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2017年02月08日 05:07
けものフレンズ第5話視聴。物事を組み立てていく思考が得意なビーバーさんと、木を切って加工する作業が得意なプレーリードッグさんが、かばんちゃんとサーバルちゃんの仲立ちによって、お互いに分業して一緒に住む家になるログハウスを組み立てていくという物語でして、ずっとそうでしたが、本当に心から優しい世界なんですね、けものフレンズの世界は。見ていて心が和んでゆきます。物語もすばらしいですが、映像が本当に心地よい。サンルーフから顔を出して外を見ているかばんちゃんとサーバルちゃんを乗せたジャパリバスが豊かな自然の中を走っていく姿を遠景の後景から描いているシーンとか、もう見ていて、映像の本当の気持ちよさを感じますね。ロードムービーの映像として最高に素晴らしいとしか言い様がありません。涼元悠一さんとかきっと喜んでくれそう。
第5話の物語はビーバーさんとプレーリードッグさんは二人で分業してログハウスを作っていくんですが、思考に優れているが作業は苦手なビーバーさん(ログハウスの写真を一枚見ただけでログハウスの構造を理解した。フレンズ達は自身の得意な分野の知性に関しては人間を超える知性を発揮できるように思われる)と、思考は苦手だが実際の作業が得意なプレーリードッグさんが、互いに分業して一緒の家を作っていくんですが、これがとても優しいんですね。サーバルちゃんも含めてフレンズ達とかばんちゃんは、私利私欲がなくて本当に内的純粋性による衝動で、物事を進めていく(思考したり作業したりする)ので、自分にないものを持っている相手(フレンズ)に対して、本当に心からのリスペクトがあるのみで、それがお互いの長所を引き出し短所を補って、素晴らしい共同作業になってゆくという展開なんですね。
フレンズ達は、七つの大罪(「暴食」「色欲」「強欲」「憤怒」「怠惰」「傲慢」「嫉妬」)から、完全に解放されているように見受けられて、そしてそんなフレンズ達が、上記の大罪から解放されて、お互いに無償の「慈愛」「友情」「敬意」「贈与」の関係の中にいるのが、本当に、優しくて、輝いていて、暖かい気持ちになるんですね。ディストピアとして批判的な視点が生まれる前の古典的なユートピア世界の牧歌的な暖かさを感じますね。理想的な共生の営みを感じます。ビーバーさんとプレーリードッグさんがお互いに自分の理想のログハウスを述べていくところとか、凄く楽しい。ログハウスの遊びの仕掛けで「こんにちはであります!」のところも大好き!
ビーバーちゃんとプレーリードッグちゃんが、お互いに分業しながら、お互いを思いやりながら理想のログハウスを組み立てていく(サーバルちゃんとかばんちゃんとボスも喜んでお手伝いしている)というのが、様々なユートピアがディストピアを内蔵するものとして批判を受ける前の、古代、人間が人間性の善性をまだ信じられていた頃の古典的ユートピアを感じさせますね…。牧歌的な優しい古代の夢の楽園の世界。エリュシオンとかアルカディアとか…。近代ユートピアの元型であるトマス・モアの「ユートピア」自体は、すでに人間の善性が信じられなくなった時代の物語なのですね…。
トマス・モア自身も、ユートピアの究極的な根源が成り立つかどうかは、人々の心、人々が思いやりの心、フレンズ達が自然に持っているような心を持てるかどうかにあると考えているのですね…。
トマス・モアは、全ての人に衣食住を保証するベーシックインカム的な制度のある世界では、人々はお互いに優しく、お互いのことを思いやって暮らすことができると考えたのですね。衣食住の問題を解決し公正な法制度を整えれば人々がフレンズのようになれると考えたのです。アニメの「ARIA」とかこういったユートピア世界を描いていますね。
しかし、このように考えた人間の根源的な善と自由とキリスト教を信じるモアの最後は悲惨なものでした…。「法の名の下に行われたイギリス史上最も暗黒なる犯罪」…。
トマス・モアの最後を我々は知っている訳で、ユートピアが描く人間の善性の世界というものが、果たして他の様々なものを超えられるのかということに、やはりどうしても疑問を感じずにはおれない。けれど、やはり、どこかに信じたいという気持ちもある訳で…。
けものフレンズは現代の人間を元気付けてくれる、人間の根源的な善性を信じる気持ちをまた呼び覚まさせてくれる作品だと見ていて心から感じますね…。人間には根源的な善性があり、それを活かすことでみんなが幸せな世界を創り出すことができると信じられていた古代の人々が希望と夢を抱いて思い浮かべていた世界というのは、こんな世界なのではないだろうかと、けものフレンズを見ていると深く感じます…。
ヘッセの短編集「メルヒェン」は第一次世界大戦中に戦争に反対していたヘッセが戦争と憎悪ばかりしている世界に対しての気持ちを込めて発表した作品が多く収録されており、上記もその一つです。彼は第一次世界大戦に反対していましたが、戦争の為に傷ついた自国民や傷病兵や敵国に抑留されている捕虜を慰問する国の慰問文庫の仕事に精力を注ぎ、そんな彼のアンビヴァレントな苦しみと、人類に対する絶望と希望が交じりあわさっている作品、私は心打たれてとても好きな作品です。けものフレンズのような美しいユートピアについて思うとき、この作品を思い出しますね…。
けものフレンズ関連エントリまとめ。随時更新(最新更新17/2/13)
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921487.html
メルヒェン (新潮文庫)
著者:ヘッセ
新潮社(1973-07-03)
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ユートピア (岩波文庫 赤202-1)
著者:トマス・モア
岩波書店(1957-10-07)
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けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック (1)
KADOKAWA(2017-03-25)
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けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック (6)
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ようこそジャパリパークへ(初回限定盤)
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人間の条件 (ちくま学芸文庫)
著者:ハンナ アレント
筑摩書房(1994-10)
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思考の用語辞典―生きた哲学のために (ちくま学芸文庫)
著者:中山 元
筑摩書房(2007-02)
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涼元悠一@SuzumotoYuuichi
https://twitter.com/SuzumotoYuuichi/status/828610343127523329
ていうか、どうして俺はこんなにもジャパリバスのことばかり気になるんだろう。
第5話の物語はビーバーさんとプレーリードッグさんは二人で分業してログハウスを作っていくんですが、思考に優れているが作業は苦手なビーバーさん(ログハウスの写真を一枚見ただけでログハウスの構造を理解した。フレンズ達は自身の得意な分野の知性に関しては人間を超える知性を発揮できるように思われる)と、思考は苦手だが実際の作業が得意なプレーリードッグさんが、互いに分業して一緒の家を作っていくんですが、これがとても優しいんですね。サーバルちゃんも含めてフレンズ達とかばんちゃんは、私利私欲がなくて本当に内的純粋性による衝動で、物事を進めていく(思考したり作業したりする)ので、自分にないものを持っている相手(フレンズ)に対して、本当に心からのリスペクトがあるのみで、それがお互いの長所を引き出し短所を補って、素晴らしい共同作業になってゆくという展開なんですね。
フレンズ達は、七つの大罪(「暴食」「色欲」「強欲」「憤怒」「怠惰」「傲慢」「嫉妬」)から、完全に解放されているように見受けられて、そしてそんなフレンズ達が、上記の大罪から解放されて、お互いに無償の「慈愛」「友情」「敬意」「贈与」の関係の中にいるのが、本当に、優しくて、輝いていて、暖かい気持ちになるんですね。ディストピアとして批判的な視点が生まれる前の古典的なユートピア世界の牧歌的な暖かさを感じますね。理想的な共生の営みを感じます。ビーバーさんとプレーリードッグさんがお互いに自分の理想のログハウスを述べていくところとか、凄く楽しい。ログハウスの遊びの仕掛けで「こんにちはであります!」のところも大好き!
ビーバーさん「はやいっす。切り口も綺麗っすね。尊敬するっす」
プレーリードックさん「我々チームで穴掘りますから、指示通りに進めるのはなれたものでありますよ。ビーバーどのこそ凄い知恵であります、尊敬であります」
(けものフレンズ第5話)
人間が生きることは、たんに自分の生存のための労働に従事するためだけじゃないと、アレントは強調する。マルクス主義が人間の類的な本質は労働にあると考えたときから、人間の全ての営みが労働に還元されるようになったと彼女はいう。でもただ労働で生存するだけじゃなく、人間が自己の創意をもって他者と交わる空間をつくりだし、そこで自己の名誉(本質)を賭け、創造的な営みをすることが、もっと大事なんじゃないかと。(中略)
(生存の為の)労働を拠り所にする社会の共同性とは異なる公共の領域にこそ、人間の本質的な営みが向けられるべきだ。アレントはそう考えたんだね。
(中山元「思考の用語辞典」)
ビーバーちゃんとプレーリードッグちゃんが、お互いに分業しながら、お互いを思いやりながら理想のログハウスを組み立てていく(サーバルちゃんとかばんちゃんとボスも喜んでお手伝いしている)というのが、様々なユートピアがディストピアを内蔵するものとして批判を受ける前の、古代、人間が人間性の善性をまだ信じられていた頃の古典的ユートピアを感じさせますね…。牧歌的な優しい古代の夢の楽園の世界。エリュシオンとかアルカディアとか…。近代ユートピアの元型であるトマス・モアの「ユートピア」自体は、すでに人間の善性が信じられなくなった時代の物語なのですね…。
イギリス国内に(トマス・モアが心を痛める)問題は山のようにあった。例えば羊毛場が盛んになるにつれ、農場はそのために囲われ、農場を追われた者達は餓死するか、泥棒するか、しなければならなかった。窃盗罪に対する処罰は死刑であった。「一つの絞首台に二十人ずつ」泥棒は処刑されていった。ヘンリー八世の治世だけでも窃盗罪によって死刑になった者の数は一万二千人に及んでいた。(中略)
こういうイギリスの、更にはヨーロッパの有様に対して、モアの良心は鋭く反応していた。プラトンの『国家』に親しみ、アウグスティヌスの『神の国』を読み耽っていたこの良心的な法律家は、現実の世界と現実の彼方にある世界、この二つを眺め、人間に対して痛烈な怒りを感じながら、しかしまた、人間を愛しながら、自分の小宇宙の中に、一つの国家を想像していたに違いなかった。
この想像のうちに浮かんでくる国家像は、現実からの投影であると共に、超現実からの投影でもあった。一方では(イギリスの実地の法律家として)貧乏人の苦しみや支配階級のあくなき搾取や犯罪や非衛生や陰謀に対する、たとえ科学的な分析ではないにしろ、とにかく深い、透徹した把握があった。また他方では、古代の哲学者や神学者が考えた、理想国家への想像的な熱情があった。いわば、上と下から、現実と理想から、それぞれ投じられる影像が(著書「ユートピア」として)一つの焦点を結ぼうとしていたといえよう。
(平井正穂。岩波文庫トマス・モア「ユートピア」訳者解説)
トマス・モア自身も、ユートピアの究極的な根源が成り立つかどうかは、人々の心、人々が思いやりの心、フレンズ達が自然に持っているような心を持てるかどうかにあると考えているのですね…。
他人に利益を与えるために自分の利益をいくらかでも犠牲にするということは、じつに愛情と高貴さにみちた行為である。もっともこの行為は、必ずしも自分の利益を犠牲にするというより、むしろ大きな利益をもたらすといってもよいものである。なぜなら、まず第一に、それはいろいろな恩恵をもって報いられるからである。次に、善行をしたという意識、相手のしめした愛情と感謝のしるしの記憶、そういったものが、自分のみを削って相手にほどこしたものが本来ならわれわれの肉体に与えるはずであった快楽よりも、さらに大きな快楽をわれわれの心に与えてくれるからである。(中略)
そういうわけで、この問題を充分に考えた結果、人間のすべての行為は、いやすべての徳そのものでさえ究極的には快楽をその目的ともし、幸福の源ともしていると、彼らは考えるのである。
(トマス・モア「ユートピア」)
トマス・モアは、全ての人に衣食住を保証するベーシックインカム的な制度のある世界では、人々はお互いに優しく、お互いのことを思いやって暮らすことができると考えたのですね。衣食住の問題を解決し公正な法制度を整えれば人々がフレンズのようになれると考えたのです。アニメの「ARIA」とかこういったユートピア世界を描いていますね。
真の意味での「ユートピア(理想郷)」とは? - 書評あれこれ〜
http://takezou022000.blog.fc2.com/blog-entry-228.html
モアの唱えるユートピアは決して、エデンの園のような楽園ではない。資材や資産を国が管理することで衣食住が十分に保証されるとともに、刑罰によって国の安全も保証されています。こうした安全や生活に関わる必要物資を国が保証することで、国民は幸福の源である快楽を追求することが出来るのだと思います。つまり、生活に必要な基盤を国が保証する事で、生きるための労務や、外部からの危害から解放されて、自らの幸福を追求するための行為に集中することが出来る社会がモアの唱えるユートピアなのだと思いました。
しかし、このように考えた人間の根源的な善と自由とキリスト教を信じるモアの最後は悲惨なものでした…。「法の名の下に行われたイギリス史上最も暗黒なる犯罪」…。
ウィキペディア「トマス・モア」
トマス・モア(英語: Thomas More、1478年2月7日 - 1535年7月6日)は、イングランドの法律家、思想家。カトリック教会と聖公会で聖人。政治・社会を風刺した『ユートピア』の著述で知られる。(中略)
ロンドンの法律家の家に生まれた。大司教・大法官のジョン・モートンの家で従僕として教育を受け、オクスフォード大学、リンカーン法曹院で学び、法律家となった。1504年、下院議員。1515年からイングランド王ヘンリー8世に仕え、ネーデルラント使節などを務めた。1529年、官僚で最高位の大法官に就任した。
ヘンリー8世が離婚問題からローマ教皇クレメンス7世と反目すると、大法官を辞任。ヘンリー8世の側近トマス・クロムウェルが主導した1534年の国王至上法(国王をイングランド国教会の長とする)にカトリック信徒の立場から反対したことにより査問委員会にかけられ、反逆罪とされて同年ロンドン塔に幽閉、1535年7月6日に斬首刑に処された。
モアは俗人が教会の最高の長になりうることをあくまで否認したため断頭台で刑死したロチェスターの司教ジョン・フィシャーのことを知っていた。また、これと全く同じ理由から、しばり首になり、まだ息のあるうちに四肢を切られ腹を割かれて死んでいった修道士達のことも知っていた。彼の前に死刑以外の何ものもないことは明らかであった。(中略)
(1535年7月6日)モアはゆっくりと断頭台に登り、跪いて、「ああ神よわがために清き心をつくり、わがうちになおき霊をあらたにおこしたまえ。われを聖前よりすてたもうなかれ」云々という言葉のある「詩篇」51篇を頌した。いよいよ最後になった時、モアはその場所にいた人々に向かって「どうか私のために祈って下さい。そして私が聖なるカトリック教会の信仰を持ち、またその信仰のために、ここに死刑に処せられるというこの事実の証人になって下さい」といった。
また伝説的な物語として、一度首切り台に首を横たえてから、また急に首切り人に向かって、「一寸待ってくれ、髭をのけるから。この髭だけは大逆罪を犯していないからね」といったという話がある。
かくして「法の名の下に行われたイギリス史上最も暗黒なる犯罪」が行われた。
(平井正穂。岩波文庫トマス・モア「ユートピア」訳者解説)
トマス・モアの最後を我々は知っている訳で、ユートピアが描く人間の善性の世界というものが、果たして他の様々なものを超えられるのかということに、やはりどうしても疑問を感じずにはおれない。けれど、やはり、どこかに信じたいという気持ちもある訳で…。
涼元悠一@SuzumotoYuuichi
https://twitter.com/SuzumotoYuuichi/status/828577354838482945
けもフレ絡みのつぶやきで『生きてるだけで全肯定』って茶化して書いたけど、これって本当に重要で尊い理念であって、『この世界に今存在するという事実そのものが、この世界に存在していいという揺るぎない根拠』であることは、いつどんな瞬間でも忘れてはいけないと思う。
かばんちゃん「(ログハウスができたのは)かばんどのの一声あってのことであります!」
ドッグさん「いやあ、僕、力もないし、あんまりお手伝いできなくて」
ビーバーさん「そういう動物なんじゃないすか?考えるのが得意とか」
ドッグさん「そうであります!良い動物に違いないであります!」
かばんちゃん「……うん!」
(けものフレンズ第5話)
けものフレンズは現代の人間を元気付けてくれる、人間の根源的な善性を信じる気持ちをまた呼び覚まさせてくれる作品だと見ていて心から感じますね…。人間には根源的な善性があり、それを活かすことでみんなが幸せな世界を創り出すことができると信じられていた古代の人々が希望と夢を抱いて思い浮かべていた世界というのは、こんな世界なのではないだろうかと、けものフレンズを見ていると深く感じます…。
