ヤナーチェク : シンフォニエッタ(セル)
ドヴォルザーク:交響曲第9番(ケルテス)

昨日紹介した村上春樹「1Q84」のヤナーチェク「シンフォニエッタ」はジョージ・セル盤なんですね。ジョージ・セルは僕的にはそんなに好みではない指揮者なのですが、指揮者としての技量は優れており素晴らしいと思います。餅は餅屋であり、チェコ三大作曲家(スメタナ、ドォルザーク、ヤナーチェク)ならば、普通にチェコフィルのヴァーツラフ・ノイマンの指揮が一番いいかなと個人的には思いますが…。僕はノイマンびいきで、ノイマンのドヴォルザーク交響曲全集、マルチヌー交響曲全集あたりを普通に名盤として評価しております。

カレル・アンチェル(ノイマンの前任のチェコ・フィル指揮者。「プラハの春」において西側に融和的姿勢を取ったことにより、ソ連共産党・チェコ共産党から利敵主義者として命を狙われ西側に亡命。この政治亡命により音楽家生命を奪われ、トロントで客死した)も極めて優れた演奏を残していますが、年代的に、録音のレベルを考えると、ノイマンの演奏録音の方がより全般的にチェコフィルの良質な演奏音楽を聴けると思います。

ウィキペディア「チェコ・フィルハーモニー管弦楽団」
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団は、チェコの首都プラハを拠点とするオーケストラ。チェコを代表するオーケストラの1つ。本拠となるホールはプラハの「芸術家の家(ルドルフィヌム)」内にあるドヴォルザーク・ホール。(中略)

世界的な名声を得るようになったのは、ヴァーツラフ・ターリヒ時代(1919年〜1931年および1933年〜1941年)である。ターリッヒの後任指揮者にラファエル・クーベリック(1941年〜1948年)が就任し1946年にはプラハの春音楽祭がスタートするが、クーベリックは1948年のチェコスロバキア共産党を中心とした政権の成立を嫌い、西側へ亡命してしまった。後任にはカレル・アンチェル(1950年〜1968年)が就任したが、そのアンチェルもチェコ事件によるチェコの改革運動挫折をきっかけに西側に亡命してしまうという、ソ連の衛星国チェコスロバキアの悲劇を象徴するような事態が続いた。

その後ヴァーツラフ・ノイマン(1968年〜1989年)の長期政権の下、地元の作曲家であるスメタナやドヴォルザークの録音や世界各地へのツアーを通じて「東側」の名門オーケストラとしての地位を築いた。

ちなみにドヴォルザークの代表曲交響曲第九番「新世界」ですと、ウィーン・フィル、指揮者イシュトヴァン・ケルテスの1960年演奏が一番派手で僕は好きですね。この演奏は如何に音楽を派手に鳴らすのかがポイントだと思うので(アメリカ文化を好んで自曲に取り入れたドヴォルザークの曲のなかでもアメリカンテイストの強い派手な曲)、ケルテスがウィーン・フィルのタクトを振ってド派手に歌舞いて鳴らしたこのバージョンが僕個人としては一番評価が高いです。

イシュトヴァン・ケルテスはオケを派手に歌舞いて鳴らすことでは他の追随を許さない天才で、長ずればそれこそ、トスカニーニ、フルトヴェングラー、ワルターあたりに匹敵する指揮者になれたであろう人物でしたが、43歳にて夭折しました…。僕の大変好きな指揮者でありますので無念です。ウィーン・フィル以外にも、イスラエル・フィルを鳴らすのも見事だったのですが…。

イシュトヴァン・ケルテス(Istvan Kertesz, 1929年8月28日 - 1973年4月16日)はハンガリー生まれの指揮者である。(中略)

ハンガリーのブダペストで生まれ、同地のフェレンツ・リスト音楽院でゾルタン・コダーイ他に学んだ。1955年からブダペスト国立歌劇場の指揮者となる。1956年ハンガリー動乱の時に西側にジョルジュ・シフラと共に亡命した。その後アウグスブルグ国立歌劇場、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団などを指揮し、1965年から1968年までロンドン交響楽団の首席指揮者を務めた。日本にも客演したことがあり、(旧)日本フィルハーモニー交響楽団を指揮した1968年の演奏記録が残っている。将来が期待された中堅指揮者であったが、1973年夏、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団に客演した折、イスラエルのテル・アビブの海岸で遊泳中に高波にさらわれ溺死した。43歳没。ケルテスの最期はバス歌手岡村喬生著『ヒゲのオタマジャクシ世界を泳ぐ』に詳しい。

バカンス中、海水浴で泳いでいて溺れ死ぬという、誰も予想しなかった死に方をしてしまった指揮者でして、エンターテイメント性に富んだそのタクトは高く評価されていたのですが、若くして(43歳というのは指揮者としてまだまだこれからの年齢です)亡くなってしまいました…。

ケルテスの代表的な指揮としては、先に挙げたウィーン・フィルの「ドヴォルザーク:交響曲第九番『新世界』」、そして「シューベルト:交響曲第八番『未完成』」「モーツァルト第三十五番『ハフナー』」「ブラームス:交響曲第三番」などが名演として名高いです。ケルテスの演奏はエンターテイメント性に富んだ柔らかく派手な演奏で、クラシック初心者が入りやすい指揮演奏と言われています。上記に挙げた盤はどれもお勧めのアルバムです。よろしければご一聴お勧め致します。

参考作品(amazon)
ヤナーチェク : シンフォニエッタ(セル)
ヒゲのオタマジャクシ世界を泳ぐ (新潮文庫)
ドヴォルザーク:交響曲第9番(ケルテス)
モーツァルト:交響曲第25番/第29番/第35番「ハフナー」(ケルテス)
シューベルト:交響曲第8番「未完成」/第9番「ザ・グレート」(ケルテス)
ブラームス:交響曲第1番、ハイドン変奏曲(ケルテス)
ブラームス:交響曲第2番、セレナード第2番(ケルテス)
ブラームス:交響曲第3番第4番(ケルテス)
シューベルト:交響曲全集(ケルテス)
マルチヌー:交響曲全集(ノイマン)
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