吾妻ひでおさんのけいおん感想が話題になっていますね。僕は昔から吾妻ひでおさんの漫画のファン(夜の魚とか最高に傑作です。不条理で空虚な漫画の最高峰と思います)なので、ファンの贔屓目はあると思いますが、それを差し引いて考えても、特に問題のある発言と思いませんが…。僕はけいおんアニメは好きな作品ですが、見ていて非常に空虚な作品だなということは感じます。それに、空虚な作品ということで言えば、吾妻ひでおさんが日本漫画における空虚な作品、空虚さが不気味を引き立てる作品の最大の先駆者であることは間違いないですし、空虚ということは批判や不満ではないんじゃないかと思いますが…。吾妻ひでおさんの漫画作品は、空虚で不気味で無意味な魅力を持つキャラクターの宝庫です。吾妻さんは漫画家として、いわゆる「キャラ萌え」しか持たない空虚系のヒロイン(や人外のなんだかよくわからない意味不明なキャラクター)を描いた先駆者です。言わば「らき☆すた」や「けいおん」のヒロイン造形(影のある内面を一切持たず、ひたすらキャラクター消費のみされることに特化されている空虚なヒロインの造形)の先駆者と言えます。それと、漫画家なら、漫画映像化の時は原作漫画を活かした出来にして欲しいという感想を抱くのは当たり前ですし…。

人気漫画家『けいおん!』を批判「空虚だ。不気味。気持ち悪い」
http://news.livedoor.com/article/detail/4401587/
吾妻ひでお先生はアニメ版の『けいおん!』を観て率直な感想を漫画形式で執筆。吾妻ひでお先生にとって、かなり不満爆発の内容だったとのこと。

吾妻ひでおさんの日記漫画は、ベストセラーになった日記漫画「うつうつひでお日記」(僕の非常に好きな漫画です)あたりから、好きなものは好き、ダメなところはダメと、色んな作品の感想をとても正直に書いているところが良くて、そういった正直さが活かされたいつもの吾妻ひでおさんの感想に対して、なんで問題になっているのか、僕はちょっとよく分かりませんね…。メイドカフェ漫画のある「うつうつひでお日記DX」とか読めば分かりますが、メイドカフェが例えとして出されているところから見て、「不満爆発」なんて全然していないでしょう。気に入った作品でも気に入らなかった作品でも、どの作品でも、これぐらいの正直な批判は吾妻さん、昔からやっていますし、そういった吾妻さんの正直な感想が、面白そうな作品を見つけるために僕にとってとても役立っているので、今回の騒動は、「どうしてこんなことに…」という気持ちで一杯です。最初に吾妻ひでおさんバッシングありきでニュースサイトが報じているとしか思えません…。

僕の好きな作品に機動戦士ガンダムがありますが、ガンダムの監督の富野由悠季さんは昔から、ガンダムも含めて、アニメ作品やアニメ業界に対する辛らつな批判で知られています。そんな富野さんは「作品(富野さんが監督したガンダム)の受け取り方は視聴者に委ねられていて、視聴者はそれに対して色んな受け取り方、色んな発信を批判を含めてしていい」ということも言っている。凄くまともな考え方だと思いますね。けいおんを空虚と指摘したことで(僕はとても的確な指摘だと思いますし、作品が空虚であるということは一概に悪いことではないでしょう)、けいおんファンがわーっとバッシングするようなことでは、富野監督の言うとおり、アニメ文化はまだまだ未熟なのかなとしか思えないです…。

最後に、池田秀一さん(シャア・アズナブルの声優さん)の機動戦士ガンダムさんについてのコメントを引用します。アニメ好きの一人として、この度量をアニメファンに持っていて欲しいと思いますね…。

「機動戦士ガンダムさん」を最初に読んだ時は、「なんじゃこりゃ」って思いましたね。面白いところもあるけれども、(シャアの声優として)腹の立つ部分……例えば、(シャアが)すごく女々しかったり、適当に過しているところなんかがあるんですけど、不思議と読み続けていくうちに、だんだん慣れてくるんですよね。

なんというか、ここまで壊れたシャアだと愛すべきキャラクターになっているというか、「本当は、あの格好つけていたシャアも、実は内心でこう考えていたのかも」と思える部分も出てきますから(笑)。

ある意味、こういうシャアも”あり”なんだと思いますね。

今や、「機動戦士ガンダム」というタイトルは、最初のテレビシリーズから派生して、テレビ版とまったく内容の違う富野監督の書いた小説版や、安彦良和先生の描く「ジ・オリジン」もある。また、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」も、ある意味新たな解釈のガンダムと言えるかも知れない。

つまり、「機動戦士ガンダム」という作品は、まさに送り手や受け手の解釈によっていろんな作品があっていい状態になっていると思うんです。ある意味で”何でもあり!”という状況になっていて、大和田先生の描く「機動戦士ガンダムさん」もそこに含まれるんじゃないかと。

かつて、富野監督が最初の劇場版三部作が公開された頃に、「ガンダムは、もう一人歩きし始めて、”こういう風に見てくれ”と言えるような僕だけの作品じゃなくなった」というようなことをおっしゃっていました。つまり、受け取り方はファンの皆さんの自由ということですね。

だから、僕なりのシャアのイメージはあるけれども、それは僕のものであって、みなさんがどのように受け止めても、まさに”何でもあり!”だと思うんですよ。

キシリアと向かい合って「手の震えが止まりません」と言ったシャアは、演じている僕からすれば”駆け引き上、ウソをついていた”と思っているわけですが、大和田先生が描くように、本当に恐れおののいていたのかも知れない。そう考えるのは、まさに受け手の自由なんだと思います。

大和田先生のあふれんばかりの愛のつまった「機動戦士ガンダムさん」は、そういう意味では僕的に許せる作品になっているんです。

あ、でも、もしアニメ化するとしても、僕はやりませんけどね(笑)。誰か別の人に演じてもらいたいです(笑)。
(池田秀一。大和田秀樹「機動戦士ガンダムさん さいしょの巻」より)

参考作品(amazon)
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