2015年07月25日 19:34

「火星の人」著者アンディ・ウィアーの日本へのメッセージがとても良かったのでご紹介。

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

「2015年度版このSFが読みたい!」の海外部門一位のSFにしてリドリー・スコット監督の手によってハリウッドでも映画化されることで注目を集めているSF「火星の人」、その著者のSF作家アンディ・ウィアーが書いた「日本へのメッセージ」が、『このSF作家さんは本当に日本と日本のアニメが好きなんだなあ』と伝わってくる好文章で読んでて思わず嬉しくなってしまったので引用して紹介させて頂きますね。

アンディ・ウィアー氏の言葉

「SFが読みたい!」の「ベストSF2014海外篇第一位」に選ばれるという光栄に浴し、興奮しています。当然ながら、どこであれ、作品が広く読まれているとあれば、それはワクワクします。しかし私にとって日本で多くの人に受け入れられたということは、格別に心躍ることなのです。私は子供の頃からずっと日本製エンタテイメントのファンでした。

とにかく、生まれたタイミングがよかった。日本アニメは私の人生と重なるようにして、少しずつアメリカ進出の道を切り開き、アメリカでのテレビ放映が増えていきました。「マッハGOGOGO」を見たのが七歳のとき。大好きで、画面に釘付けでした。

その後、十二歳のときには、「超時空要塞マクロス」「超時空騎団サザンクロス」「機甲創世記モスピーダ」がアメリカで全編放映されました。これほど関心を引かれたアニメは他になかったし、シリアスで、長期間にわたるストーリイもはじめてなら、恋愛模様を描くサブプロットもはじめて。呆気にとられ、たちまちどっぷりハマリました。

さらに十代のときには高橋留美子の傑作群が手に入るようになりました。とくに好きだったのは「らんま1/2」と「めぞん一刻」です。そしていよいよ大人になってからは、宮崎駿・スタジオジブリの信じられないほど素晴らしい映画がつぎつぎに製作されたのです。

私がかなりのOtakuであることは、読者のみなさんにとって、何の意外性もないことだと思います。私の人生を通じてずっと、読み、そして観る、幸せな時間をたっぷり与えてくれた国に、いくらかでも、みなさんに楽しんでいただけるものをお返しできるなら、これほど幸せなことはありません。
(アンディ・ウィアー。「2015年度版このSFが読みたい!」より)

本当に日本(アニメ等の日本文化)が好きなことが伝わってくる文章ですね。クールジャパンとか、国策として、こういう日本への親近感と好意の感覚を持ってもらえる海外の人々を増やしたいというのがあるんだろうな…。それこそ、ラフカディオ・ハーンや「アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者」を挙げるまでもなく、海外の人(異文化の人)が日本文化を愛好するということは、その背景(日本国・日本社会)に好感を抱くことに繋がりますからね。世界中で放映されているハリウッド映画も、個々の製作者の意図を超えて、アメリカに対する親近感を増やすメディアとして機能している訳ですし。まあそういった国策とかシステムとかは抜きにしても、現代日本文化が海外の人に楽しんで頂けるのは、日本人としてぽかぽかするような嬉しいことですね。

しかし、アンディ・ウィアーさんの文章を紹介しながら実は火星の人まだ読んでない…。近いうちに読みますね。あとサザンクロスとモスピーダ、作品名をここで初めて知りました…。アメリカでマクロスと同時期にやっていた作品なのかな。

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)火星の人 (ハヤカワ文庫SF)
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