2010年05月28日 06:31
ガーシュウィン好きにお勧め、スコット・ジョプリン「ラグタイム」。ラグタイム・ピアノ、とても良いですよー。
Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]
先日、ガーシュウィンの10枚BOXについて紹介させて頂きましたので(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1177858.html)、今回は、ガーシュウィンの音楽を聴く上で書かせない、ガーシュウィンのルーツ、イージーリスニング・ポピュラー音楽の基礎を築いたスコット・ジョプリンの「ラグタイム音楽」をご紹介致します。ジョプリンの作曲したラグタイム・ピアノ曲は、とてもノリが良く、ガーシュウィン以上にノリが良くて、聴いていると踊り出したくなるようなうきうきした明るいポップ・クラシカルな音楽です。
ラグタイムは、ブルースなどの伝統的な黒人音楽を、19世紀末〜20世紀初頭に掛けて、聴きやすくポピュラーに手直しした黒人音楽でして、現在のポピュラー音楽、イージーリスニングの基礎になっています。チャップリンやバスター・キートンなどのサイレント喜劇映画で流れているコミカルな音楽を想像してもらうと分かりやすいです。分かりやすく親しみやすいリズムとメロディ、覚えやすいリフレイン形式、聴いている人々の気持ちを高揚させる明るいハーモニーなどが特徴です。日本で流れる曲では、キューピーマヨネーズの三分クッキングの音楽とか、天気予報で流れる音楽とか、運動会などの学校行事の時に流れている明るくテンポの良い音楽とかを考えて頂けるとラグタイムの感じが分かりやすいかと思います。「メープル・リーフ・ラグ」や「ジ・エンターテイナー」など、ラグタイムの音楽はシンプルで親しみやすく、映画やTVなどでもよく使われているので、誰でもどこかで聴いたことがあるかもです。アルバム「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」から引用致しますね。
僕の好きな映画に「スティング」という映画があるのですが、この映画は、今回紹介するスコット・ジョプリンのラグタイム音楽(メープル・リーフ・ラグなど)を使っていましたね。良い意味でのシンプルさと、味のあるチープ感覚を持つジョプリンのラグタイムが、映画「スティング」の三流詐欺師を主人公にしたコン・ゲームの物語にとてもマッチしていて、非常に嬉しく思ったのを覚えています。映画と音楽がベスト・マッチしていましたね。
スティング 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]
スコット・ジョプリンはラグタイム・キングと呼ばれる、ラグタイムの代表的な黒人作曲家です。彼はブルースを分かりやすく親しみやすくし、誰でも楽しめるラグタイムピアノ曲とすることで、大衆的な人気を集めました。しかし、彼の死によって、彼はアメリカ音楽史からすっかり忘れ去られてしまいました…。1960年代後半から彼の曲の再評価が始まり、1973年、映画「スティング」で彼の曲が使われ大ヒット、彼の曲はアカデミー音楽賞を受賞、彼はようやく再び日の目を見る存在となりました。
彼のラグタイムピアノ曲は、どれも明るく親しみやすく聴きやすい、BGMにするにぴったりの曲です。複雑な曲をBGMにしていたらそれだけで疲れますが、彼の曲は「シンプル・ザ・ベスト」を地で行く曲なので、BGMとして流しておくに相応しい曲です。「底抜けに明るくテンポの良いサティ」「シンプルなガーシュウィン」みたいな曲ですね。どれも、何度聴いても飽きない名曲が揃っています。お勧めですね。ぜひ、一度聴いて欲しいラグタイムの作曲家さんです。
お勧めアルバムとしては、3枚組のBOXアルバム「Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]」がダントツで一押しです。現在amazonで1500円切ってますね。ラグタイムの猥雑さにしてパワフルな魅力が良く出ている演奏、ジョプリンのピアノ曲がアルバム3枚に多数収録されており、コストパフォーマンス抜群です。ケースもなかなか凝っていて、ブリキっぽいBOXに、ラグタイムを演奏している黒人ピアニストの絵が浮き彫りで描かれています。ケースの中にはCDの他にも当時(1900年前後)の黒人の人々を描いたポストカードが六枚入っていたり、CD以外も楽しめるBOXですね。お勧めです。ただ難点として、3枚とも録音状態が良くなく音質がかなり悪いので、ボリュームをあげると音が割れます…。ただそれでも、パワフルな演奏でラグタイムの全体像をつかめるという点で、高い価値のあるBOXセットだと思います。
Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]
あとは変り種のアルバムとして、スコット・ジョプリンが残したピアノ・ロールを、ラグタイム当時(1910年)のロール・ピアノを使って演奏させて、デジタル録音したアルバム「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」が面白いですね。これがスコット・ジョプリン本人の演奏かと思うと感慨深いです。ジョプリンの演奏ははっきりいって物凄く下手でありますが、『名曲を書いたジョプリンはピアノ演奏が本当に下手だったんだなあ…』と歴史的なことを思いながら聴けるという点では、なかなか面白いアルバムかなと思います。
Scott Joplin: The Entertainer
「Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]」、「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」どちらも楽しく聴ける良いアルバムだと思います。ラグタイムの醍醐味は、親しみやすい明るさにありまして、聴いているとそれだけで心が明るくなるような音楽です。皆様方に心からお勧めできる素敵な音楽です。また、ラグタイムのアルバムは他のジャンルに比べると廉価なアルバムが多く(値段が500円〜1000円前後程度のアルバムが多い)、アルバムが色々と聴きやすく、黒人民衆音楽だけあって、貧しき音楽好きに優しい音楽と感じますね…。
参考作品(amazon)
Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]
Scott Joplin: The Entertainer
Joplin: Rag-Time Music; Previn: A Different Kind of Blues
ジ・エンターテイナー〜ジョプリン / ピアノ・ラグ集
ジョプリン:ラグタイム・ピアノ
Joplin: The Red Back Book / Schuller, Grierson, New England Ragtime Conservatory, Southland Stingers
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先日、ガーシュウィンの10枚BOXについて紹介させて頂きましたので(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1177858.html)、今回は、ガーシュウィンの音楽を聴く上で書かせない、ガーシュウィンのルーツ、イージーリスニング・ポピュラー音楽の基礎を築いたスコット・ジョプリンの「ラグタイム音楽」をご紹介致します。ジョプリンの作曲したラグタイム・ピアノ曲は、とてもノリが良く、ガーシュウィン以上にノリが良くて、聴いていると踊り出したくなるようなうきうきした明るいポップ・クラシカルな音楽です。
スコット・ジョプリン「メープル・リーフ・ラグ」
http://www.youtube.com/watch?v=pMAtL7n_-rc
ラグタイムは、ブルースなどの伝統的な黒人音楽を、19世紀末〜20世紀初頭に掛けて、聴きやすくポピュラーに手直しした黒人音楽でして、現在のポピュラー音楽、イージーリスニングの基礎になっています。チャップリンやバスター・キートンなどのサイレント喜劇映画で流れているコミカルな音楽を想像してもらうと分かりやすいです。分かりやすく親しみやすいリズムとメロディ、覚えやすいリフレイン形式、聴いている人々の気持ちを高揚させる明るいハーモニーなどが特徴です。日本で流れる曲では、キューピーマヨネーズの三分クッキングの音楽とか、天気予報で流れる音楽とか、運動会などの学校行事の時に流れている明るくテンポの良い音楽とかを考えて頂けるとラグタイムの感じが分かりやすいかと思います。「メープル・リーフ・ラグ」や「ジ・エンターテイナー」など、ラグタイムの音楽はシンプルで親しみやすく、映画やTVなどでもよく使われているので、誰でもどこかで聴いたことがあるかもです。アルバム「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」から引用致しますね。
ラグタイム・ピアノというとスコット・ジョプリンの名前を思い浮かべる人が多い。ジョブリン作のオリジナル・ラグ(ポピュラー・チューンをラグ的に変奏したものではなく最初からラグタイムの曲として書かれたもの)である「メープル・リーフ・ラグ」や「ジ・エンターテイナー」といった曲は、誰もがそのメロディに耳覚えがあるのではと思えるくらい人々に親しまれている。(中略)
