2016年04月08日 14:28

一つの能力にスキルを全振りした人は、オールマイティな聖人にはなれない。

ばるぼら (上) (角川文庫)
ばるぼら (下) (角川文庫)

なんか、最近騒がれている乙武氏の不倫にしても、ラブライブのスキャンダルにしても、バトミントン選手の賭博事件にしても、マスメディアの取り上げ方が

「偉大な業績を残している人は、他の分野においても偉大な存在!それなのになぜ!!」

みたいな論調なんですが…。これって考えれば分かることですが、全く逆ですよね。

一つの事柄で偉大な業績を挙げている人は、通常まさにそれによって他のあらゆる事柄に関してたいていは完全な能無しなのである。しかし(世論によって)正反対に判断されてしまう。
(フリードリヒ・ニーチェ「人間的、あまりに人間的」)

そりゃそうですよね。一つの能力にスキルポイント全振りしたら、他の能力は全部スキルポイント0な訳ですよ。女神アクアのINT(Intelligence)のステータスが最低値で成長もしないようなもんですよ(byこのすば)

先ほど、ニュース番組でスポーツライターの方が「スポーツ選手はスポーツ以外のことに関しては社会経験がないのだからスポーツ全体において周りが注意しなくてはならない」って言っていましたが、まさにその通りで、芸能活動にしても、スポーツ活動にしても、自分の身体障害を売りにすることで権力を得る活動(by乙武氏)にしても、それにスキル全振りしたら、ほかはおろそかになるのは、人間が有限の時を生きている以上、当然のことだと思いますね…。一芸に秀でた人がその名声によって政治家になるのは民主主義において一番危険なことの一つだと思います…。

小説家の瀬戸内寂聴さんが、「乙武さんの姿を見て、すっかり『彼は偉大な聖人である』だと思い込んでしまっていた」ってことをそう思い込んだ自分の思い込みに対する皮肉たっぷりにエッセイとして書いていますが、ほんと、こういう誤った思い込みに支配されることに、我々はゆめゆめ気をつけなくてはならないと思いますね…。

乙武さんが生きのびるには… 寂聴さんが考えた
http://www.asahi.com/articles/ASJ4665Q1J46PTFC01M.html
今から17年前の初夏、乙武洋匡さんが後にも先にも一度だけ、京都の私の住み家、寂庵(じゃくあん)へ訪れてくれた。たしか乙武さん、23歳の時だった。早稲田の学生で、すでに「五体不満足」という本を出版して、本は売れに売れ、有名人になっていた。(中略)

対談が始まったら、乙武さんは、すがすがしい美形の顔を真っすぐあげ、私の顔を正面から見て、その清潔で深い瞳で私の目を見つめ、質問に即座に期待以上の答えをくれた。

「障害は不便である。しかし、不幸ではない」

と、「五体不満足」の本に書かれたヘレン・ケラーの言葉を、彼の口から、きっぱりと、じかに聞くと、その言葉の重みが、格別の感動を呼びおこすのであった。(中略)

ずっと陰ながら好意を抱きつづけ、その幸福を祈っていた乙武さんが、突然、不倫の不行跡をあばかれ、週刊誌に書きたてられ、マスコミに非難されている。

まさか夏の参院選に向け、自民党で立候補するなど思いもかけなかったが、さすがにそれは取りやめた。

これから生きのびるには、小説家になるしかないのでは。小説家は不倫をしようが、色好みの札つきになろうが、その恥を書きちらして金を稼いでもどこからも文句は言われないよ。

瀬戸内寂聴さんのエッセイは名エッセイだと思いますが、上記、ネットで読めるところだけだと、まるで瀬戸内寂聴さんが乙武さんを身体障害を持つゆえに褒めているように見えるのは問題ですね…。全文読めば全くその逆を述べている(身体障害を持ち、なおかつ邪悪な人物も世の中にいるんだと述べている)ってことが分かるんですけどね…。ちなみに邪悪なやつは小説家になればいいって回答が瀬戸内寂聴さんらしくて吹いた。まあここで述べられていること(障害は聖痕ではないということ)は当たり前だと思いますが、マスメディアは「障害=聖人」「偉大な業績=聖人」ってカテゴリで括りますからね…。一番の元凶はマスメディアにあると思いますね…。「偉大な業績」というのもマスメディアが作っている訳ですし…。

ルーブルから日本へはるばるやってきたモナリザを見ようとして、開館の初日に二万人の客がおしよせたのは……………

政府を挙げての宣伝に乗ったのだという声もある……

とにかく嫉妬からかケースにカラースプレーをかけた女もいたりして……

モナリザは皮肉な微笑を浮かべて…このPRを見守っていたにちがいない

だが一方、同じくらいの、いや、もっと古い文明の産物である日本の芸術品が……

国でろくな保存もされないままに……

訪れる鑑賞者もまばらであることをモナリザは知っているだろうか

これらの芸術品の中にはまるでたきぎのように転がされ、並べられたもの、見返る人もなく朽ち果てようとしているものもある

「これが芸術というものの正体ですよ」

「つまり、元来、感動とか情熱とかいうものとは別に、発表の場とかアッピールとかによって、その値打ちが決められちゃうんです……」
(手塚治虫「ばるぼら」)

ばるぼら (上) (角川文庫)
ばるぼら (下) (角川文庫)

ニーチェ全集〈5〉人間的、あまりに人間的 1 (ちくま学芸文庫)
ニーチェ全集〈6〉人間的、あまりに人間的 2 (ちくま学芸文庫)

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