2016年03月30日 02:55
エメリー・シェップ「Ker 死神の刻印」読了。素晴らしく面白いスウェーデン版グリザイアにしてファントム!
Ker 死神の刻印 (集英社文庫)
スウェーデン・ミステリーに日本の人気PCゲーム的な凄く面白いミステリー・シリーズが出てきていると聞いて、早速その作品、エメリー・シェップ「Ker 死神の刻印」を読了致しました。これは…
完全にグリザイア・シリーズ(「グリザイアの果実」「グリザイアの迷宮」「グリザイアの楽園」)にして「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」じゃないですか!!
この本、物凄く面白いスウェーデン版グリザイアにしてファントムなミステリーで驚いた。この本はスウェーデンで同人図書として2013年に発売されて同人では異例の四万部の大ヒットとなり、2014年秋に商業出版されて更に大ブレイク、2015年には続編(日本では現在未訳)も刊行された新進気鋭のミステリー・シリーズなのですが…
内容が完璧にグリザイアでファントムでした!!
これ、明らかにグリザイアやファントムの影響を受けていると思いましたね。インターネットの発達によってスウェーデンでもグリザイアやファントムのゲームやアニメは普通にプレイしたり視聴したりできますし、間違いなく影響はあるんじゃないかな。日本人として、日本で生まれたコンテンツが海外でオマージュされて生まれ変わるというのはなんとも嬉しくなっちゃう気持ちになりました。
内容についてご紹介致しますと、本書は二重構造になっており、主人公であるクール・ビューティーな女性検事ヤナ・ベルセリウスが殺人事件を捜査しながら、自分の失われた過去を捜し求める章と、小さな難民の女の子が、まさに地獄としか言いようのない戦闘キャンプで暗殺者として過酷な訓練を受けてゆく章が交互に語られます。
序盤で分かりますが、この暗殺者として、両親を殺され、同じく攫われて来た小さい子供同士で戦闘訓練として殺しあわされて、暗殺者育成の過酷な訓練に耐える小さな女の子の成長した姿が、検事総長の娘(養子)であり、優れた手腕を持つ美貌の若手女性検事として活躍しているヤナなんですね。この戦闘キャンプでは、暗殺者として訓練する子供のうなじに、二度と消えることのない傷(刻印)として、様々な死神の名前を刻み込む。ハデスやタナトス、そしてケール(Ker)。ヤナはKerの刻印をうなじに刻まれているんですね。周囲からは髪を伸ばすことでその傷を隠しています。
ただ、大人になった検事の方のヤナは、子供の頃の記憶が失われていて、それを大人になってからも捜し求めているんですね。殺人事件の被害者の一人が子供で、うなじに「タナトス」の傷が刻まれていたことから、ヤナは、この事件は自分の失われた過去と関係あるのではないかと考え、独自に捜査を始めるんですが…。
ヤナの身体は暗殺者として訓練されていたのを覚えていて、襲われると、相手の急所を突いて殺してしまうんですね…。事件の関係者に襲われたヤナは、逆に相手を殺してしまう。これによって彼女は、検事から、「自分の犯した殺人を隠蔽しながら捜査を行う検事」になるんですね。デスノートの夜神月みたいな立場になっちゃう。ここからが最高に面白い。
殺人事件を捜査する検事という立場を利用しながら(検事なので捜査官を動かしたり警察のデータベースにアクセスできる)、自分の犯した殺人などは隠蔽や偽造工作を行い、なおかつ警察と協力して捜査をしながら、警察よりも早回りして独自の捜査を行っていく。捜査をしていくうちに、だんだんと暗殺者として育てられた記憶が戻ってきて、冷徹な検事としてのヤナと冷酷無比な暗殺者としてのヤナが融合してゆくんですね。そして、彼女が望むことは、復讐、ただそれだけ…。
最高に面白いです。主人公が全く善人ではないけど悪人でもない、暗い過去を抱えた凄腕暗殺者にしてその過去を隠して殺人捜査を行う検事というのがほんと最高に面白い。主人公は表の顔は優秀な美貌の女性検事ですが、実は人間としての根っこの部分が暗殺者なので底の部分で全く容赦ないところが独特の凄みになっていて、それがまた魅力的なんですね。まさしく字義通りのクール・ビューティーで、幼少期を暗殺者として過酷に育ってきた為、非常に優れた知性と戦闘能力と行動力を持ちながら、欲望や感情が欠落しているところとかファントムのヒロインのアインに似ています。独特の魅力を持つヒロインですね。
