貧困

2016年11月21日 19:09

赤木智弘「世界の右傾化を支える「ポリコレ棒」とは何か」
http://blogos.com/article/198700/
正義の審問官にとっては自分の考えるPCこそが正義に他ならない。正義なのだから対話など必要なく、悪に対して一方的に押しつける態度にしかならない。それに反発する他者は「分かっていない、頭の悪い人」か「悪」なのだから、前者に対しては「しつけ」として、後者に対しては「正義の発露」として、いくら叩いても構わないという心情に至る。

これ、橘玲氏とか岡田斗司夫氏も昔から同じこと言ってますね。元を辿るとニーチェの「道徳の系譜」なんですな。道徳(ここではポリティカル・コレクトネス)の系譜学的分析です。岡田斗司夫さんの政治論・道徳論を語った著書「スター・ウォーズに学ぶ国家・正義・民主主義」より引用しますね。

人間は道徳的に他人を責めることで快感を得る
『他人を道徳的に攻撃すると、脳の快感を司る部分が激しく活性化することが分かっています。道徳は(他人を攻撃することで本能的攻撃衝動を充たすという形で)最大の娯楽の一つですが、それを認めるのは(道徳の根幹を揺るがす為)不都合なので、人々は怒りによって、自分の「不道徳(攻撃性)」を正当化しようとするのです。
(橘玲「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」)』

つまり、こういう風に人を責める(道徳をふりかざして人を責める)のは「良い」「悪い」の問題ではなく、私らの脳に(本能的攻撃衝動として)あらかじめプログラムされているという訳ですね。

タレントのベッキーの不倫にしても、ショーン・Kの経歴詐称疑惑にしても、不道徳だといって責める人が必ず出てくるけど、この人達は何の権利があって責め立てているのかよくわからないし、本人達も自分に対しなぜこれほど怒りを感じるのか理解していないでしょう。

そういう理由のない怒りだとか衝動というものを、私達は持っている。その怒りを収めるために「生贄を殺す」ことが政治の本質なのではないでしょうか。(中略)

例えば、人類学者ジェームズ・フレイザーの「金枝篇」には、未開社会における「王殺し」の神話や伝承が多数収録されています。(中略)地震や日照りについて誰も責任はとれませんが、取れないといって放っておいては私らの感情(自分が損なわれたと感じた時にはその分の損失分かそれ以上の分について他の誰かを損なわせようとする本能的攻撃衝動)は納得しない。何かで鬱憤を晴らさないと我慢できなくなってしまう。

不道徳と思われる人を見かけたらその本人を攻撃して鬱憤を晴らせばいいんですが、国や社会に対する不満のはけ口としては、結局王様が(生贄として)一番適当なんですよ。(中略)

結局のところ政治とは、理不尽に暴発する民衆の心をいかに管理し、どういう方向に誘導するかなんですね。
(岡田斗司夫「スター・ウォーズに学ぶ国家・正義・民主主義」)

橘玲氏とか岡田斗司夫氏は、赤木さんの論を一歩進めた地点から政治を眺めていて、『リベラルとは民衆の一部に「ポリティカル・コレクトネス」という「道徳=暴力への正当性」を与えることで力を得たが、やりすぎて失墜した』『政治とは暴力に道徳的正当性を与えることで民衆を支配するシステムである』と考えているんですね。これはニーチェの「道徳の系譜」に思想の源流があって、欧米のポスト・ニーチェの思想家もだいたいこの考えですね。日本の思想家だと東浩紀氏なんかもこれと同じ考え方をしていますね。

でも、これ、その通りだとしても、何も現状は変わらないんですよね…。ニーチェの道徳の系譜でもそうですが、こういう系譜学は最後は「人間の本性」「人間の本能」「社会とは本性・本能を制御するための技法があるだけの荒野」というところに結論が帰結してしまうので、攻撃的本能に基づいてポリティカル・コレクトネスで他者を攻撃し続けるような人を誰も止められないし(本性・本能なので止められない)、もうどうしようもない。あらゆる破壊的なものは人間の本性、人間の本能に基づいているから…。

ドイツの思想家スローターダイクは著書「シニカル理性批判」でポスト・ニーチェ思想(上記の思想)を批判して、ニーチェ的系譜学に基づいて道徳の欺瞞を暴いても、結局は何の意味も無い。なぜならそれは理想や道徳の欺瞞を暴き道徳とは本能に基づく暴力の正当化であると暴くだけで、新しい理想や道徳については何も提示できないからだ、それはただシニカルな上から目線のインテリであるだけで、社会に対するコミットメントを致命的に欠いている無責任なスタンスである、と述べていますが、私はその通りだと思いますよ…。

社会に対して影響力のある文筆家や思想家が悉く「政治とは民衆の不合理な暴力に道徳的正当性を与えて民衆の攻撃的本能の流れを操作する営みである」「ゆえに社会の不合理は何一つ改善することはできないしそのような仕組みを作ることもできない。なぜなら人間は攻撃的本能に支配された根底的に邪悪な救い難い存在であり、その攻撃性をある程度制御する以外にできることはないからである」みたいな非常にシニカル(冷笑的)でペシミスティック(悲観的)なポスト・ニーチェ的最終結論を出されても、「えっ」って思いますよ、民衆の一員としては…。「人間は根本的に邪悪で世の中に救いはないから社会を良くするなんてアキラメロン」って言ってるのと同じですからね…。結局それは「社会にも人間にも根底的に救いはない」と述べて人々を絶望させることで今現在の支配階級の立場を強化しているだけですよね…。

ちなみにこれは本題とは関係の無い軽い余談ですが、東浩紀氏がトランプ大統領について語っている最近出ていたニコニコ動画みたら以前よりも物凄く太っていて驚愕したんですが…。もしかしたら東浩紀氏の思想に太る要因があるんじゃないかなあ…。肥満をテーマにアシモフらが編纂したアンソロジー「The Science Fiction Weight-Loss Book」で「太る要因の一つは自分に対する楽観主義と外部に対する冷笑主義である」みたいなこと書いてありましたが、東氏の思想ってまさにそれそのものなので、心配になりましたよ…。更に余談ですが、ITベンチャー企業の起業家であり作家である上田岳弘さんの「太陽・惑星」は両作共にまさに上記のポスト・ニーチェ主義の帰結による人類の避け難い完全絶滅を描いている奇妙な味のSFで非常に面白かったですね。特に「惑星」、ゲームのシュタインズ・ゲートを更に先鋭化したような、あらゆる時間に偏在できる能力の持ち主がどのように行動しても、アップルをモデルにしたIT企業の暴走によって引き起こされる最終的な人類史の流れによる人類の完全絶滅は避けられないという、人類にとことん絶望しきっている「惑星」の展開とか、まさにポスト・ニーチェ思想だなと感じました。日本の新富裕層であるITベンチャーの起業家がこういうの書いちゃうくらい、人類全体に対するシニカルな視野が社会の上層にも広がっているのだなと感じさせましたね…。閑話休題。