しかし彼はやはり一つの問いを抑えることはできなかった。ここの哀れな人々が取り残されたものであり、平和に恵まれない古き星の末裔だったとしても、またこれらの人々の生活がびくびくとした痙攣のように過ぎ去り、自暴自棄な殺戮に終わり果てるとしても、彼らが死人を戦場に遺棄し、それどころか、食らい尽しさえするかも知れないとしても、――そういうことが昔のおとぎ話の二つ三つに語られている――そうだとしても、未来の予感、神々の夢、魂の芽のようなものが、彼らの中に存在するに違いなかった。そうでなければ、この美のない世界は誤りであるか、無意味であるかにすぎないだろう。(中略)
「あなた方は、正しいことをしていないということを、心の中ではお気づきではないでしょうか?明るい朗らかな神々や、分別のある陽気な指導者や指揮者への憧れを抱いてはいないでしょうか?皆の欲しないことは誰も欲しないような、理性と秩序で成り立っているような、人間同士がお互いにひたすら朗らかさといたわりをもって臨み合うような、別な美しい生活を、あなた方は眠っているうちに夢見ることは一度もありませんか?世界は一つの全体であり、全体を予感しつつ敬い、愛しつつこれに捧げることこそ、幸福であり、救いであるという考えを持ったことは一度もありませんか?私達の国で音楽、礼拝、浄福と呼ばれているものを、全くご存知ありませんか?」
王様はこの言葉を聞いているうちに頭を垂れた。頭をあげたとき、彼の顔は変わり、微笑のかすかな光に包まれていた。目には涙を湛えていた。
「美しい少年よ」と王様はいった。「お前が子供であるか、賢者であるか、あるいはひょっとしたら神であるか、わしはよく知らぬ。しかし、わし達は、その方の話したことの全てを知っており、心の中に抱いておる、と答えることができる。わし達も、幸福や自由や神々をほのかに感じている。わし達も昔の賢者の伝説を持っておる。その賢者は、世界の統一を宇宙の調和的な和音として聞いたということだ。この答えで満足するかな?その方は彼岸からきた聖者かもしれぬ。神そのものかもしれぬ。いずれにしても、その方の心の中にある幸福や力や意志にして、わし達の心の中に予感や反映や更に影として生きていないものは一つとしてない」
突然、彼はすっくと立ち上がった。少年はびっくりした。一瞬、王様の顔はあけぼのの光に照らされたように、影のない明るい微笑にひたされたからである。
「さあ、行くがよい」と彼は言った。「行け、そして我々が戦争をし、殺人するのに任せておけ!だが、お前のおかげで、わしはしんみりとし、母を思い出した。もうこれで充分だ、充分だ、充分だ、愛らしい少年よ。さあ、行け、新しい戦闘の始まる前に、逃げよ!」
(ヘッセ「メルヒェン」より「別の星の奇妙な便り」)
ヘッセの短編集「メルヒェン」は第一次世界大戦中に戦争に反対していたヘッセが戦争と憎悪ばかりしている世界に対しての気持ちを込めて発表した作品が多く収録されており、上記もその一つです。彼は第一次世界大戦に反対していましたが、戦争の為に傷ついた自国民や傷病兵や敵国に抑留されている捕虜を慰問する国の慰問文庫の仕事に精力を注ぎ、そんな彼のアンビヴァレントな苦しみと、人類に対する絶望と希望が交じりあわさっている作品、私は心打たれてとても好きな作品です。けものフレンズのような美しいユートピアについて思うとき、この作品を思い出しますね…。
けものフレンズ関連エントリまとめ。随時更新(最新更新17/2/13)
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921487.html

著者:ヘッセ
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著者:トマス・モア
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著者:ハンナ アレント
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著者:中山 元
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2017年02月03日 23:04
タニグチリウイチ@uranichi
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僕も『けものフレンズ』を見ながら泣いているんだが。OPの「けものはいてものけものはいない」という歌詞のところとか、かばんちゃんじゃないサーバルがボスに認知されずバスにはね飛ばされる場面とか、スナネコが砂にサーバルやかばんちゃんやバスの絵を描いて寝ているところとか。切ないよねえ。
私もけものフレンズを見ていて、胸に込み上げる切なさを感じるので、これは凄くよく分かる言説です。けものフレンズ達はみんな自己充足的に楽しく暮らしていますが、それと共に、フレンズ達はとても善良で人懐っこく、他者に対する手助けを惜しまない。色々お手伝いをしてくれたカワウソちゃんやスナネコちゃんやツチノコちゃんも、フレンズ達のために渡し舟を引いているジャガーちゃんも、カフェを開いているアルパカちゃんも、歌を歌いながら仲間を捜し求めているトキさんも(余談ですが野生絶滅種であるトキさんが仲間を捜し求めているという物語内では触れられることのないこの文明批判がまた見事!)、みんな、完全に代価なしの無償で、カバンちゃんやフレンズ達の手助けをしている。私は見ていて、レヴィ・ストロースの「悲しき熱帯」や「野生の思考」を思い出していました。
冷たい社会は、ある制度を作り出すことによって、歴史的な要因が社会の安定と連続性に及ぼす影響をほとんど自動的に消してしまおうとする。
(レヴィ・ストロース「野生の思考」)
けものフレンズ達がみんな人懐こくって善良なのは、フレンズ達の生活とフレンズ達の社会、ジャパリパークのフレンズの人口分布が希薄なことも起因していると感じるのですね。フレンズ達は一種につき一体しかおらず、ジャパリパークの広大さから考えると非常に数が少ないように見受けられる。何より彼らは、一種につき一体のため、みな群れずに個体として孤独な基本生活を送っている。詳細は後述しますがこれは、人類種と同じタイプの言語を持つ知的生命にとっては、そうとうに寂しいことだと思います(また砂漠で一人に戻ってしまったスナネコちゃん…)。ただ、このことによって、フレンズ達の社会はクラストルの言う「抑圧システム」(国家等)を創りだして支配被支配関係のある社会を築いてしまうことを防いでいる。フレンズのユートピアと孤独は表裏一体なんですね。
(共同体の分業生産により)富が蓄積されると、そこには宗教や国家などの体系ができはじめる。メソポタミアの歴史なんかみても、このなりゆきは、避けられないみたいらしいんだ。そしてさらに富が増大するにつれ、生産性の可能性も向上し、人口も増える。そしてこれに対処するために官僚機構が成立し、法や軍隊が形成されて、ますます抑圧的になっていく。こういうのが歴史の流れみたいだ。でも贈与は、このプロセスをぷつりと断ち切れるということなんだ。
(中山元「思考の用語辞典」)
ユートピア論において一番難しい問題は、支配・被支配の関係性がユートピアであろうとした社会をディストピアに変えてしまうということであり、その答えとしては、一人ひとりが基本的に孤独に暮らすしかないという、非常に寂しい答えが出てきてしまうんですね…。真のユートピアと孤独は表裏一体のものとしてあるのです。けものフレンズの世界はユートピアですが、そこを人間の眼差し(言語構造からの眼差し)で見たとき、また切なく寂しいものを感じてしまう。それは広大なサバンナに人間が一人でいるとき孤独を感じるのと同じように…。
獣であったら、群れない動物であれば、一匹で生きていく孤独に強靭に耐えうるでしょう。しかし、けものフレンズ達は人類種と同じタイプの言語コミュニケーションが可能な知性を身につけている。そして、言語こそ、抽象的認識・抽象的思考を可能とし、他者とのコミュニケーションを根源的に求めてしまう、自己充足性の壁に穴を開けて欠如を作り出してしまうものなのです。ゼウスは言語の剣によって自己充足性の壁を切断したのです。
ゼウスは決断した。「人間を真っ二つに両断しよう」。その言葉通り、人間は両断された。両断後アポロンが修正を加えた姿、それが現在の人間の姿である。それ以来、人間は己の失われた半身を焦がれ求めるという。(プラトン『饗宴』))
人類学者レヴィ・ストロースは、奥地でのフィールドワークによって、全く代価なし(物々交換でもなく、完全に無償の贈与。有名なものではポトラッチ等)に見える関係性が、貨幣経済や分業経済の発達していない奥地などに多く見受けられることを研究し、
『人間は、他者に何かを贈与したり贈与されたりすることで(これは物々交換ではない純粋な贈与や純粋な受け取りも含む)、関係性を築くことを根源的に希求する生物であり、それは共同体の言語(言語から生まれる構造)から発露する知性に拠っている』
というようなことを発見したんですね。
例えばこれは現代の高度分業社会(私達の住むこの社会)にもあって、昔のインターネットとか無償性が非常に高い世界でしたが、今と同じように普通に賑わっていた訳です。この無償の贈与と受け取りの賑わいは、利害関係を基にした功利主義だけでは説明不可能な訳ですね。ただ、現代のインターネットは経済活動として行われる一部悪質なまとめサイトやキュレーションサイトが圧倒的に蔓延っている、経済功利主義の下部構造になってしまったところが大きいですが…。
余談ですが、レヴィ・ストロースを批判したジャック・デリダは、レヴィ・ストロースの理論を換骨奪胎(脱構築)して『「語りかける言葉」こそが真の贈与である』という理論を構築したんですが、日本に限らず世界中の現在のインターネットの偽ニュースサイトや悪質なまとめサイトや大企業のキュレーションサイトの跳梁跋扈ぶり(「語りかける言葉」の経済的功利主義化)を見ると、あっという間にデリダの理論の重要な部分が技術発達により崩れ去ってしまったなと感じますね…。レヴィ・ストロースの理論こそが、今も燦然と基礎理論として機能している。閑話休題。
フレンズ達は人類種に比べると遥かに自己充足的(孤独に対する耐性が非常に強靭)ですが、それでも寂しそうです。人類種のタイプの言語コミュニケートを取る知的生命の他者に対する善良さと人懐っこさは寂しさと表裏一体なんだと思いますね…。
フレンズ達が獣から変異して言語コミュニケーションを行える高度知性を得たということは、人類種と同じく、言語を持たない動物の自己充足性からは切り離されてしまった、獣の頃に持っていた完全な自己充足性が不完全になったということなんですね。言語を得るということは、それは自分が抽象的世界の一員であることを知るということであり、他者を知ることであり、死を知ることであり、抽象的関係性への希求が生まれることなんですね。
そして、その抽象的関係性の最も大きなものが、フレンズ(他者との無償の友情)なんですね。ゆえに、本作の題名は『けものフレンズ』なのだと思います。
ただ、最後に補足すると人類種は人類種以外の視点を得るというのは不可能な訳で、もしかしたら上記で書いたことは全て的外れであるかもしれない。あくまで人間の眼差しでけものフレンズ達を解釈したものに過ぎず、人間と異なる種であるフレンズ達は真に充足し真に全力で他者を手助けすることを望む知的生命なのかも知れない。相手に思いを寄せる思考の果てを考えさせてくれるところが、けものフレンズの優れたSF性であり、孤独を絶対性から感じさせる詩情であり、寂しく切ないところであると感じますね…。
萩原朔太郎
「さびしい人格」
さびしい人格が私の友を呼ぶ、わが見知らぬ友よ、早くきたれ、ここの古い椅子に腰をかけて、二人でしづかに話してゐよう、なにも悲しむことなく、きみと私でしづかな幸福な日をくらさう、遠い公園のしづかな噴水の音をきいて居よう、しづかに、しづかに、二人でかうして抱き合つて居よう、母にも父にも兄弟にも遠くはなれて、母にも父にも知らない孤児の心をむすび合はさう、ありとあらゆる人間の生活らいふの中で、おまへと私だけの生活について話し合はう、まづしいたよりない、二人だけの秘密の生活について、ああ、その言葉は秋の落葉のやうに、そうそうとして膝の上にも散つてくるではないか。
わたしの胸は、かよわい病気したをさな児の胸のやうだ。わたしの心は恐れにふるえる、せつない、せつない、熱情のうるみに燃えるやうだ。ああいつかも、私は高い山の上へ登つて行つた、けはしい坂路をあふぎながら、虫けらのやうにあこがれて登つて行つた、山の絶頂に立つたとき、虫けらはさびしい涙をながした。あふげば、ぼうぼうたる草むらの山頂で、おほきな白つぽい雲がながれてゐた。
自然はどこでも私を苦しくする、そして人情は私を陰鬱にする、むしろ私はにぎやかな都会の公園を歩きつかれて、とある寂しい木蔭に椅子をみつけるのが好きだ、ぼんやりした心で空を見てゐるのが好きだ、ああ、都会の空をとほく悲しくながれてゆく煤煙、またその建築の屋根をこえて、はるかに小さくつばめの飛んで行く姿を見るのが好きだ。
よにもさびしい私の人格が、おほきな声で見知らぬ友をよんで居る、わたしの卑屈な不思議な人格が、鴉のやうなみすぼらしい様子をして、人気のない冬枯れの椅子の片隅にふるえて居る。
けものフレンズ関連エントリまとめ。随時更新(最新更新17/2/5)
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921487.html

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著者:プラトン
岩波書店(2008-12)
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著者:中山 元
筑摩書房(2007-02)
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著者:橋爪 大三郎
講談社(1988-05-18)
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著者:クロード・レヴィ=ストロース
みすず書房(1976-03-30)
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著者:レヴィ=ストロース
中央公論新社(2001-04)
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著者:レヴィ=ストロース
中央公論新社(2001-05)
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著者:萩原 朔太郎
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2017年02月02日 15:28
今、天恵のようにぱっと閃いたんですが、「けものフレンズ」って、完全に「人類補完機構」シリーズの初期の話と通じ合うところがあるんじゃないでしょうか。人類補完機構の宇宙史における初期を描いた「マーク・エルフ」「昼下がりの女王」(「人類補完機構全短編1」収録)が完全に今のけものフレンズぽい。
人類補完機構の初期の時代を描く、「マーク・エルフ」「昼下がりの女王」の世界は、今から数千年先の未来、壊滅的な戦争によって人類がほぼ絶滅した世界、人類が遺伝子操作で作り出した獣人達、犬族、猫族、熊族などの獣の各種族の獣人達が、人類なき後の地球を平和裏かつ牧歌的に、そして非文明的(獣人達は遺伝子操作により争いや戦いは好まず獣の自己充足を持っているので欲望も強くなく、平和な世界だが文明レベルは低い)に暮らしているんですね。
でもそこは、平和に暮らす獣人達をおびやかすセルリアンもといマンショニャッガーという殺戮兵器が徘徊している世界でもあるんですね。マンショニャッガーはドイツ第六帝国の創り上げた殺戮マシン(ドイツはどれだけ帝国作って戦争やりまくったんだと読んでいて思わず突っ込む)で、ドイツ人以外をすべからく殺戮するマシンであり、ドイツ人の言うことしか従わない厄介なマシンなのです。
そして、時代を遥か遡り第二次世界大戦の時、ドイツの大貴族の科学者がヒトラーの危険性を危惧し最終的にドイツが戦争に負けることを見通して、自分の娘達(ドイツ貴族の美少女姉妹!)を冷凍睡眠装置にいれて冷凍睡眠状態にしてロケットに乗せ、戦火の届かない場所である地球静止軌道に打ち上げるんですね。そして、遥かなる刻を経て、人類なき後の獣人達の地球に再び少女は戻ってくるんですね。
そして、姉妹の片方が冷凍睡眠から目覚め、右も左も分からない遥かな未来の地球に降り立った少女は心優しい獣人達や、恐るべき殺戮マシンでありながら、純粋なるドイツの血統を持つ彼女には騎士の如く従うマンショニャッガーと共に(ドイツ第一主義の殺戮マシンのマンショニャッガーは流石にその後の歴史からはいなくなるんですけど)、活力を失った人類に活力を取りもどし、新たな人類の世界を再生させていく――そして少女は神話となる――というのが、人類補完機構の壮大な宇宙史の始まりなのです。「マーク・エルフ」で降りてきた少女が姉妹のもう片方を呼び寄せる話が「昼下がりの女王」です。
人類補完機構は、コードウェイナー・スミスの創造した壮大な宇宙史でして、幻想とSF性の入り混じった独特の幻想性、そして何より、作者のスミスが動物好き、特に猫が熱狂的に大好きな人物で(ちなみにどうでもいい余談ですが熱狂的に猫が好きなところは私と同じです!!)、人類補完機構の短編「鼠と竜のゲーム」などで、人間と猫がそれこそ完全に心通じ合ったパートナーとなった世界を描いており、なおかつ獣人が、とても魅力的なんです!ぶっちゃけ人類よりも獣人の方を魅力的に描いていることは全作品を通して明らか。
さらに、人類補完機構シリーズ最大の特徴は、人類が遺伝子操作によって創り上げた獣人達が、世界において大いなる役割を果たしているところで、この獣人達こそが人類補完機構シリーズの真の主役といっても過言ではありません。ちなみに外見は獣の特徴と人間の特徴を併せ持った外見であり、まさにけものフレンズ、ケモナー大歓喜です!!(耳が何個あるかは描写されていないので不明ですが、獣の特徴を持った外見であることは書かれているのでケモノ耳はついているような気がするというか読んでいると頭の中のイメージで付いてくる)。