ラグタイムは黒人独特のシンコベーションのきいた躍動感溢れるリズムに西洋音楽のハーモニーを乗せて黒人が作り出した音楽である。西洋音楽の形式や記譜法を取り入れることによって、きわめて偶発的であったこの音楽は一つのスタイルとして定着したことを考えれば、ラグタイムがその音楽性においてクラシック音楽的要素を含んでいることは当然と言える。(中略)しかしながらいくらラグタイムに格式や品格を求めたところで、ラグタイムは構築された繊細な美しさとは全く正反対の粗野で猥雑さを持って生まれてきた音楽であり、最終的に西洋音楽の形式によってそのスタイルを完成させたとはいえ、やはりその魅力は黒人独特の躍動感のあるリズムや西洋音楽から見た意外性の心地よさにあると思う。(中略)
「ラグタイム・ピアノとは」
ラグタイムは19世紀に黒人達が黒人霊歌や労働歌、当時の黒人流行歌など身近にあったあらゆる音楽に、アフリカ的リズムと黒人独自の慣性を盛り込んで生み出したアフロ・アメリカン・ミュージックである。(中略)ピアノは当時(ラグタイムが流行した19世紀末〜20世紀初頭)最も親しまれていた楽器であったことや、一人でメロディ・リズム・ハーモニーを同時に表現できるので、リズムとメロディの組み合わせに特色を見い出した音楽であるラグタイムに最も適したことから、一躍人気を集め、ラグタイム・ピアノという一つの独立したスタイルが確立された。
ラグタイム・ピアノはダンスや娯楽のための音楽であり、祭りや紅灯街の売春宿で、あるいはミンストレル・ショーやバレルハウスなどで演奏され、育まれてきた音楽である。だから本来、荒削りでありながら、エモーショナルで生き生きとした音楽である。ジョプリンも若くしてサロンやバレルハウスに出入りし、ピアノを弾くようになった。そうした場所で彼は先輩格のピアニストからアフロ・アメリカ的なピアノ・スタイルを学び取ると同時にクラシック音楽の教育も受けた。彼のように音楽的教育を受けたピアニスト達が、とりとめがなく一貫性のみられなかったアフロ・アメリカ的なピアノ・スタイルをうまくまとめあげ、ラグタイム・ピアノは完成したのである。
(「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」ライナーノーツより)
僕の好きな映画に「スティング」という映画があるのですが、この映画は、今回紹介するスコット・ジョプリンのラグタイム音楽(メープル・リーフ・ラグなど)を使っていましたね。良い意味でのシンプルさと、味のあるチープ感覚を持つジョプリンのラグタイムが、映画「スティング」の三流詐欺師を主人公にしたコン・ゲームの物語にとてもマッチしていて、非常に嬉しく思ったのを覚えています。映画と音楽がベスト・マッチしていましたね。
スティング 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]
スコット・ジョプリンはラグタイム・キングと呼ばれる、ラグタイムの代表的な黒人作曲家です。彼はブルースを分かりやすく親しみやすくし、誰でも楽しめるラグタイムピアノ曲とすることで、大衆的な人気を集めました。しかし、彼の死によって、彼はアメリカ音楽史からすっかり忘れ去られてしまいました…。1960年代後半から彼の曲の再評価が始まり、1973年、映画「スティング」で彼の曲が使われ大ヒット、彼の曲はアカデミー音楽賞を受賞、彼はようやく再び日の目を見る存在となりました。
「スコット・ジョプリンについて」
キング・オブ・ラグタイムといわれるスコット・ジョプリンは1868年11月24日、テキサカーナで生まれている。父は白人主人の経営するプランテーションでヴァイオリンを弾き、母はバンジョーを演奏し、歌を歌うという音楽一家に育った。子供の頃から楽才を示したスコットは町でドイツ人の音楽教師に師事し、クラシック教育を受ける一方で、町のバレルハウスや売春宿に出入りするようになり、そういった場所でピアノを弾くようになった。(中略)
ミズーリ州セダリア(ラグタイムの主都といわれるラグタイム隆盛の地)の町に移った彼は、黒人のためのスミス大学で作曲を学び、再度音楽的基礎を固め、やはり同時に町の赤線地帯でクラブ・ピアニストとして働いた。1899年に生涯の傑作「メープル・リーフ・ラグ」を出版するや最終的に100万部の大ヒットとなり、彼は一躍ラグタイム・キングの名声を手に入れたのである。
(「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」ライナーノーツより)
