2010年05月26日 21:51
岩均明「ヒストリエ」好きにお勧めする歴史漫画、総領冬実「チェーザレ」
チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス)
雪の峠・剣の舞 (アフタヌーンKCデラックス)
先日ヒストリエを読了したので(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1180322.html)、ネットでヒストリエ感想をチェックしていたら、僕そのものな読書傾向について書いているツイッターのつぶやきがあって吹きました。
全て僕の大好きな持っている漫画で、あまりにも的確すぎて吹きました。あと付け加えるなら連載中の作品では「舞姫テレプシコーラ」「ベルセルク」「ラブやん」が好きで単行本で持っており、新刊発売を楽しみにしています。、ここ数年で完結した作品では「ヘルシング」「もっけ」「ジパング」「DEATH NOTE」あたりはとても好きでしたね。
僕は物凄い貧乏で、全くお金がないので、基本的に本は図書館オンリーなのですね。図書館で本を借りると、自分の趣味でなさそうな本も「趣味じゃないけど勉強になるかもしれないし、新しい面白さが開けるかも知れない、一応借りてゆくか」という感じで借りて読むことになるので、ありとあらゆるジャンルを濫読する物凄く雑多で分散した読書傾向になるんですが、漫画の場合は違いますね。
漫画の場合は図書館で借りれないので、自分で買うしかない。そうなると、よほど自分が大好きな作品しか買わないことになるので、自分の趣味性が思いきり出ますね。どうも僕は、好きな漫画の傾向として、世界観や登場人物が精緻に組み立てられて、それらが三人称的な距離を持って描かれている、群像劇タイプの作品が好きなのだなあと感じます。総領冬実さんの「チェーザレ」は、「ヒストリエ」とならんで、そういったタイプの歴史漫画として最高に好きですね。また、物語を、ユーモアやギャグでずらすことで笑いを生む作品(テルマエ・ロマエ、ギャグマンガ日和、ラブやんetc)も好きです。
自分の持っている漫画を見ると、互いの価値観がぶつかり合って互いに相対化される群像劇が好きなのだなあと感じますね。人間は世界の中に在ることを強いられる限界のある存在、世界の中で消し去ることのできない他なる苦痛と向き合わされる弱い存在であり、自由を得ることはできず、苦しみから逃れることもできないと僕は感じるので、そういった僕の世界観に共鳴する世界の在り方・登場人物が出てくる作品などは、非常に好きですね…。「チェーザレ」のミゲルの台詞「自由などどこにもないのだ」とか、ミゲルに心から深く共感したのを覚えています。
「チェーザレ」は、人間の限界性とその悲しみを、登場人物から距離を取った眼差し=歴史的眼差しを持って淡々と描いているところ、ヒストリエなどの岩明均作品に通じると思いますね…。とても好きな漫画です。何か一つの価値観を肯定したり否定したりするのではなく、あらゆる価値観を含めた人間達の営みを、人間達の限界とともに、切実に描いているところが、心を打ちます。
総領冬実さんのチェーザレ、チェーザレ・ボルジアを取り巻く人間模様と歴史的な動きを丹念に描いた傑作歴史漫画です。ヒストリエが好きなお方々には、ぜひ読んで欲しい作品ですね…。
参考作品(amazon)
チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス)
チェーザレ 破壊の創造者(2) (KCデラックス)
チェーザレ 破壊の創造者(3) (KCデラックス)
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先日ヒストリエを読了したので(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1180322.html)、ネットでヒストリエ感想をチェックしていたら、僕そのものな読書傾向について書いているツイッターのつぶやきがあって吹きました。
http://twitter.com/whowilwin/status/14701654422
持ってる漫画はチェーザレとヒストリエとヴィンランドサガとテルマエロマエとセンゴクとギャグマンガ日和です!とか言いそうな要はそんな感じの。
全て僕の大好きな持っている漫画で、あまりにも的確すぎて吹きました。あと付け加えるなら連載中の作品では「舞姫テレプシコーラ」「ベルセルク」「ラブやん」が好きで単行本で持っており、新刊発売を楽しみにしています。、ここ数年で完結した作品では「ヘルシング」「もっけ」「ジパング」「DEATH NOTE」あたりはとても好きでしたね。
