2013年05月21日 14:42

ギフト券贈って頂きありがとうございます…。「進撃の巨人」第7話、涙が出ましたね…。

本月20日にギフト券贈って頂きまして、ありがとうございます。お心遣いとても嬉しく、心からありがたく思いました…。とても助かります…。

最近視聴した作品では、「進撃の巨人」のアニメがとても良いですね…。特に、最新話である第7話には涙がでました…。戦時的な、非常に残酷な例外状態の世界を描きながら、なおかつ人間の他者への思いやりの心の尊さを描いて感動させるというのは、非常に難しい手法なんですが、それを見事に成功させていると感じました。ライトノベルなどが代表するようなエンターテイメントコンテンツの主流である喜劇とは全く逆の方向性、悲劇から、作品を形成させるという荒業を見事に成功させているアニメだと思います。

基本的に、エンターテイメントコンテンツというのは、『視聴者を楽しませること』が主眼ですので、主人公達は、物語的に優しく包摂されているんですね。ノースロップ・フライは物語を「喜劇的(主人公は物語世界において包括される、世界は楽園である)」「悲劇的(主人公は物語世界において孤立する、世界は残酷である)」に分けましたが、それでいうと、エンターテイメントコンテンツの多くは「喜劇的」に相当します。田中ロミオさんが指摘するように特に昨今のライトノベル(またそれを原作としたアニメ等)などはそれが顕著ですね。

ライトノベルの多くは、主要登場人物を取り巻く環境が難易度イージーに設定されていることが多い。主人公やヒロインが破天荒なふるまいをしても、周囲の人々(物語世界)が優しく受け入れてくれる。これは作風をポップにするための手法で、よほどの意図がない限り(ライトノベルにおいて)外すべきではない部分だ。これが(物語世界が主人公やヒロインにとって)ノーマルモードになってくると、主人公やヒロインがあまり特別扱いされなくなり、わりと社会の悪意にさらされやすくなってくる。人間関係の世知辛い部分もでてくる。辛いことも多い。

ライトノベル界には『娯楽作品の中くらい楽しい気分にひたりたい』というイージー志向の読者が多いだろうから、難易度ノーマルはなかなかリスキーな選択となる。だが、ノーマルでないと表現できない物語もあるから、どちらが正解とは断定できない。
(田中ロミオ。荒川工「ワールズエンド・ガールフレンド」解説より)

ここで、田中ロミオさんは、喜劇的な世界では描くことのできない表現が存在することを語っていますが、まさに進撃の巨人はそれを表現していると思いますね…。この作品は、まさに『悲劇』なんですね…。悲劇でしか語れないもの、それは、人間の裡なる崇高さ(裡なる善)です。世界が残酷であるからこそ、より人間の裡なる崇高な善が輝く、それを見事に体現した作品として進撃の巨人はあるんだなあと、第7話を見て感じ入りましたね…。

かつて私は人生に価値を与えるものは『美』だけだと信じたが、今はそうは思わない。『美』は一つの終止符なのだ。美しいものは、ただただ感心して眺めているだけのものだ。『真』も『美』も本質的な価値を持つとは言えない。

では、『善』はどうか。『善』の大半をなすものは、慈愛(ラヴィング・カインドネス)である。慈愛は、性愛の欠点である移ろいやすさに侵されない。慈愛は、『善』の中身である厳しい徳目に穏やかさを付与し、自制、忍耐、規律、寛容などを喜ばしく実践できるようにする。『善』はこの現象界において、それ自体が目標だと主張可能な唯一の価値である。『善』を行えば、それだけで充分報われるのだ。(中略)

我々は『善』に、人生の理由や説明をつけてもらっているのではない。人生を取り囲む悪を軽減してもらっているのだ。この出来損ないの世界において、我々は揺りかごから墓場まで悪(残酷さ)に取り囲まれている。そこにおいて善は、挑戦でも答えでもなく、(世界という残酷さから)人が自立した存在であることを確認することに役立つのである。善は、運命という悲劇的な愚劣さに対するユーモアからの反撃である。
(サマセット・モーム「サミングアップ」)

勿論、ライトノベルのような喜劇志向の作品も沢山あっていいと思うのですが(最後に引用いたしますが、喜劇志向の作品は、田中ロミオさんやサマセット・モームが言うように、願望充足という現実からの逃避志向を持つため、大勢の広範な読者の支持を得やすい)、進撃の巨人のような、悲劇志向の作品もあっていい、こういった悲劇志向のエンターテイメント作品が増えて欲しいと、私の個人的な作品志向の趣味としては、思いますね…。昔から悲劇作品を視聴することが私は好きなので…。ただ決して、喜劇を否定しているわけではないです。ライトノベルの主流のような喜劇は喜劇で良いものであると思います。最後に、モームが喜劇小説について語った言葉を引用させて頂きます。

「楽しく読める本に対して、そんな楽しい本(喜劇小説)を読むのは時間の無駄であるという人がいる。これは多くの人が抱く残念な誤解である。そんなことはない。読書は楽しくあるべきである。

もし読み始めて、どうしても楽しめないと気付いたら、たとえ国中の批評家が傑作だと保証しても、読むのをおやめなさいというのが私の助言である。

逃避のための文学だって、立派な文学であることをお忘れなく。アメリカで生まれた最高の本の一冊はハックルベリー・フィンだが、これが逃避のための文学でないとしたら、一体何であろうか」

「私が皆さんに強調したいのは、何かの目的のためではなく、ただ楽しいからというので読書することの大切さです。読書の習慣を身につけると、この世の不快なことから身を守ることができます。風邪の頭痛を我慢するのにも、報われぬ恋の苦悩にも、毅然として耐えることができます。

読書の習慣は早くに身につけるべきなのですが、手にする本が楽しくなければ、習慣はつきません。これを読め、あれを読めと命ずると、子供は容易に読書嫌いになります。子供が下らぬものを読むといって、教師や牧師は叱りますが、あれはいけません。子供が読むのは楽しいからです。下らぬものを読むのが時間の浪費だというのならば、自分に楽しみを与えることは時間の浪費でしょうか?」
(サマセット・モーム「モーム語録」)

若い人々に楽しい読書の習慣を身につけるということで昨今のライトノベルが果たした役割は素晴らしく大きいと感じます。出来ればここから、喜劇だけではなく、悲劇の面白さ楽しさも、理解してもらえるような作品がでてくることを期待致しますね…。

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