そして何より、猫の獣人の真祖である、人類補完機構シリーズの最大のヒロイン、ク・メル!!ク・メル!ク・メル!ク・メル!ク・メルぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
失礼しました。まさにコードウェイナー・スミスこそ、早すぎたケモノ萌えの開拓者であったことは昔(1960年代)から指摘されておりますが、「マーク・エルフ」「昼下がりの女王」とけものフレンズの通じあう展開もまた考えられてよいのではないかと思うところであります。そして、ケモノ耳が正義と善と自由と希望と未来と可愛いの全てであるということもけものフレンズ・人類補完機構の全てを通してまた確かなことであるのです。
最後に、けものフレンズの関連エントリをまとめました。こちらになります(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921487.html)あと、人類補完機構昔から大好きなので(エヴァが放映される前からファンでした)、ケモナー絵師のみなさんがク・メル書いてくれたら嬉しいなあ…。
スキャナーに生きがいはない (人類補完機構全短篇1)
著者:コードウェイナー・スミス
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アルファ・ラルファ大通り (人類補完機構全短篇2)
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ようこそジャパリパークへ(初回限定盤)
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ビクターエンタテインメント(2017-02-08)
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人類補完機構の初期の時代を描く、「マーク・エルフ」「昼下がりの女王」の世界は、今から数千年先の未来、壊滅的な戦争によって人類がほぼ絶滅した世界、人類が遺伝子操作で作り出した獣人達、犬族、猫族、熊族などの獣の各種族の獣人達が、人類なき後の地球を平和裏かつ牧歌的に、そして非文明的(獣人達は遺伝子操作により争いや戦いは好まず獣の自己充足を持っているので欲望も強くなく、平和な世界だが文明レベルは低い)に暮らしているんですね。
でもそこは、平和に暮らす獣人達をおびやかすセルリアンもといマンショニャッガーという殺戮兵器が徘徊している世界でもあるんですね。マンショニャッガーはドイツ第六帝国の創り上げた殺戮マシン(ドイツはどれだけ帝国作って戦争やりまくったんだと読んでいて思わず突っ込む)で、ドイツ人以外をすべからく殺戮するマシンであり、ドイツ人の言うことしか従わない厄介なマシンなのです。
そして、時代を遥か遡り第二次世界大戦の時、ドイツの大貴族の科学者がヒトラーの危険性を危惧し最終的にドイツが戦争に負けることを見通して、自分の娘達(ドイツ貴族の美少女姉妹!)を冷凍睡眠装置にいれて冷凍睡眠状態にしてロケットに乗せ、戦火の届かない場所である地球静止軌道に打ち上げるんですね。そして、遥かなる刻を経て、人類なき後の獣人達の地球に再び少女は戻ってくるんですね。
そして、姉妹の片方が冷凍睡眠から目覚め、右も左も分からない遥かな未来の地球に降り立った少女は心優しい獣人達や、恐るべき殺戮マシンでありながら、純粋なるドイツの血統を持つ彼女には騎士の如く従うマンショニャッガーと共に(ドイツ第一主義の殺戮マシンのマンショニャッガーは流石にその後の歴史からはいなくなるんですけど)、活力を失った人類に活力を取りもどし、新たな人類の世界を再生させていく――そして少女は神話となる――というのが、人類補完機構の壮大な宇宙史の始まりなのです。「マーク・エルフ」で降りてきた少女が姉妹のもう片方を呼び寄せる話が「昼下がりの女王」です。
人類補完機構は、コードウェイナー・スミスの創造した壮大な宇宙史でして、幻想とSF性の入り混じった独特の幻想性、そして何より、作者のスミスが動物好き、特に猫が熱狂的に大好きな人物で(ちなみにどうでもいい余談ですが熱狂的に猫が好きなところは私と同じです!!)、人類補完機構の短編「鼠と竜のゲーム」などで、人間と猫がそれこそ完全に心通じ合ったパートナーとなった世界を描いており、なおかつ獣人が、とても魅力的なんです!ぶっちゃけ人類よりも獣人の方を魅力的に描いていることは全作品を通して明らか。
さらに、人類補完機構シリーズ最大の特徴は、人類が遺伝子操作によって創り上げた獣人達が、世界において大いなる役割を果たしているところで、この獣人達こそが人類補完機構シリーズの真の主役といっても過言ではありません。ちなみに外見は獣の特徴と人間の特徴を併せ持った外見であり、まさにけものフレンズ、ケモナー大歓喜です!!(耳が何個あるかは描写されていないので不明ですが、獣の特徴を持った外見であることは書かれているのでケモノ耳はついているような気がするというか読んでいると頭の中のイメージで付いてくる)。
そして何より、猫の獣人の真祖である、人類補完機構シリーズの最大のヒロイン、ク・メル!!ク・メル!ク・メル!ク・メル!ク・メルぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
失礼しました。まさにコードウェイナー・スミスこそ、早すぎたケモノ萌えの開拓者であったことは昔(1960年代)から指摘されておりますが、「マーク・エルフ」「昼下がりの女王」とけものフレンズの通じあう展開もまた考えられてよいのではないかと思うところであります。そして、ケモノ耳が正義と善と自由と希望と未来と可愛いの全てであるということもけものフレンズ・人類補完機構の全てを通してまた確かなことであるのです。
こてんねこみみ(ク・メル)
http://chemne.hiho.jp/neko/kotenneko2.htm
人類補完機構シリーズ≪猫耳作品としてのみどころ≫
補完機構シリーズにおける未来では、ほぼ全ての労働が高度な科学技術で機械化されているため、普通の人間(真人と呼ばれます)はほとんど働く必要がありません。しかし、機械の保守点検といった機械自体で補えない単純労働を、動物から作り出された亜人間が担っています。この亜人間たちは人権のない下級民として、奴隷のように真人に仕えているのです。
下級民には犬、鳥、牛、熊、蛇、カメ等、ベースとなる動物によってバラエティがあり、もちろんその中には猫の下級民も存在しています。その代表格はシリーズ全体を通じてのヒロインともいえる猫娘ク・メルなのですが……。
実は彼女が『ネコミミ』として描写されている場面は一つもありません!
元が猫である、猫らしい、という描写は結構あるのですが。基本的に『遊び女(ホステス嬢)として作られている』という以外に外見の描写があいまいで、登場作品ごとに微妙に設定が違っていることもあり、自由な想像が入り込む余地が多いのでしょう。
なぜか日本では彼女の姿を絵にすると、ネコミミになっていることが多いようです。ネコミミの方が先なのか、ク・メルの方が先なのか私には分かりません。猫耳が今ほどのブームになる以前も、ク・メルのイラストは猫耳だった、という噂を聞いたこともあります。ただ、ク・メルという最古世代の猫娘ヒロイン(初登場はおそらく1961年!)が、今のネコミミに何か影響を与えているに違いない!と、スミス作品の一ファンである私は思うわけなのです。(中略)
(ク・メルの)外見は、ロッドいわく『オールド・ノース・オーストラリアの女性がみんなラードの袋に思えるほど(文庫版P208)』愛らしく、地球一の魅惑的な美女を生み出すように交配された猫娘。
動きはすばやく、隙が無く、抱きしめたくなるほどかわいくて、休息している時でさえ官能的。しなやかですべすべした体と、赤い髪と鋭い目と幅広いヒップ、野性の鈴のようなソプラノの声、というあたりが具体的な特徴です。ただし、普通の人間から見ると一目で猫娘と分かるらしいのですが……。(耳についての記述がないことに注意。このあたりにク・メルを猫耳と解釈する余地があるのかもしれません)
ク・メルは『遊び女』として育てられてはいますが、その内面は派手好きでも軽薄でもなく、仕事として与えられた役を完璧に演じきる、どちらかというと知的な娘です。元々群れをつくらない猫の出身であるせいか、身分の上下をあまり気にかけず、誰にでも明るく接します。
最後に、けものフレンズの関連エントリをまとめました。こちらになります(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921487.html)あと、人類補完機構昔から大好きなので(エヴァが放映される前からファンでした)、ケモナー絵師のみなさんがク・メル書いてくれたら嬉しいなあ…。

著者:コードウェイナー・スミス
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私の書いたけものフレンズ関連エントリまとめです。今後も随時更新致しますね。新しい順に並んでいます。
けものフレンズ第8話「ぺぱぷらいぶ」視聴。今回も安定して面白かった!音楽の楽しみと歴史的・儀礼的要素。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1923415.html
けものフレンズ第7話「じゃぱりとしょかん」視聴。神話の始まりを感じます。「人はもういないのです」「人はもう絶滅したのです」
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1922909.html
けものフレンズ6話は戦争の話ではない。遊びの話である。たーのしー!から人類史のルールが生まれた。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1922423.html
けものフレンズ第6話「へいげん」フレンズ達はなんて良い子なんだ!そして人類種の可能性の希望を感じさせてくれる作品!
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1922381.html
けものフレンズの存在丸ごと認め合う優しい関係。「かばんちゃんが何であっても関係ないよ、かばんちゃんはかばんちゃんだよ」
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1922230.html
けものフレンズは知能を下げる作品ではない。寧ろそういった他者への偏見を打破する優れた作品。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1922101.html
けものフレンズ第5話視聴。優しさに胸が一杯になるユートピア物語。トマス・モア「ユートピア」とヘッセ「メルヒェン」
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921861.html
けものフレンズはなぜ見ていて泣きたくなるほど切ないのか。寂しいフレンズ達と題名『けものフレンズ』
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921587.html
けものフレンズと人類補完機構。心優しい獣人達と第二次世界大戦を避けて宇宙で冷凍睡眠していたドイツの美少女から始まる壮大な大宇宙史とケモノ耳。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921488.html
けものフレンズは本格SFだった!第4話考察。SFの面白さに目覚めさせてくれる作品。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921376.html
プリキュアやけものフレンズの暖かさについて。村上春樹「あなたのためのファンタジー」
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921172.html
けものフレンズの優しいユートピアとポストID論。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921139.html
けものフレンズの「考察」とは根源的に何であるか。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921095.html
けものフレンズの切ない寂寥感について。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921077.html
けものフレンズが如何に本質的SFであるか。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1920969.html
早川書房はけものフレンズ特集を出すべき
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1920876.html
けものフレンズ好きにお勧めのフリーゲーム
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1920846.html
けものフレンズ第2話視聴。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1920493.html
けものフレンズ第1話視聴。オースティン「地球の長い午後」クリフォード・D・シマック「都市」ばりのSF設定を感じるよ!!
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1919840.html
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けものフレンズ第8話「ぺぱぷらいぶ」視聴。今回も安定して面白かった!音楽の楽しみと歴史的・儀礼的要素。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1923415.html
けものフレンズ第7話「じゃぱりとしょかん」視聴。神話の始まりを感じます。「人はもういないのです」「人はもう絶滅したのです」
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1922909.html
けものフレンズ6話は戦争の話ではない。遊びの話である。たーのしー!から人類史のルールが生まれた。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1922423.html
けものフレンズ第6話「へいげん」フレンズ達はなんて良い子なんだ!そして人類種の可能性の希望を感じさせてくれる作品!
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けものフレンズの存在丸ごと認め合う優しい関係。「かばんちゃんが何であっても関係ないよ、かばんちゃんはかばんちゃんだよ」
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けものフレンズは知能を下げる作品ではない。寧ろそういった他者への偏見を打破する優れた作品。
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けものフレンズ第5話視聴。優しさに胸が一杯になるユートピア物語。トマス・モア「ユートピア」とヘッセ「メルヒェン」
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921861.html
けものフレンズはなぜ見ていて泣きたくなるほど切ないのか。寂しいフレンズ達と題名『けものフレンズ』
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921587.html
けものフレンズと人類補完機構。心優しい獣人達と第二次世界大戦を避けて宇宙で冷凍睡眠していたドイツの美少女から始まる壮大な大宇宙史とケモノ耳。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921488.html
けものフレンズは本格SFだった!第4話考察。SFの面白さに目覚めさせてくれる作品。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921376.html
プリキュアやけものフレンズの暖かさについて。村上春樹「あなたのためのファンタジー」
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921172.html
けものフレンズの優しいユートピアとポストID論。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921139.html
けものフレンズの「考察」とは根源的に何であるか。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921095.html
けものフレンズの切ない寂寥感について。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921077.html
けものフレンズが如何に本質的SFであるか。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1920969.html
早川書房はけものフレンズ特集を出すべき
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けものフレンズ好きにお勧めのフリーゲーム
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1920846.html
けものフレンズ第2話視聴。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1920493.html
けものフレンズ第1話視聴。オースティン「地球の長い午後」クリフォード・D・シマック「都市」ばりのSF設定を感じるよ!!
