2014年07月14日 15:01
宮内悠介「盤上の夜」読了。とても面白かったですね。純粋知性と対人遊戯の相克を上手く表している。
盤上の夜 (創元SF文庫)
宮内悠介「盤上の夜」読了。前回読んだ「ヨハネスブルグの天使たち」よりも遥かに上出来で面白い作品と感じました。とても楽しめた本でしたね。心からお勧めできる一冊です。
本書「盤上の夜」は様々なボードゲームをテーマにした連作短編集。囲碁・チェッカー・マージャン・チャトランガ(原始将棋)・将棋の五つのボードゲームを舞台にした六つの短編が収められています。どの作品も非常に面白いのですが、なかでも面白いなと感じたのは、純粋知性遊戯(二人零和有限確定完全情報ゲーム。運に左右されない完全解が存在するゲームのこと。チェッカー・将棋・囲碁・チャトランガはこれに当たる)と運や駆け引きに左右される対人遊戯(不完全情報ゲームであるマージャンはこれにあたる)で、ゲームの中に人間というものをどう組み込んでいくかということを、それぞれの短編のなかで表現しているんですね。これが凄く面白いなと。
本書において既にコンピュータによる完全解が存在するチェッカーの短編については、純粋知性遊戯(純粋数学)というものについてのメタ的な思索を行い(グレッグ・イーガンやテッド・チャンの短編を彷彿とさせますね)、純粋知性遊戯の行く末に思いを馳せる。まだ完全解の出ていない純粋知性遊戯である将棋・囲碁については、その戦いの背景となる人間社会と指し手の人間達の人間関係の中において遊戯もまた戦われることを描き、マージャンについては、完全に人間と人間のある種の交流としての遊戯である姿を描き、そしてそれらの原初的なプロトタイプであるチャトランガについては、それが、人間社会とは異なるルールで、人間社会の色々な意味とは独立して別にあろうとした知性の純粋遊戯、その知性の戦い自体の面白さに魅入られた人物から生まれたことを描いています。
遊戯というものの根源を確りと捉えようとした力作と感じましたね。純粋知性遊戯はある決定的なルールの上で数学的に起こるという点において人間社会が意味づけする意味を超えた最初からある規範、「1+1=2」のようなものなのですが、そこに人間と言う遊戯のプレイヤーが社会的関係性を携えて関わることによって、それはまた社会の意味の中に取り込まれる。遊戯における知性と人間との果てしなき相克というものを描いていると感じましたね。非常に面白い作品です。皆様方に自信を持ってお勧めできる傑作と言えると思います。
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宮内悠介「盤上の夜」読了。前回読んだ「ヨハネスブルグの天使たち」よりも遥かに上出来で面白い作品と感じました。とても楽しめた本でしたね。心からお勧めできる一冊です。
本書「盤上の夜」は様々なボードゲームをテーマにした連作短編集。囲碁・チェッカー・マージャン・チャトランガ(原始将棋)・将棋の五つのボードゲームを舞台にした六つの短編が収められています。どの作品も非常に面白いのですが、なかでも面白いなと感じたのは、純粋知性遊戯(二人零和有限確定完全情報ゲーム。運に左右されない完全解が存在するゲームのこと。チェッカー・将棋・囲碁・チャトランガはこれに当たる)と運や駆け引きに左右される対人遊戯(不完全情報ゲームであるマージャンはこれにあたる)で、ゲームの中に人間というものをどう組み込んでいくかということを、それぞれの短編のなかで表現しているんですね。これが凄く面白いなと。
ウィキペディア「二人零和有限確定完全情報ゲーム」
二人零和有限確定完全情報ゲーム(ふたり ぜろわ ゆうげん かくてい かんぜんじょうほう ゲーム)は、ゲーム理論によるゲームの分類のひとつである。チェス・将棋[1]・チェッカー・オセロ・石取りゲーム(ニム)・囲碁・囲連星・連珠・五目並べ・三目並べ(○×ゲーム)・マンカラなど、偶然(運)に左右されないゲームが相当する。
