2015年12月18日 23:04
良質なミステリゲームご紹介。本格ミステリ「神林家殺人事件」SFミステリ「白のキョウメイ」
最近、急に冷え込みが厳しくなってきて、体調を崩しております。みなさんお体にお気をつけください…。巷ではスターウォーズ上映が話題ですが、お金がない上に風邪の症状が出ていて、外に出れない状態です…。もしギフト券を贈って頂けると大変助かります…。
本日は、無料で楽しめるフリーゲームの傑作ミステリ作品2作品をご紹介致します。本格ミステリ「神林家殺人事件」とSFミステリ「白のキョウメイ」です。まずは「神林家殺人事件」から。
神林家殺人事件(公式サイト)
http://cage1729.web.fc2.com/object/game.html
本作は閉ざされた屋敷内にて起こる連続殺人事件の謎を解くクローズド・サークルミステリ。本格派のフェアな出来のミステリであり、論理的に推理していけば、一発で謎を解く(正しく犯人を推理する)ことができるでしょう。また、本格ミステリに対するオマージュがあちらこちらに散りばめられており、また作品全体が「ホワイダニットが描けていない」という本格ミステリ批判に対する批判にになっている、いわば「本格ミステリ批判に対する批判」みたいな作品になっているのが、メタ・ミステリとしても面白いところです。作中でもメタ・ミステリのミステリ四大奇書「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」「匣の中の失楽」にオマージュを捧げていますね。
上記のような「本格批判に対する批判」を評論という形ではなく、ミステリ作品としてそれを展開しているのが「神林家殺人事件」の面白いところですね。こういう作者の意向が全面的に出てくるというのは、現代の商業作品では珍しく、同人作品ならではの面白みを感じました。コンピュータRPGの予定調和やハッピーエンドを批判したフリーゲームのRPG「箱庭物語 海の祈り」を思い出しました。昔の小説では作者の意志が作品そのものとして現れるというものは結構あるのですが(それが一番現れている極北はマルキ・ド・サドの小説だと思います)、近現代の商業作品においては作者が作品の影に隠れるようになったので、こういった作品は減っていたのですね。そんな現代でもたまに個人製作の同人作品とかからは昔を思い出すような凄く尖った作品がでてくるのが面白いですね。
箱庭物語 海の祈り(公式サイト)
https://sites.google.com/site/mgstory2/
上記の言葉を借りて言えば「犯行を行った人物はほとんど作者と作品をつなぐ装置あるいは機械としてしか機能していない」なんですね。そしてそれが本作「神林家殺人事件」の凄く尖がった面白さになっている。作品の大きなテーマが「ホワイダニット(犯行動機)」の否定であるので、まさにそれを上手くメタ的に体現したなと感じましたね。「神林家殺人事件」、良作です。
神林家殺人事件(公式サイト)
http://cage1729.web.fc2.com/object/game.html
上記がホワイダニットの否定をテーマにした良作ミステリであるのと対照的に、ホワイダニット自体が謎のコアであり、全てが一挙に解けていくSFのセンスオブワンダーを感じさせてくれるのが、SFミステリ「白のキョウメイ」です。
白のキョウメイ(公式サイト)
http://hakoniwano-idea.sakura.ne.jp/
このゲームは、ぜひやってみてくださいとしか。一切の先入見なしにトゥルーエンディングへ辿り着いたときの衝撃は、驚くべき、実に素晴らしいものでした。本作はネタバレを知ってしまうと全てが台無しになるタイプの作品、実にショッキングな真相と結末を迎える、SFミステリの見事なお手本のような作品です。
この作品が見事なのは、ミステリとしての謎と、ゲームとしての枠組みが、見事に融合しているんですね。フリーゲームにおけるSFミステリの最高峰と言っても過言ではないと思います。本当に見事、感嘆しました。ゲームシステムそのものが謎そのものとして完璧である形態、本当に凄い。
本作「白のキョウメイ」はなるべくネタバレは見ないようにプレイして、トゥルーエンドに辿り着けない場合は公式サイトのヒントのみを見て、頑張ってトゥルーエンドをクリアするのがお勧めです。こういう論理パズル的なSF作品をゲームで楽しめるとは、本当にありがたい嬉しいことだなとミステリ好きにしてSF好きの私は思いましたね…。
宮原龍雄探偵小説選 (論創ミステリ叢書)
著者:宮原 龍雄
論創社(2011-01)
販売元:Amazon.co.jp
アトラス―迷宮のボルヘス (^Etre・エートル叢書)
著者:ホルヘ・ルイス ボルヘス
現代思潮新社(2000-10)
販売元:Amazon.co.jp
RPGツクールMV
スパイク・チュンソフト(2015-12-17)
販売元:Amazon.co.jp
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)
黒死館殺人事件
新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)