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けものフレンズ第4話視聴。第4話は完全に廃墟と化している人類文明の痕跡、過去にジャパリパークの地下迷宮アトラクションとして作られた施設が今は経年劣化と放置により崩壊した廃墟の地下遺跡として残っていて、そこを探検する話だったんですが、そこに住んでいるツチノコさんが色々なことを知っていて、かなりの謎が解けてきた感じですね。
ツチノコさんは他のフレンズ達が知らない貨幣ジャパリコイン(人類種の文化としての貨幣)の存在や人類文明の痕跡である廃墟の科学技術(遺跡の自動ドアやドアのオートロックシステム)が「人類種という種が残した技術」ということを知っていて、ボスは人類種(カバンちゃん)にしか応答しないロボットであることも知っていた。そして遺跡が「やはりここはヒト(人類種)を楽しませる為にわざわざ作られたんだ」と理解していた。
そして第4話の最大のポイントは、ツチノコさんが、「たぶん、(テーマパークのアトラクションは)正式に始まる前に例の異変が起きて、だから、地図には載っていなかったんだろう」
そして最後に、カバンちゃんを見送りながら、「アイツ、絶滅していなかったんだ」と呟くことです。
この情報を総合的に考えれば、ツチノコさんは
「ボスは人類種にしか反応しない為、ボスが反応するかばんちゃんを人類だと思っている」
「人類種は既に絶滅していると思っていた」
ということです。地下迷宮アトラクションの廃墟化のただ事ではない放置による経年劣化などから見ても(壁も床も橋も完全に朽ちている。それが今回、彼らをセルリアンから救うことになった)、人類文明が、少なくとも「例の異変」とやらで、ジャパリパークからいなくなり、そして、それは「人類の絶滅」すら想定されるものであったことが予想されます。
けものフレンズが人類終焉後の遥かな未来を描くポスト・アポカリプスSFにしてポスト・ヒューマンSFであることがほぼ確定かと。人類は「例の異変」によって、「人類種絶滅クラスのイベント」に遭遇し、そして時は流れ…
人類種はかばんちゃんを残して絶滅したか、もしくは別生命へと変異した(「地球最後の男」等)
人類種は外界と隔絶したドーム施設や地下施設などを作りそこに立てこもることで生き延びている(「レベル・セブン」ディックの各作品等)
人類種は遺伝子からの再生技術等による肉体復活を夢見て肉体を捨てた状態で施設に保全されている(「風の谷のナウシカ」等)
人類種は地球外へ脱出した。月、スペースコロニー、火星や金星などへの脱出。太陽系脱出もあるかも。(「翠星のガルガンティア」「太陽系最後の日」等)
人類種自身が人間の肉体を異変に耐えられるように改変した。(「翠星のガルガンティア」「華竜の宮」「ハイペリオン」)
といったようなことが考えられます。
また、第4話で、ほのぼのほんわかしていたフレンズ達の世界も、セルリアンという、フレンズを捕食するものによっておびやかされていること、また死の概念があることも明らかにされました(かばんちゃんが、セルリアンが落ちていった深い穴を見て、もし自分達が落ちていたらと恐怖している)、完全に本格SFにしてハードSFな路線が第4話では展開され(もちろん、全体としては第4話もほのぼのとした優しい世界なのですが、世界の設定の影に不穏さが溢れている)、今後の展開が全く予想がつかなくなってきました。
私はSFが小さい頃から大好きなので、この本格SF展開には本当に心から感興を覚えていますね。小学生の頃にハインラインを読んで、「うわあ、SFって面白いなあ!」と思ってSFを読み漁るようになった頃の気持ちを思い出させてくれる。私はSF小説は小学4年くらいのときにハインラインから入ったので。一番最初に読んだのが「ハインライン傑作選」のどれかで、それが面白くて傑作選を全部読んで、長編で「夏への扉」読んでって感じで嵌っていったんですね。それで、SFを色々読み漁るようになって、小学生の頃にクラークの「幼年期の終わり」に出会ってしまい、読んだ後、圧倒的に打ちのめされて(小説を読んで価値観が変わって打ちのめされるとか初体験だったので今も覚えている)、読了した後、自分の中でどう考えればいいのか分からずに、部屋の中をずっとぐるぐる歩き回っていたのを覚えています。今思えば、もう、完全にそこでやられてしまったとか…。
「けものフレンズ」は、この、生まれて初めてSFを読んだときの気持ちや、価値観を変えてしまうほどの衝撃を与えるSF作品に初めて出会ったときの気持ちを思い出させてくれる、私にとっての最高のSF作品ですね。本当にこの作品に出会えて良かった。
そして、この「けものフレンズ」を見て、SFの面白さに目覚める若い人達がいるかなと思うとそれが楽しみですね。けものフレンズは、本当に凄いSFなので、日本のSF界隈は、今もほとんどがこの作品に反応していませんが(作品の存在自体を知らないのかも知れない)、この作品を見て、SFに目覚めることとなる若い人々のためにも、「けものフレンズとSFの素晴らしさ」について、SF界隈のお方々は語って欲しいですね…。
幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)
著者:クラーク
光文社(2007-11-08)
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失われた遺産 (ハヤカワ文庫 SF 482 ハインライン傑作集 1)
著者:ロバート A.ハインライン
早川書房(1982-08)
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けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック (1)
KADOKAWA(2017-03-25)
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ようこそジャパリパークへ(初回限定盤)
アーティスト:どうぶつビスケッツ×PPP
ビクターエンタテインメント(2017-02-08)
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太陽系最後の日 (ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 1) (ハヤカワ文庫SF)
著者:アーサー・C・クラーク
早川書房(2009-05-30)
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レベル・セブン―第七地下壕 (1960年)
著者:モルデカイ・ロシュワルト
弥生書房(1960)
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華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
著者:上田 早夕里
早川書房(2010-10-22)
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ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
著者:ダン シモンズ
早川書房(2000-11)
販売元:Amazon.co.jp
ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
著者:ダン シモンズ
早川書房(2000-11)
販売元:Amazon.co.jp
最後から二番目の真実 (創元SF文庫)
著者:フィリップ・K. ディック
東京創元社(2007-05)
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ツチノコさんは他のフレンズ達が知らない貨幣ジャパリコイン(人類種の文化としての貨幣)の存在や人類文明の痕跡である廃墟の科学技術(遺跡の自動ドアやドアのオートロックシステム)が「人類種という種が残した技術」ということを知っていて、ボスは人類種(カバンちゃん)にしか応答しないロボットであることも知っていた。そして遺跡が「やはりここはヒト(人類種)を楽しませる為にわざわざ作られたんだ」と理解していた。
そして第4話の最大のポイントは、ツチノコさんが、「たぶん、(テーマパークのアトラクションは)正式に始まる前に例の異変が起きて、だから、地図には載っていなかったんだろう」
そして最後に、カバンちゃんを見送りながら、「アイツ、絶滅していなかったんだ」と呟くことです。
この情報を総合的に考えれば、ツチノコさんは
「ボスは人類種にしか反応しない為、ボスが反応するかばんちゃんを人類だと思っている」
「人類種は既に絶滅していると思っていた」
ということです。地下迷宮アトラクションの廃墟化のただ事ではない放置による経年劣化などから見ても(壁も床も橋も完全に朽ちている。それが今回、彼らをセルリアンから救うことになった)、人類文明が、少なくとも「例の異変」とやらで、ジャパリパークからいなくなり、そして、それは「人類の絶滅」すら想定されるものであったことが予想されます。
けものフレンズが人類終焉後の遥かな未来を描くポスト・アポカリプスSFにしてポスト・ヒューマンSFであることがほぼ確定かと。人類は「例の異変」によって、「人類種絶滅クラスのイベント」に遭遇し、そして時は流れ…
人類種はかばんちゃんを残して絶滅したか、もしくは別生命へと変異した(「地球最後の男」等)
人類種は外界と隔絶したドーム施設や地下施設などを作りそこに立てこもることで生き延びている(「レベル・セブン」ディックの各作品等)
人類種は遺伝子からの再生技術等による肉体復活を夢見て肉体を捨てた状態で施設に保全されている(「風の谷のナウシカ」等)
人類種は地球外へ脱出した。月、スペースコロニー、火星や金星などへの脱出。太陽系脱出もあるかも。(「翠星のガルガンティア」「太陽系最後の日」等)
人類種自身が人間の肉体を異変に耐えられるように改変した。(「翠星のガルガンティア」「華竜の宮」「ハイペリオン」)
といったようなことが考えられます。
また、第4話で、ほのぼのほんわかしていたフレンズ達の世界も、セルリアンという、フレンズを捕食するものによっておびやかされていること、また死の概念があることも明らかにされました(かばんちゃんが、セルリアンが落ちていった深い穴を見て、もし自分達が落ちていたらと恐怖している)、完全に本格SFにしてハードSFな路線が第4話では展開され(もちろん、全体としては第4話もほのぼのとした優しい世界なのですが、世界の設定の影に不穏さが溢れている)、今後の展開が全く予想がつかなくなってきました。
私はSFが小さい頃から大好きなので、この本格SF展開には本当に心から感興を覚えていますね。小学生の頃にハインラインを読んで、「うわあ、SFって面白いなあ!」と思ってSFを読み漁るようになった頃の気持ちを思い出させてくれる。私はSF小説は小学4年くらいのときにハインラインから入ったので。一番最初に読んだのが「ハインライン傑作選」のどれかで、それが面白くて傑作選を全部読んで、長編で「夏への扉」読んでって感じで嵌っていったんですね。それで、SFを色々読み漁るようになって、小学生の頃にクラークの「幼年期の終わり」に出会ってしまい、読んだ後、圧倒的に打ちのめされて(小説を読んで価値観が変わって打ちのめされるとか初体験だったので今も覚えている)、読了した後、自分の中でどう考えればいいのか分からずに、部屋の中をずっとぐるぐる歩き回っていたのを覚えています。今思えば、もう、完全にそこでやられてしまったとか…。
「けものフレンズ」は、この、生まれて初めてSFを読んだときの気持ちや、価値観を変えてしまうほどの衝撃を与えるSF作品に初めて出会ったときの気持ちを思い出させてくれる、私にとっての最高のSF作品ですね。本当にこの作品に出会えて良かった。
そして、この「けものフレンズ」を見て、SFの面白さに目覚める若い人達がいるかなと思うとそれが楽しみですね。けものフレンズは、本当に凄いSFなので、日本のSF界隈は、今もほとんどがこの作品に反応していませんが(作品の存在自体を知らないのかも知れない)、この作品を見て、SFに目覚めることとなる若い人々のためにも、「けものフレンズとSFの素晴らしさ」について、SF界隈のお方々は語って欲しいですね…。

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著者:モルデカイ・ロシュワルト
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著者:上田 早夕里
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著者:ダン シモンズ
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著者:フィリップ・K. ディック
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2017年01月29日 15:13
魔法つかいプリキュア最終回「キュアップ・ラパパ!未来もいい日になあれ!!」視聴。これまでのゲストキャラ達(敵キャラや人魚の里のみんなとか今まで一年間の間に出てきたみんな。敵キャラたちともちゃんと和解してる)のその後がほのぼのと描かれいて、みらいとリコとハーちゃんは今まで通り最高の友達で、もうほんとに感無量な最終回、最高に良かった!!一年間のシリーズを通してとても丁寧に作品とキャラクター全てに愛を持って創られていることが分かる本当の良作でした。最終回も「今、特製スイーツって言いました!?」の台詞で最高に笑わせてくれたり、最後まで心を明るくしてくれる素晴らしい作品でした。「魔法つかいプリキュア」本当に最高に良かった!!
魔法使いプリキュアやけものフレンズを見ていると湧き上がる暖かい気持ち、村上春樹さんがファンタジーについて書いた文章を思い出す…。村上春樹さんの「あなたのためのファンタジー」、子供にも大人にも両方に向けて書かれた文章で凄く良い文章です、ちょっと長いですが、引用してご紹介致しますね。
――ファンタジーというものはとても個人的なものなのです。それはあなた一人に向かって開いたり閉じたりする窓なのです――もしなにかのファンタジーがあなたに対してとても強く「はたらいた」としたら、それは誰がなんといおうとあなたのためのファンタジーなのです。それはあなたにとっての開いた窓なのです――あなたの肺はその世界の空気を実際に吸い込んでいるのです。あなたの目はその世界の光を実際に見ているのです。それがファンタジーの力です――言うまでもないことですが、ファンタジーというものに年齢制限はありません――
プリキュアやけものフレンズを見ていると、本当に心からまさしく「あなたの肺はその世界の空気を実際に吸い込んでいるのです。あなたの目はその世界の光を実際に見ているのです」ということを感じますね…。まさにファンタジーの世界の暖かさを感じている。見ているときはもはや感じていることすら分からない。ナルニアへの扉である洋服ダンスの中に入っているとき、もうそこはナルニアであるように――
新しい世界への扉を開いてくれる来週から始まるプリキュアアラモードも素晴らしく楽しみです!!
