2011年02月05日 13:15
魔法少女まどか☆マギカ二次創作SS「地獄の大公にして淫獣キュゥべえ、風呂場に顕現す」を書きました。鹿目まどか・鹿目タツヤ・キュゥべえSSです。
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魔法少女まどか☆マギカ二次創作SS
「地獄の大公にして淫獣キュゥべえ、風呂場に顕現す」
その事件は――日本の見滝原市で起こった。見滝原になにか他と違ったところがあったせいではない。そもそもこの町は、世界の中心でもなければ、日本において特に伝統ある町という訳ですらない。奴が偶然見滝原市に現れるまでは、ここは日本に無数にある平和で穏やかな愛すべきニュータウンの一つだった。そう、奴が現れる前では…。
もし、このエピソードの真実が知れ渡れば、見滝原市は一躍有名になるだろう。幼稚園に通う3歳の鹿目タツヤ坊やは、聖ジョージの再来のように崇められて、バイブル・ベルトのどこの町でも、熱烈な拍手喝采を受けることになるだろう。
しかし、タツヤ坊やの行いの意味を理解するものは、残念ながら人間には誰一人としていなかった。だが、物事とはそういうものなのかも知れない。世界は、救った本人すらご存じないところで、救われているのかもしれない。
事件は、タツヤ坊やの一言から始まった。「ねえお姉ちゃん、お風呂いっしょに入ってよう」
ところで、事件の数年前、チベットで発生したことは、それが唯一の因子ではない。それがたまたま、奴を封じていた最後の鎖が砕ける時の最後の一本の輪であったにすぎない。
その年の夏、チベットの天候は一週間、異常な気象が続いていた。猛暑を超えたひどい暑さだった。太古の昔から溶けてきたよりも多量の雪が、暖かい気温に負けて、どっと溶け始めた。川の水流がその水面をいつもより広げて、とうとうと流れた。
川の流れにそって置いてある、いくつかの祈り車は、かつてないほどに回転をはやめ、またべつのいくつかは、水中に没して、回転をやめてしまった。ラマ教の僧侶たちは、冷たい水にひざまで浸かって、水中に没した祈り車を岸の近くに移し、川の流れでまた回転させようと、懸命になって働いていた。
その中で、誰一人、知る由もない遥か大昔から回り続けていた、小さな古い祈り車があった。それは、あまりに大昔から置いてあるので、現在のラマ僧の中で、その祈願板には何が書いてあるのか、そして、その祈り車の本来の意味が何であるのか、知る者は誰もいなかった。
若いラマ僧の一人、ウロブーチというものが、それを安全な川岸に移そうとして川に入り手を伸ばすと、川の泡立つ急流が、まるで意志を持つように彼の足に迫ってきた。彼の足はぬるぬるした泥ですべり、倒れる拍子に手の甲が車に当たった。その衝撃で止め具から外れた祈り車は、急流に巻き込まれながら流れを下り、あっという間に見えないところに消えてしまった。
ウロブーチは、水中からすぐに身体を起こして、身震いして水滴を跳ね飛ばすと、回転している、他の祈り車のところにいった。「あんな小さくて古ぼけた祈り車が一つぐらいなくなったところで、どうってことないだろう」彼はそう考えた。
ウロブーチは、その古ぼけた祈り車が――他の輪が長い年月のなかですべて断ち切られた今となっては――悪の中の悪、恐るべき大悪魔が地上に顕現することを防ぐ、最後にして唯一の鎖であることを知らなかったのだ。
