2011年05月18日 22:56

紀田順一郎「謎の物語」読了。解き明かされない物語、リドルストーリーの名短編集、素晴らしい出来、お勧めです。

謎の物語 (ちくまプリマーブックス)
翼のある言葉 (新潮新書)

昨日のエントリ(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1539563.html)にて取り上げた紀田順一郎さんの編んだアンソロジー「謎の物語」読了。素晴らしかったですね…!!ここ近年で読んだ小説の中で最も面白い作品でした。結末を読者の想像に委ねる、謎が解き明かされない物語、リドル・ストーリーの名編を集めた短編集でして、ストックトンの「女か虎か」とか、木々高太郎の「新月」とか、素晴らしいとしか言いようのない最高の切れ味と美しさを持つ短編集です。どれもとても面白いですが、一番を挙げるなら「女か虎か」ですね。芥川龍之介や三島由紀夫が好み、自分でも書いていそうな人間心理の深淵を描く好短編です。

ウィキペディア「リドルストーリー」
リドル・ストーリー(riddle story)とは、物語の形式の一つ。物語中に示された謎に明確な答えを与えないまま終了することを主題としたストーリーのこと。有名なものにF・R・ストックトン(Frank R. Stockton)の『女か虎か?』(The Lady, or the Tiger?)がある。(中略)作者が伏線を忘れていたり、打ち切りのために伏線を処理しきれなかった話については、作者が意図して明白な答えを用意しない謎ではないので、リドル・ストーリーに該当しない。

この本はいろいろな謎を含んだ物語を十一編ほど集めたものです。それもとびきりの謎ばかりです。およそ物語の作者というものは一種の神のような存在で、人物の行動から心理、話の筋にいたるまで、いっさいを見通し、精密に物語をつくりあげていくようにみえるものです。しかし、ほんとうのところ作者にもわからないことが、いくらでもあるのです。そのわからないことをそのまま、できるだけ読者を迷わし楽しませるように知恵をしぼりながら差し出しているのが、ここにあげた作品といえるでしょう。
(紀田順一郎「謎の物語」)

十一篇の短編はどれも、作者が投げだしてしまったタイプの未完作品とはぜんぜん違う完成度のずば抜けた高さを持ち、読者の想像力を羽ばたかせる仕掛けに満ちています。最後まで解き明かされないいろいろな謎があってどれも面白いのですが、その中でも僕が特に感銘を受けたのは、先に挙げたストックトンの「女か虎か」、木々高太郎の「新月」ですね。人間心理の微妙精緻な謎を見事に描き出しており、真に優れた小説を読んだときだけ味わえる感銘を深く受けました…。世にさまざまな謎はありますが、人間の心理にまさる謎はないと、改めて思いましたね…。「謎の物語」、素晴らしく面白い短編集、お勧めです。最後まで謎が明かされない物語の精妙不可思議な面白さをたっぷりと味わえますよ。「女か虎か」とか、語られない最後においてどうなったのか、想像しないではいられないでしょう。

「前門の狼、後門の虎」ということわざがありますが、この物語の主人公が直面したのは、そんな生やさしいものではなかったのです。
(紀田順一郎「謎の物語」)

参考作品(amazon)
謎の物語 (ちくまプリマーブックス)
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