最後に、空飛び猫シリーズ(現在4冊でています)はとても素敵な絵物語なので(空飛び猫達が最高に可愛い!物語も絵も最高に良いのです!あと猫飼っている私のような人間には飼っている猫と重なるたまらない描写てんこもりで猫好きは必読と思う!)、ぜひご一読お勧めする作品ですね。動物達同士が会話できるけものフレンズ的世界を描いています。空飛び猫達に生えている翼は小さめの翼で、けものフレンズのトキちゃんの頭から生えている小さな翼を見たとき、空飛び猫達のことを思い出しましたね…。
空飛び猫 (講談社文庫)
著者:アーシュラ・K. ル・グウィン
講談社(1996-04-04)
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帰ってきた空飛び猫 (講談社文庫)
著者:アーシュラ.K・ル=グウィン
講談社(1996-11-14)
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素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち (講談社文庫)
著者:アーシュラ・K. ル=グウィン
講談社(2000-08-10)
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空を駆けるジェーン (講談社文庫)
著者:アーシュラ・K. ル=グウィン
講談社(2005-03-15)
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騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編
著者:村上 春樹
新潮社(2017-02-24)
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騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編
著者:村上 春樹
新潮社(2017-02-24)
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映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン! Blu-ray特装版
出演:高橋李依
ポニーキャニオン(2017-03-01)
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魔法使いプリキュアやけものフレンズを見ていると湧き上がる暖かい気持ち、村上春樹さんがファンタジーについて書いた文章を思い出す…。村上春樹さんの「あなたのためのファンタジー」、子供にも大人にも両方に向けて書かれた文章で凄く良い文章です、ちょっと長いですが、引用してご紹介致しますね。
この本は同じ著者(アーシュラ・K・ル・グウィン)と同じ画家(S・D・シンドラー)が(そしてやはり僕が翻訳した)「空飛び猫」の続編であることは、本書を手にされた読者の多くはもうすでにご存じのことであろうと思います。そうです、あのハリエットとジェームズとロジャーとセルマが再びここに翼を広げて登場するわけです。
「おい、羽のはえた猫の話なんかもういい加減にしてくれよな。こんな子供だましの話がいったい何の役にたつんだよ」という人もなかにはいるかもしれませんが、まあこういう本が世の中にもう一冊ぐらい余分にあったっていいではないですか。たとえ実際には何の役にもたたないとしてもね。
だって世の中の本という本が、「複雑骨折の科学」だとか「ヘンリー・ジェームズにおける形容詞の研究」だとか「世界女性革命史列伝」だとか、あるいは<今、文学史を大きく書きかえる作者渾身の実験的心理小説! 必読!>というような類の「役にたつ立派な本」になってしまったら、いくらなんでも息が詰まってしまうでしょう。
この本はもちろんファンタジーです。そしてファンタジーというものはとても個人的なものなのです。それはあなた一人に向かって開いたり閉じたりする窓なのです。ある人にうまく「はたらく」ファンタジーは、別の人にはあるいはぜんぜん「はたらかない」かもしれません。またその逆の例もあるかもしれません。でもそれがそもそもファンタジーというものなのです。
もしなにかのファンタジーがあなたに対してとても強く「はたらいた」としたら、それは誰がなんといおうとあなたのためのファンタジーなのです。それはあなたにとっての開いた窓なのです。それが正しいか正しくないかなんて、役にたつかたたないかなんて、そんなのは別にどうでもいいことです。そうですね?
もしあなたが一冊めの「空飛び猫」を読んで、すごく気に入って、あるいは何故か心惹かれて、それでこの続編を手に取られたのだとしたら、あなたは幸運にも、翼をつけた縞猫たちが楽しげに空を飛んでいる世界に足を片方(別に両方だってちっともかまいませんが)突っ込んでいるということになるのです。あなたの肺はその世界の空気を実際に吸い込んでいるのです。あなたの目はその世界の光を実際に見ているのです。それがファンタジーの力です。この本を手にとっておられるあなたは十六歳かもしれないし、二十歳かもしれないし、あるいは六十歳かもしれません。でもそれもまったくどうでもいいことです。言うまでもないことですが、ファンタジーというものに年齢制限はありません(もっとも、できることなら、もっと大きく空気を吸い込めて、もっとたくさんの光を見ることができる十歳のころに戻ってこの本を読んでみたいなという気持を抱かれる読者もおられるかもしれませんね。その気持は僕にもわかります)。これ以上の解説はこの本にはおそらく無用でしょう。
(村上春樹。アーシュラ・K・ル・グウィン「帰ってきた空飛び猫」あとがき)
――ファンタジーというものはとても個人的なものなのです。それはあなた一人に向かって開いたり閉じたりする窓なのです――もしなにかのファンタジーがあなたに対してとても強く「はたらいた」としたら、それは誰がなんといおうとあなたのためのファンタジーなのです。それはあなたにとっての開いた窓なのです――あなたの肺はその世界の空気を実際に吸い込んでいるのです。あなたの目はその世界の光を実際に見ているのです。それがファンタジーの力です――言うまでもないことですが、ファンタジーというものに年齢制限はありません――
プリキュアやけものフレンズを見ていると、本当に心からまさしく「あなたの肺はその世界の空気を実際に吸い込んでいるのです。あなたの目はその世界の光を実際に見ているのです」ということを感じますね…。まさにファンタジーの世界の暖かさを感じている。見ているときはもはや感じていることすら分からない。ナルニアへの扉である洋服ダンスの中に入っているとき、もうそこはナルニアであるように――
新しい世界への扉を開いてくれる来週から始まるプリキュアアラモードも素晴らしく楽しみです!!
最後に、空飛び猫シリーズ(現在4冊でています)はとても素敵な絵物語なので(空飛び猫達が最高に可愛い!物語も絵も最高に良いのです!あと猫飼っている私のような人間には飼っている猫と重なるたまらない描写てんこもりで猫好きは必読と思う!)、ぜひご一読お勧めする作品ですね。動物達同士が会話できるけものフレンズ的世界を描いています。空飛び猫達に生えている翼は小さめの翼で、けものフレンズのトキちゃんの頭から生えている小さな翼を見たとき、空飛び猫達のことを思い出しましたね…。
それから最後に猫たちはみんなでしっかりと身を寄せ合い、丸くなって眠りました。子猫と、お姉さんとお兄さんと、そしてお母さんとは、それぞれにごろごろと喉の奥で子守歌を歌いながら眠りについたのです。ごろごろ、ごろごろ――
(アーシュラ・K・ル・グウィン「帰ってきた空飛び猫」)
僕はアーシュラ・K・ル・グウィンの小説も、猫も(もちろん翼のはえていない猫でも)、どちらも大好きなのに、こんな絵本があることを、つい最近まで知りませんでした。(中略)表紙を一目見たときから、僕はこの本を翻訳しようと決心しました。だって木の枝にとまった四匹の猫に翼がはえているのだから、これはどうしたってやらないわけにはいかないですよね。
ル・グウィンはSFファンタジー作家というジャンルに一応入れられてる人ですが、とてもうまい綺麗な文章を書く人で、女性の文章家の中では僕がいちばん好きな人のひとりです。でも彼女は、ここではまるで小さな子供にそっと優しく話しかけるように――おそらくほんとうにそういう目的のために書いたのかもしれませんね――飾りのないシンプルな言葉で、とても静かに、わかりやすく、文章を書いています。だから僕もそのつもりで、なるべく読みやすい、そして耳で聞いてわかりやすい文章にすることを頭において、日本語の文章にしました。
((村上春樹。アーシュラ・K・ル・グウィン「空飛び猫」あとがき))

著者:アーシュラ・K. ル・グウィン
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著者:アーシュラ.K・ル=グウィン
講談社(1996-11-14)
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著者:アーシュラ・K. ル=グウィン
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著者:アーシュラ・K. ル=グウィン
講談社(2005-03-15)
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著者:村上 春樹
新潮社(2017-02-24)
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著者:村上 春樹
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出演:高橋李依
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今回はけものフレンズの世界のユートピア性と、それが蓋然的なものなのか(サンドスターによってグランドデザインされたものなのかどうか)ということを考えてみたいと思います。サンドスターの環境制御の影響下にあるジャパリパークは、サンドスターが行う自然環境の制御により、生活基盤が自然から豊富に恵まれている生存競争の淘汰圧の無い世界、そしてフレンズ達は一種族一個体で極端に人口が少なく(=人口が少ない為、資源や土地の奪い合いといったことは起こらない。また食料がジャパリまんじゅうとして謎の補給がされている)、そして何よりも、利他的で無私無欲で自己充足的(動物的)なフレンズのメンタリティによる優しい世界。
上記で涼元悠一さんが書いておられるように、ジャパリパークとフレンズ達は、我々人類から見ると、心から憧れるとしか言い様がない輝きに満ち溢れた世界、それこそワーズワースの「オード 幼年期に捧ぐ永遠の頌歌」みたいな世界なんですね…。
まさにけものフレンズです…。けものフレンズがフレンズ達(当然ながらフレンズ=人類ではない)にとってワーズワース的な善と美に溢れたユートピアとして描かれていることは明らかです。「セルリアン」のみ、反ユートピア的な存在として描かれていますが、これについては最後に書きますね。
このユートピアを成立させている外部環境(ジャパリパークの自然環境)がサンドスターにより制御されている(おそらくは各種フレンズの生態に合わせて制御されている)ことは、第三話で明らかにされましたが、気になるのは、フレンズ達自身(フレンズ達の身体)もサンドスターにデザインされているのかということですね…。フレンズ達の素晴らしい身体能力と輝かしい、黄金の精神(byジョジョの奇妙な冒険)とでも言うべき善美に溢れたメンタリティを見ると、やはりデザインはされているような気はする…。人類種との知的能力の比較については何ともいえませんが、少なくとも人類基準の標準的な善美の感覚からして、フレンズ達の方が人類種より遥かに優れた倫理性を持ち得ている。
勿論、モノリスの前で獲物を原始的武器を使って屠り、血に猛っている古代の人類種の群れ(2001年宇宙の旅)と、完全に平和で利他的な共存共栄の自然環境がサンドスターによって用意されていたと思われるフレンズ達とでは、環境の差があまりにありすぎてなんとも言えないんですが…。人類種もフレンズ達のような環境から始まっていれば、平和で倫理的な種と成り得たかもしれないという可能性はありますね…。そうすると、「もし素晴らしいデザインがされた知的生命と自然環境があれば、素晴らしい世界が生まれる。人類の世界がそのような世界とはかけ離れた地獄なのは、そういったデザインが行われなかったからである」という、現行のID論に対する批判性を含むポストID論的な捉え方も出来る訳で、「けものフレンズ」は実にSFとして面白い作品だなと感じますね。
ちなみにもしサンドスターにフレンズ達自身も目的論的なデザインをされているとしたら、それがフレンズ達を利用しようとする目的によるデザインならとんでもない話になってしまう訳です…。ちなみにこっちの方向性のディストピア・ポスト・ヒューマンSFは沢山あります。先のエントリ(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921077.html)で挙げた「ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち」とかマデリン・アシュビーの「vN」とか日本のアニメだと人類が上位種にデザインされた道具である「不思議の海のナディア」やナディアと世界を共通しているTVアニメバージョンの方の「新世紀エヴァンゲリオン」最近の作だとSF漫画の「極黒のブリュンヒルデ」もそういう話ですね。「進撃の巨人」も最近の展開はそういう話っぽい感じがしますね。
ただ、もしそうではなくて、本当にフレンズ達の善美と自律と自由のために、サンドスターはフレンズ達を人工進化させて、知性と身体能力を与え、そして後はフレンズ達の自由と自律に任せたのだとしたら、これは「成功したID論」なんですね…。真善美たる神のような存在が真善美たる意図を持って、知的生命を創造(デザイン)したということになる。ちなみに、神のような存在の意図が全く分からないケースもあるんですが(スタニスワフ・レムとかそういう作品が結構ある)、自然環境をフレンズ達の保護的に制御しているサンドスターのあり方からみて、そういう訳の分からない介入ではなさそうな気がします。
SF好きだと、「成功したID論」というのは思わずどう考えていいのか思考が停止してしまうところがありますね。SFって基本的に「ID論=悪」みたいな感じなんですよ。デザインする側が道具として新たな知的存在を生み出し搾取するのではという恐れ、そして先に挙げたマデリン・アシュビーの「vN」なんか代表的ですが、やはり、ID論に対しては、反進化論と創造論を押し付けてくるキリスト教に対するSF界の強い反発があるので、SF自体にもそういう現実世界の政治的意識が反映されてしまうところがあるんですね…。
けものフレンズの場合、人類はおそらく種的に大失敗した末路を迎えているが、人類とはぜんぜん関係のないところで、サンドスターという神のような何かによって動物種から進化したフレンズ達は、人類が築き得なかったユートピアをフレンズ達同士で築いて楽しく暮らしているという、これまで他のエントリでも何度も書いてきた通り、色んなSF(ポスト・アポカリプスSF、ポスト・ヒューマンSF、ID論SFなど)の常道を完全に逸脱した展開、本当に、SFを読んでいる人ほど、
「けものフレンズ…?あれっ?あれれっ???なんなんだこれ…これはいったいなんなんんだあ!!」
と戸惑わずにはおれないような、物凄く新鮮な展開のSFなんですね。先に挙げた「vN」もぶっ飛んだ展開でしたが、けものフレンズのぶっ飛び具合は、もうSFというジャンルを完全に超越している。そこがまた最高に面白いですね。ちなみに大森望さんの訳者後書きによるとマデリン・アシュビーはSF作家にしてアニメ評論家で、公式サイトでカウボーイビバップや鋼の錬金術士などの多数のアニメの論評を発表しているとのこと。ぜひ、アシュビーさんには「けものフレンズ」も見て欲しいですね。
後、これまで、ジャパリパークとけものフレンズのユートピア性について語ってきましたが、ジャパリパークには「セルリアン」というフレンズを捕食する謎の怪物がいます。これが本当に何がなんだかよく分からない…。セルリアンはサンドスター由来であると思いますし、SF的に解釈するなら「セルリアン=フレンズの生存競争による淘汰圧を高める為の天敵」みたいな考え方は勿論あると思うんですが、私は、どうしてもこの説は取りたくないですね。論理的にではなく、感性的に取りたくないんですね。この説を取った瞬間、ジャパリパークとけものフレンズの持っている優しく暖かいユートピア性が崩れ落ちてしまう…。
やはり、3話まで見て、けものフレンズには、このまま優しい世界、先に挙げたワーズワースの詩のような世界であって欲しいと心から感じますから…。今のところセルリアンはサンドスターの誤動作か何かじゃないかなと思っていますね…。
vN (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
著者:マデリン・アシュビー
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ワーズワース詩集 (岩波文庫 赤 218-1)
著者:ウイリアム・ワーズワス
岩波書店(1966-01)
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涼元悠一SuzumotoYuuichi
https://twitter.com/SuzumotoYuuichi/status/825337827810439169