祈り車は、くるくる、くるくる回りながら、流されていった。そしてそのとき、遥かな大昔に――聖ジョージが活躍していた頃より更に昔に――、邪悪暴虐の限りを尽くした挙句に聖人たちによって封印された大悪魔、地獄の大公キュゥべえの封印が破られ、この悪魔は地上に顕現したのだ。
キュゥべえは数千年以上にも及ぶ長い封印の間に元々あった絶大な暗黒の魔力の大半を失っていたが、その残虐にして悪意に満ちた狡知は健在であった。彼は地獄で何があったかを知ると、考え込んだ。(おやおや…。どうやら人間たちは、俺たち悪魔を出し抜いたりするようになったらしい。まさかあのメフィストのオヤジさんが失敗するとは!俺ならあんな無様な失敗はしない。人間が俺を出し抜くことのないよう、悪魔だということを最初から明かさなければいいではないか…。まるで、人間どもが憧れる善なる妖精のような振りをして契約を結び、そいつらの魂を食らってやろう)
狡知なる悪魔キュゥべえの行動は慎重だった。悪魔に対する警戒心が薄く、悪魔祓い師や聖人がいない国、そして若くて無垢な年少の善人たち――つまりは悪魔の大好物である――が善なる妖精を慕っている、日本という国の人々を獲物に選んだのだ。日本の中から見滝原市が選ばれたのは偶然である。そして、なぜ大悪魔であるこ奴が真っ白な姿に変身したのか。それは聖書の一節に由来する。
「あなたがたは白く塗った墓に似ているのです。その外側はなるほど美しく見えますが、内側は死人の骨とあらゆる穢れに満ちているのです」(マタイ福音書)
そして今、契約者巴マミの魂を食らった邪悪にして狡知なる悪魔、地獄の大公キュゥべえは、次なる契約の獲物と目する鹿目まどかと行動を共にし、一緒にお風呂に入ろうとしていた。半脱ぎのまどかは、キュゥべえが脱衣場に現れたことを知り、驚きの声を挙げる。
「キュゥ、キュゥべえ!?キュゥべえも一緒にお風呂に入るの?えっ、ちょっと恥ずかしいよ…」
キュゥべえは、いつものように感情を感じさせない平坦なトーンのテレパシーをまどかに発信した。(まどか、恥ずかしいって何のことだい?ボクは人間じゃないから、人間の裸を見ても何にも感じないよ。そんなことを気にする方がおかしいよ)
賢明な読者諸氏は既にお分かりであろうが、このキュゥべえの言葉は嘘八百である。七つの大罪にもあるように、色欲淫蕩は悪魔の悪魔たる所以の一つ。悪魔キュゥべえはまどかの恥ずかしがる姿に好色な淫蕩の興奮を感じていたのだ。ゆえにその結果、この悪魔が普段持っている慎重さはこの場では極めて薄れていたといえよう。このことが悪魔を討つことに繋がるとは、禍福はあざなえる縄の如し。
既にすっぽんぽんになっているタツヤ坊やが不思議そうな声を出す。「ねえ、ねえ、お姉ちゃん、さっきからだれとしゃべってるの?だれもいないよ…?」
(まどか、不思議がられているよ。ここはボクといっしょにお風呂にはいるんだ、はやく!)
まどかは情けない顔をしてうなずくと、ブラジャーとパンティを恥ずかしそうに脱いだ。ああ、まどかは大悪魔にして淫獣キュゥべえの毒牙にかかってしまうのだろうか!?
そしてお風呂場の中。まどかは困惑していた。タツヤ坊やに分からないよう、テレパシーでキュゥべえとこっそり会話するまどか。
(な、なんでキュゥべえ、わたしの前に向き合うようにしてすわってるの?変だよ!)
(そんなことはどうでもいいハァハァ…。まどか、そんな風に足を閉じないで、股を広げるんだ、はやく!)
(キュゥべえ、いつもと口調が違うよお…)
(おかしいなあ。ボクがこれまで契約してきた子は、ボクが頼めば二つ返事で股を開いてくれたよ)
(知らないよ、そんなの!)
