2016年04月28日 10:17
「揚力で飛ぶものがある世界」の最高のユーモア軍事スリラー「シャドー81」
シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)
昨日、楽しみにしていたアニメ「ハイスクール・フリート」が、スタッフさんのインタビュー記事により、『はいふりの世界には揚力で飛ぶものはない』『実弾で打ち合っているが基本はほのぼのした展開で、死傷者・負傷者がでるような深刻な展開にはしない』ということが確定していると知って、ちょっとがっくりして、気分直しに以前ご紹介しました(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1898726.html)傑作軍事スリラー「シャドー81」を読み直していました。
やはりシャドー81は最高ですね!!
この小説は、ジャンボジェット機PGA81をアメリカ軍の最新鋭超音速戦闘機TX75Eを使って大空からハイジャックする物語なんですが、非常に面白いのは、軍事スリラーとしての緊迫したサスペンスと共に、凄くユーモアがあるところなんですね。軍事スリラー小説というのは基本的にユーモアの要素は欠けているので、本書は非常に例外的な軍事スリラー、「空軍軍事スリラードタバタユーモア小説」とも言うべき唯一無二の空軍軍事スリラー小説と言えるでしょう。その点で、日本の軍事スリラー萌えアニメ各種とも通ずるところのある作品だと思います。
第二に、物凄く展開と設定が緻密なんですね。この小説は基本的にピカレスク・ロマンで、犯人側の方の視点が軸になっているんですが、この犯人達のとてつもない用意周到さは、例えていうならはいふりと対極にあるような形でして、はいふりとか面白く見ているお方々にこそ勧めたい面白さです。緻密さから生まれる確りした世界観の面白さというものを心から味あわせてくれます。
第三に、犯人達が凄くいい味を出している。憎むべきハイジャック犯であると分かっていても、最後まで読む頃にはすっかり犯人達に感情移入してしまい、『ああ、面白かった!!』とすがすがしい気持ちで本書の最後のページを閉じることができる作品です。魅力ある悪党達のコン・ゲーム作品としても最高の逸品であることは間違いありません。
第四に、物語が凄く骨太なんですね。ハイジャックという犯罪を描きながら、ベトナム戦争批判とアメリカ社会とアメリカ大統領選挙に対する風刺になっていて、それがいやみのないカラッとした明るいユーモアで描かれているので、読書を楽しみながら読めるんですね。まさに匠の技というべきストーリーテリングです。アメリカ大統領選挙の風刺としては、トランプ氏が大統領になりそうな今こそ、まさにその真価が感じられる面白さですね。
最後に、意外な真相。まさに「やられた!!」という気持ちにさせてくれる終盤の展開、そしてそこから更に捻ってくる展開の面白さ、読んでいて本当に楽しい。最初ははいふりも、ユーモア軍事スリラーだと思ったので、こういう面白さを味あわせてくれるのかなと思ったのですが…。
「死傷者や負傷者を出さなくても物語とキャラクターが魅力的なユーモアのある面白い軍事スリラーは作れる」
「そしてそれは、現実の物理的事象を無視した無理な設定をつぎ込むことで無理やり生み出すものではなく、あくまで現実の延長線上にある軍事スリラーから生み出せるものなのだ」
ということを「シャドー81」は教えてくれます。「はいふり」とか「ガルパン」とか「艦これ」とか「ストフリ」とか「アルペジオ」とか好きなお方々にはぜひ読んで欲しい楽しくて痛快な軍事スリラー小説ですね。
シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)
著者:ルシアン ネイハム
早川書房(2008-09)
販売元:Amazon.co.jp
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昨日、楽しみにしていたアニメ「ハイスクール・フリート」が、スタッフさんのインタビュー記事により、『はいふりの世界には揚力で飛ぶものはない』『実弾で打ち合っているが基本はほのぼのした展開で、死傷者・負傷者がでるような深刻な展開にはしない』ということが確定していると知って、ちょっとがっくりして、気分直しに以前ご紹介しました(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1898726.html)傑作軍事スリラー「シャドー81」を読み直していました。
やはりシャドー81は最高ですね!!
この小説は、ジャンボジェット機PGA81をアメリカ軍の最新鋭超音速戦闘機TX75Eを使って大空からハイジャックする物語なんですが、非常に面白いのは、軍事スリラーとしての緊迫したサスペンスと共に、凄くユーモアがあるところなんですね。軍事スリラー小説というのは基本的にユーモアの要素は欠けているので、本書は非常に例外的な軍事スリラー、「空軍軍事スリラードタバタユーモア小説」とも言うべき唯一無二の空軍軍事スリラー小説と言えるでしょう。その点で、日本の軍事スリラー萌えアニメ各種とも通ずるところのある作品だと思います。
第二に、物凄く展開と設定が緻密なんですね。この小説は基本的にピカレスク・ロマンで、犯人側の方の視点が軸になっているんですが、この犯人達のとてつもない用意周到さは、例えていうならはいふりと対極にあるような形でして、はいふりとか面白く見ているお方々にこそ勧めたい面白さです。緻密さから生まれる確りした世界観の面白さというものを心から味あわせてくれます。
第三に、犯人達が凄くいい味を出している。憎むべきハイジャック犯であると分かっていても、最後まで読む頃にはすっかり犯人達に感情移入してしまい、『ああ、面白かった!!』とすがすがしい気持ちで本書の最後のページを閉じることができる作品です。魅力ある悪党達のコン・ゲーム作品としても最高の逸品であることは間違いありません。
第四に、物語が凄く骨太なんですね。ハイジャックという犯罪を描きながら、ベトナム戦争批判とアメリカ社会とアメリカ大統領選挙に対する風刺になっていて、それがいやみのないカラッとした明るいユーモアで描かれているので、読書を楽しみながら読めるんですね。まさに匠の技というべきストーリーテリングです。アメリカ大統領選挙の風刺としては、トランプ氏が大統領になりそうな今こそ、まさにその真価が感じられる面白さですね。
最後に、意外な真相。まさに「やられた!!」という気持ちにさせてくれる終盤の展開、そしてそこから更に捻ってくる展開の面白さ、読んでいて本当に楽しい。最初ははいふりも、ユーモア軍事スリラーだと思ったので、こういう面白さを味あわせてくれるのかなと思ったのですが…。
「死傷者や負傷者を出さなくても物語とキャラクターが魅力的なユーモアのある面白い軍事スリラーは作れる」
「そしてそれは、現実の物理的事象を無視した無理な設定をつぎ込むことで無理やり生み出すものではなく、あくまで現実の延長線上にある軍事スリラーから生み出せるものなのだ」
ということを「シャドー81」は教えてくれます。「はいふり」とか「ガルパン」とか「艦これ」とか「ストフリ」とか「アルペジオ」とか好きなお方々にはぜひ読んで欲しい楽しくて痛快な軍事スリラー小説ですね。
グラントには軍隊生活はもうこりごりだった。中に入ってみてそれが偽善的だということがよくわかった。利用され操られることにはうんざりだった。戦争にも、嘘っぱちを聞かされることにも、人を殺すことにも食傷していた。
船倉内の飛行機は自由への通行証だった。それをもっともな理由のため、すなわち自分自身のために使うつもりだった。
(ルシアン・ネイハム「シャドー81」)
シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)
著者:ルシアン ネイハム
早川書房(2008-09)
販売元:Amazon.co.jp
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