私は、やはり、希望とか理想がないと社会が良くなる可能性すら閉ざされると思うので「政治とは民衆の不合理な暴力に道徳的正当性を与えて民衆の攻撃的本能の流れを操作する営みである。ゆえにポリティカル・コレクトネスを掲げて暴力を道徳の名の元に振るう人間を止めることはできない。なぜならそれは攻撃性という生物学的本能だからである。終わり」みたいな感じで終わって欲しくないと思います。思想家がシニカルで絶望的な視点だけを「これこそが系譜学的真理!」として出してきても、「社会と民衆は根底的に最悪であると上から目線で分析するだけのあんたたち自体は、一体何のためにいるの?」って思うだけですよ…。バーニー・サンダースがトランプ大統領に理想主義的な要求を出していますが、こういった形で、社会の希望とか理想を何処かに存在するものとして常に掲示し続けることが、社会的影響力を持つ人々の責務としてあると私は思いますね。

アメリカ政治はトランプ対バーニー・サンダースで動き始めた
http://blogos.com/article/198672/
 11月16日、水曜日夜、バーニー・サンダーズ上院議員は、選挙が終わってからはじめて、まとまった演説をし、大きな注目を集めた。フェースブックでは、もう60万の人がみている。
https://www.facebook.com/PoliticalRevolution/videos/1308001395918740/
 このワシントンのジョージタウン大学で行われた演説で、サンダースは、いくつかの問題についてトランプ次期大統領とともに働けることを希望しているといった。(中略)

(1)トランプ氏は社会保障予算をカットすることはしない。メディケアとメディケードを切ることはしないといった。私は拡充せよと主張するが、切らないというのは前提であり、重要な約束だ。

(2)トランプ氏は、1兆ドルを我々の公共的なインフラ整備に投下すると約束した。それをすれば何百万もの給料の良い仕事口ができる。これも私の主張に共通する。

(3)私は、今日の連邦の最低賃金が飢餓賃金であり、それは1時間につき15ドルにアップされねばならないと主張した。トランプ氏は、1時間につき10ドルまで最低賃金を上げなければならないと言った。これは十分ではないが、一つのスタートだ。

(4)トランプ氏は、ウォール街の許しがたい強欲さと悪行を批判し、ニューディールで採用されたグラス・スティーガル法を復活するといった。これは最大の焦点のひとつだ。賛成なことはいうまでもない。

(5)トランプ氏は、6週の有給出産休暇を実現すると約束した。地球上で主要な文明国といえば少なくとも12週の有給の家族と病気療養休暇が条件だが、これもスタートとしては重要だ。

(6)トランプ氏はTPPなどの我々の壊滅的な貿易政策を変えるといった。これも賛成だ。

 時代錯誤の無知で頑迷な人種差別、外国人ヘイト、性差別などではまったく妥協はしない。しかし、以上が、誠実に行われるかどうかが問題だ。

 大統領候補が、この国の労働家族に偽善や嘘をいうことはゆるされないことは分かっているはずだ。これらを注意してみていくし、一緒にできることはいくらでも協力する。期待していると言ってもよい。
  
 以上が演説の主な内容の一部。

私はこの演説に(上記のURLから実際に見れます)全面的に賛同できますね。こうやって社会に理想や希望を掲げるのが、社会的な有力者の本当にやるべきことだと思います。ポスト・ニーチェ的絶望の解毒剤としては「正義論の名著」とか凄く良かったですね。

スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」 岡田斗司夫の空想政治教室 (SB新書)スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」 岡田斗司夫の空想政治教室 (SB新書)
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スティグリッツ氏警告「トランプは危険人物」
http://toyokeizai.net/articles/-/145890
――ドナルド・トランプ次期大統領が掲げる政策をどうとらえていますか。

同氏の主張には根本的な問題がある。歳出を増やす一方で、全所得層への減税を実施し、米国政府の予算を均衡化すると言うが、三つを同時に行うことはできない。(中略)

──全所得層への大幅減税についてはどう思いますか。

富裕層が最も恩恵を受け、富める者がさらに富み、格差が拡大するだろう。

連邦最低賃金を(10ドル以上に)上げるとも主張しているが、これも実現不可能なことを公約している。引き上げてくれればいいとは思うが、共和党は反対の立場を取っている。トランプは、共和党が異を唱える多くのことを公約している。(中略)

──教授はグローバル化の弊害も指摘されています。自由貿易協定で、米製造業の雇用が減少したそうですね。

米国人の下位90%は、収入が伸び悩んでいる。その点から見ると、米経済は悲惨な状況にある。トランプは、有権者の経済に対する不満を利用した。もっとも、その問題を解決するには最悪の人物だ。彼は格差を拡大する。富裕層に必要なのは減税でなく、累進課税の強化だ。

──年内の利上げは?

イエレンFRB(米国連邦準備制度理事会)議長は制約がある中で非常によくやっている。金融政策だけで完全雇用は実現できない。財政出動が必要なのは明らかだが、共和党が反対してきた。与党になれば、一転して景気刺激策を取るかもしれないが。

先進国の大半がそうだが、米国の金融政策も非常に微妙な状況にある。現在の低金利下では景気浮揚は限定的。財政政策が必要だ。低金利は格差を広げたり、金融市場を歪めたりする懸念もある。(中略)慎重を期するなら、彼(トランプ)が間違いを犯したときに景気を浮揚できるよう(利下げできるよう)、今のうちに利上げするほうがいい、となるだろう。

──日本はいまだにデフレから脱却できません。

日本の過密さを考えると、人口減少は、たぶんいいことだ。低成長は気にならない。成長率(国内総生産=GDP)に目が行きすぎている。

デフレは、低成長、つまり総需要の不足によって生み出される症状だから、総需要が増えればプラスになる。

政府債務もさほど懸念していない。債務の多くは、日本銀行が(国債買い入れの形で)保有しているからだ。

気掛かりがあるとすれば、時間当たりの生産性が高くないことだ。生産性向上には、大学や研究機関への投資を増やし、より付加価値の高い産業を育成する必要がある。

私が重視するのは、生活水準や失業率、格差、貧困、時間当たりの生産性だ。日本の失業率は高くないが、格差は大幅に拡大している。デフレのような「症状」と違い、こうした点を注視している。

「富裕層に必要なのは減税でなく、累進課税の強化だ。」
「日本の失業率は高くないが、格差は大幅に拡大している。」
本当にこの通りとしか言いようがないですね…。補足すると、現在の日本のように格差が拡大すると、中間所得層が消滅して低所得層が爆発的に増えていくんですが、低所得層は良い働き先を見つけることも、大学に行くことも、そしてそれ以前に勉強することさえも全て金銭的及び生育環境的な理由で不利益をこうむるので、低所得層の個々の生産性が低下してそれにより国家全体の生産性も大きく低下するんですね。格差が拡大して低所得層が増えていくということは、総需要が減少して総生産性が低下して国家そのものが先進国から発展途上国に落ちていくということとイコールですのに、日本の政財界はそのことを完全に無視しているのが(世界的な大企業は多国籍大企業として動けばいいので日本はどうでもいいと考えている。日本ローカル企業は壊滅的打撃を受けるが危機感がなぜかゼロ)、日本の絶望的でお先真っ暗なところなんですね…。