まどかの前に座り、じっとまどかの股間を凝視するキュゥべえ。その目は赤く不気味に輝いていた。

この時、地獄の大公、大悪魔キュゥべえが本来持っている慎重な警戒心はゼロになっていたといっていいだろう。ゆえに、この大悪魔めがけて放たれた細い一本の水流がこ奴の身体を直撃したからといって、何もおかしむにはあたらない。
身体にかかってくる水流に、思わず声をあげるまどか。喜びの声をあげるタツヤ坊や。
「えーい、お姉ちゃん、水鉄砲だよ!ばんばーん!」
「うわ、うわ…。もう、いたずらはだめだよっ」
そのとき、人間の声とは全く違った、それでいてまるで死に際の悲鳴とも絶叫とも聞こえるような、奇怪な声がまどかの頭の中に響いた。
(ぐぁぐぇぇぇ……聖なる水……身体が……焼かれるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぎゃああああぁぁぁうげぇぇぇぇぇぇぇ…)
思わず立ち上がるまどか。「な、何?あれ…。キュゥべえがいない…」きょろきょろとお風呂場を見回すまどか。そんな姉を見て、不思議そうにするタツヤ坊や。「どうしたの、お姉ちゃん?」
その時から、まどかたちの周りからキュゥべえは消えた。永遠に…。
まどかはお風呂から出たあと、タツヤ坊やに聞いてみた。「ねえ、その水鉄砲、何か特別なの?」
タツヤ坊やは少し考えたあと、思い当たることがあるらしく目を輝かせて答えた。「うーん…。そうだ、えっとねぇ。この前、お姉ちゃんとまどかちゃんといっしょに教会の音楽会に行ったときねぇ…。お庭で水鉄砲で遊んでたら、水なくなっちゃって…。それでね、教会にお水はいった大きなかっこいい入れ物あってねえ…、そこからお水を鉄砲に入れたんだよ」
END
後書き:元ネタはフレドリック・ブラウンの短編「悪魔と坊や」(「天使と宇宙船」収録)から。教会行ったことがない人には分かりにくい落ちかもしれなくてごめんです。タツヤが水鉄砲に水を入れたのは、聖水の入った教会の洗礼盤(洗礼盤画像http://yagitani.jpn.cx/kurihon/taiyo07.htm)からということです。聖水は悪魔退治に使われます。ウロブチワールドのまどか☆マギカ本編ではすっきりとしたハッピーエンドは望めそうにないので、自分でハッピーエンドシナリオを作ってしまいました(^^;この後は、キュゥべえが退治されたことで、全員幸せになりました。
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「地獄の大公にして淫獣キュゥべえ、風呂場に顕現す」
その事件は――日本の見滝原市で起こった。見滝原になにか他と違ったところがあったせいではない。そもそもこの町は、世界の中心でもなければ、日本において特に伝統ある町という訳ですらない。奴が偶然見滝原市に現れるまでは、ここは日本に無数にある平和で穏やかな愛すべきニュータウンの一つだった。そう、奴が現れる前では…。
もし、このエピソードの真実が知れ渡れば、見滝原市は一躍有名になるだろう。幼稚園に通う3歳の鹿目タツヤ坊やは、聖ジョージの再来のように崇められて、バイブル・ベルトのどこの町でも、熱烈な拍手喝采を受けることになるだろう。
しかし、タツヤ坊やの行いの意味を理解するものは、残念ながら人間には誰一人としていなかった。だが、物事とはそういうものなのかも知れない。世界は、救った本人すらご存じないところで、救われているのかもしれない。
事件は、タツヤ坊やの一言から始まった。「ねえお姉ちゃん、お風呂いっしょに入ってよう」
ところで、事件の数年前、チベットで発生したことは、それが唯一の因子ではない。それがたまたま、奴を封じていた最後の鎖が砕ける時の最後の一本の輪であったにすぎない。
その年の夏、チベットの天候は一週間、異常な気象が続いていた。猛暑を超えたひどい暑さだった。太古の昔から溶けてきたよりも多量の雪が、暖かい気温に負けて、どっと溶け始めた。川の水流がその水面をいつもより広げて、とうとうと流れた。
川の流れにそって置いてある、いくつかの祈り車は、かつてないほどに回転をはやめ、またべつのいくつかは、水中に没して、回転をやめてしまった。ラマ教の僧侶たちは、冷たい水にひざまで浸かって、水中に没した祈り車を岸の近くに移し、川の流れでまた回転させようと、懸命になって働いていた。