本当に面白いミステリー、サスペンスは最初から最後までスリリングで、主人公のヤナが行動的なのでテンポも素晴らしい。本年度の「このミステリーがすごい!」で個人的には一位でもおかしくない出来だと思います。間違いなく、10位以内には入るんじゃないかな。ぜひご一読お勧め致します。特に、グリザイア・シリーズやファントムをゲームをプレイしたりアニメを見たお方々は、本作を最高に楽しめると思います。黒幕が完全にヒース・オスロ過ぎる…。
ちなみに、本書において一応事件そのものは解決しますが、明らかに続編への含みを残した終わり方をします。暗殺や偽装工作に手を染め、戻れない世界(暗殺者の世界)に足を踏み入れながらも、表の顔の検事として生き続けるヤナと、彼女の最後の仲間にして宿命の敵である彼との決着がついていない…。どうか続編が日本語に翻訳されますように!すごく続編が読みたいです!!
Ker 死神の刻印 (集英社文庫)
著者:エメリー シェップ
集英社(2015-11-20)
販売元:Amazon.co.jp
グリザイアの果実
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スウェーデン・ミステリーに日本の人気PCゲーム的な凄く面白いミステリー・シリーズが出てきていると聞いて、早速その作品、エメリー・シェップ「Ker 死神の刻印」を読了致しました。これは…
完全にグリザイア・シリーズ(「グリザイアの果実」「グリザイアの迷宮」「グリザイアの楽園」)にして「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」じゃないですか!!
この本、物凄く面白いスウェーデン版グリザイアにしてファントムなミステリーで驚いた。この本はスウェーデンで同人図書として2013年に発売されて同人では異例の四万部の大ヒットとなり、2014年秋に商業出版されて更に大ブレイク、2015年には続編(日本では現在未訳)も刊行された新進気鋭のミステリー・シリーズなのですが…
内容が完璧にグリザイアでファントムでした!!
これ、明らかにグリザイアやファントムの影響を受けていると思いましたね。インターネットの発達によってスウェーデンでもグリザイアやファントムのゲームやアニメは普通にプレイしたり視聴したりできますし、間違いなく影響はあるんじゃないかな。日本人として、日本で生まれたコンテンツが海外でオマージュされて生まれ変わるというのはなんとも嬉しくなっちゃう気持ちになりました。
内容についてご紹介致しますと、本書は二重構造になっており、主人公であるクール・ビューティーな女性検事ヤナ・ベルセリウスが殺人事件を捜査しながら、自分の失われた過去を捜し求める章と、小さな難民の女の子が、まさに地獄としか言いようのない戦闘キャンプで暗殺者として過酷な訓練を受けてゆく章が交互に語られます。
序盤で分かりますが、この暗殺者として、両親を殺され、同じく攫われて来た小さい子供同士で戦闘訓練として殺しあわされて、暗殺者育成の過酷な訓練に耐える小さな女の子の成長した姿が、検事総長の娘(養子)であり、優れた手腕を持つ美貌の若手女性検事として活躍しているヤナなんですね。この戦闘キャンプでは、暗殺者として訓練する子供のうなじに、二度と消えることのない傷(刻印)として、様々な死神の名前を刻み込む。ハデスやタナトス、そしてケール(Ker)。ヤナはKerの刻印をうなじに刻まれているんですね。周囲からは髪を伸ばすことでその傷を隠しています。
ただ、大人になった検事の方のヤナは、子供の頃の記憶が失われていて、それを大人になってからも捜し求めているんですね。殺人事件の被害者の一人が子供で、うなじに「タナトス」の傷が刻まれていたことから、ヤナは、この事件は自分の失われた過去と関係あるのではないかと考え、独自に捜査を始めるんですが…。