けものフレンズ、サーバルちゃんの何がいいって、生きてるだけで全肯定してくれるところ。その他フレンズの皆さんもはっぱ隊並みに強靱なメンタリティーだし、ああ俺もげんじつちほーから逃げ出してジャファリパークに帰りたいというホモサピエンスなフレンズが多数発生してもそれは当然であろう文字数
上記で涼元悠一さんが書いておられるように、ジャパリパークとフレンズ達は、我々人類から見ると、心から憧れるとしか言い様がない輝きに満ち溢れた世界、それこそワーズワースの「オード 幼年期に捧ぐ永遠の頌歌」みたいな世界なんですね…。
英語の詩を日本語で
Wordsworth, "Ode" ("Intimations of Immortality") 1807 ver. (日本語訳)
http://blog.goo.ne.jp/gtgsh/e/eb279c4b2cf701ed4bb95109a5752fba
ウィリアム・ワーズワース (1770-1850)
「オード」
(「幼少の思い出が永遠について教えてくれる」)
(中略)
君たち、幸せな生きもののみんな、聞こえたよ、
君たちが呼びあう声が。見えたよ、
空が笑うのが。楽しげに声をあげる君たちといっしょに。
心のなかでぼくは君たちのお祭りに参加していて、
頭にはその草冠をのせていて、
君たちがどれほど幸せに満ちているか、感じる、みんな感じるよ」。
(36-57)
まさにけものフレンズです…。けものフレンズがフレンズ達(当然ながらフレンズ=人類ではない)にとってワーズワース的な善と美に溢れたユートピアとして描かれていることは明らかです。「セルリアン」のみ、反ユートピア的な存在として描かれていますが、これについては最後に書きますね。
このユートピアを成立させている外部環境(ジャパリパークの自然環境)がサンドスターにより制御されている(おそらくは各種フレンズの生態に合わせて制御されている)ことは、第三話で明らかにされましたが、気になるのは、フレンズ達自身(フレンズ達の身体)もサンドスターにデザインされているのかということですね…。フレンズ達の素晴らしい身体能力と輝かしい、黄金の精神(byジョジョの奇妙な冒険)とでも言うべき善美に溢れたメンタリティを見ると、やはりデザインはされているような気はする…。人類種との知的能力の比較については何ともいえませんが、少なくとも人類基準の標準的な善美の感覚からして、フレンズ達の方が人類種より遥かに優れた倫理性を持ち得ている。
勿論、モノリスの前で獲物を原始的武器を使って屠り、血に猛っている古代の人類種の群れ(2001年宇宙の旅)と、完全に平和で利他的な共存共栄の自然環境がサンドスターによって用意されていたと思われるフレンズ達とでは、環境の差があまりにありすぎてなんとも言えないんですが…。人類種もフレンズ達のような環境から始まっていれば、平和で倫理的な種と成り得たかもしれないという可能性はありますね…。そうすると、「もし素晴らしいデザインがされた知的生命と自然環境があれば、素晴らしい世界が生まれる。人類の世界がそのような世界とはかけ離れた地獄なのは、そういったデザインが行われなかったからである」という、現行のID論に対する批判性を含むポストID論的な捉え方も出来る訳で、「けものフレンズ」は実にSFとして面白い作品だなと感じますね。
ちなみにもしサンドスターにフレンズ達自身も目的論的なデザインをされているとしたら、それがフレンズ達を利用しようとする目的によるデザインならとんでもない話になってしまう訳です…。ちなみにこっちの方向性のディストピア・ポスト・ヒューマンSFは沢山あります。先のエントリ(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1921077.html)で挙げた「ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち」とかマデリン・アシュビーの「vN」とか日本のアニメだと人類が上位種にデザインされた道具である「不思議の海のナディア」やナディアと世界を共通しているTVアニメバージョンの方の「新世紀エヴァンゲリオン」最近の作だとSF漫画の「極黒のブリュンヒルデ」もそういう話ですね。「進撃の巨人」も最近の展開はそういう話っぽい感じがしますね。
ただ、もしそうではなくて、本当にフレンズ達の善美と自律と自由のために、サンドスターはフレンズ達を人工進化させて、知性と身体能力を与え、そして後はフレンズ達の自由と自律に任せたのだとしたら、これは「成功したID論」なんですね…。真善美たる神のような存在が真善美たる意図を持って、知的生命を創造(デザイン)したということになる。ちなみに、神のような存在の意図が全く分からないケースもあるんですが(スタニスワフ・レムとかそういう作品が結構ある)、自然環境をフレンズ達の保護的に制御しているサンドスターのあり方からみて、そういう訳の分からない介入ではなさそうな気がします。
SF好きだと、「成功したID論」というのは思わずどう考えていいのか思考が停止してしまうところがありますね。SFって基本的に「ID論=悪」みたいな感じなんですよ。デザインする側が道具として新たな知的存在を生み出し搾取するのではという恐れ、そして先に挙げたマデリン・アシュビーの「vN」なんか代表的ですが、やはり、ID論に対しては、反進化論と創造論を押し付けてくるキリスト教に対するSF界の強い反発があるので、SF自体にもそういう現実世界の政治的意識が反映されてしまうところがあるんですね…。
著者のマデリン・アシュビーは根っからのSFファンらしく、古今東西のロボットSFのネタがいろいろ入ってますが、ユニークなのは、vNを開発したのが、ニュー・エデン伝道会というキリスト教系の巨大宗教団体だったという設定。インテリジェント・デザイン説(=ID説。知性を持つ高次元の存在によってこの宇宙が意図的に設計・創造されたとする仮説)を信奉し、携挙(キリスト再臨にともない、死者を含めたすべての信徒たちが地上からとりさられ、空中で主と出会い、救済される)の日が近いと信じる彼らは、自分たちが天に昇ったあと、地上に残されるかわいそうな人々がちゃんと生きていけるように、世話をしてくれる伴侶として、高度なアンドロイド(自意識を持つアンドロイド)を開発。さらに、残された人々がロボットの奴隷になったりしないよう、製品に安全機構(フェイルセイフ)を搭載した。要はアシモフのロボット工学三原則みたいなもんですね。
ただし、フェイルセイフの場合、人間の命を守るとか人間の命令に従うとかのレベルから一歩も二歩も進んで、ロボットの情動レベルまでコントロールする。そのためvNは、人間が傷つくところや苦しむ姿を見るだけで行動不能に陥るし、どんな酷い相手でも人間なら好きにならずにいられない。その結果、人間並みの知性を持ちながら、vNは社会的にも性的にも搾取されている。
(大森望。「vN」訳者後書き)
けものフレンズの場合、人類はおそらく種的に大失敗した末路を迎えているが、人類とはぜんぜん関係のないところで、サンドスターという神のような何かによって動物種から進化したフレンズ達は、人類が築き得なかったユートピアをフレンズ達同士で築いて楽しく暮らしているという、これまで他のエントリでも何度も書いてきた通り、色んなSF(ポスト・アポカリプスSF、ポスト・ヒューマンSF、ID論SFなど)の常道を完全に逸脱した展開、本当に、SFを読んでいる人ほど、
「けものフレンズ…?あれっ?あれれっ???なんなんだこれ…これはいったいなんなんんだあ!!」
と戸惑わずにはおれないような、物凄く新鮮な展開のSFなんですね。先に挙げた「vN」もぶっ飛んだ展開でしたが、けものフレンズのぶっ飛び具合は、もうSFというジャンルを完全に超越している。そこがまた最高に面白いですね。ちなみに大森望さんの訳者後書きによるとマデリン・アシュビーはSF作家にしてアニメ評論家で、公式サイトでカウボーイビバップや鋼の錬金術士などの多数のアニメの論評を発表しているとのこと。ぜひ、アシュビーさんには「けものフレンズ」も見て欲しいですね。
後、これまで、ジャパリパークとけものフレンズのユートピア性について語ってきましたが、ジャパリパークには「セルリアン」というフレンズを捕食する謎の怪物がいます。これが本当に何がなんだかよく分からない…。セルリアンはサンドスター由来であると思いますし、SF的に解釈するなら「セルリアン=フレンズの生存競争による淘汰圧を高める為の天敵」みたいな考え方は勿論あると思うんですが、私は、どうしてもこの説は取りたくないですね。論理的にではなく、感性的に取りたくないんですね。この説を取った瞬間、ジャパリパークとけものフレンズの持っている優しく暖かいユートピア性が崩れ落ちてしまう…。
やはり、3話まで見て、けものフレンズには、このまま優しい世界、先に挙げたワーズワースの詩のような世界であって欲しいと心から感じますから…。今のところセルリアンはサンドスターの誤動作か何かじゃないかなと思っていますね…。

著者:マデリン・アシュビー
早川書房(2014-12-19)
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アーティスト:どうぶつビスケッツ×PPP
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著者:ウイリアム・ワーズワス
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2017年01月28日 11:16
「けものフレンズ」に関しての極めて面白い思索的なブログを見つけました。
これはまさしくその通りだと思います。では、ここで語られている「考察」とは一体何なのか。なぜ人々はけものフレンズを考察するのか。そこについて最も根源的に考えてゆきたいと思います。
「考察」、それは今回の「けものフレンズ」の場合、それは考察する事物の魅力を善と美のパターンとして見い出し表現することだと私は考えています。我々は「優れた秩序の体系」に善と美を感じる。そして「考察」とは秩序的体系の認識(形相)を事物の世界から抜き出す試みの一つなのです。
そして我々がなぜ事物を愛するか、それはそこに善と美を感じるからであり、それを表現する、すなわち、愛する事物の内在的な善と美を、外在する形(考察)と為すことで事物の善と美を永遠に少しでも近づけようとする(内在的な善と美を外在的な形相として表現することで少しでも世界に留めようとする)行為なんですね。
愛することから善と美を外在化すること、それは愛する事物としてのエネルゲイヤ(現実態)の中に潜在しているデュナミス(可能態。ガンダムではありません)を新たにエネルゲイヤとして形にする行為、それが、世界において「愛」と呼ばれたり「創造」と呼ばれたりする人間の根幹的営為なんですね…。
まさに「けものフレンズ」は世界への愛であり、人類(けものフレンズを愛するもの)に課せられた使命はその愛を美として外在化すること。けものフレンズの愛を美として世界に留める為に努力することにあると考えておりますね…。
嗚呼…けものフレンズ、今も見ていますがなんと美しいアニメなんだ…。それこそモーツァルトのジュピターのような喜びがこのアニメにはある。この深みのある深奥たる優しい美しさを愛すること(特にサーバルちゃんの声が1話から実に素晴らしい…日本のアニメ声優さんにおいては極めて珍しいタイプの発声、演劇やミュージカル的な発声、腹式呼吸で舞台全てに声を確り通すタイプの明瞭で聞き取りやすい発声ですね)、そしてその愛を外在的に表現したいと感じるのは、まさに始動因として、けものフレンズファンにとって自然なことではないでしょうか…。それは善と美を愛することに発して、けものフレンズの内在的な善と美を愛するゆえの始動因、それこそはまさに根源的な目的因、すなわち神(目的因としての神)に根源的に由来するのですね…。「気が滅入るとは思いません。全く逆です。私が極微的な差異をもたらし、正義のかけらをつくりだせるという事実が――」
「早く言やあ、愛されるものが、自分は動かないで自分を愛するものを動かすみたいな仕方で、すべてのものを動かしているの」けものフレンズが考察される根源は、これがまさに全てだと思いますね…。けものフレンズを見ていると、まさにけものフレンズそのものが善であり、美であり、まさしく根源であり、永遠であり、宇宙が運動しているその全ての原理とすら感じられる陶酔境たる作品ですね…。
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ようこそジャパリパークへ(初回限定盤)
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モーツァルト:交響曲第40番&第41番「ジュピター」
アーティスト:カラヤン(ヘルベルト・フォン)&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
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天の声・枯草熱 (スタニスワフ・レム コレクション)
著者:スタニスワフ レム
国書刊行会(2005-10)
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パラダイス・モーテル (創元ライブラリ)
著者:エリック・マコーマック
東京創元社(2011-11-29)
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ミステリウム
著者:エリック・マコーマック
国書刊行会(2011-01-25)
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殊能将之 読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow
著者:殊能 将之
講談社(2015-06-25)
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文学部唯野教授の女性問答 (中公文庫)
著者:筒井 康隆
中央公論社(1997-07)
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アリストテレス入門 (ちくま新書)
著者:山口 義久
筑摩書房(2001-07)
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アニメ『けものフレンズ』はなぜ考察班を生み出したか
http://nun-tya-ku.hatenablog.com/entry/2017/01/28/022854
アニメを見て、あるいは何度も見返して、そして考察を深めるという行為。それは作品への愛の形だ。
これはまさしくその通りだと思います。では、ここで語られている「考察」とは一体何なのか。なぜ人々はけものフレンズを考察するのか。そこについて最も根源的に考えてゆきたいと思います。
「考察」、それは今回の「けものフレンズ」の場合、それは考察する事物の魅力を善と美のパターンとして見い出し表現することだと私は考えています。我々は「優れた秩序の体系」に善と美を感じる。そして「考察」とは秩序的体系の認識(形相)を事物の世界から抜き出す試みの一つなのです。
そして我々がなぜ事物を愛するか、それはそこに善と美を感じるからであり、それを表現する、すなわち、愛する事物の内在的な善と美を、外在する形(考察)と為すことで事物の善と美を永遠に少しでも近づけようとする(内在的な善と美を外在的な形相として表現することで少しでも世界に留めようとする)行為なんですね。
愛することから善と美を外在化すること、それは愛する事物としてのエネルゲイヤ(現実態)の中に潜在しているデュナミス(可能態。ガンダムではありません)を新たにエネルゲイヤとして形にする行為、それが、世界において「愛」と呼ばれたり「創造」と呼ばれたりする人間の根幹的営為なんですね…。
ウィキペディア「アリストテレス哲学における「形相」」
「質料」(ヒュレー)と「形相」(エイドス)を対置して、内容、素材とそれを用いてつくられたかたちという対の概念として初めて用いた人は、古代ギリシアの哲学者アリストテレスである。彼の『形而上学』の中にこういう概念枠組みが登場する。また『自然学』でもこうした枠組みで説明が行われる。
プラトンが観念実在論を採り、あるものをそのものたらしめ、そのものとしての性質を付与するイデアを、そのものから独立して存在する実体として考えたのに対し、アリストテレスは、あるものにそのものの持つ性質を与える形相(エイドス)は、そのもののマテリアル(物質)な素材である質料(ヒュレー)と分離不可能で内在的なものであると考えた。(中略)
イデアは個物から独立して離在するが、エイドスは具体的な個物において、しかもつねに質料とセットになったかたちでしか実在し得ない。
エイドスが素材と結びついて現実化した個物をアリストテレスは現実態(エネルゲイヤ)と呼び、現実態を生み出す潜在的な可能性を可能態(デュナミス)と呼んだ。今ある現実態は、未来の現実態をうみだす可能態となっている。このように、万物はたがいの他の可能態となり、手段となりながら、ひとつのまとまった秩序をつくる。
まさに「けものフレンズ」は世界への愛であり、人類(けものフレンズを愛するもの)に課せられた使命はその愛を美として外在化すること。けものフレンズの愛を美として世界に留める為に努力することにあると考えておりますね…。
「ミケランジェロ」が言った言葉がある。「わたしは大理石を彫刻する時、着想を持たない。「石」自体がすでに掘るべき形の限界を定めているからだ。わたしの手はその形を石の中から取り出してやるだけなのだ。」ミケランジェロは「究極の形」は考えてから掘るのではなく、すでに石の中に運命として「内在している」と言っているのだ。
(荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」)
[読書] レム “天の声・枯草熱”
http://d.hatena.ne.jp/LJU/20081214/p1