その中で、誰一人、知る由もない遥か大昔から回り続けていた、小さな古い祈り車があった。それは、あまりに大昔から置いてあるので、現在のラマ僧の中で、その祈願板には何が書いてあるのか、そして、その祈り車の本来の意味が何であるのか、知る者は誰もいなかった。
若いラマ僧の一人、ウロブーチというものが、それを安全な川岸に移そうとして川に入り手を伸ばすと、川の泡立つ急流が、まるで意志を持つように彼の足に迫ってきた。彼の足はぬるぬるした泥ですべり、倒れる拍子に手の甲が車に当たった。その衝撃で止め具から外れた祈り車は、急流に巻き込まれながら流れを下り、あっという間に見えないところに消えてしまった。
ウロブーチは、水中からすぐに身体を起こして、身震いして水滴を跳ね飛ばすと、回転している、他の祈り車のところにいった。「あんな小さくて古ぼけた祈り車が一つぐらいなくなったところで、どうってことないだろう」彼はそう考えた。
ウロブーチは、その古ぼけた祈り車が――他の輪が長い年月のなかですべて断ち切られた今となっては――悪の中の悪、恐るべき大悪魔が地上に顕現することを防ぐ、最後にして唯一の鎖であることを知らなかったのだ。
祈り車は、くるくる、くるくる回りながら、流されていった。そしてそのとき、遥かな大昔に――聖ジョージが活躍していた頃より更に昔に――、邪悪暴虐の限りを尽くした挙句に聖人たちによって封印された大悪魔、地獄の大公キュゥべえの封印が破られ、この悪魔は地上に顕現したのだ。
キュゥべえは数千年以上にも及ぶ長い封印の間に元々あった絶大な暗黒の魔力の大半を失っていたが、その残虐にして悪意に満ちた狡知は健在であった。彼は地獄で何があったかを知ると、考え込んだ。(おやおや…。どうやら人間たちは、俺たち悪魔を出し抜いたりするようになったらしい。まさかあのメフィストのオヤジさんが失敗するとは!俺ならあんな無様な失敗はしない。人間が俺を出し抜くことのないよう、悪魔だということを最初から明かさなければいいではないか…。まるで、人間どもが憧れる善なる妖精のような振りをして契約を結び、そいつらの魂を食らってやろう)
狡知なる悪魔キュゥべえの行動は慎重だった。悪魔に対する警戒心が薄く、悪魔祓い師や聖人がいない国、そして若くて無垢な年少の善人たち――つまりは悪魔の大好物である――が善なる妖精を慕っている、日本という国の人々を獲物に選んだのだ。日本の中から見滝原市が選ばれたのは偶然である。そして、なぜ大悪魔であるこ奴が真っ白な姿に変身したのか。それは聖書の一節に由来する。
「あなたがたは白く塗った墓に似ているのです。その外側はなるほど美しく見えますが、内側は死人の骨とあらゆる穢れに満ちているのです」(マタイ福音書)
そして今、契約者巴マミの魂を食らった邪悪にして狡知なる悪魔、地獄の大公キュゥべえは、次なる契約の獲物と目する鹿目まどかと行動を共にし、一緒にお風呂に入ろうとしていた。半脱ぎのまどかは、キュゥべえが脱衣場に現れたことを知り、驚きの声を挙げる。
「キュゥ、キュゥべえ!?キュゥべえも一緒にお風呂に入るの?えっ、ちょっと恥ずかしいよ…」
キュゥべえは、いつものように感情を感じさせない平坦なトーンのテレパシーをまどかに発信した。(まどか、恥ずかしいって何のことだい?ボクは人間じゃないから、人間の裸を見ても何にも感じないよ。そんなことを気にする方がおかしいよ)
賢明な読者諸氏は既にお分かりであろうが、このキュゥべえの言葉は嘘八百である。七つの大罪にもあるように、色欲淫蕩は悪魔の悪魔たる所以の一つ。悪魔キュゥべえはまどかの恥ずかしがる姿に好色な淫蕩の興奮を感じていたのだ。ゆえにその結果、この悪魔が普段持っている慎重さはこの場では極めて薄れていたといえよう。このことが悪魔を討つことに繋がるとは、禍福はあざなえる縄の如し。
既にすっぽんぽんになっているタツヤ坊やが不思議そうな声を出す。「ねえ、ねえ、お姉ちゃん、さっきからだれとしゃべってるの?だれもいないよ…?」
(まどか、不思議がられているよ。ここはボクといっしょにお風呂にはいるんだ、はやく!)