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2016年10月19日 10:02

本日(10/19)の朝日新聞で生活面を一面丸ごと使い、巷を騒がせたPCデポ騒動(PCデポが高齢者に高額のPCサポート契約を結ばせ解約金も非常に高額な商法を行っていること)の特集を大きくしています。朝日新聞によると、今回のPCデポのような悪質な契約を規制できないのは規制に対する産業界の反対によるものとのこと…。この国は悪質な大企業群、まさにリアルな暗黒メガコーポそのものである産業界に牛耳られている…暗澹たる気持ちになりました。以下、抜粋して引用致しますね。

2016/10/19朝日新聞「高齢者 後絶たぬ契約被害」

パソコン専門店「PC DEPOT」(PCデポ)のパソコンの使い方をサポートするサービスをめぐり千葉市の会社員男性(44)が8月、「80過ぎの父が高額契約を結ばされ、契約解除料10万円を支払わされた」などとツイッターに投稿。インターネット上で一気に広まり、PCデポ側への批判が集中した。(中略)

国民生活センターによると、2015年度の65歳以上の契約などのトラブル相談は約25万件あり、5年前から約6万件増えた。全国消費生活相談員教会の増田悦子専務理事は、「高齢者が電話勧誘などで繰り返し勧められ、不本意な契約を結んでしまう例は後を絶たない。手当てが必要だ」と指摘する。

救済策として、契約から一定期間内(8日以内など)なら無償解約できるクーリングオフがある。だが、対象は訪問販売や電話勧誘販売などの契約に限られ、自ら店に出向いての契約は対象外だ。

近年では認知症の高齢者が着物や宝石などを次々と買わされたといった悪質な例が目立つ。被害額が多い場合、訴訟で救済を目指す例もある。

しかし、ハードルは高い。

民法上、契約を理解し、判断する意思能力がない人が結んだ契約は無効とされるが、認知症だから無効になるとは限らない。消費者問題に詳しい池本誠司弁護士は「判断力が全くない状態でないと意思能力がないとはいえない。認知症は時期や症状で判断力のレベルが変わるため、契約時に意思能力が欠けていたのか立証するのは難しい」と話す。(中略)

(現在は高齢者の判断力低下や認知症につけこんだ悪質な契約を結ぶことに関する規制がないため、消費者団体等は高齢による判断力低下や認知症につけこんだ契約を防ぐ為の法的規制として)高齢者らの判断力の低下や、知識・経験不足につけこんだ悪質な契約は取り消せるようにすべきだと求める。

産業界は「高齢者一人ひとりの判断力の違いを営業員がどうやって見極めるのか。取引の安定性が損なわれる」などと反対する。

この騒動に関しては日本経済新聞や週刊ダイヤモンド等の諸々の産業界の御用ジャーナリズムが速攻でPCデポの弁解と言い分のみを載せるPCデポ擁護の最低な特集をしており、それらに対する信頼が地面を越えて地獄の底の釜の下まで落ちて御用ジャーナリズムが大嫌いになりましたが、今回の朝日新聞の特集は、なぜ産業界の御用ジャーナリズムが即PCデポ擁護に走ったのか良く分かる良記事ですね。彼らはまさに産業界の走狗ですね…。ただ、全てがそうではなく、東洋経済等、PCデポに厳しく批判的な経済誌ジャーナリズムもあり、そういう真っ当な経済誌の記事は良心的でした。

産業界は「高齢者一人ひとりの判断力の違いを営業員がどうやって見極めるのか。取引の安定性が損なわれる」などと反対する。

なぜ豊田商事ばりの悪質な契約に対して法的規制ができないのか、はっきりと分かる良記事でした。日本の産業界=豊田商事であり、それらが日本の国政を牛耳っているゆえに規制できないということですね…。国政がPCデポのようなリアル暗黒メガコーポに牛耳られて高齢者や認知症に対する悪質な契約が跳梁跋扈し(高齢者に対する悪質な契約の消費者相談が年25万件、年間6万件増加)、誰もそれを止めることのできない最低最悪な状況にある日本という国の現状、本当に絶望的な有様で心底暗澹となります…。

こうなると高齢者や認知症の人が外出先で契約を結ばないようにそういった人々を家や施設内に閉じ込めないと、悪質な契約で本人や家族が莫大な損を負うリスクを常に負うという最悪な状況になっていて(悪質な契約であっても契約を解除することは法的に困難)、それらの状況に対する法的規制がリアル暗黒メガコーポ(産業界)の反対で規制できないとか本当におかしい。まさに「美しい国」ですね(反語)。

悪質商法のすごい手口―ここまで巧妙ならみんなだまされる!知っておきたい被害の実態と対処法悪質商法のすごい手口―ここまで巧妙ならみんなだまされる!知っておきたい被害の実態と対処法
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2016年09月30日 01:03

テレビ大阪、長谷川豊氏の降板発表…透析患者中傷に「報道番組キャスターとして不適切」
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6216050

医療費を公的補助するのは無駄とのたまい病人は差別し殺せとのたまう悪質な放言で知られ、公的医療保険制度の破壊を目論んでいた元フジテレビアナウンサーでテレビコメンテーターの長谷川豊氏がやっとテレビから下ろされたんですね…。降ろされたことは当然であり、寧ろテレビ大阪の対応が遅すぎました。

この長谷川豊氏の主張はフジテレビアナウンサー時代の昔から極度の弱肉強食のリバタリアン的主張(反公共・反福祉主張)で、特に公的医療保険制度を目の仇にしており、国家機能は超最小限の夜警国家のみにして、後は全て弱肉強食にしろ、福祉などの公共支出はするな、それこそが富国への道とのたまっているんですが、これはもう完全に誤っている、それこそやまゆり園の犯人と同じレベルの常軌を逸した思想です。スウィフトの皮肉な風刺小論「アイルランドにおける貧民の子女が、その両親ならびに国家にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案」を、皮肉ではなく本気でこの長谷川豊氏は言っているんですね。本当に完全に常軌を逸した人物であり、こういった人物がテレビなどのマスメディアを通した影響力を保持しているのは非常に危険な事態でした…。

長谷川豊氏は公共の福祉を国家の敵として憎悪していますが、なぜ公共の福祉が存在するかと言うと、それは長谷川氏ののたまう「無駄な慈善」ではなく、国家(基盤社会)を豊かにしてゆく形で維持・成長させてゆく為に公共の福祉は必須だから福祉は存在し拡充してきたという要因が大きいんですね。国家は別に慈善活動として公共の福祉をやっているのではなく、国家の維持・成長の為には公共の福祉の拡充が必須ゆえに予算を投入しているというのが近現代の政治思想・国家観の基本です。夜警国家論は20世紀の時点でほとんど否定されています。夜警国家的な最小国家は人々が貧窮に苦しみ社会が衰退する上に、近現代の国家間国際貿易システム及び外交システムにも対応できないため、何処の国も上手く行かなかった。現代で言えば北朝鮮とか軍事に特化した夜警国家ですけど経済は全く上手く働いてない訳です。公共の福祉を拡充する民主的国家と長谷川豊氏が理想とする夜警国家的な独裁的国家では、国民全体に対する飢餓の発生や死亡率は後者の国家の方が高い指標を示すことを歴史的な統計が証明しています(アマルティア・セン「貧困と飢餓」等に詳細があります)。

