2012年03月29日 05:59

「BRAVE10」全話視聴。面白かった。DSの傑作歴史ゲーム「采配のゆくえ」思い出しましたね…。DSアドベンチャーの最高傑作。

采配のゆくえ
BRAVE10関連作品一覧

真田十勇士の翻案アニメ「BRAVE10」を最終話まで全話視聴。ベースは日本古来の講談「真田十勇士」ですが、中身は完全にファンタジーでして、もう歴史考証や現実味なんてものは無茶苦茶ですけど、これは元々の講談や小説の真田十勇士物も歴史考証や忍者の超能力の荒唐無稽さは無茶苦茶なのでノープロブレム。むしろ、『面白ければ何でもあり』のノリがいかにも講談ぽくて好感を覚える作品でしたね。面白かったです(^^)

ウィキペディア「真田十勇士」
真田十勇士は、戦国時代末期から江戸時代初期にかけての武将・真田信繁(真田幸村)に仕えたとされる、10人の家臣のこと。伝承上の架空の人物と言えるが、歴史的な由来を持つ人物もある。立川文庫以来、基本的な構成は、猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、三好伊三入道、穴山小介(穴山小助)、由利鎌之助、筧十蔵、海野六郎、根津甚八、望月六郎の10人となっているが、作品によって差異が見られる。

初っ端から穴山小介がアナスタシアという外国人の美女だったりする展開に吹きましたね。三好伊三入道がヒロインの女の子で女神イザナミの生まれ変わりとか素晴らしくぶっ飛んでいて実に面白かったです。これくらい弾けていた方が実在の歴史を取り入れた歴史ファンタジーは楽しいですね。全体的に最初から最後まで面白く見れましたが、真田十勇士的には序盤中の序盤(関が原や会津征伐の前、作中の最後の方で直江兼続が神指城築城について触れているから、慶長5年3月過ぎくらいかな?)というところで終ってしまうのが残念。十勇士の大活躍は関が原以降というイメージですからね。セカンドシーズンがあるなら、真田幸村と十勇士が悲劇的な最後を遂げるクライマックスである大阪夏の陣まで描いてほしいな…。時系列的にあと十五年掛かるから無理かな(^^;

このアニメを見ていて、歴史上の敗者達が主人公サイドで、歴史上の敗者達を現代風に魅力的に描くというところに、DSの傑作歴史ゲーム「采配のゆくえ」を思い出しましたね。このゲームは石田三成を主人公に据えて、慶長5年9月15日、関が原の戦いの日を舞台にして、西軍の武将達の想いを丁寧に描いた素晴らしい出来の良作アドベンチャーゲームでして、僕が最高に感動したゲームの一つですね…。流石、光栄(本ソフト製作は光栄、現コーエーテクモ)は戦国歴史物製作において右に出るものはいないと思いました。本ソフトはかなり史実に忠実に歴史を描く作品で、真面目で実直な好漢である石田三成としてどんなに頑張っても歴史の大きな流れは我々の知る歴史に近い形で推移するのですが、それでも、戦場で懸命に戦う西軍の武将達の様々な想いに大きな感動があるんですね。DSをお持ちのお方々にはぜひプレイして欲しい作品の一つです。主人公の親友である大谷吉継のエピソードとか涙でちゃったよ…。ちゃんと大阪城の茶会エピソードも語られています…。

ウィキペディア「大谷吉継」
吉継は三成と「刎頚の友」と呼ばれるほど仲が良かったという。(中略)豊臣政権の五奉行で関ヶ原の戦いの際には共に挙兵した三成との間には深い友情が存在したとされ、友情意識に疎い戦国時代においては両者の親密な関係は美事と思われ、衆道関係であったとする記録も存在している。

天正15年(1587年)、大坂城で開かれた茶会において、招かれた豊臣諸将は茶碗に入った茶を1口ずつ飲んで次の者へ回していった。この時、吉継が口をつけた茶碗は誰もが嫌い、後の者達は病気の感染を恐れて飲むふりをするだけであったが、三成だけ普段と変わりなくその茶を飲み(一説には吉継が飲む際に顔から膿が茶碗に落ち、周りの者達はさらにその茶を飲むのをためらったが、三成はその膿ごと茶を飲み干し、おいしいので全部飲んでしまったからもう一杯茶を注いでほしいと気を利かせたとされる)、気軽に話しかけてきた。その事に感激した吉継は、関ヶ原において共に決起する決意をしたとされる。