新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)
新装版 匣の中の失楽 (講談社文庫)
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本日は、無料で楽しめるフリーゲームの傑作ミステリ作品2作品をご紹介致します。本格ミステリ「神林家殺人事件」とSFミステリ「白のキョウメイ」です。まずは「神林家殺人事件」から。
神林家殺人事件(公式サイト)
http://cage1729.web.fc2.com/object/game.html
本作は閉ざされた屋敷内にて起こる連続殺人事件の謎を解くクローズド・サークルミステリ。本格派のフェアな出来のミステリであり、論理的に推理していけば、一発で謎を解く(正しく犯人を推理する)ことができるでしょう。また、本格ミステリに対するオマージュがあちらこちらに散りばめられており、また作品全体が「ホワイダニットが描けていない」という本格ミステリ批判に対する批判にになっている、いわば「本格ミステリ批判に対する批判」みたいな作品になっているのが、メタ・ミステリとしても面白いところです。作中でもメタ・ミステリのミステリ四大奇書「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」「匣の中の失楽」にオマージュを捧げていますね。
本格派の「謎々トリック」がなぜいけないのか。まだ納得のいくような説明がなされていない。たとえば、「人生が描かれていない」とか「人間の心理がない」とか「行き詰まっている」とかいうだけで本質論には触れていない。
始めから「謎々トリック」は馬鹿馬鹿しいものだという前提のもとに論議が始められ、そういう「遊び」が下劣なもの、非芸術的なものと決めてかかっている。もっと馬鹿馬鹿しさの意義とか、非芸術の作品価値というものを認めていいのではなかろうか。
作品のことごとくが真理と取り組み、人生を描き、人間の心理を掘り下げる必要はない。もし、そんな堅苦しい人生論的小説や思想的小説ばかりになったら、すぐ退屈してしまうだろうし、一般の文学探求を目的としない読者はついてゆけないことになる。
もともと小説は「遊び」に過ぎない。なにも仇討ちや真剣勝負をするようなギリギリな気持ちで書いたり、深刻悲壮な顔つきをして読んだりするには及ばない。トルストイとかドストエフスキーが死にものぐるいで小説を書いていた時代とは、もう違ってきている。(中略)
小説は「何をどう書いてもよい」というのは詭弁ではなくて、もっと素直に解釈してもいいような気がする。これは「文学には定義がない」という言い方とも関連してくる問題で、文学論的にウルサイものだが、逆に言えば、何をどう書いてもいいから探偵小説を本格で書いても差し支えない。あるいは「謎々トリックでかまわない」と言えないこともない。
作家は、それぞれ「何をどう書いても」を作品の上で実行していればこそ個性や創意のある色々なものが生まれてきている。最近では、これとおなじことを岡本太郎が「絵画論」で主張しており、一部で詭弁扱いを受けているが、これは小説なり絵画なりをどう考えるかというもっと本質的なことに繋がっている。(中略)
我々探偵小説マニアとしての悲願は、探偵小説が「本格だけ」になることでも、「文学的なもの一本」になることでもなく、もっと広い視野のある多種多様なものに育ってもらいたいことである。文学が細分化し、その一つである探偵小説が、さらに謎々トリックの多いもの、犯罪心理のもの、精神分析、怪奇、科学、リアリズム探偵、ペダンチック……いろんな種類のものに分かれ、それぞれが持ち味と特色をだすことによって、読者は自身の好みに応じた作品を読むことになるだろう。
文学派は本格を「非芸術」だとし、馬鹿馬鹿しい子どもだましとして否定するが、本格は文学も認め本格も認めている。一種の浮気かもしれないが、なるだけ色々なものがあった方がにぎやかでいいというわけである。ただ文学派が主流をなし、主導権を握り「一段高い」ところからトリック派や科学派をにらみ据えるような差別的な態度(作品の上での)には我慢できない。
(宮原龍雄「本格派の陰謀-戦後派の探偵小説観」「宮原龍雄探偵小説選」より)
上記のような「本格批判に対する批判」を評論という形ではなく、ミステリ作品としてそれを展開しているのが「神林家殺人事件」の面白いところですね。こういう作者の意向が全面的に出てくるというのは、現代の商業作品では珍しく、同人作品ならではの面白みを感じました。コンピュータRPGの予定調和やハッピーエンドを批判したフリーゲームのRPG「箱庭物語 海の祈り」を思い出しました。昔の小説では作者の意志が作品そのものとして現れるというものは結構あるのですが(それが一番現れている極北はマルキ・ド・サドの小説だと思います)、近現代の商業作品においては作者が作品の影に隠れるようになったので、こういった作品は減っていたのですね。そんな現代でもたまに個人製作の同人作品とかからは昔を思い出すような凄く尖った作品がでてくるのが面白いですね。
