2010年06月05日 08:24

Angel Beats!の共感不可能性について。ツイッターに見事な感想があったのご紹介致します。

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Angel Beats!について、ツイッターで見事な感想があったのでご紹介致します。物凄く完全に同感ですね…。もし、観鈴が僕の目の前にいたら何とかして力になりたい、微力ながらも彼女の力になりたいと思い行動するでしょうし、逆にもし、ユイが僕の目の前にいたら素通りすると思いますもの…。

http://twitter.com/hijiki_deertail
時間ズレてるので極力ネタバレせずに。だーまえの好きな「笑い」と「感動」に相性の良い物語の描き方は「楽しい日常」で、key作品はそれを積極的に描いてきた。だからこそぼくらはkeyキャラに愛情をもって見れるし、大好きだから感情移入もできる。

ABも、みんなで遊び「楽しい日常」を描きたいのだと思う。だけど、ABはその人となりを理解する時間がないから、ぼくらはポカンとして見てる。自分が作品の世界に入っても、一緒に遊べないのだ。「リトバスに入った僕」を想像するとみんなと楽しく過ごしてるけど、SSSに入った僕は想像しづらい。

だからkey作品で「幸せになれたね、良かったね」って感情移入できても、ABで同じように感じられるかというと微妙。だから今回は普段キーキーうるさい人が何を言ってるんだ、って感じで冷めて見てた。あと、「やんよ」と言う人って認識がないから、え?ギャグ?これ泣くところ?ってなる。

「初対面の人(AB登場人物)にトラウマ聞かされてしまったので、聞いた以上なんとかしなきゃ」って感じですか、今のところ。

今のABは「日常→その人の説明→いきなり昇華」と描いているから「日常を描くことによる感情移入」が無いんですけど、スポットを当てるメンバーを減らして、「人となりを理解させる→日常→昇華」とすると、ぐっと説得力が増すと思うんですよね。

大事な物を失くしたたいやき好き、友達のいない病弱な子、留年しちゃって勇気が出ない子、外見は外国人なのに英語が喋れない子…など、ぼくらが「力になりたい、友達になりたい」と思わせる人となり、説明があるからこそ、物語に入り込める。それがABには足りない。

物凄く同感です。Angel Beats!のキャラクター達は、視聴者が共感(Empathy)できないように、ちぐはぐで人間性を全く感じられない人物として描写されている。製作側があえてそういう描写、視聴者とキャラクター間に共感を不可能にする描写をしているのだと思いますけど、なぜそのように描くのか、その意図が観ていて全く分からないのが辛いですね。

共感というのは、自分の心に共鳴するもの、自分の心に理解できるものを、相手の行動に見つけて、相手に対して親しみ、友情、慈しみの感覚を覚えるものです。余談ですが人間以外の動物にも共感能力はあり、この能力が人間を含む動物達の集団生活を可能にする一因とされています(ローレンツ「ソロモンの指輪」)。閑話休題。

Angel Beats!の登場人物達の行動は、第10話とか普通に典型ですが、こういう共感が不可能なイレギュラーの行動で作られている。例えば、深い付き合いのある男女の男性の方が女性に「結婚してくれ」と申し込むなら、それは外部から共感可能ですが、Angel Beats!第10話のように、深い付き合いのない男女の男性の方が唐突に女性に「結婚してくれ」と申し込んでも、それは外部から共感不可能な、イレギュラーな行動、意味の分からない、シュールなギャグとしてしか捉えられない。Angel Beats!って、各キャラクターの行動がひたすらこういうシュールギャグばっかりなんですよね…。

荒川アンダーザブリッジみたいに、シュールギャグをギャグネタとして提示しているギャグアニメなら、それらシュールギャグは作品全体としてまとまりある面白さを生みますが、Angel Beats!の場合は、シュールギャグの行動を使って、製作側は視聴者にシリアスなドラマを強いる物語を組み立てていますね。結果、製作側の解釈(ここで感動しろというサイン)と視聴者の解釈(どう見ても共感不可能なシーンで感動を迫られる意味不明さ)が大幅に食い違って、ちぐはぐ感と笑いの感覚ばかりが強まっていますね…。

Angel Beats!、なんでこんな作りになっているのかさっぱり分からないですが、最初からキャラクターの共感不可能性を全面に押し出しているという特徴は、逆に、キャラクターへ共感(内面を思慮した思いいれ)を行わない視聴者、キャラクターをあくまで完全に外見でのみ判断して消費する視聴者には受けが良いのかも知れないと考えられるのかなとも思います。

共感というのは、自分の心の動きと相手(人間以外の相手、例えばネコとかの動物や、フィクションの登場人物も含む)の心の動きを抽象的に同一視して、相手の気持ちを推し量るアクティヴで複雑な行動(ゲシュタルト抽象化作業を含む高度な心理的アクション)なので、このような心の動きをメンドクサイと感じる人々にはABは心地よい物語として受けるのかなと…。

ただ、こういった外見のみを消費する視聴者、キャラクターの内面を慮らない視聴者は、今までのKEY支持層とは結構違う層のように思うんですよね…。今までのKEY作品はキャラクターの内面を思慮した思いいれ、共感性というのを極めて重視していましたから。近年のKEYは今までのファン層とは違う層へ向けた作品に向かう、全く新しい方向性に向かおうとしているのかも知れないと感じますね…。AIR好きとして、とても寂しいことですが、僕が止められるものではないので、仕方がないことと諦めるしかないですね…。

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