三成を愛するくのいちとして初芽局がちゃんとでてくるところとか、実に渋くて良いゲームです。歴史好きは勿論ですが、全てのゲーム好きにお勧めできる作品ですね。良作です。BRAVE10みたいな歴史ファンタジー好きはぜひプレイしてみてほしい作品です。

ウィキペディア「初芽局」
初芽局は、徳川家康が政敵である石田三成に送り込んだくノ一と言われている。実在した人物かどうかは不明。三成の側近くに仕えることに成功するが、敵として憎んでいた三成の実際の人柄などに惚れこんでしまい、本当の側室のような存在になってしまったという。そのためついには家康を裏切り、徳川側に殺されたといわれている。また、関ヶ原の戦いの後も生き延び、三成の菩提を弔ったという説もある。司馬遼太郎の『関ヶ原』では、彼女が一方的に惚れただけではなく、三成も彼女を愛したように描かれている。関ヶ原戦後は出家した説を採っている。

あとは、関が原の島津隊についてかなり詳しく描いているので、平野耕太さんの漫画「ドリフターズ」が好きなお方々にもお勧めですね。ドリフターズの主人公である島津豊久を最後まできちんと描いています。ドリフターズでも描かれている最終戦法「すてがまり」描かれていますね…。

ウィキペディア「捨て奸」
捨て奸(すてがまり)は、戦国時代に九州の大名島津氏により用いられた戦法の一つ。関ヶ原の戦いの退却時に敵中突破の手段として島津義弘が用いたことで知られている(島津の退き口)。座禅陣とも言われる。

本隊が撤退する際に「殿(しんがり)の兵の中から小部隊をその場に留まらせ、死ぬまで追ってくる敵軍を足止めさせる。それが全滅するとまた新しい足止め隊を退路に残し、これを繰り返して時間稼ぎをしている間に本隊を逃げ切らせる」という戦法。足止め隊はまさに置き捨てであり生還する可能性がほとんど無い、壮絶なトカゲの尻尾切り戦法である。

関が原の際の島津軍では、所属した西軍方が崩壊し周りが徳川方の敵だらけの中で陣を引くにあたり、300程に減っていた兵数で敢えて敵前衛である福島正則隊を正面突破してから、捨て奸戦法を用いて伊勢街道経由で戦場から撤退した。それは退路に点々と数人ずつ銃を持った兵達を、敵に視認しづらくするのと射撃時の命中率向上の為あぐらをかいて座らせておき、追ってくる敵部隊の指揮官を狙撃してから槍で敵軍に突撃するものであった。徳川方の松平忠吉、井伊直政、本多忠勝らは島津隊を執拗に追撃したが忠吉と直政が重傷を負い、忠勝が落馬、島津義弘は追っ手を振りきって落ちのびることに成功した。直政はこのとき受けた傷がもとで病死に至ったと言われる。

銃の装備率が高くて射撃の腕も良くさらに勇猛果敢な島津勢だからこそ効果的な運用が可能なこの戦法だったが、義弘の身代わりとなって甥の島津豊久、家老の長寿院盛淳ら多くの犠牲を出し、生きて薩摩に戻ったのは僅かに80余名であった。

「采配のゆくえ」レビュー:
歴史を変えた1日を体感――コーエーが調理した「関ヶ原の戦い」はポップでコミカルなアドベンチャー
http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0811/10/news089.html
しっかりと史実を押さえたうえで、シナリオが作り上げられているのがコーエーらしい。詳しく書くとキリがないが、関ヶ原の戦いの流れや展開などは、一部を除いてかなり歴史に忠実。その上、オリジナルキャラクターに見える人物にもそれなりの元ネタがあったり、細かい出来事に本物のエピソードが反映されていたりと、コアな歴史ファンもニヤリとするようなツボがある。

上記のレビューで触れられている通り、本ソフトではかなり史実に忠実に話が進むのですが、ゆえにこそ、後半の歴史改変的展開は実に見事で本当に驚いたな…。こういう歴史改変的展開はまさに創作ならではの面白さですね。歴史ファンタジーとしてだけでなく、歴史改変SF・超能力SFとしても非常に優れた出来、SF好きにもお勧めですね。一番最後に行うラストの選択で最後が変わる、それが、ずっとプレイしてきたプレイヤーにとって物凄く大きな意味を持っているところがとても良かった。DSのアドベンチャーの最高傑作の一つであることは間違いないと思います。

采配のゆくえ
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