まどかは情けない顔をしてうなずくと、ブラジャーとパンティを恥ずかしそうに脱いだ。ああ、まどかは大悪魔にして淫獣キュゥべえの毒牙にかかってしまうのだろうか!?
そしてお風呂場の中。まどかは困惑していた。タツヤ坊やに分からないよう、テレパシーでキュゥべえとこっそり会話するまどか。
(な、なんでキュゥべえ、わたしの前に向き合うようにしてすわってるの?変だよ!)
(そんなことはどうでもいいハァハァ…。まどか、そんな風に足を閉じないで、股を広げるんだ、はやく!)
(キュゥべえ、いつもと口調が違うよお…)
(おかしいなあ。ボクがこれまで契約してきた子は、ボクが頼めば二つ返事で股を開いてくれたよ)
(知らないよ、そんなの!)
まどかの前に座り、じっとまどかの股間を凝視するキュゥべえ。その目は赤く不気味に輝いていた。

この時、地獄の大公、大悪魔キュゥべえが本来持っている慎重な警戒心はゼロになっていたといっていいだろう。ゆえに、この大悪魔めがけて放たれた細い一本の水流がこ奴の身体を直撃したからといって、何もおかしむにはあたらない。
身体にかかってくる水流に、思わず声をあげるまどか。喜びの声をあげるタツヤ坊や。
「えーい、お姉ちゃん、水鉄砲だよ!ばんばーん!」
「うわ、うわ…。もう、いたずらはだめだよっ」
そのとき、人間の声とは全く違った、それでいてまるで死に際の悲鳴とも絶叫とも聞こえるような、奇怪な声がまどかの頭の中に響いた。
(ぐぁぐぇぇぇ……聖なる水……身体が……焼かれるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぎゃああああぁぁぁうげぇぇぇぇぇぇぇ…)
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END
後書き:元ネタはフレドリック・ブラウンの短編「悪魔と坊や」(「天使と宇宙船」収録)から。教会行ったことがない人には分かりにくい落ちかもしれなくてごめんです。タツヤが水鉄砲に水を入れたのは、聖水の入った教会の洗礼盤(洗礼盤画像http://yagitani.jpn.cx/kurihon/taiyo07.htm)からということです。聖水は悪魔退治に使われます。ウロブチワールドのまどか☆マギカ本編ではすっきりとしたハッピーエンドは望めそうにないので、自分でハッピーエンドシナリオを作ってしまいました(^^;この後は、キュゥべえが退治されたことで、全員幸せになりました。
「うしおととら」は本巻を持ちまして完結でございます。その後のお話を、自分は持っておりません。ただひとつ、しかも断固として言えることは、「登場人物は全員幸せになりました。」それに沿って、皆さんが各自、各登場人物のその後を想像していただけたら、本当に嬉しいのでございます。
(藤田和日郎。「うしおととらワイド版第18巻作者あとがき」より)
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