箱庭物語 海の祈り(公式サイト)
https://sites.google.com/site/mgstory2/
首吊り芸人は首を吊らない。 それらに名づけられた別名
http://kizuki39.blog99.fc2.com/blog-entry-1253.html
会社から帰ってイヌハル「箱庭物語 海の祈り」をクリアした。おもしろかったと思う。このゲームは意図的なバッドエンドとして終わってしまう。グッドエンドとバッドエンドの区別じたいにあまり関心はないけれど、このゲームはバッドエンドとグッドエンドの対比がありありと描かれてしまう。(中略)
どちらにしろこのバッドエンドはグッドエンドの塗りかえとしてしかない。そうである以上、このバッドエンドがしくまれた意図はただ作者の恣意的な理由によるものだろう。(中略)
この作品には作品内における「意味」はおそらくはほとんどない。エトスは最終決戦でにんげんの醜さを語るけれど、それはただ作者が語っているにすぎない。ミールスミールやクレイがあきらかに作品内の登場人物としてなにかを意志し、意図しているのにたいし、エトスという人物はほとんど作者と作品をつなぐ装置あるいは機械としてしか機能していない。
くりかえして言うと、この作品においてバッドエンドに至る必然性は僕の考えるかぎりひとつたりともない。そしてそれは両義的であって、バッドエンドに至る必然性がひとつたりともないのであれば、同様にグッドエンドに至る必然性もひとつもない。だから、どちらも恣意的に選べる。かりにマルチエンディングにしたところでこの問題はなにひとつ解決しない。それは、けっきょくのところプレイヤーが選ぶか作者が選ぶかという表面的な問題にすぎないからだ。
作品外の問題が作品内の問題におそらくはひどく直接的に投射されてしまっているこの作品の意義は、すでに作品のそとにしかない。
上記の言葉を借りて言えば「犯行を行った人物はほとんど作者と作品をつなぐ装置あるいは機械としてしか機能していない」なんですね。そしてそれが本作「神林家殺人事件」の凄く尖がった面白さになっている。作品の大きなテーマが「ホワイダニット(犯行動機)」の否定であるので、まさにそれを上手くメタ的に体現したなと感じましたね。「神林家殺人事件」、良作です。
神林家殺人事件(公式サイト)
http://cage1729.web.fc2.com/object/game.html
上記がホワイダニットの否定をテーマにした良作ミステリであるのと対照的に、ホワイダニット自体が謎のコアであり、全てが一挙に解けていくSFのセンスオブワンダーを感じさせてくれるのが、SFミステリ「白のキョウメイ」です。
白のキョウメイ(公式サイト)
http://hakoniwano-idea.sakura.ne.jp/
このゲームは、ぜひやってみてくださいとしか。一切の先入見なしにトゥルーエンディングへ辿り着いたときの衝撃は、驚くべき、実に素晴らしいものでした。本作はネタバレを知ってしまうと全てが台無しになるタイプの作品、実にショッキングな真相と結末を迎える、SFミステリの見事なお手本のような作品です。
この作品が見事なのは、ミステリとしての謎と、ゲームとしての枠組みが、見事に融合しているんですね。フリーゲームにおけるSFミステリの最高峰と言っても過言ではないと思います。本当に見事、感嘆しました。ゲームシステムそのものが謎そのものとして完璧である形態、本当に凄い。
おそらく闇の中に一振りの剣があり、おそらく一輪の薔薇があった。
折り重なった影を、今日、人はそのねぐらに隠している。
私に残されるのは灰。他には何もない。
己の姿であった数々の仮面から解き放たれ、
わたしは死のなかで全き忘却となるだろう。
(ボルヘス「アトラス―迷宮のボルヘス」)
本作「白のキョウメイ」はなるべくネタバレは見ないようにプレイして、トゥルーエンドに辿り着けない場合は公式サイトのヒントのみを見て、頑張ってトゥルーエンドをクリアするのがお勧めです。こういう論理パズル的なSF作品をゲームで楽しめるとは、本当にありがたい嬉しいことだなとミステリ好きにしてSF好きの私は思いましたね…。
宮原龍雄探偵小説選 (論創ミステリ叢書)
著者:宮原 龍雄
論創社(2011-01)
販売元:Amazon.co.jp
アトラス―迷宮のボルヘス (^Etre・エートル叢書)
著者:ホルヘ・ルイス ボルヘス
現代思潮新社(2000-10)
販売元:Amazon.co.jp
RPGツクールMV
スパイク・チュンソフト(2015-12-17)
販売元:Amazon.co.jp
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)
黒死館殺人事件
新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)
新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)
新装版 匣の中の失楽 (講談社文庫)
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