これに分類されるゲームの特徴は、理論上は完全な先読みが可能であり、双方のプレーヤーが最善手を打てば、必ず先手必勝か後手必勝か引き分けかが決まるという点である。実際には選択肢が多くなると完全な先読みを人間が行う事は困難であるため、ゲームとして成立する。
双方のプレーヤーが最善手を打った場合の勝敗が判明しているゲームには以下のものがある。
先手必勝 初期ルールの五目並べ
後手必勝 6×6のオセロ、どうぶつしょうぎ
引き分け三目並べ、チェッカー
「二人零和有限確定完全情報ゲーム」という言葉は以下のように分解できる。(中略)
確定
プレーヤーの着手以外にゲームに影響を与える偶然の要素が入り込まないという意味。ポーカーなどのカードゲームの一部や麻雀のように、ランダムに積み上げられた山から何かを引くようなゲーム、あるいはバックギャモンなどのサイコロでランダムにコマを進める双六系のゲームは、不確定ゲームに分類される。人生ゲームもルーレットで確率要素が介在するので不確定ゲームである。(中略)
完全情報
各プレイヤーが自分の手番において、これまでの各プレイヤーの行った選択(あるいは意思決定)について全ての情報を知ることができるゲーム。
将棋やチェス、囲碁など多くのボードゲームでは、各プレーヤーが他のプレーヤーの状況を常に把握でき、また、どのような手を指したのかも明確にわかるため完全情報ゲームといえる。
麻雀やポーカー等のカードゲームの多くでは、各プレーヤーの手牌や手札を他のプレーヤーが見ることができず、他のプレーヤーがどのような状況でその牌やカードを切ったのかを知ることができないため不完全情報ゲームとなる。 じゃんけんのように各プレーヤーの手が同時に指されるゲームでは、自分の手を決定する際に、相手の手を見てから選択することができない。また海戦ゲーム、軍人将棋などは偶然の要素こそないものの、相手の手を不完全にしか把握できず完全な先読みができないため、不完全情報ゲームに分類される。
完全情報ゲームでは、ゲーム終了時の状況から、その状態となる一つ前の状態を考えることができ、そこからさらに1つ前の状態を、さらに1つ前と考えることにより、ゲーム上有利な状況を探り、あるいは不利な状態を避けることができるが、不完全情報ゲームではその状態の1つ前の他のプレーヤーの状態がわからないためこのような推論を行うことができない。
本書において既にコンピュータによる完全解が存在するチェッカーの短編については、純粋知性遊戯(純粋数学)というものについてのメタ的な思索を行い(グレッグ・イーガンやテッド・チャンの短編を彷彿とさせますね)、純粋知性遊戯の行く末に思いを馳せる。まだ完全解の出ていない純粋知性遊戯である将棋・囲碁については、その戦いの背景となる人間社会と指し手の人間達の人間関係の中において遊戯もまた戦われることを描き、マージャンについては、完全に人間と人間のある種の交流としての遊戯である姿を描き、そしてそれらの原初的なプロトタイプであるチャトランガについては、それが、人間社会とは異なるルールで、人間社会の色々な意味とは独立して別にあろうとした知性の純粋遊戯、その知性の戦い自体の面白さに魅入られた人物から生まれたことを描いています。
遊戯というものの根源を確りと捉えようとした力作と感じましたね。純粋知性遊戯はある決定的なルールの上で数学的に起こるという点において人間社会が意味づけする意味を超えた最初からある規範、「1+1=2」のようなものなのですが、そこに人間と言う遊戯のプレイヤーが社会的関係性を携えて関わることによって、それはまた社会の意味の中に取り込まれる。遊戯における知性と人間との果てしなき相克というものを描いていると感じましたね。非常に面白い作品です。皆様方に自信を持ってお勧めできる傑作と言えると思います。
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