2011年05月17日 21:06
本日の朝日新聞記事「電子書籍が出版文化を滅ぼす」、僕は出版文化は滅びないと思います。世界中の本への愛。
ある愛書狂の告白 (シリーズ愛書・探書・蔵書)
書物愛 日本篇
本日の朝日新聞「電子書籍は出版文化を滅ぼす」というセンセーションな見出しのインタビュー記事がオニピオン面に載っておりますね。出版プロデューサーの山田順氏が表題について主張しています。引用いたしますね。
ううーん…。ものすごく牽強付会な感じのインタビュー記事ですね…。「価値ある情報にはコストがかかる」ということには賛成ですが、それ以外はまったく賛成できません。単にこの山田順氏(光文社ペーパーバックスの元編集長)という人物が、電子書籍事業に参入して大失敗したから(紙の本の半額、500円前後にしましたが、月に5から10冊程度しか売れなかった)、その恨み節を語っているだけのように思える…。山田順氏の言っていることは、大衆は馬鹿だから、電子化で出版メディアが自由化したら、売り上げは質よりも価格で決められる、だから、今まで通り、記者クラブ的な既得権益の世界を守るべきと言っているようにしか聞こえません…。
僕は、人々(大衆)は山田順氏に馬鹿にされるようなことはないと思っています。人々は価値があると見出したものにはきちんとお金を払っていると思います。それに、「電子書籍は、出版社を通さず素人が自分で本をだせる。」というのは、すべての人々にとって大いに素晴らしいことだと思います。それだけ、人々自身の行動から生まれる情報の発信受信の幅が大きく広がるということです。今までのように既得権益者だけが独占的に出版メディアを支配していた環境よりも、人々一人一人が個人的に情報を発信し受信できる環境の方が、ずっとより良い環境であると思います。
あと、僕は、電子書籍脅威論者が唱える「電子書籍で紙の本が滅びる」という説にも懐疑的です。だって、日本よりも電子書籍が遥かに大きく広がっている欧州においても、特に電子書籍の本場である英米圏においても、紙の本も本屋さんも図書館もぜんぜん滅びていないですもの。むしろ、欧米の本屋さんや図書館は「今まで紙の本を読まなかった人々に電子書籍をきっかけに活字を読んでもらい、ゆくゆくは紙の本を読んでもらって出版業界を活性化させる好機」として電子書籍を見ているわけで、日本のような馬鹿げた電子書籍脅威論なんてのは物笑いの種です。「電子書籍は紙の本を滅ぼす」というわけのわからないことを信じる日本の出版業界の迷信じみた抵抗で書籍の電子書籍化が欧米に比べて十年スパンで遅れている日本においては、「電子書籍で紙の本が滅びる」なんて怪説はもはや何をいわんかなですよ…。
それに、紙の本というのは、情報メディアとしてすごく完成されて洗練されているのですね。ここ数千年、本の基本的な形(紙に文字が記されておりそれをめくって読む形)は変わっていない、それだけ優れて完成度の高いメディアなのです。電子メディアなどはまだまだ進歩する余地がある、逆に言えば未完成なメディアですが、本の場合は既に優れた形で完成している。本は一度読めば、ぱらぱらっとめくるだけで、出したい頁を出すことができる。電子メディアではこうは行きません。現在の電子書籍は本のように気軽にぱらぱらっとめくって、好きな箇所を読むなんてことはまだできないですもの。また目の負担についても段違いです。家電量販店でお試し用の電子書籍リーダーを使ってみたことがありますが、電子書籍リーダーで一冊の本を読むのは、紙の本を一冊読むことにくらべ、文章量が同じでも、ものすごく疲れることです。常に光っているディスプレイを見つめて、沢山の活字を読むというのは、紙に書かれた活字を読むより、遥かに目を疲れさせてしまうのですね。
また価格的にも、紙の本は電子書籍より遥かに優しい。お金のない僕はもっぱら図書館を使って本を読んでいます。電子書籍をただで読むことはできませんが、紙の本は、図書館に置かれている本なら、無料で読むことができる。お金のない僕にとって、図書館で読める本は、図書館で借りられる音楽CDと並んで最大の楽しみでありますね…。
そして、紙の本は、情報メディアとして素晴らしく優れているがゆえに、とても愛されます。僕はお金がなく、住んでいるところも狭いので本は置けないので、本自体を取って置いて愛でるということはできないのですが、愛書家の人々、本を所有しそれを愛でる人々の気持ちは、大いに分かるなあと感じますね…。好きな本には愛着を感じますもの。そんな本を愛する人々の気持ちを綴った好小説をいくつか最後にご紹介致しますね。
まずご紹介するのは、超弩級の本オタク、生粋の愛書家ジョン・バクスターが、ひたすら本への愛と収集に彩られた自らの人生を語った「ある愛書狂の告白」。これはすごく面白い本で、本への愛がもう炸裂しまくっているので、本好きが読むと顔に笑みがこぼれるのを抑えられません。僕はクラシック音楽が好きなのですが、吉田秀和さんがクラシック音楽への愛を惜しげもなく語ったエッセイを読んでいるときのような喜びをこの本を読んでいると感じます。本好きにお勧めですね。次は愛書家をテーマにした小説集、これは、日本有数の愛書家として有名な紀田順一郎さんのアンソロジー「書物愛[日本篇]」「書物愛[海外篇]」がお勧めです。生田耕作さんが訳し集めた「愛書狂」もお勧めですが、残念ながらこちらは絶版、図書館か古書でどうぞ。古書の話になると、古書をテーマにしたミステリ「死の蔵書」のシリーズ(古書店主ジェーンウェイシリーズ)も面白かったですね。これらを読んでいると、紙の本がなくなるはずがないと思いますよ。紙の本は、音楽やペットのような、人間にとってかけがえのない友として、これからも在り続けると思います。