公共の福祉のレベルが低い共同体は、共同体の成員が貧窮・病苦・自殺・犯罪などによって生活が困難になることで共同体の維持が出来なくなる、もしくは共同体全体の豊かさの平均的なレベルが下がっていく、逆に公共の福祉を拡充することで、共同体の平均的豊かさを上昇させて、国家が繁栄していくという国際的な近現代の歴史の事実がある訳です。国家が維持・成長していくためのその最大の戦いは、一言で言えば「貧窮との戦い」です。

人間はたとえ、あなたは外科の大手術を受けなくてはなりませんとか、あなたは命に関わる重大な病気にかかっていますとか、あなたは今後一生のあいだ手足が不自由になったり目が見えなくなるでしょうと宣告されても、それに耐えることができる。そうしたことは恐ろしいことだが、多くの人々はそれによって生きる気力を完全に失うことはないのである。ほとんどの人は絞首刑に処される時さえ、十分な冷静さを保っている。ところが、どれほど強靭な人であっても、貧窮に陥ると弱気になる。そして一般的に善良な人々ほど、貧苦によって生への気力を挫かれる。自殺や病死は貧窮が引き起こす最もありふれた結果であり、肉体的な苦痛から逃れるために自殺することは稀である。
(サミュエル・バトラー「生きとし生けるものの道」)

個々人の貧窮というのは、人間の最大の苦しみにして死因であり、国家(基盤社会)は、如何にして貧窮と戦って共同体の人々を豊かにしていくかというところから、公共の福祉を拡充してきたのが近現代の人類全体の歴史な訳です(余談ですがアマルティア・センの著書とかこの辺が分かりやすい名著が多いです)。その歴史を逆転させて大勢の人々が苦しむ中世暗黒時代に世の中を戻そうとする長谷川豊氏やその勢力(公共の福祉を否定する弱肉強食リバタリアン派)が権力を持つことは絶対にあってはいけないと思いますね。

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2016年09月27日 11:39

トランプ対ヒラリーの第一回テレビ討論会をNHKBSで視聴。開始からすぐ司会を無視して二人で討論がヒートアップして最高に面白かった!!やっぱり民主主義国家ならこういう舌戦をやって欲しいですね。安倍首相と蓮舫代表もこういう討論したら面白いのに…。

討論会では、ヒラリーはまあ面白みのない米民主党主流の主張なんですが、トランプはやっぱりいつもの過激なトランプ節で「中国の脅威!!中国の脅威!!為替操作国中国を叩き潰す!!」「ヒラリーが政治家をやっている三十年間の間にアメリカは滅茶苦茶にされた!既にダメなのに何ができるというのか!!」「メール問題!!メール問題!」「法と秩序!!法と秩序!!治安回復の為に治安の悪化した区域では徹底的な身体検査を実施する!!」「NATOに安全保障の資金を負担させる!!同盟国に米軍の軍事資金を負担させて世界の安全を回復する!!」みたいな感じでもう滅茶苦茶にガンガン攻めてて面白い!!いやあ…もしトランプが大統領になったら絶対に日本も安全保障費の負担増(思いやり予算の倍増と駐留米軍の権限の増大)を求められるでしょうし、大統領選を座視するどころじゃありませんね…。まあ日本の政治はホイホイ負担増に応じてその分社会保障などを削ると思います…。

ちなみに安全保障問題の討論のときトランプは思いきり日本を非難してました…。

トランプ「我々は日本を防衛しています。それなのに日本は何も代償を払っていません。これはとんでもない不公平です。もし日本が代償を払うことを拒むなら、我々は日本をこれ以上防衛できないでしょう。日本に巨大な(安全保障の)支払いをさせます」
「我々は(日米安保に基づく日本の防衛によって)巨額の資金を失っています。我々は世界の警官をこれ以上続けるわけには行きません」

ってはっきり言ってました。トランプ大統領になったら間違いなく思いやり予算は倍増になるでしょうね…。それこそ思いやり予算いきなり三倍とか五倍とか十倍になってもおかしくない。そして唯々諾々と日本政府と外務省はそれを飲むでしょう。日本の政治はアメリカの政治に従うことしかできない植民地なので…。

あとヒラリーはロシアのことは「米国をサイバー攻撃する脅威!」として非難するのに、中国に関しては一切何も言わないのが、中国と何か利害関係があるのかなと思ってしまいますね…。今サイバー攻撃などの攻撃的国際諜報を行っている国の筆頭は中国だと思うんですが…。トランプも「脅威はロシアではなく中国ではないのか!」って反論していましたね…。

トランプは基本的に、ヒラリーが政治中枢にいた頃の失策を攻めるんですが、それに対して先にヒラリーが「クレイジー!」「もっとクレイジーなことをどんどん言って評判を下げてください」みたいなことを言って、冷静に反論するのではなく、単なる悪口として「クレイジー」とか言っちゃってるのは印象悪いですね。トランプの攻め手は一応政策論争の一環な訳ですよ(ヒラリーの政治家としてのこれまでの行動を問うている)。それに対して単なる悪口としての「クレイジー」しか反論できないのはダメだなあと思いましたね。

個人的には今回の第一回討論会はトランプの勝利って感じですね。あと、相手が喋ってるときトランプは「こいつ何言ってるの…」って感じの顔でヒラリーの話を聞いていたんですが、ヒラリーは序盤に「完全無視」って感じでして(下向いてメモしたり無視したりしていることが結構あった)、これもヒラリーの方が話を聞いてない感じで印象が悪かったですね…(中盤からは話を聞いてる感じになりました)。これはもしかしたらもしかするとトランプ大統領くるかもですね。印象に残ったのはトランプの次の言葉。

「私は大統領になったら絶対にTPPを廃案にする!ヒラリーの反対はただのポーズでありヒラリーが大統領になったら、彼女は確実にTPP締結のサインするでしょう!!」

これに対してヒラリーがもごもごしてたので、ああ、ヒラリーになったらTPP締結するだろうなと感じましたね…。私はTPPには絶対反対なので(TPPで日本の医療保険制度が崩壊する可能性を恐れています)、TPPを廃案にしてくれるという一点においてはトランプの方に理があると思いますね。ただトランプが大統領になったら米軍への思いやり予算がそれこそ数倍に倍増されて日本人の生活が全体的に苦しくなるでしょうし、どちらになっても悪夢ですね…。安倍政権はトランプがどんな無茶苦茶な要求を出してもそれを受け入れるでしょう…。