彼のラグタイムピアノ曲は、どれも明るく親しみやすく聴きやすい、BGMにするにぴったりの曲です。複雑な曲をBGMにしていたらそれだけで疲れますが、彼の曲は「シンプル・ザ・ベスト」を地で行く曲なので、BGMとして流しておくに相応しい曲です。「底抜けに明るくテンポの良いサティ」「シンプルなガーシュウィン」みたいな曲ですね。どれも、何度聴いても飽きない名曲が揃っています。お勧めですね。ぜひ、一度聴いて欲しいラグタイムの作曲家さんです。
お勧めアルバムとしては、3枚組のBOXアルバム「Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]」がダントツで一押しです。現在amazonで1500円切ってますね。ラグタイムの猥雑さにしてパワフルな魅力が良く出ている演奏、ジョプリンのピアノ曲がアルバム3枚に多数収録されており、コストパフォーマンス抜群です。ケースもなかなか凝っていて、ブリキっぽいBOXに、ラグタイムを演奏している黒人ピアニストの絵が浮き彫りで描かれています。ケースの中にはCDの他にも当時(1900年前後)の黒人の人々を描いたポストカードが六枚入っていたり、CD以外も楽しめるBOXですね。お勧めです。ただ難点として、3枚とも録音状態が良くなく音質がかなり悪いので、ボリュームをあげると音が割れます…。ただそれでも、パワフルな演奏でラグタイムの全体像をつかめるという点で、高い価値のあるBOXセットだと思います。
Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]
あとは変り種のアルバムとして、スコット・ジョプリンが残したピアノ・ロールを、ラグタイム当時(1910年)のロール・ピアノを使って演奏させて、デジタル録音したアルバム「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」が面白いですね。これがスコット・ジョプリン本人の演奏かと思うと感慨深いです。ジョプリンの演奏ははっきりいって物凄く下手でありますが、『名曲を書いたジョプリンはピアノ演奏が本当に下手だったんだなあ…』と歴史的なことを思いながら聴けるという点では、なかなか面白いアルバムかなと思います。
Scott Joplin: The Entertainer
本CDはスコット・ジョプリンのラグタイムの名曲をロール・ピアノに自動演奏させ、それをデジタル録音したものである。中でも最初の3曲「メープル・リーフ・ラグ」「サムシング・ドゥーイング」「ウィービング・ウィロー・ラグ」は、スコットジョプリン本人の演奏を記録したロールを再生したもので、ロール・ピアノという機械的媒体を通してはいるものの、本人による生演奏の録音が存在しないことを考えると、間接的とはいえ本人の演奏に接することができる唯一貴重な機会と言える。演奏内容ははっきり言って上手とは言い難く、同じバイオグラフ社からでているユービー・ブレークやジェームス・P・ジョンソンのピアノ・ロールと比べると、その差は歴然としているが、曲の中の至るところに、オリジナル・スコアと違う装飾音や左手のベース・パートの経過音などが挿入されているのはなかなか興味深い。
(「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」ライナーノーツより)
「Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]」、「スコット・ジョプリン ジ・エンターテイナー」どちらも楽しく聴ける良いアルバムだと思います。ラグタイムの醍醐味は、親しみやすい明るさにありまして、聴いているとそれだけで心が明るくなるような音楽です。皆様方に心からお勧めできる素敵な音楽です。また、ラグタイムのアルバムは他のジャンルに比べると廉価なアルバムが多く(値段が500円〜1000円前後程度のアルバムが多い)、アルバムが色々と聴きやすく、黒人民衆音楽だけあって、貧しき音楽好きに優しい音楽と感じますね…。
参考作品(amazon)
Ragtime: The Music of Scott Joplin [Collector's Edition Music Tin]
Scott Joplin: The Entertainer
Joplin: Rag-Time Music; Previn: A Different Kind of Blues
ジ・エンターテイナー〜ジョプリン / ピアノ・ラグ集
ジョプリン:ラグタイム・ピアノ
Joplin: The Red Back Book / Schuller, Grierson, New England Ragtime Conservatory, Southland Stingers
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