参考作品(amazon)
ある愛書狂の告白 (シリーズ愛書・探書・蔵書)
書物愛 日本篇
書物愛 海外篇
愛書狂
死の蔵書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
幻の特装本 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
失われし書庫 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
愛書家の死 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 2-10)
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書物愛 日本篇
本日の朝日新聞「電子書籍は出版文化を滅ぼす」というセンセーションな見出しのインタビュー記事がオニピオン面に載っておりますね。出版プロデューサーの山田順氏が表題について主張しています。引用いたしますね。
朝日新聞朝刊オニピオン面2011年5月17日
「電子書籍が出版文化を滅ぼす」
値引きで質の高い作品や情報の流通機能が失われ、大量発信のみ残る
出版プロデューサー山田順
「昨年の電子書籍ブームは完全に空騒ぎでした。新しい端末が発売されても、肝心の電子書籍の品揃えが少なかったからです。シャープの「ガラパゴス」で買える本は二万六千冊、ソニーの「ソニーリーダー」では二万冊強。この程度では本を選ぶ楽しさを味わえない。米国のアマゾンが販売する「キンドル」の品揃えは80万冊。グーグル・イーブックストアは300万冊以上です」(中略)
「出版も電子化の流れ自体は止めようもありません。問題はその結果、出版文化がどうなるか、です。音楽はインターネットでの直接ダウンロードが主流で、CDはどんどん売れなくなっています。(中略)私自身、電子書籍を自分の会社で数十タイトルだしました。紙の本の半額、500円前後にしましたが、月に5から10冊程度しか売れなかった。タレントの高田純二さんの適当日記が紙の本の倍、7万部売ったことで話題になりました。紙の本の千円に対して115円から350円にしたのが大きい。電子書籍も音楽ダウンロード(一曲150円から200円)にしないと売れないでしょう。(中略)
ネットの世界では調べぬき、考え抜いたプロの発信する情報も、素人の情報もまったく同列です。ツイッターでは、有名人であるだけで、その人の発言を何百万もの人が追いかけ、ほとんど検証されていない情報がマスメディア並みの影響力を持ってしまいます。
出版を含むマスメディアは、信頼性が高く価値ある情報を選別し、世の中に流通させる役割を担っていました。電子書籍は、出版社を通さず素人が自分で本をだせる。電子書籍や電子新聞の価格が下がることで、出版社や新聞社のビジネスモデルは成立しなくなり、作家や編集者、記者の多くは失業するでしょう。質の高い作品や情報を作り、流通させるという社会の重要な機能は失われ、残るは不特定多数の人々による、信頼性も質も保証されない大量発信だけです。(中略)大衆にとっては、やはり価格が第一で、質はあまり重要ではないと思います」(中略)
インタビュアー
震災ではツイッターやフェイスブックなどネット上のソーシャルメディアが情報伝達の役割を果たす一方、大量のデマが流されました。マスメディアの信頼性が見直されたのでは。
「確かにその通りです。出版や新聞などマスメディアはやはり社会全体にとって必要であり、ネット上でも生き残らなければならない。価値ある情報にはコストがかかるということを、どうネット上の人々に訴え、納得してもらうか」
ううーん…。ものすごく牽強付会な感じのインタビュー記事ですね…。「価値ある情報にはコストがかかる」ということには賛成ですが、それ以外はまったく賛成できません。単にこの山田順氏(光文社ペーパーバックスの元編集長)という人物が、電子書籍事業に参入して大失敗したから(紙の本の半額、500円前後にしましたが、月に5から10冊程度しか売れなかった)、その恨み節を語っているだけのように思える…。山田順氏の言っていることは、大衆は馬鹿だから、電子化で出版メディアが自由化したら、売り上げは質よりも価格で決められる、だから、今まで通り、記者クラブ的な既得権益の世界を守るべきと言っているようにしか聞こえません…。