ヤナの身体は暗殺者として訓練されていたのを覚えていて、襲われると、相手の急所を突いて殺してしまうんですね…。事件の関係者に襲われたヤナは、逆に相手を殺してしまう。これによって彼女は、検事から、「自分の犯した殺人を隠蔽しながら捜査を行う検事」になるんですね。デスノートの夜神月みたいな立場になっちゃう。ここからが最高に面白い。
殺人事件を捜査する検事という立場を利用しながら(検事なので捜査官を動かしたり警察のデータベースにアクセスできる)、自分の犯した殺人などは隠蔽や偽造工作を行い、なおかつ警察と協力して捜査をしながら、警察よりも早回りして独自の捜査を行っていく。捜査をしていくうちに、だんだんと暗殺者として育てられた記憶が戻ってきて、冷徹な検事としてのヤナと冷酷無比な暗殺者としてのヤナが融合してゆくんですね。そして、彼女が望むことは、復讐、ただそれだけ…。
最高に面白いです。主人公が全く善人ではないけど悪人でもない、暗い過去を抱えた凄腕暗殺者にしてその過去を隠して殺人捜査を行う検事というのがほんと最高に面白い。主人公は表の顔は優秀な美貌の女性検事ですが、実は人間としての根っこの部分が暗殺者なので底の部分で全く容赦ないところが独特の凄みになっていて、それがまた魅力的なんですね。まさしく字義通りのクール・ビューティーで、幼少期を暗殺者として過酷に育ってきた為、非常に優れた知性と戦闘能力と行動力を持ちながら、欲望や感情が欠落しているところとかファントムのヒロインのアインに似ています。独特の魅力を持つヒロインですね。
本書のユニークな点はヤナという主人公だ。検事として正義を追求する立場にありながら、けっして人には明かせない暗い過去を抱えている、矛盾に満ちたヒロイン。ノルシェーピンの地方紙「ノルシェーピン・ティドニンガル紙」は、本書の続編「Vita spar」の書評でこんな風にヤナを評している。
「ヤナというヒロインは、激しい競争にさらされている現代人の夢と恐怖が反映されている。洗練されたファッションに身を包んだ美人のキャリアウーマン。頭も切れるし身体能力もとても高い。が、他人と親しく触れ合えない、自己完結した悲しい人物でもある。BMWに乗っていようと、イヴ・サンローランのハイヒールを履いていようと、自宅にウォークインクローゼットがあろうと、自分がどんな感情を抱いているかもよくわからないのなら、いったい何の役に立つだろう」
(「Ker 死神の刻印」訳者あとがき)
本当に面白いミステリー、サスペンスは最初から最後までスリリングで、主人公のヤナが行動的なのでテンポも素晴らしい。本年度の「このミステリーがすごい!」で個人的には一位でもおかしくない出来だと思います。間違いなく、10位以内には入るんじゃないかな。ぜひご一読お勧め致します。特に、グリザイア・シリーズやファントムをゲームをプレイしたりアニメを見たお方々は、本作を最高に楽しめると思います。黒幕が完全にヒース・オスロ過ぎる…。
「訓練してやっているんだ。全員に第二のチャンスを与えてやっている。何者かになるチャンスを。もっと大きなものの一部になるチャンスを」
「もっと大きなものって?」
「人の生死を操れる素晴らしさなど、おまえにはわからないのだろうな」
(エメリー・シェップ「Ker 死神の刻印」)
ちなみに、本書において一応事件そのものは解決しますが、明らかに続編への含みを残した終わり方をします。暗殺や偽装工作に手を染め、戻れない世界(暗殺者の世界)に足を踏み入れながらも、表の顔の検事として生き続けるヤナと、彼女の最後の仲間にして宿命の敵である彼との決着がついていない…。どうか続編が日本語に翻訳されますように!すごく続編が読みたいです!!
Ker 死神の刻印 (集英社文庫)
著者:エメリー シェップ
集英社(2015-11-20)
販売元:Amazon.co.jp
グリザイアの果実
グリザイアの迷宮
グリザイアの楽園
Phantom INTEGRATION Nitro The Best! Vol.1
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