2008年07月20日 00:44

ギックリ腰とメフィストフェレスとどん底とユーモアと、僕の希望について

昨日、午前中調子が良かった(あまり辛くなかった)ので、以前買い取って貰えなかったもの(例えばブックオフは商品価値がないとみなした本、エロマンガ雑誌、エロゲー雑誌等は買い取ってくれません)を自転車にくくりつけられるだけくくりつけて売りに行ったのですね。頑張って行ったのですが、やっぱり買い取れないのもあって(雑誌は売れました)、3000円にしかならなかったのですが、(LOのバックナンバーとかもう手に入らないであろうことを思うと辛いです…)その後、家に帰ってきて、DVDプレイヤー(HDDレコーダーではなく、DVD再生専用プレイヤーです)とAIWAのミニコンポを売ろうと思って、夜、荷造りしていたんですね。ミニコンポなくてもCDラジカセがあれば音楽は聴けるので。

それで、ここからが僕の莫迦なところなんですが、スピーカーとか本体とかDVDプレイヤーとか、バラバラのまま玄関まで持っていって荷造りすればよかったんですが、その場で荷造りしてしまって、しかもミニコンポとDVDプレイヤーいっぺんに運んでいたら…

グキッっというのと、ズキッというのと、両方が腰に凄い激痛が走って、僕は以前、荷物運びのバイト(事務で雇われた筈なのに実際は荷物運びでした)で腰を痛めたことがあるので、ああ、これがギックリ腰だって分かって、痛みとギックリ腰になってしまったということで、ガクッと来てしまいました。

今、お金がないから家にあるシップ(三枚あります)張って横になって治すしかないんですが、痛くて全然ねむれないんですね。歩き方もへっぴり腰のよちよち歩きしかできないので、家電、売るのは無理かなと…。

それで、お金ないからお金作ろうとしてギックリ腰になって痛くて痛くて不眠なのがよけい眠れず、しかも病院にも掛かれない(医療費の余裕がない)という状況を思うと、もう、どん底過ぎて、なんかユーモラスに感じてきました。勿論、抗うつ剤の作用もあると思うんですが、僕はもう、どん底的な状態になると自分に対する笑いがでちゃうタイプみたいです。メフィストフェレスが喜びそうな喜劇的などん底のシチュエーションですし。

ゲーテの「ファウスト」と、池内紀さんの「悪魔の話」の逸話を思い出しました。引用致します。

思わず(ファウストに出て来る)皇帝は呟いた。
「するとこの紙片が人民には金貨の代わりに通用するのか?軍隊や宮廷の者たちの給与が、すっかりこれで払えないのだな?これは、まことに奇怪な話であるが、認めないわけにはゆかない」

このとき、メフィストはひやかしたものである。

「なにも、財布や金入れなんぞ持って歩かず、
お札一枚、胸ポケットに入れておけばいいのです。
恋文なんかも一緒にいれとくといいですよ」

これ(お金)はまことに重宝なもので、坊さんですら「祈祷書にはさんで持っている」。

メフィストの発明した「紙切れの眩惑」こそ現代の守護神である。この「神」を獲得するのに、祈りや良心は役立たない。いっときも休まない欲望が何よりの動力だ。いまや僕たちは、好むと好まざるとにかかわりなく、この神の御前に跪座しないではいられない。

のちの世の人々は、きっとこの二十世紀を支配した拝金主義の猛烈さに驚くだろう。金銭は全てのものから、ものの個性と象徴性を奪いとる。つまりはその「魂」を剥奪する。これは何であれ姿を変えることができるし、すべてに入り込むこともできる。しかし、何ものでもない。金銭はすべてを支配して、何ものも愛さず、すべてを知っていて、しかし何ものも信じない。

歩合、投機、買占め、先物買い、目算、金策、担保、抵当、破産、訴訟……いまやすべてが悪魔の発明品をめぐって動いている。そして、大都市ごとに証券取引所という聖堂がそびえ、町角ごとに銀行という礼拝堂は軒を接している。かつて経済学者のコントは、未来国家の世俗的支配者の筆頭に銀行家を想定したが、その未来はとっくに現実になっている。今日の礼拝堂では、番号一つで「機械仕掛けの神」を呼び出すことができるし、クレジットカードがここの信仰(クレド)というわけだ。もしかして後世の歴史家は、この二十世紀の世紀末を「金銭淫乱症時代」とでも名づけるのではなかろうか。

拝金主義の時代が金をうやまうのは、それでもってものが買えるせいではないだろう。金銭こそ運命の星であって、それがようやく生存の意味を与えるからだ。かつて人間の運命の星は胸にあった。だが、もはやそれは胸にはない。胸の内ポケットにある。

内ポケットに秘めた「紙切れの眩惑」こそ、われらの運命の星である。この星は電話ひとつで二倍にも五倍にもなる。夜なお眩しい人工の光の都の頭上高く、時代の悪魔が歯をむき出してほくそそえみ、人類は失われた魂のために泣いている。
(池内紀「悪魔の話」)

これは二十世紀に書かれた文章なので、現代二十一世紀はコントの予想より先を行ってますね。グローバルな投機マネーが世俗的支配者の筆頭になり、銀行と違って国家や国際的な連携の統制が利かず、誰も止められないブラックホールです。日本はスタグフレーションに落ち込み始めていますし、日本もどん底に向かいつつ、世界もどん底(莫大な金を動かす投機家・投機金融ファンドにとっては、頂点でしょうが…)って感じがしますね…。

今の僕がどん底(金を作ろうとして逆にギックリ腰になってしまい、医療費勿体無くて医者にもかかれない)な気持ちだから、それが世界に投影されてしまっている部分もあると思いますが、それでも、客観的に考えても、これから失業者・貧困者・病者・障害者にとってはますます厳しい極寒の時代になると僕は思えます。

ただ、抗うつ剤のおかげだと思うのですが、自分の状況があまりにどん底でしかもチャップリンの喜劇のようなどん底(お金に困りお金を作ろうとして更に失敗してお金に困る)なので、なんかもう、世の中は流れていく、なるようにしかならない、明日は明日の風が吹く、みたいな諦念した心境になってきました。

幸い、皆様のおかげでウイダーインゼリーは沢山買ってありますし、病気で無職ですがまだ現金も数十万あるので、生きられる限りはねこたんと一緒に生き延びてみようと思います。猫の餌もちゃんとあります。

いつの日か、もし、生き延びられて、余裕ができるようなことがありましたら(その可能性は低いですが、希望は決して捨てません)、そのときは「どん底日記」でも書いて、自費出版でもなんでもいいから、本を出してみたいですね…。僕は、うつ病で無職で収入がアフィリエイトとギフト券しか現在はなく、貯金も色々売って数十万ですが、ネットがあるから、こういうことが書ける訳ですね。もっと貧しい人は、繋がること、示すことさえできない、僕もいつそうなるかわかりませんし、失業者、貧困者や貧しい病者を生存できなくしていく、こういう社会に、蟷螂の斧でもいいから、文筆の力でせめてペンを掲げたい、それが今の僕の希望です。

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悪魔の話 (講談社現代新書)
ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
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