後、エンターテイナーとしては、過激なことを熱意を持って早口で喋り捲るトランプの方が圧倒的に上ですね。深く考えずに単に面白い人に投票するみたいな層は間違いなくみんなトランプに投票するだろうな…。これぞまさしく民主主義…。

少なくともエスタブリッシュメントの代表にしてエスタブリッシュメントの為の政治をするであろうヒラリー(何も変わらず格差は拡大し続ける)よりは、エスタブリッシュメントを破壊してくれそうな(ほんとに破壊するかは疑問だがそういう期待を抱かせる)トランプに期待するというのは、何も持たない貧しい層の選択としては分かりますね…。私もお金なくて困っている一人なので…。お金がないというのは何もできないということで、ゆえにこのままの状況よりは少しでも変革の可能性がある方を選ぶでしょう…。

民主主義とは、貧しき多数の人々による変革を求める政治である。
(プラトン「法律(対話編)」)

ブルース・スプリングスティーン、ドナルド・トランプを「民主主義にとっての悲劇」と語る
http://nme-jp.com/news/27014/
『ローリング・ストーン』誌に、政界に彗星のごとく現れたドナルド・トランプについてどのように考えているかを尋ねられると、ブルース・スプリングスティーンは次のように述べている。
「ああ、御存知の通り、この国はバカに包囲されているんだ。簡単に言ってしまうとね。すべてが悲劇的だよ。誇張して言っているんじゃなくて、これは自分たちの民主主義にとっての悲劇なんだよ」

ブルース・スプリングスティーンはさらに次のように続けている。
「彼が政界の主流になりつつあるという考えは本当に恐ろしいものだよ。白人至上主義とかオルタナ右翼運動とかね」

「僕はこう思ってるんだ。産業の空洞化や35〜40年にわたってアメリカで行われてきたグローバル化の実質費用や、それがどれくらい人々の生活に大きな影響を及ぼし、人々を深く傷つけているかに目を向けてこなかったことに対する代償として、解決策があると言ってくれる誰かを人々が求める状況が生まれたんだってね」

とブルース・スプリングスティーンは続けている。
「そして、トランプはとても複雑な問題に対するシンプルな答えを提示しているんだ。それは人々を惑わす虚偽の答えだ。それに、そういう発言はとても魅力的なものになり得るんだ」

産業の空洞化や35〜40年にわたってアメリカで行われてきたグローバル化の実質費用や、それがどれくらい人々の生活に大きな影響を及ぼし、人々を深く傷つけているか

日本においてもまさにこの通りなのに、TPPを推進するとか正気の沙汰ではないことだけは確かですね…。

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2016年07月14日 10:53

バーニー・サンダースがニューヨーク・タイムズに寄稿した文章が素晴らしいのでご紹介致しますね。

表題通り。全文はリンク先の朝日新聞デジタルで読めます。

グローバル経済 大多数に役立たぬ、今こそ変革 バーニー・サンダース
http://www.asahi.com/articles/DA3S12458852.html
実に驚いた。英国の労働者たちが、自分たちや子どもたちを失望させているとして、欧州連合(EU)とグローバル経済に背を向けた。こうした労働者たちの多くは、英国内の大金持ちが裕福になるなか、自分たちの生活水準が下がるのを目の当たりにしてきた。

 苦しんでいるのは、英国人だけではない。世界の経済エリートが築き、維持してきたグローバル化の進む経済は、世界中で人々を失望させている。信じられないことに、この地球上で最も裕福な62人が、世界の人口の半分の下層の人たちである約36億人の合計と同じくらいの富を所有している。上位1%の所有する富は、ほかの99%の人たちの合計よりも多い。大金持ちは想像を絶するぜいたくを味わっているが、何十億にものぼる人々は、悲惨な貧困や失業、そして不十分な医療、教育、住宅、飲み水に耐えている。(中略)

 たぶん近代史で初めて、いまの若者世代は親世代よりも低い水準の生活を送るだろう。恐ろしいことに、教育水準の低い何百万もの米国人が、絶望や麻薬やアルコールに屈して前の世代より寿命が短くなるだろう。一方で、米国ではいまや上位0・1%の人々が、下位90%の人々の合計にほぼ相当する富を所有している。所得が増えたうちの58%は、上位1%の人々の懐に入る。(中略)

 はっきりさせておこう。グローバル経済は、米国でも世界でも、大多数の人々の役に立っていない。経済エリートが得をするようにと、彼らが生み出した経済モデルだ。私たち米国人は、真の変革を起こさなければならない。だが、民衆扇動や、偏狭な考えや、移民排斥感情による変革は必要ない。これらは、EU離脱キャンペーンでの巧みな言葉に使われ、(共和党の大統領候補指名が確実な)ドナルド・トランプ氏の訴えの中核をなすものでもある。

 私たち米国人は、世界中の人々をもっと緊密に結びつけ、極端なナショナリズムを抑え、戦争が起きる可能性を減らす国際協力を、力強く支援する大統領を求めている。そして、民主的な権利を尊重するとともに、ウォール街や製薬会社といった強力な利益団体だけでなく、労働者の利益も保護する経済を求めて闘う大統領だ。

 そして、いまの「自由貿易」政策を根本から否定し、公正な貿易へと移行すべきだ。米国人が、時給何セントかにしかならない低賃金国の労働者と競争させられるのは間違いだ。環太平洋経済連携協定(TPP)を打ち負かさなければならない。持続可能な経済モデルを構築する貧しい国々に、手を貸す必要がある。

 大企業や富裕層が何兆ドルもの納税を回避する国際スキャンダルには、終止符を打つ。また、地球規模の気候変動と闘い、化石燃料から世界のエネルギーシステムを移行させることで、世界中に何千万人分もの雇用をつくり出す必要もある。

 世界全体の軍事費を減らし、戦争の要因になる貧困や憎しみ、絶望や無学といったものに立ち向かうため、国際的な取り組みを進めるべきだ。英国で離脱派に過半数を与えたのと同じ力が、米国でトランプ氏を利することにもなるという考えは、民主党に対する警鐘だ。英国の離脱派と同じく、当然のことながら米国の何百万もの有権者も、中間層を破壊しつつある経済的な力に怒りといら立ちを覚えている。

 この極めて重要な瞬間に、民主党と新しい民主党の大統領は、苦労にあえいでいる人や取り残されてきた人々を支持すると、明確に打ち出すべきだ。ほんのひと握りの億万長者だけでなく、すべての人々の役に立つような国家経済と世界経済をつくり出さなければならない。

本当にこの通りですよね…。「はっきりさせておこう。グローバル経済は、米国でも世界でも、大多数の人々の役に立っていない。経済エリートが得をするようにと、彼らが生み出した経済モデルだ。」このことを決して忘れてはならないと思います…。これは政治的な右左は関係ないんですね。右にも左にも両翼に経済エリートのグローバリストが存在するので、対立軸は、グローバリスト対反グローバリストでなければならないです。そのことも忘れてはいけないと思います。