僕は物凄い貧乏で、全くお金がないので、基本的に本は図書館オンリーなのですね。図書館で本を借りると、自分の趣味でなさそうな本も「趣味じゃないけど勉強になるかもしれないし、新しい面白さが開けるかも知れない、一応借りてゆくか」という感じで借りて読むことになるので、ありとあらゆるジャンルを濫読する物凄く雑多で分散した読書傾向になるんですが、漫画の場合は違いますね。
漫画の場合は図書館で借りれないので、自分で買うしかない。そうなると、よほど自分が大好きな作品しか買わないことになるので、自分の趣味性が思いきり出ますね。どうも僕は、好きな漫画の傾向として、世界観や登場人物が精緻に組み立てられて、それらが三人称的な距離を持って描かれている、群像劇タイプの作品が好きなのだなあと感じます。総領冬実さんの「チェーザレ」は、「ヒストリエ」とならんで、そういったタイプの歴史漫画として最高に好きですね。また、物語を、ユーモアやギャグでずらすことで笑いを生む作品(テルマエ・ロマエ、ギャグマンガ日和、ラブやんetc)も好きです。
自分の持っている漫画を見ると、互いの価値観がぶつかり合って互いに相対化される群像劇が好きなのだなあと感じますね。人間は世界の中に在ることを強いられる限界のある存在、世界の中で消し去ることのできない他なる苦痛と向き合わされる弱い存在であり、自由を得ることはできず、苦しみから逃れることもできないと僕は感じるので、そういった僕の世界観に共鳴する世界の在り方・登場人物が出てくる作品などは、非常に好きですね…。「チェーザレ」のミゲルの台詞「自由などどこにもないのだ」とか、ミゲルに心から深く共感したのを覚えています。
カノッサ
「同じ人間なのに…同じヨーロッパ人なのに何故いがみ合わなければいけないのだろう…信仰が違うことはそんなに罪深いことなのだろうか?」
ミゲル
「フランス人はイスラムの侵攻に屈しなかったことを自負する熱狂的なキリスト教信者だ。彼らにとってはキリスト教信者以外の人間はユダヤであろうがイスラムであろうが全て邪教だ。同列の人間ではない」
カノッサ
「…(キリスト教に)改宗するつもりはないのですか?」
ミゲル
「改宗しても俺がユダヤ人であることには変わらない。完全なキリスト教信者として扱われるわけでもなく、今度は同胞のユダヤから蔑まれる。どちらにせよ、この大陸にいる限りユダヤ人が完全な権利を得ることはない…」
カノッサ
「………。本当にクリストーバルさんの航海について行く気はないのですか?」
ミゲル
「新天地か…。仮に新天地を見つけたとしても、決して自由が手に入るとは限らないだろ。そこが生活水準に適した地なら、そこには人が集まり、集落が出来る。集落が出来て、人の数が増えれば、当然また宗教論争が起こる。そうなると、どこへ行こうが、我々は所詮異端だ。結局、自由などどこにもないのだ」
カノッサ
「私は無力ですね…何のお役にもたてそうにない」
ミゲル
「いや…そうでもないよ。現にさっきは助けられた。あそこでおまえがアンリとの間に割って入ってこなかったら正直大事になっていたかもしれん。
まあ…マリア像は粉々になってしまったが死人は出ずにすんだ。おまえのおかげだ。ありがとう」
(総領冬実「チェーザレ」)
「チェーザレ」は、人間の限界性とその悲しみを、登場人物から距離を取った眼差し=歴史的眼差しを持って淡々と描いているところ、ヒストリエなどの岩明均作品に通じると思いますね…。とても好きな漫画です。何か一つの価値観を肯定したり否定したりするのではなく、あらゆる価値観を含めた人間達の営みを、人間達の限界とともに、切実に描いているところが、心を打ちます。
「けどなァ!しょせん剣術なんざたかが知れてるぜ!何しろ天下一が二人そろって、城一つ、女一人、守れねえんだからな!」
「そうだな………たかが知れてる……」
(岩明均「雪の峠 剣の舞」)
総領冬実さんのチェーザレ、チェーザレ・ボルジアを取り巻く人間模様と歴史的な動きを丹念に描いた傑作歴史漫画です。ヒストリエが好きなお方々には、ぜひ読んで欲しい作品ですね…。
参考作品(amazon)
チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス)
チェーザレ 破壊の創造者(2) (KCデラックス)
チェーザレ 破壊の創造者(3) (KCデラックス)
チェーザレ 破壊の創造者(4) (KCデラックス)
チェーザレ 破壊の創造者(5) (KCデラックス)
チェーザレ 破壊の創造者(6) (KCデラックス)
チェーザレ 破壊の創造者(7) (KCデラックス)
雪の峠・剣の舞 (アフタヌーンKCデラックス)
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