───言うなれば、ここで語られていることは、ある事象をどのように説明するか、という普遍的な命題なのかもしれない。つまりこの作品が問うているのは、迷宮事件の原因が何かということではなくて、説明する視点によって世界がどのように変わるのか、ということだ。ある視点からみて偶然にしか見えないものが、別の視点では必然に変わるということがあり得る。それは不可解で謎に満ちた出来事の背後に隠された唯一の真実、というものではなく、観察する視距離、あるいは観察のタイムスパンに応じて事象がどのように立ち現れるかという違いにすぎない。
世界とは、そもそも本質的に、人間が一義的に意味を決定できるような場ではないのだろう。
(柴田元幸。「パラダイス・モーテル」解説)
ひとつの可能性がべつの可能性へと溶け込んでいくのが、なんとも奇妙だとは思わないか?まるで上に書かれているテキストをこすり落とすと、その下からべつのテキストが現れる中世の手稿みたいじゃないか。たぶんその下にも、そのまた下にも。これが私のいいたいことであり、きみに考えてもらいたいことだ。
(エリック・マコーマック「ミステリウム」)
「宇宙について最も受け入れ難い点は、そのまったくのランダムネス(無秩序性)です。私達の心は理由やパターンや目的や正義を捜し求めるようにプログラムされている。そんなものはどこにもありません。それでも求めるなら、つくりださなくてはならない。正義とは歯ブラシと同じく人間が作りだしたものです。私が職務を正しく全うすれば、トビーや授かるかも知れない私自身の孫達は、わずかばかり秩序だった宇宙のなかで成長するでしょう。しかしそれは、その他の事物の圧倒的なランダムネスに比べたら、局所的で、些末で、とるにたりません」
「あなたは神がいると信じてらっしゃらないの?」
「私にはわかりません。もしおられたとしても、そっぽを向いているんでしょう」
「そんな気の滅入る考え方で、どうやって生きていけるんでしょう?私にはできません」
「気が滅入るとは思いません。全く逆です。私が極微的な差異をもたらし、正義のかけらをつくりだせるという事実が――テープがたくさんありますね。お聞きになるんですか?」
「ええ、しょっちゅう。いわゆるスタンダートなクラシック音楽ばかりですけど、気分がいいときは少し冒険することもあります」
「ジュピター交響曲も」
「ええ、もちろん」
「なぜ音楽は重要なのでしょう?それが何かを語るつもりはありませんが、なぜ私達は欲するのか?そのわけは、宇宙のランダムノイズから特定の音を抜き出すことで、パターンを持つ精巧で多次元的な宇宙の秩序をつくりだせると明言しているからです。(中略)事物のランダムネスにもかかわらず、私達は完全に偶発の奴隷ではない。ある程度コントロールすることができるのです」
(ピーター・ディキンスン「Play Dead」「殊能将之読書日記2000-2009」より)
嗚呼…けものフレンズ、今も見ていますがなんと美しいアニメなんだ…。それこそモーツァルトのジュピターのような喜びがこのアニメにはある。この深みのある深奥たる優しい美しさを愛すること(特にサーバルちゃんの声が1話から実に素晴らしい…日本のアニメ声優さんにおいては極めて珍しいタイプの発声、演劇やミュージカル的な発声、腹式呼吸で舞台全てに声を確り通すタイプの明瞭で聞き取りやすい発声ですね)、そしてその愛を外在的に表現したいと感じるのは、まさに始動因として、けものフレンズファンにとって自然なことではないでしょうか…。それは善と美を愛することに発して、けものフレンズの内在的な善と美を愛するゆえの始動因、それこそはまさに根源的な目的因、すなわち神(目的因としての神)に根源的に由来するのですね…。「気が滅入るとは思いません。全く逆です。私が極微的な差異をもたらし、正義のかけらをつくりだせるという事実が――」
欲求されるもの、思惟されるものが欲求や思惟を動かす仕方だってこと。(中略)こうしたもの(善と美)を我々が求めるのは、それが善であり、美であると思うからで、それを欲しがっているからこそ善だとか美だと思うわけじゃありません。アリストテレスが言う、理性による思惟が根源(アルケー)だというのはこういうことなの。(中略)
だから、おれたちが真実の善や美を求めて動いてしまうってことは、神に動かされているんだって理屈になるね。神が、自分は全く動かないで、他を動かすことができるっていうのは、早く言やあ、愛されるものが、自分は動かないで自分を愛するものを動かすみたいな仕方で、すべてのものを動かしているの。だから、われわれが神に動かされている原因というのは、さっきの分類でいえば、「目的因」ということになります。この場合は善や美が目的ってことだから、神の存在そのものが善であり、美であり、まさしく根源であり、永遠であり、宇宙が運動しているその全ての原理だってことになります。
(筒井康隆「文学部唯野教授の女性問答」)
「早く言やあ、愛されるものが、自分は動かないで自分を愛するものを動かすみたいな仕方で、すべてのものを動かしているの」けものフレンズが考察される根源は、これがまさに全てだと思いますね…。けものフレンズを見ていると、まさにけものフレンズそのものが善であり、美であり、まさしく根源であり、永遠であり、宇宙が運動しているその全ての原理とすら感じられる陶酔境たる作品ですね…。

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けものフレンズ、まどかマギカなどを彷彿とさせるような大ブレイクの兆しが現れていて本作を愛するものとして本当に嬉しいですね…。今回は、賑やかで楽しく優しい世界を描いているけものフレンズが、なぜ見ていると切ない寂寥感を覚えさせるのかについて、考えてみたいと思います。けものフレンズの寂寥感については、第1話放映直後からかなり指摘されておりまして、2話、3話になっても、それらの哀しげで寂しい感覚は根強く残っており、それがけものフレンズの深みとして大きな魅力になっていますね。
表面上は賑やかで楽しく明るい世界、優しい世界であるけものフレンズの世界に、なぜ寂寥感を感じるのか。私はそれは、物語の最も基底的な構造によるものだと思っています。これは、あらゆる物語の構造において非常に珍しいケースなのですが、けものフレンズの世界においては、人類中心主義的(人間中心主義)な視点を大きく脱しているのですね。この視点は、我々が人類種である以上、我々の常識的感性、常識的価値観、常識的理性などの基盤になっており、あらゆる物語の大半も、この視点に従っています。SF小説などでも、たとえそれが人類の後に来る人類の次の種を描くポスト・ヒューマンSFであったとしても、どうしても、人類中心主義的な見方からの物語の組み立てを避けえられないことが多いのです。
ポスト・ヒューマンSFの作品においても、人類種の後に来る種に、人類が大きく関わっていることが多いのですね。そういった作品においてはあくまで物語の主体は人類と人類の「後継としての」種にある。
例えば、人類の後に来る種は、人類種から生命進化的に生み出される種だったり(超能力ミュータントSF全般、小松左京「継ぐのは誰か」貴志祐介「新世界より」等)、人類種が生命を遺伝子改造した結果生まれた種だったり人類種が自分自身を変化させたり人類種が生み出した機械知性だったり(森岡浩之「星界の紋章」ベア「ブラッド・ミュージック」イーガン「ディアスポラ」山本弘「アイの物語」等)、ポスト・ヒューマンSFの9割がたは、「人類が人類の次の種の進化に対する重要なトリガーとして関わっている」タイプの物語であると言えると思います。
キリスト教思想の人類中心主義の考え方が極めて大きいブリンの「知性化戦争」シリーズ辺りになると、枠組はポスト・ヒューマンSFでありながら、その内実はもう完全に反ポスト・ヒューマンSF、「人類万歳!地球生命種の指導者たる人類よ宇宙に永遠なれ!」って感じの話になっちゃってますね…。
また、前述のようなタイプのSFの構造に対し、ポスト・ヒューマンの存在にまで人類が大きく関わっていく前提、それは人類の傲慢ではないかという批判性を持つタイプの作品も存在します。確かにブリンの「知性化戦争」シリーズとか読んでいると、人類種を英雄として描いているブリンの意図とは逆に、人類種の凄まじい傲慢さを感じずにはおれない…。田中啓文さんはブリンの「知性化戦争」シリーズに対する猛烈な意趣返しを含んだブラックユーモア・ポスト・ヒューマンSF「イルカは笑う」って作品を書いてますね。
こういった批判性を持つポスト・ヒューマンSFとしては小松左京さんの素晴らしい傑作(私はSF史に残る最高傑作と思っています)「果しなき流れの果に」がそうですし(小松左京さんは、生命進化の無倫理性に対する批判精神が強い)、最近のSFですと、仁木稔さんの「ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち」が、人類の人工進化の為の道具として作られた動物と人間のハイブリット的な人工生命種(けものフレンズのような存在)が、人類種から非常に虐げられている(人類種の破壊衝動等をコントロールするための生贄の種として作られている)という作品でして、強烈に鮮烈なエッジを持つ傑作でしたね。伊藤計劃さんの「ハーモニー」もこの種の批判性を持った作品として捉えることが出来ると思います。個人的には批判性を持つSFの方がより内容が捻ってあってポスト・ヒューマンSFとして面白いことが多いと感じますね。勿論、批判性のないタイプの作品でも面白いものは沢山ありますが….例として挙げた作品はみな面白いです。
ですが、こういった、人類が大きくポスト・ヒューマン(人類の次の種)に関わったり、それは傲慢であると批判性を持ったり、という構造性(人類中心主義を基盤とする構造性)から大きく乖離した作品、物語主体が人類ではなく、完全に世界の側を向いている作品も、SFには少数ながらあるんですね。人類を他の種とあくまで同列に見る視点、生命や宇宙を非常に俯瞰的な視点で冷徹に眺めているタイプのSF、脱・人類中心主義のSFです。それは、けものフレンズ第1話の感想にて書きましたように(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1919840.html)、オールディスの「地球の長い午後」、前回のエントリで挙げたクラーク「幼年期の終わり」、筒井康隆さんの「幻想の未来」、また、ホラー作品として捉えられていますが、ラヴクラフトの作品群やラヴクラフト的な色彩の強いクトゥルフ神話作品群、小林泰三さんの「C市」などもこういったタイプの作品であると思います。
そして、けものフレンズもまた、上述の脱・人類中心主義のSFに連なるSFとして感じられます。フレンズの進化は人類と関わりなきもの(サンドスター)から起きている訳です。人類は次の種(フレンズ)の進化のトリガーに何も関わっていない。これは極めて珍しいタイプのSFであり「地球の長い午後」等の人類を突き放したイギリスSFの系譜を感じますね…。
こういった、人類中心主義から離れた作品というのは、読んでいると物語の構造的な基底自体に切なさや哀しさがあるんですね…。人間の共同的な基盤である人類中心主義から脱しているがゆえに、そこには、人類種という暖かい紐帯を離れたところに来てしまったという、孤独で心寂しい場の感覚がある。勿論、そこはただ寂しいだけの場ではなく、究極的に自由な場でもあるんですね…。この感覚を、「けものフレンズ」は、上述のSF作品らと同じく、脱・人類中心主義のSF作品としての読みがここかしこに物語の行間に隠されていて、それが、視聴者になんとも言えない切ない寂寥感を覚えさせるのだと思います。
「けものフレンズ」の優れたポイントは、脱・人類中心主義のSF作品としての読みはあくまで行間に隠されているところであって、表層は、それこそ「たのしー!!うれしー!!どきどきわくわく!!」な楽しく明るい世界、優しい世界であるところですね。おそらくはジャパリパークにいる唯一の人類種であろうかばんちゃんに、無欲で無私のフレンズ達はとても親切で優しい。まさに「けものはいても、のけものはいない、ほんとの愛はここにある」という歌詞がそのまま現れている世界。ただ、その世界に溢れる優しさは人類種の優しさではなく、人類種と全く関係を持たない別の動物種からサンドスターにより独自進化したフレンズだからこその優しさであるということを思うと、見ている人間は本当に切ないんですね…。
「けものフレンズ」の表層の明るさ楽しさ優しさと、この行間の切なさ、先に挙げた「果しなき流れの果に」を読んだときに感じたような、まさに最高の味わい深さであり、人類としての「侘び寂び」を味わう、このような感覚を味わう為にずっとSFを読んできたという感がありますね…。
果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
著者:小松 左京
角川春樹事務所(1997-12)
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ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
著者:仁木 稔
早川書房(2014-04-24)
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20世紀SF〈6〉1990年代―遺伝子戦争 (河出文庫)
著者:グレッグ イーガン
河出書房新社(2001-09)
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筒井康隆コレクションI 48億の妄想
著者:筒井康隆
出版芸術社(2014-11-30)
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イルカは笑う (河出文庫)
著者:田中 啓文
河出書房新社(2015-09-08)
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高砂幻戯 (ハルキ文庫)
著者:小松 左京
角川春樹事務所(1999-10)
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万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店(2001-11)
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けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック (1)
KADOKAWA(2017-03-25)
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えーてる ether2001 1月11日
https://twitter.com/ether2001/status/819280166014726144
けものフレンズが妙にやさしくて寂しい世界に感じるのはなぜだろう。ここもまた人類滅亡後の世界なのだろうか。
表面上は賑やかで楽しく明るい世界、優しい世界であるけものフレンズの世界に、なぜ寂寥感を感じるのか。私はそれは、物語の最も基底的な構造によるものだと思っています。これは、あらゆる物語の構造において非常に珍しいケースなのですが、けものフレンズの世界においては、人類中心主義的(人間中心主義)な視点を大きく脱しているのですね。この視点は、我々が人類種である以上、我々の常識的感性、常識的価値観、常識的理性などの基盤になっており、あらゆる物語の大半も、この視点に従っています。SF小説などでも、たとえそれが人類の後に来る人類の次の種を描くポスト・ヒューマンSFであったとしても、どうしても、人類中心主義的な見方からの物語の組み立てを避けえられないことが多いのです。
ウィキペディア「人間中心主義」
人間中心主義とは自然環境(人間以外の動植物)は人間によって利用されるために存在するという信念のことである。(中略)ユダヤ教、キリスト教の創造観は、旧約聖書の創世記に述べられている。その中で神は人間に対して、「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ」と命じている。この「従わせよ」や「支配せよ」は緩やか過ぎる訳語であり、ヘブライ語の原語「kabash」は「鞭打って血を流してでも従わせる」といえるような強い言葉である。
ポスト・ヒューマンSFの作品においても、人類種の後に来る種に、人類が大きく関わっていることが多いのですね。そういった作品においてはあくまで物語の主体は人類と人類の「後継としての」種にある。
例えば、人類の後に来る種は、人類種から生命進化的に生み出される種だったり(超能力ミュータントSF全般、小松左京「継ぐのは誰か」貴志祐介「新世界より」等)、人類種が生命を遺伝子改造した結果生まれた種だったり人類種が自分自身を変化させたり人類種が生み出した機械知性だったり(森岡浩之「星界の紋章」ベア「ブラッド・ミュージック」イーガン「ディアスポラ」山本弘「アイの物語」等)、ポスト・ヒューマンSFの9割がたは、「人類が人類の次の種の進化に対する重要なトリガーとして関わっている」タイプの物語であると言えると思います。
キリスト教思想の人類中心主義の考え方が極めて大きいブリンの「知性化戦争」シリーズ辺りになると、枠組はポスト・ヒューマンSFでありながら、その内実はもう完全に反ポスト・ヒューマンSF、「人類万歳!地球生命種の指導者たる人類よ宇宙に永遠なれ!」って感じの話になっちゃってますね…。
また、前述のようなタイプのSFの構造に対し、ポスト・ヒューマンの存在にまで人類が大きく関わっていく前提、それは人類の傲慢ではないかという批判性を持つタイプの作品も存在します。確かにブリンの「知性化戦争」シリーズとか読んでいると、人類種を英雄として描いているブリンの意図とは逆に、人類種の凄まじい傲慢さを感じずにはおれない…。田中啓文さんはブリンの「知性化戦争」シリーズに対する猛烈な意趣返しを含んだブラックユーモア・ポスト・ヒューマンSF「イルカは笑う」って作品を書いてますね。