筆者は時々怖い疑惑にかられるのである。右(新自由主義者)と左(理想主義者)はひそかに手をとりあっているのではないかという疑いである。表向き対立しているのは見せ掛けで、いつもお互いの利益になるのは偶然のようにみせかけて偶然ではないのではないか。

金権主義の右はアナーキーな産業発展を望む。理想主義の左はアナーキーを詩的に褒め称える。右は女性を安価な労働力として求める。左は女性の労働を「自立」と呼んで褒め称える。右は飼い慣らされた臆病で従順な国民を求める。国民は如何なる暴政にも決して刃向かわない、武器を取らない。左はトルストイなどを引き合いに出して、何事にも武器を取ってはいけない、全て非暴力ではなければならないという。

とりわけ右は、国民を下等で過酷なシステムで締め上げて、男女の別なく働かせる。これは自由な家族とは相容れない。家族は崩壊する。そこで左は世界に大きく手を広げて、我々は晴れてまもなく家族から脱皮する、なんてニコニコしながら予言する。

右と左の連携が意識的なのか無意識的なのかは分からないが、少なくとも彼らの間に挟まれた一般の人々が根無し草にされているのは確かである。
(チェスタトン「求む、有能でないひと」)

今の世の中で信用できる政治家は、バーニーのような反グローバリストの政治家だけですね。グローバリストの政治家は右左関係なく、貧乏人や中間層にとっての災厄と考えて100%間違いありません。

求む、有能でないひと求む、有能でないひと
著者:G.K. チェスタトン
国書刊行会(2004-02)
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2015年04月15日 00:45

僕は不眠症で、睡眠薬を飲まないと睡眠の時間がずれてゆくタイプの不眠症なんですね。それで今までは睡眠薬ハルシオンを飲んでいたんですが、最近、新しくロゼレムって睡眠薬に変わったんですが…。

効かない…。飲んでも眠くならない…。この薬、僕にはマジで効かないですね…。あまりにも眠くならいので起き出して今この文章を書いています。

うーん…。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬に比べると効果が弱いのかな…。急に眠くなるハルシオンと違ってなんか睡眠薬を飲んでる感じがしない…。ネットで調べるとベンゾジアピン系睡眠薬よりも副作用が少なく体に優しいのがロゼレム(メラトニン受容作動薬)の利点のようですが、副作用がなくても眠れないと辛い…。病院の定期通院日はしばらく先で、緊急に使えるような医療費も全くないので当分は眠れないまま我慢するしか…。

今まで睡眠薬の力に頼っていたんで気づかなかったですが、眠れないと体が凄くきついですね…。ちなみににゃんこはぐっすり眠っています…。

ロゼレムの作用機序と副作用
http://for-guests.com/rozerem-1438
(ロゼレムは)ベンゾジアゼピン、GABA、ドパミン受容体などに作用せず、メラトニン受容体のみに作用するため、ベンゾジアゼピン系に特徴的な副作用である筋弛緩作用や中止後の反跳性不眠等がみられません。ふらつき、めまい、持ち越し等も少ないです。

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2014年05月02日 01:55

なかなか更新できず申し訳ありません。体調を崩しており、生活も苦しく精神的にも落ち込んでいて、なかなかアクティブな活動はできない状態で、ブログも更新できず、本当に申し訳ありません。少しでも何か書ければということで、先日読んだコミック田中相「千年万年りんごの子」が中々良かったのでご紹介させて頂きます。

本作は、どうしようもない大きな流れとしての運命に抗おうとし、そして敗れる人々をしっとりとした丁寧な筆致で描いていて、僕は読んでいて好感が持てました。人身御供の秘祭を行っている閉鎖的な村にて起こる幻想的な超常現象を大きなテーマにしながら、エンターテイメント的なハッピーエンドよりも、遠野物語的な暗い寓話として仕立てている。それが、地に足のついた独特のリアリズムを感じさせて良く出来ていると思いましたね。

本作を読み終わって、「ああ、これは映画のミスティック・リバーを日本土着的なものにしたような感じだな」と思いました。読了感(視聴後の感覚)が似ている感じですね…。生きるということは大きな運命の流れに流されていくことであり、個々人がそれに抗うことには限界があるということ、人間という「運命に抗えぬ存在」として生まれてきたことの悲しさをしっかりと描いています。漫画で言うと水木しげるさんの戦史漫画(コミック昭和史など)に感じが似ているように思いますね。映画「ミスティック・リバー」については荒木飛呂彦さんが見事な文を書いているので引用させて頂きます。

この映画では、普通の映画だったら助かりそうな人も助かりません。また残された者の悲痛さ。運命に弄ばれる人生の残酷さ。そして暴力や死と、とにかく暗い要素ばかりです。

それぞれの人間がドブの中のような暗い暗い闇を抱えながら、生活を営んでいる――。そうした暗黒面を奇をてらわず、きっちりと描くのが「ミスティック・リバー」のすごいところです。目を背けず、とにかく分かりやすくひとつひとつのシーンを、確実に撮っていく感じです。これは他のイーストウッド映画にも通じる特徴であって、派手なことをせず、平凡なものを一つ一つ確実に演出していく。するとそれらが積み重なった結果、異常なもの、非凡なものへと昇華するんです。(中略)

「ミスティック・リバー」は、(運命という大きな流れの中にしか存在できぬ人間存在として)生まれてきたことの悲しみが一つの軸になっています。だから、観終わった後、運命って悲しいよな、という結論に導かれるので、息苦しさの中にも(全ての人間の諦念としての)カタルシスがある。それゆえ、こんな暗い映画なのに、何度も見られるのかもしれません。
(荒木飛呂彦「荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟」)

まさにこんな感じの漫画でしたね…。水木しげるさんの戦記物などの漫画においても、どんなに個々人が頑張って行動しても、大きな運命の流れの中においては、巨大な水流に流される小石のようなもので、全ては流され行く、人間の根源的な悲しさを諦念と共に描いている。そういった、人間の根源的宿命としての運命と諦念を、本作「千年万年りんごの子」も継いでいて、僕はすごく良く出来ていると感じましたね。暗い漫画が好きな方にはぜひお勧めの作品ですね。

ミスティック・リバー [Blu-ray]
千年万年りんごの子(1) (KCx ITAN)
千年万年りんごの子(2) (KCx ITAN)
千年万年りんごの子(3)<完> (KCx ITAN)
誰がそれを -田中相短篇集- (KCx ITAN)
地上はポケットの中の庭(01) (KCx ITAN)
荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟 (集英社新書)
遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)
コミック昭和史 (第1巻) 関東大震災~満州事変
コミック昭和史 (第2巻) 満州事変~日中全面戦争
コミック昭和史(3)日中全面戦争~太平洋戦争開始 (講談社文庫)
コミック昭和史(4)太平洋戦争前半 (講談社文庫)
コミック昭和史(5)太平洋戦争後半 (講談社文庫)
コミック昭和史(6)終戦から朝鮮戦争 (講談社文庫)
コミック昭和史(7)講和から復興 (講談社文庫)
コミック昭和史(8)高度成長以降 (講談社文庫)

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2014年03月27日 13:00

独居老人スタイル (単行本)