僕は、人々(大衆)は山田順氏に馬鹿にされるようなことはないと思っています。人々は価値があると見出したものにはきちんとお金を払っていると思います。それに、「電子書籍は、出版社を通さず素人が自分で本をだせる。」というのは、すべての人々にとって大いに素晴らしいことだと思います。それだけ、人々自身の行動から生まれる情報の発信受信の幅が大きく広がるということです。今までのように既得権益者だけが独占的に出版メディアを支配していた環境よりも、人々一人一人が個人的に情報を発信し受信できる環境の方が、ずっとより良い環境であると思います。
あと、僕は、電子書籍脅威論者が唱える「電子書籍で紙の本が滅びる」という説にも懐疑的です。だって、日本よりも電子書籍が遥かに大きく広がっている欧州においても、特に電子書籍の本場である英米圏においても、紙の本も本屋さんも図書館もぜんぜん滅びていないですもの。むしろ、欧米の本屋さんや図書館は「今まで紙の本を読まなかった人々に電子書籍をきっかけに活字を読んでもらい、ゆくゆくは紙の本を読んでもらって出版業界を活性化させる好機」として電子書籍を見ているわけで、日本のような馬鹿げた電子書籍脅威論なんてのは物笑いの種です。「電子書籍は紙の本を滅ぼす」というわけのわからないことを信じる日本の出版業界の迷信じみた抵抗で書籍の電子書籍化が欧米に比べて十年スパンで遅れている日本においては、「電子書籍で紙の本が滅びる」なんて怪説はもはや何をいわんかなですよ…。
それに、紙の本というのは、情報メディアとしてすごく完成されて洗練されているのですね。ここ数千年、本の基本的な形(紙に文字が記されておりそれをめくって読む形)は変わっていない、それだけ優れて完成度の高いメディアなのです。電子メディアなどはまだまだ進歩する余地がある、逆に言えば未完成なメディアですが、本の場合は既に優れた形で完成している。本は一度読めば、ぱらぱらっとめくるだけで、出したい頁を出すことができる。電子メディアではこうは行きません。現在の電子書籍は本のように気軽にぱらぱらっとめくって、好きな箇所を読むなんてことはまだできないですもの。また目の負担についても段違いです。家電量販店でお試し用の電子書籍リーダーを使ってみたことがありますが、電子書籍リーダーで一冊の本を読むのは、紙の本を一冊読むことにくらべ、文章量が同じでも、ものすごく疲れることです。常に光っているディスプレイを見つめて、沢山の活字を読むというのは、紙に書かれた活字を読むより、遥かに目を疲れさせてしまうのですね。
また価格的にも、紙の本は電子書籍より遥かに優しい。お金のない僕はもっぱら図書館を使って本を読んでいます。電子書籍をただで読むことはできませんが、紙の本は、図書館に置かれている本なら、無料で読むことができる。お金のない僕にとって、図書館で読める本は、図書館で借りられる音楽CDと並んで最大の楽しみでありますね…。
そして、紙の本は、情報メディアとして素晴らしく優れているがゆえに、とても愛されます。僕はお金がなく、住んでいるところも狭いので本は置けないので、本自体を取って置いて愛でるということはできないのですが、愛書家の人々、本を所有しそれを愛でる人々の気持ちは、大いに分かるなあと感じますね…。好きな本には愛着を感じますもの。そんな本を愛する人々の気持ちを綴った好小説をいくつか最後にご紹介致しますね。
まずご紹介するのは、超弩級の本オタク、生粋の愛書家ジョン・バクスターが、ひたすら本への愛と収集に彩られた自らの人生を語った「ある愛書狂の告白」。これはすごく面白い本で、本への愛がもう炸裂しまくっているので、本好きが読むと顔に笑みがこぼれるのを抑えられません。僕はクラシック音楽が好きなのですが、吉田秀和さんがクラシック音楽への愛を惜しげもなく語ったエッセイを読んでいるときのような喜びをこの本を読んでいると感じます。本好きにお勧めですね。次は愛書家をテーマにした小説集、これは、日本有数の愛書家として有名な紀田順一郎さんのアンソロジー「書物愛[日本篇]」「書物愛[海外篇]」がお勧めです。生田耕作さんが訳し集めた「愛書狂」もお勧めですが、残念ながらこちらは絶版、図書館か古書でどうぞ。古書の話になると、古書をテーマにしたミステリ「死の蔵書」のシリーズ(古書店主ジェーンウェイシリーズ)も面白かったですね。これらを読んでいると、紙の本がなくなるはずがないと思いますよ。紙の本は、音楽やペットのような、人間にとってかけがえのない友として、これからも在り続けると思います。
参考作品(amazon)
ある愛書狂の告白 (シリーズ愛書・探書・蔵書)
書物愛 日本篇
書物愛 海外篇
愛書狂
死の蔵書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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失われし書庫 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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愛書家の死 (ハヤカワ・ミステリ文庫 タ 2-10)
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