こういった批判性を持つポスト・ヒューマンSFとしては小松左京さんの素晴らしい傑作(私はSF史に残る最高傑作と思っています)「果しなき流れの果に」がそうですし(小松左京さんは、生命進化の無倫理性に対する批判精神が強い)、最近のSFですと、仁木稔さんの「ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち」が、人類の人工進化の為の道具として作られた動物と人間のハイブリット的な人工生命種(けものフレンズのような存在)が、人類種から非常に虐げられている(人類種の破壊衝動等をコントロールするための生贄の種として作られている)という作品でして、強烈に鮮烈なエッジを持つ傑作でしたね。伊藤計劃さんの「ハーモニー」もこの種の批判性を持った作品として捉えることが出来ると思います。個人的には批判性を持つSFの方がより内容が捻ってあってポスト・ヒューマンSFとして面白いことが多いと感じますね。勿論、批判性のないタイプの作品でも面白いものは沢山ありますが….例として挙げた作品はみな面白いです。
ですが、こういった、人類が大きくポスト・ヒューマン(人類の次の種)に関わったり、それは傲慢であると批判性を持ったり、という構造性(人類中心主義を基盤とする構造性)から大きく乖離した作品、物語主体が人類ではなく、完全に世界の側を向いている作品も、SFには少数ながらあるんですね。人類を他の種とあくまで同列に見る視点、生命や宇宙を非常に俯瞰的な視点で冷徹に眺めているタイプのSF、脱・人類中心主義のSFです。それは、けものフレンズ第1話の感想にて書きましたように(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1919840.html)、オールディスの「地球の長い午後」、前回のエントリで挙げたクラーク「幼年期の終わり」、筒井康隆さんの「幻想の未来」、また、ホラー作品として捉えられていますが、ラヴクラフトの作品群やラヴクラフト的な色彩の強いクトゥルフ神話作品群、小林泰三さんの「C市」などもこういったタイプの作品であると思います。
そして、けものフレンズもまた、上述の脱・人類中心主義のSFに連なるSFとして感じられます。フレンズの進化は人類と関わりなきもの(サンドスター)から起きている訳です。人類は次の種(フレンズ)の進化のトリガーに何も関わっていない。これは極めて珍しいタイプのSFであり「地球の長い午後」等の人類を突き放したイギリスSFの系譜を感じますね…。
SFというと、宇宙船やロボットをイメージする人が多いだろうが、じつは生命科学こそSFの本道だとする立場がある。少なくとも、イギリスSFに関する限り、この主張は正しい。始祖メアリ・シェリー以来、その中心テーマは常に生命科学であり、その深奥に不老不死の夢を内包していた。別の言葉でいえば、「人工進化」である。
(中村融。「20世紀SF6 遺伝子戦争」より)
こういった、人類中心主義から離れた作品というのは、読んでいると物語の構造的な基底自体に切なさや哀しさがあるんですね…。人間の共同的な基盤である人類中心主義から脱しているがゆえに、そこには、人類種という暖かい紐帯を離れたところに来てしまったという、孤独で心寂しい場の感覚がある。勿論、そこはただ寂しいだけの場ではなく、究極的に自由な場でもあるんですね…。この感覚を、「けものフレンズ」は、上述のSF作品らと同じく、脱・人類中心主義のSF作品としての読みがここかしこに物語の行間に隠されていて、それが、視聴者になんとも言えない切ない寂寥感を覚えさせるのだと思います。
「けものフレンズ」の優れたポイントは、脱・人類中心主義のSF作品としての読みはあくまで行間に隠されているところであって、表層は、それこそ「たのしー!!うれしー!!どきどきわくわく!!」な楽しく明るい世界、優しい世界であるところですね。おそらくはジャパリパークにいる唯一の人類種であろうかばんちゃんに、無欲で無私のフレンズ達はとても親切で優しい。まさに「けものはいても、のけものはいない、ほんとの愛はここにある」という歌詞がそのまま現れている世界。ただ、その世界に溢れる優しさは人類種の優しさではなく、人類種と全く関係を持たない別の動物種からサンドスターにより独自進化したフレンズだからこその優しさであるということを思うと、見ている人間は本当に切ないんですね…。
「けものフレンズ」の表層の明るさ楽しさ優しさと、この行間の切なさ、先に挙げた「果しなき流れの果に」を読んだときに感じたような、まさに最高の味わい深さであり、人類としての「侘び寂び」を味わう、このような感覚を味わう為にずっとSFを読んできたという感がありますね…。
「古の 人に我あれや 楽浪の 古き京を 見れば悲しき」
(万葉集)
一人、ぽつねんと座っていると、天地万物が、行方も知らず続けている、巨大な「旅」の気配がひしひしと感じられ、身を締め付けられるような寂寥感に知らず知らずのうちに涙が流れてくるのだった。常夏の緑と、陽気な文明をのせたハワイの島々は、大洋の底を行くマントルの流れにのって、はるか北西五千キロ彼方の日本列島にむかって年三、四センチのスピードで旅を続けている。旅程をすすむにつれて、風浪は岩を削り、三千万年ほど前にこのハワイのある位置にうまれて、一足先に旅立った島々は、今は海面下二千メートルの海山となって、日本海溝の傍にまで達しているのだ。地球もまた、その地表にうみ出した一切の生ける物をのせたまま、巨大な船のごとく、太陽のまわりをめぐる何十億回くりかえされた旅を続け、そしてまた太陽は、その子供たちである九つの惑星をひきつれたまま、暗黒の宇宙の一点へむけて、目的も知れぬ旅を続ける……。
そして、人間は――我らはいずこより来りしか、そして何ものか、いずくへ行くか?――人間は……人の世のある事のわびしさに倦み、わびしさを癒すために旅立ったのが、いつしか、わびしさを求める旅にかわり、そして――。わびしさをつきつめた果てには、何があるだろうか?
(小松左京「旅する女」「高砂幻戯」より)

著者:小松 左京
角川春樹事務所(1997-12)
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著者:仁木 稔
早川書房(2014-04-24)
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著者:グレッグ イーガン
河出書房新社(2001-09)
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著者:筒井康隆
出版芸術社(2014-11-30)
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著者:田中 啓文
河出書房新社(2015-09-08)
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著者:小松 左京
角川春樹事務所(1999-10)
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角川書店(2001-11)
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KADOKAWA(2017-03-25)
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2017年01月27日 04:16
けものフレンズ1〜3話見返していたのですが、この作品は全体を通して、「2001年宇宙の旅」を彷彿させる作品だと改めて再認識できましたね。2001年宇宙の旅は、地球の生命進化史を宇宙的スパンで俯瞰して眺望する作品なのですが(クラーク自身が、星間史の大スパンとしての物語として語っている)、まさにその象徴しての映像が、「人類の夜明け」のシーンな訳ですね。
2001年宇宙の旅の伝説的な初頭のシーン「人類の夜明け」、これを全く新しい形で再創造したのが、まさしく「けものフレンズ」の第一話なのですね。骨がパンフレットであり、放り投げられる骨が、放り投げられる紙飛行機に相当する訳です。ただ、非常に面白いのは、「けものフレンズ」の場合、全てがポスト・人類史、人類後の歴史を示しているところです。
サンドスター(進化を促すサンドスターがモノリスの象徴であることは自明でしょう)から生まれたフレンズのサーバルちゃんは、サンドスターからではなく、「人類種」と思われるかばんちゃんからインスピレーションを受けて、道具を使うことを認識する、認識の新しい階梯を登る訳です。かばんちゃん自体はあくまで現行の人類種というところにいて、サーバルちゃんのようなフレンズ達が進化の階梯を登っていくお手伝いのガイドとしての役割を果たしている。
「けものフレンズ」は人類種の進化ではなく、人類種の後に来るものの進化(フレンズ達の進化)を描いている訳です。これはまさに、アーサー・C・クラークが描いた「2001年宇宙の旅」や「幼年期の終わり」のテーマであり、人類種の種的終焉の後、すなわちその先を描く、ポスト・アポカリプスSF、ポスト・ヒューマンSFにおける最も壮大なジャンル、人類後の新しき種を描く、進化してゆく種の交代劇なのですね。
そして、「けものフレンズ」の素晴らしいところは、この壮大な観点が、2話、3話と、素晴らしく整合的かつ連続性を持って描かれているところです。2話では、かばんちゃんは「認識進化のガイド」としてフレンズのサーバルちゃんとジャガーちゃんとカワウソちゃんに「目的達成の為の段階性」と「道具を使う為の道具を作ること」の認識を与えている。3話でも同じく、サーバルちゃんとトキちゃんとアルパカちゃんに「他者の視点(空を飛ぶフレンズの視点)を想像して認識するという想像的認識」の認識を与えている。「他者の視点を想像して認識する認識」(他者視点認識)というのは、まさにほぼ人類固有の人類のみが極度に発達させた認識であるとされていて、進化の過程で得た認識の中でも、最も知性をブレイクスルーさせた認識とされているものですね。第2話は目的及び道具の発達を描き、第3話はまさに知性のブレイクスルーを描いていたと言えるでしょう。
そしてこれら人類の進化史をなぞる物語が、前述したとおり、人類の物語ではなく、人類を進化と認識の狂言回しのガイド役にした、人類の後に来るであろう新しい知性種達(フレンズ達)の物語であるというところが素晴らしく面白い。
そして更に「けものフレンズ」の凄いところは、人類文明の痕跡が廃墟となっており、逆に非文明的なフレンズ達はほのぼのと平和に暮らしている姿を描くことで、進化における知性すら批評的な眼差しで俯瞰しているところですね。これは本当に凄い。物語構成が、二重、三重になっているんですね。
本作「けものフレンズ」はまさに、ポスト・ヒューマンSFそのものであり、21世紀のSFアニメにおける現在最も本質的に優れたSFアニメであると断言できますね。世の中にSFとされる作品は山ほどありますが、上述したような、最も本質的な作品、物語の構造自体がSFとして確りと確立している作品と言うのは、実は数えるほどに少ないんですね。
「けものフレンズ」こそは、まさに稀に見る本質的なSF作品であり、このような作品にSFファンとして巡り合えることは望外の幸せでありますね…。また、こういった優れたSF作品を、「この作品は如何に優れたSF作品であるか」ということを解説してゆくことも、SFというジャンルが本質的に人々に理解してもらうためには大切なことであり、早川書房さんらは、SFマガジンなどを通して本作をきちんと取り上げて、本作が如何に優れたSF作品であるかを周知することで、本作とSFファンとアニメファンをきちんとリンクしてゆくことが出来れば、理想だなと思いますね…。
最後に余談ですが、SFマガジンの愛読者としては発刊が隔月刊になってしまったことが本当に残念です。毎月出ていた頃は、それこそ、SF界隈で話題になっていることを、パッと迅速に時流に即してSFマガジンに載せていけてたんですね…。今は隔月刊なので、「SFマガジンでけものフレンズを取り上げよう!」ということになっても、実際にSFマガジンに載る記事になるのがそれこそ数ヶ月先になってしまうということがありうる。そうしたらその頃にはアニメ放送が終わってしまっています…。雑誌が隔月刊だと、時流に即した記事掲載というのは難しくなるので、そんな中で、どのようにして若い読者に本格SF、本質的なSFの面白さを伝えていくかというのは、それこそSFファン皆でかばんちゃんのように一生懸命知恵を出して考えなくてはならないことじゃないかなと思っていますね…。
2001年宇宙の旅 [Blu-ray]
出演:キア・デュリア
ワーナー・ホーム・ビデオ(2010-04-21)
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スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
著者:グレッグ・イーガン
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現代語裏辞典 (文春文庫)
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Cinemagazin 2001年宇宙の旅 2001: A Space Odyssey
http://www004.upp.so-net.ne.jp/vji/eiga/kubrick/2001.html、
1.「人類の夜明け」この章が意味するもの。
猿は動物と共に草を食べていたのが、群を形成し、家族を作り、群と群が戦い、肉食している。突然現れる石碑、大騒ぎする猿。石碑からインスピレーションを受けて、猿は絶滅しない道具を発見する。それは動物の骨だ。動物を殺し肉を食べ飢えを癒やす。他の動物は滅びる。骨は猿が生き残るための重要な道具でした。猿が動物の骨をうちくだいて、放り上げた骨が宇宙船の形になって未来に切り替わるのは印象的です。
2001年宇宙の旅の伝説的な初頭のシーン「人類の夜明け」、これを全く新しい形で再創造したのが、まさしく「けものフレンズ」の第一話なのですね。骨がパンフレットであり、放り投げられる骨が、放り投げられる紙飛行機に相当する訳です。ただ、非常に面白いのは、「けものフレンズ」の場合、全てがポスト・人類史、人類後の歴史を示しているところです。
サンドスター(進化を促すサンドスターがモノリスの象徴であることは自明でしょう)から生まれたフレンズのサーバルちゃんは、サンドスターからではなく、「人類種」と思われるかばんちゃんからインスピレーションを受けて、道具を使うことを認識する、認識の新しい階梯を登る訳です。かばんちゃん自体はあくまで現行の人類種というところにいて、サーバルちゃんのようなフレンズ達が進化の階梯を登っていくお手伝いのガイドとしての役割を果たしている。
「けものフレンズ」は人類種の進化ではなく、人類種の後に来るものの進化(フレンズ達の進化)を描いている訳です。これはまさに、アーサー・C・クラークが描いた「2001年宇宙の旅」や「幼年期の終わり」のテーマであり、人類種の種的終焉の後、すなわちその先を描く、ポスト・アポカリプスSF、ポスト・ヒューマンSFにおける最も壮大なジャンル、人類後の新しき種を描く、進化してゆく種の交代劇なのですね。
そして、「けものフレンズ」の素晴らしいところは、この壮大な観点が、2話、3話と、素晴らしく整合的かつ連続性を持って描かれているところです。2話では、かばんちゃんは「認識進化のガイド」としてフレンズのサーバルちゃんとジャガーちゃんとカワウソちゃんに「目的達成の為の段階性」と「道具を使う為の道具を作ること」の認識を与えている。3話でも同じく、サーバルちゃんとトキちゃんとアルパカちゃんに「他者の視点(空を飛ぶフレンズの視点)を想像して認識するという想像的認識」の認識を与えている。「他者の視点を想像して認識する認識」(他者視点認識)というのは、まさにほぼ人類固有の人類のみが極度に発達させた認識であるとされていて、進化の過程で得た認識の中でも、最も知性をブレイクスルーさせた認識とされているものですね。第2話は目的及び道具の発達を描き、第3話はまさに知性のブレイクスルーを描いていたと言えるでしょう。
そしてこれら人類の進化史をなぞる物語が、前述したとおり、人類の物語ではなく、人類を進化と認識の狂言回しのガイド役にした、人類の後に来るであろう新しい知性種達(フレンズ達)の物語であるというところが素晴らしく面白い。
そして更に「けものフレンズ」の凄いところは、人類文明の痕跡が廃墟となっており、逆に非文明的なフレンズ達はほのぼのと平和に暮らしている姿を描くことで、進化における知性すら批評的な眼差しで俯瞰しているところですね。これは本当に凄い。物語構成が、二重、三重になっているんですね。
ちえ[知恵]人類滅亡の素因。
(筒井康隆「現代語裏辞典」)
本作「けものフレンズ」はまさに、ポスト・ヒューマンSFそのものであり、21世紀のSFアニメにおける現在最も本質的に優れたSFアニメであると断言できますね。世の中にSFとされる作品は山ほどありますが、上述したような、最も本質的な作品、物語の構造自体がSFとして確りと確立している作品と言うのは、実は数えるほどに少ないんですね。
「けものフレンズ」こそは、まさに稀に見る本質的なSF作品であり、このような作品にSFファンとして巡り合えることは望外の幸せでありますね…。また、こういった優れたSF作品を、「この作品は如何に優れたSF作品であるか」ということを解説してゆくことも、SFというジャンルが本質的に人々に理解してもらうためには大切なことであり、早川書房さんらは、SFマガジンなどを通して本作をきちんと取り上げて、本作が如何に優れたSF作品であるかを周知することで、本作とSFファンとアニメファンをきちんとリンクしてゆくことが出来れば、理想だなと思いますね…。
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