高橋源一郎さんが本日の朝日新聞にて「黒子のバスケ」脅迫事件について語っていますね。これまでのネットで語られてきた「黒子のバスケ」脅迫事件とは一線を画している論考、実に流石だなと感じる視点、皆様にも抜粋引用してご紹介致しますね。

高橋源一郎 ひとりで生きる 新しい幸福の形はあるか
(朝日新聞 2014年3月27日 論壇時評)

わたしの父は、晩年、祖母や姉妹がすべて亡くなっていた実家に戻り、ひとりで暮らしていた。父は2度癌になり、最後にまた再発して入院した。それから少しして、病院の近くの、小さな中華料理屋に、わたしは弟と共に呼び出された。死後の始末に関する依頼だった。話し終わると、父は「肩の荷が下りた。もう思い残すことはなにもない」と言った。

それから2カ月後、父は亡くなった。突然のことで、その瞬間に立ち会った者はいなかった。

 通夜の席で、遺品を整理した弟から、1冊の大学ノートを手渡された。ノートは亡くなる2日前まで書かれていた。最後のページに、父が生涯で付き合ったと思われる十数人の女性の名前が列挙されていた。そこには、父が青春を過ごした中国・旧満州の女性の名もあった。それは「ひとり」になった故に記すことができた秘めやかな思い出かもしれなかった。(中略)

雑誌「週刊東洋経済」は、4週にわたり、大規模な特集「高齢ニッポンを考える」を組んだ。(中略)わたしたちが、長い間「ふつう」と思ってきた「夫婦子どもふたり」ではなく、もうすでに「単身世帯」こそ最多(標準世帯)である、という指摘。さらに、その傾向は急速に進み、2030年には「中高年男性の4人に1人が一人暮らし」となるだろう、という指摘。(中略)加速度がつくように、この国は、「超高齢化社会」へと突き進んでいて、政府の施策は、その後を追うのが精いっぱいであるように見える。(中略)

都築響一の「独居老人スタイル」に描かれている、「ひとりで生きる」老人たちの生活は、読む者を驚かす。半世紀近くも、ビル掃除の仕事で生活費を得て、誰にも見せず、誰からの影響も受けず、自分だけの絵を描き続けてきた人。閉館した映画館を再開の見込みもないままひとり、仕事のかたわらメンテナンスし続け、退職してからは、気の向いた時だけ上映会を行うようになった人。経済的には恵まれているといえない老人たちの暮らしは、不思議な幸福感に満ちている。都築は、こう書いている。

「そういうおじいさんやおばあさんは、だれもたいして裕福ではなかったけれど、小さな部屋で、若いときからずーっと好きだったものに埋もれて(それが本だろうがレコードだろうが、猫だろうがエロビデオだろうが)、仕事のストレスもなく、煩わしい人間関係もなく、もちろん将来への不安もなく――ようするに毎日をものすごく楽しそうに暮らしてる、年齢だけちょっと多めの元気な若者なのだった」

都築の「年齢だけちょっと多めの元気な若者」が、最後に手に入れたのは「自由」だったのかもしれない。では、ほんものの「若者」たちは、なにを手にすることができるのだろうか。

マンガ「黒子のバスケ」関連の商品を撤去しなければ客に危害を加える、といった一連の脅迫事件の被告の意見陳述をネット上で全文読むことができる。

家族の愛情も友人も仕事もなく、「生まれたときから罰を受けている」と感じてきた36歳の被告は、「自分が手に入れたくて手に入れられなかったもの」の象徴として「黒子のバスケ」を標的にした。けれども、彼は同時に、その怒りに正当性がないこともよく理解していて、自分に厳罰を与えるよう主張し、「自分のように人間関係も社会的地位もなく、失うものが何もないから罪を犯すことに心理的抵抗のない「無敵の人」」が増えるだろう、と不気味に予言している。

「孤独」は、人をより「自由」にすることができる。けれども、同時に、それは、人を底知れぬ不安に突き落とすこともできる。都築の描く老人と、「黒子のバスケ」被告の間の差異は、どこから生まれたのだろう。

やがてやって来る社会で、わたしたちはみんな「ひとり」になっていくのかもしれない。そこで、わたしたちは、どんな新しい「幸福」の形を見つけることになるのか、いまのわたしには、わからないのである。

ここで高橋源一郎さんが述べていることは、現代日本が達成した「しがらみのなさ・繋がりの無さ」は、いわば束縛のない自由でもあり、その自由は孤独でもあり、そしてそれは表裏一体のプラスの面とマイナスの面を持つということですね…。

ネットにおける「黒子のバスケ」脅迫事件の論評は大体において社会的孤独のマイナスの面しか見ていないのですが(もっとしょうもないタイプの論考の場合は、個人の問題に収斂させて『特殊なタイプの人の犯罪』として切り捨てている)、高橋源一郎さんの論考は、孤独を一概にマイナスとして捉えていないところが流石だと思いましたね。

「黒子のバスケ」脅迫事件は、その意見陳述を見るに、明らかに「社会問題」としての提起が為されていて、ただ、その提起を犯人の言葉通りに素直に受け取ると、まさに犯人の術策に嵌るという感じなんですね(いわゆる素直で善人な人ほど、意見陳述を読むと犯人サイドに立った「社会が悪い」的論旨になりやすい)。

でも、社会的孤独というのは、前近代の「村社会」の束縛である「しがらみ」から人間を解放したものでもあって、ずっと人間と言うのは自由を求めてきて、「社会的孤独」はそれがある程度達成されたという点でもあるんですね。

「そういうおじいさんやおばあさんは、だれもたいして裕福ではなかったけれど、小さな部屋で、若いときからずーっと好きだったものに埋もれて(それが本だろうがレコードだろうが、猫だろうがエロビデオだろうが)、仕事のストレスもなく、煩わしい人間関係もなく、もちろん将来への不安もなく――ようするに毎日をものすごく楽しそうに暮らしてる、年齢だけちょっと多めの元気な若者なのだった」

 都築の「年齢だけちょっと多めの元気な若者」が、最後に手に入れたのは「自由」だったのかもしれない。

社会的孤独が自由であるという点を忘れて、共同体主義的なものの繋がりの良さや、自由であるがゆえの孤独のマイナス面ばかり語るのは、それは違うのではないかと感じるところはありますね。

社会的孤独が問題になるのは、それが貧困に結びつくときであって、その問題を、共同体主義(村的なしがらみ)で解決しようとするのではなく、国家の社会福祉において如何にセーフティネットを張るかということが重要なんだと思います。「衣食住足りて礼節を知る」は大方の場合において真理と言えると思います。

あとは最後に、恋愛の問題は、社会的孤独の中で自由に生きると決めた時点で、自分に資産や家柄などの特権的特色がないのならば、ある程度は恋愛を最初から諦めるということも大切ではないかなと。恋愛の問題は、衣食住といった生活の基本に比べれば、最初から生活に余裕のある人間のある種の余技であって、それに重点を置くこともなかろうと思うところもあります。恋愛と言うのは結局のところ、生活とは関係のない、「趣味」領域にあるものですから、貧困問題のように、福祉でなんとかなるものではないですし…。

