。
(小林泰三「クララ殺し」)
ホフマンの原典と読み比べると面白さが倍増するので、本作を読むときはホフマンの原典も手元において読み比べるのがお勧めですね。本作は前作「アリス殺し」と同じく、小林泰三さんの小説の醍醐味である「異常に論理的かつすっとぼけたナンセンス会話が無性に不気味かつ面白い」というのが最大限に活かされた傑作です。
「ところで、さっき君は何か訊きたいって言ってなかったっけ、ビル?」
「ああ、そうだった。……ええと。何を訊くんだったっけ?」
「訊きたいと思ったのは君だからね。僕がいくら考えてもわかりやしないさ」
「じゃあ、何を訊いてほしい、ナターナエル?」
「えっ?僕が考えるのかい?」
「そりゃ、君の問題だからね」ビルは自信たっぷりに言った。
「いや。君の問題だよ」
「ほら。君の問題だ」
「それはつまり」ナターナエルはうんざりした表情で言った。「君の言う『君』と僕の言う『君』が同一人物だと思ってるってことなのかい?」
「ええ。同じ名前なんだから、同一人物でしょ?」
「違うよ。君は代名詞という言葉を聞いたことがないのかい?僕が『君』という時はビルのことだし、君が『君』という時は僕のことなんだ」
「なるほど。それで、会話が噛み合わなかったのか?」ビルは感心して言った。「いいことを聞いちゃったな。僕が『君』と言う時、それはナターナエルのことなんだね」
「いや。そうとは限らないよ。たいていは僕のことではないんじゃないかな?」
「『僕』じゃなくて『君』の話をしているんだよ」
(小林泰三「クララ殺し」)
クララ殺し (創元クライム・クラブ)
著者:小林 泰三
東京創元社(2016-06-30)
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アリス殺し (創元クライム・クラブ)
著者:小林 泰三
東京創元社(2013-09-20)
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砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)
著者:エルンスト・テオドール・アマデウス ホフマン
光文社(2014-01-09)
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黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫)
著者:ホフマン
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クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)
著者:E.T.A. ホフマン
岩波書店(2000-11-17)
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