2010年03月23日 13:40

雷句誠さんの新作「どうぶつの国 第一巻」面白かったです。漫画の二タイプ、逸話タイプと物語タイプ。

どうぶつの国(1) (少年マガジンKC)
どうぶつの国(2) (講談社コミックス)

昨日更新できなくて申し訳ありません。昨日は「金色のガッシュ!!」で大ヒットを飛ばした漫画家雷句誠さんの新作「どうぶつの国 第一巻」を読みました。僕は「金色のガッシュ!!」の大ファンで、ガッシュが連載していた頃は少年サンデーをガッシュのためにリアルタイムで読んでいたくらいガッシュ好きなので、とても期待の注目作でした。

第一巻を読んだ感想としては、「第一巻としてなかなかグッド!」という感じで、楽しめました。雷句誠さんの漫画は、ワンピースやナルトやハンターハンターのように、毎回毎回十数ページの短い逸話の中にスリリングな起伏を造って話を盛り上げていくタイプ(逸話重視タイプ。ジャンプにはこのタイプの漫画家さんが特に多い)というよりは、各回ごとにきちんと次回に繋がる伏線を張って、それが話を重ねるうちに効果的に作用して話がどんどん盛り上がっていくタイプの作品を作る漫画家さんなので(物語重視タイプ。サンデーの漫画家さんや月刊誌の漫画家さんにはこのタイプが多い、アフタヌーンの漫画家さんなんかは大体このタイプ)、別冊少年マガジンでゆっくりたっぷりと物語を作ってゆける製作環境は雷句誠さんに合っているのかなと読んでいて思いましたね。

どうぶつの国第一巻は、盛り上がりという点では、先に挙げた逸話タイプ、少年ジャンプ・少年サンデー・少年マガジンといった週間少年漫画雑誌のアンケートシステム(毎号の各作品のアンケートの人気によって打ち切りを決定するシステム)の漫画、とにかく、毎回毎回、毎号の数十頁の部分だけ読んでも盛り上がれるように、短い逸話をぎゅうぎゅうに詰め込んだタイプの漫画に比べるとやや盛り上がり度は低いですが、その分、次回にどんどん繋げてゆけるよう、物語世界がきちんと構築されているので、これからに期待が高まる出来でしたね。僕は逸話タイプにおされ気味な物語タイプの漫画にもっと隆盛して欲しいと願っているので、その点でも期待です。

物語自体としては、ファンタジックな擬人化された動物達の暮らす「どうぶつの国」にやってきた人間の赤ちゃん(姿は赤ちゃんですが、どう考えても10歳児くらいの能力があるスーパー赤ちゃん)が、動物達に育てられながら動物達をを引っ張ってゆくというお話です。ガッシュもそうでしたけど、雷句誠さんの漫画はシリアスとユーモアのバランスが取れている感じでして、雰囲気がとても良いんですね。ガッシュもどうぶつの国も、物語の雰囲気が、ほのぼのとしてユーモラスで、なおかつ締めるところはちゃんとシリアスという感じで、読んでいて雰囲気の緩急がとても心地よくて好きですね。

どうぶつの国第一巻では第二話が特に良かったですね。弱肉強食の世界で生きる山猫のクロカギがどうして不殺になったのかの逸話が、宮沢賢治の童話を彷彿とさせる感じでとても良かったです。涙がでちゃいましたよ…。ここだけじゃなく、「どうぶつの国」全体が、ちょっと宮沢賢治っぽくて、宮沢賢治ファンとしては嬉しいところですね。動物達がファンタジックな擬人化されていて、それぞれ個性が強く、ユーモアとシリアスが上手に入り混じっているところが宮沢賢治の童話を彷彿とさせます。どうぶつの国、ペースはゆっくりとで良いので、これから物語を積み重ねて、盛り上げ高めて行って欲しいと感じさせる第一巻でした。お勧めです。

参考作品(amazon)
どうぶつの国(1) (少年マガジンKC)
どうぶつの国(2) (講談社コミックス)
金色のガッシュ!! 全33巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]
宮沢賢治童話大全 (スーパー文庫)

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