作家の本田透氏が延々と様々な著作で述べているように、「恋愛至上主義」的なものは、消費を煽るための商業主義による宣伝に過ぎないのであって、それに踊らされて劣等感を持ったりはしないほうが、精神的に良いということを、きちんと社会的に理解が得られていくようになっていくと、多くの人々が恋愛に過度な期待を抱いたりせずに日々をのんびりと心豊かに過ごせるようになるのではないかなと。永井荷風とかまさにこの実践者で、先の「独居老人スタイル」をまさに先取りした人生を送りましたね。永井荷風は孤独死ですが、彼は孤独死することに劣等感なんて全く抱かずに亡くなったであろうと思いますね…。

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2013年12月25日 06:28

18日と本日ギフト券を贈って頂き本当にありがとうございます。心から感謝致します。とても生活が助かります…。にゃんこたん共々お礼を申し上げます…。本当にありがとうございます。

何か書ければいいのですが、日がな寝床に臥せっている状態が続いており、ほとんど書くこともできなくて申し訳ないです…。近日は國分功一郎さんの著書「暇と退屈の倫理学」を数日かけて読了しました。非常に楽天的で人間性への信頼を持った作者さん(人間の善性を信じている作者さん)が真面目に考えて作った哲学書という感じで好感が持てる本でした。

本書は、人間というものを信じているんですね。本書に書かれていることを要約すると、余暇(暇や退屈)というのは、豊かな人(有閑階級)が味わえる特権であるが、そういった余暇から、物事(時間の過ごし方)を本来的に楽しむという余裕のある時間を創り出すことができる。物事を本来的に楽しむということは、思考を外部に向けるということ、他者にコミットメント(関与)するということに繋がる。そういった繋がりが、今、余暇を持たない、貧しく苦しんでいる人々(貧困階級)と豊かな人々(有閑階級)を繋げ、貧しき人々をも、豊かにしようとする倫理的な姿勢のありようを豊かな人々にもたらすであろう。というようになっているんですね。全体的に、人間の善性を前提としていて、作者さんが趣味人かつ人間への信頼を持っている良い人なんだろうなあと感じましたね…。本書はハイデッガーの思想を強く批判しており、決断主義こそが人間を奴隷にしてしまうというのは、まさにその通りだと僕も感じました。少し引用させて頂きますね。

人はパンのみによって生きるにあらずという。いや、パンも味わおうではないか。そして同時に、パンだけではなく、バラも求めよう。人の生活はバラ(その人自身の喜びと楽しみ)で飾られていなければならない。人の生活がバラで飾られるようになれば、人間関係も産業関係も少しずつ変化していくであろう。非正規雇用を構造的に要請するポスト・フォーディズム的生産体制も見直しを余儀なくされるであろう。それは大きな社会変革に繋がる。〈暇と退屈の倫理学〉は革命を目指してはいない。だが、社会総体の変革を目指している。(中略)

(有閑階級の)人間はおおむね退屈の第二段階を生きている。人間らしい生活とは、そのなかで退屈を時折感じつつも、物を享受し、楽しんでいる、そういった生活である。ハイデッガーが(決断主義の立場から批判的に)述べていた通り、そこには「安定と均整」があるのだった。つまり(生活に)余裕がある。

人は(ハイデッガーが求めるように)決断して(その決断の)奴隷状態に陥るなら、思考を強制するもの(自分の価値観を揺らがす、思考へと開くもの)を受け取れない。しかし、退屈を時折感じつつも、物を享受する生活の中では、そういったものを受け取る余裕を持つ。

これは次のことを意味する。楽しむこと(日々の生活の中に楽しみを持つことができる豊かさを持つこと)は思考することに繋がるということである。なぜなら楽しむことも思考することも、どちらも受け取ることであるからだ。人は楽しみを知っている時、思考に対して開かれている。

しかも、楽しむためには訓練が必要なのだった。その訓練は楽しむ能力を拡張する。これは、思考を強制するものを受け取る訓練となる。人は楽しみ、楽しむことを学びながら、ものを考えることができるようになっていくのだ。

これは少しも難しいことではない。

食べることが大好きでそれを楽しんでいる人間は、次第に食べ物について思考するようになっていく。美味しいものが何でできていて、どうすれば美味しくできるようになるのかを考えるようになる。映画が好きでいつも映画を見ている人間は、次第に映画について思考するようになる。これはいったい誰が作った映画なのか、なぜこんなに素晴らしいのかを考えるようになる。他にいくらでも例が挙げられよう。(中略)

退屈と気晴らしが入り交じった生、退屈さもそれなりにあるが、楽しさもそれなりにある生、それが人間らしい生(豊かな人の生)であった。だが、世界にはそうした人間らしい生を生きることを許されていない人々が沢山いる。戦争、飢饉、貧困、災害――私たちの生きる世界は、人間らしい生を許さない出来事に満ち溢れている。にもかかわらず、私たちはそれを思考しないようにして生きている。ドゥルーズはこう言っている。「私たちは、自分の時代と恥ずべき妥協をし続けている。この恥辱の感情は、哲学の最も強力な動機の一つである」。

退屈とどう向き合って生きていくかという問いはあくまでも自分に関わる問いである。しかし、退屈と向き合う生を生きていけるようになった人間は、おそらく、自分ではなく、他人に関わる事柄を思考することができるようになる。それは〈暇と退屈の倫理学〉の次なる課題を呼び起こすだろう。すなわち、どうすれば皆が暇になれるか、皆に暇を許す社会が訪れるかという問いだ。

マルクスは「自由の王国」の根本的条件は労働日の短縮であると言っていた。誰もが暇のある生活を享受する「王国」、暇の「王国」こそが「自由の王国」である。誰もがこの「王国」の根本的条件にあずかることのできる社会が作られねばならない。そして、物を受け取り、楽しむことが贅沢であるのなら、暇の「王国」を作るための第一歩は、贅沢の中からこそ生まれるのだ。
(國分功一郎「暇と退屈の倫理学」)

本書は全体的に人間性、ヒューマン・ネイチャー(人間の根本的善性)というものを信じているのですね。豊かな生活(楽しみのある生活)を過ごしている人は、他者に対して優しくなれる、貧しき人(楽しみのある生活を送る余裕を持たない人)が少しでも豊かになれるように繋がりを持つことができる、その繋がりによって、少しずつ、世界の人々全体が豊かになり、世界は豊かさによって、より良くなるだろうと考えられています。

凄く楽天的な考え方だと思いますが、僕は本当に心からそうなったら良いなあと思いますね…。僕自身も、ギフト券を贈って頂いて助けて頂いて、この國分功一郎さんの考え方に実感として共鳴を感じるところがありました。世界が少しずつでも、良い豊かさという方向に進むことを心から願っています…。

そして本日はクリスマス、皆さんに良いクリスマスがありますように心から祈っております。

暇と退屈の倫理学
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