2009年06月27日 21:23

扇風機が動かなくなり、部屋が酷く蒸し暑くて体調不良です。猫とぐったりしています。夏の夜向けホラーゲーム(フリーゲーム編)

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)
這いよれ! ニャル子さん 2

二週間ほど前から扇風機を回していたのですが、昨日扇風機の羽が回らなくなり、分解して直せないか挑戦してみたのですが、ダメでした。何が原因で故障したのかは不明ですが、暑くて暑くて夜も眠れず、体調不良です。僕は冷房器具を今回壊れた扇風機しか持っていないので、扇風機が壊れた今、部屋が非常に蒸し暑く、部屋に居るだけで体力を奪い取られる感じです。猫も床に寝そべってぐったりしています。

暑いので少しでも涼めないかとホラー小説(ラヴクラフト全集やニャル子さん)やホラーコミック(神の左手悪魔の右手)を読んだりニコニコ動画のミクトゥルフ動画(ボーカロイド+クトゥルフ神話の動画。たこルカことクトゥルカが有名)を見たり、ホラーのフリーゲームを片っ端から落としてプレイしまして、その中から掘り出し物が一作品ありましたね。創作サイト、17さんのフリーゲーム「The world to reverse. 」です。

クトゥルカとは (クトゥルカとは) - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%AB%E3%82%AB
クトゥルカとは、y1イlrq:lfcp@。せw:、」」cである。

あぁ、窓に!窓に!

(中略)
発祥は正式名称であろう「たこルカ」の記事を参照の事。

但し、ごくごく一部の人間は「首だけと言う異形の姿+触手」にとある邪神の事を想起し『クトゥルカ』と呼称するのだ。

「17」さん(The world to reverse. )
http://applechair.sakura.ne.jp/17/

本作「The world to reverse. 」は「hallucinate」「フランカ」というカフカの短編を彷彿とさせる奇妙な味のショートシナリオゲーム(両作品ともワンプレイ2〜3分程度)が入っており、クオリティが抜群に高く、楽しめました。両作品とも、はっきりとした明快さのない、藪の中的な灰色の世界を描いておりますが、最後までクリアすると、謎的なものが一応解き明かされる形になっています。「hallucinate」はEDコンプリート後のタイトル画面にて、主人公とヒロインの正体が明かされます。「フランカ」は、EDをクリアするごとに、登場人物達の背景が明かされます。

ただ、両作品とも、コンプリートするためにプレイするというよりは、雰囲気を楽しむタイプの作品です。特にフランカは、中世ヨーロッパ社会の一断面を上手に切り取った作品であり、ホラーとしてよい出来です。この作品において淡々と描かれる展開およびラストは陰惨なものが多く、背筋がゾクっとしました。お勧めです。

世の中でいちばん恐ろしいものは何か?

言うまでもない。真実である。これより恐ろしいものは絶対にない。

よく「わたしは真実を愛する」なんていう人がいるが、そういう人のほとんどは自分の言っていることの意味が、分かっていないのである。彼らはたいがいおそるべき自信家で、真実は自分にとって都合の良いものに違いないと、根拠もなく確信しているのだ。しかし、あられもない真実の姿にもっとも早々と打撃を受けるのはそうした人々であり、往々にしてごく軽い真実のひと打ちにてもろくも再起不能に陥ったりするのである。

もっとも、では誰もが真実を恐れはばかるのみかというと、そういう訳ではない。この世間には奇特にも背筋が凍る真実を愛好する人々がいる。ホラー愛好家もそうした中に入る。

ホラーは何故怖いか?

それは真実が含まれているからである。逆に言えば真実が一片たりとも含まれていないホラーは怖いこともなんともない。ただ滑稽で、バカバカしいのみである。よく出来たホラーほど真実の含有度が高い。
(小林泰三。「ホラーコミック傑作選HOLY」より)

(楳図かずおホラーコミックの特徴は)恐怖への真面目さ――つまり、恐怖を描く際にルールから外れないこと、これなのである。真面目な人でないと、こういう芸当はとてもできない。

では、楳図かずおのルールとは何なのか?つねに、怖がらせられる側が感じる恐怖、受身の恐怖に徹することだ。(中略)(ホラー創作において)作者はついつい感情移入して、加害者の視点から恐怖を描いてしまう。作者が妖怪や怪物の方と仲良くなってしまう。水木しげるの場合は、その際立った例といえる。

だが、楳図かずおは最後まで怪物たちと仲良くならない。チキン・ジョージやロボットの真悟でさえも、楳図は味方しない。あくまでかれらから恐怖を解き放たれる山の辺想や泉の側に立ち、害を加えられる人たちの感じる恐怖だけを、真面目に忠実に描いていく。だから、恐怖にとりつかれた者の目には、怪物はより恐ろしく、恐怖の表情はよりリアルに、映るしかないのだ。
(荒俣宏。「神の左手悪魔の右手第一巻」より)

ちなみにクトゥルフ神話の創始者である作家ラヴクラフトの優れていると言われているところは、バリバリの合理主義者で無神論者で猫大好きの彼(孤独なラヴクラフトは猫と一緒に暮らしていました)は火山活動などの地球物理学などに興味を抱いており、人類をキリスト教の概念にて特別扱いせずに「人類は地球の表面に張り付いている生命種の一つに過ぎない」として、人類を含め、生命種に対して非常に突き放した大局的・客観的視点をホラー小説において初めて視点化したのが、彼の功績であると言われています。火山噴火や地震等は人知を超えて発生するし、それらは人類の意思など全く無関係に、ただ、大規模なる事象として確率的に起こるのだ、という価値観をホラーに導入しました。いわゆる「コズミックホラー」(宇宙的ホラー)です。

恐竜絶滅は隕石によるものだと言われていますし、その点、ラヴクラフトには先見の明があったと感じますね。巨大隕石の落下は人類種の意思とも恐竜種の意思とも何のかかわりもなく、ただ確率的に、偶発的に起こるものですから。

勧善懲悪的な作品よりも、クトゥルフ神話のような、偶発的にカタストロフィが発生する、勧善懲悪を超越した作品の方が、ホラーという形態にあっていると思いますね。今度、手塚治虫さんの「MW/ムウ」の映画が公開するそうですが、これなんかは、自分の作品が常にヒューマニズム作品として扱われることに切れちゃった手塚さんが、ヒューマニズムとか勧善懲悪とか完全に無視して作った情け容赦ないクライム・ノベルなサイコホラー作品なので、映画もちゃんと原作の情け容赦なきテイストを生かして製作されているといいなあと思います。どうも日本の映画は、原作のテイストを完全無視して、むりやり「浪花節」とか「勧善懲悪」とかの形式に映画を押し込めて、その結果、映画が台無しになっていることが多いので、「MW/ムウ」の映画がその轍を踏んでいないことを祈ります。

参考作品(amazon)
這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)
這いよれ! ニャル子さん 2
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))
神の左手悪魔の右手 (1) (小学館文庫)
14歳 (1) (小学館文庫)
わたしは真悟 (Volume1) (小学館文庫)
MW(ムウ) (1) (小学館文庫)
MW(ムウ) (2) (小学館文庫)
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