2009年05月01日 09:35

元気の出る音楽。「ロータ:弦楽のための協奏曲」「ジェミニアーニ:合奏協奏曲集」イタリア合奏曲の良い意味での明るさ。

ロータ:弦楽のための協奏曲
ジェミニアーニ:合奏協奏曲集

五月になりました。失業しており収入がなく精神疾患が治らず(うつ病+複合型非定型精神病のようです)、現在生活は非常に困窮しておりますが、ギフト券を贈ってくださって生活助けてくださるお方、アフィリエイトで買い物してくださるお方々、ご慈悲あるお方々のおかげでなんとか生活できています。本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。前回と引き続き、音楽について書こうと思います。今回は、月当初から気が滅入る暗い音楽を紹介するのではなく、明るく、一般向けの娯楽性の大きな近現代クラシックの名盤、「ロータ:弦楽のための協奏曲」を紹介しようと思います。

本盤の特徴は、ヴィヴァルディやジェミニアーニの明るい、聴いていると気分が晴れ晴れするようなイタリアのラテン気質の明るい合奏曲の歴史的な系譜を、イタリアの現代音楽家、ニーノ・ロータ、ジャン・フランチェスコ・マリピエロ、ボリス・ポレーナ、エンニオ・モリコーネの四人の近現代作曲家の音楽が世界最高の合奏団の一つであるイタリア合奏団の手によって見事に演奏されている名盤です。

近現代クラシック界の作曲の大勢はとにもかくにも無調かつ厳格で暗いというのが主流であり、先に挙げたアバドン・ベルクなどはその筆頭ですが、このアルバムは以前下記の二つエントリにて紹介致しました、吉松隆さん達と同じく、調性を重視した古典クラシックの系譜で、ヴィヴァルディやジェミニアーニなどのイタリアの素晴らしい明るい合奏曲の系譜を見事に表現している曲の数々が集められており、ヴィヴァルディやジェミニアーニの明るい合奏曲集と合わせて聴くと、明るいクラシック調性音楽の歴史の連続性が感じられて、楽しくて良いアルバムと思います。

現代音楽について。古楽について。僕の大好きな古楽合唱団「タリス・スコラーズ(The Tallis Scholars)」音楽の喜び。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/811070.html


絶対権威化した前衛音楽に抵抗する、美を求める音楽。吉松隆「プレイアデス舞曲集」シチェドリン「封印された天使」
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/808309.html


ニーノ・ロータを始めとして、古典的な音楽の系譜を引き継ぐ調性クラシック音楽を近現代クラシック界において作曲すると、一般聴衆に阿ったポピュリズムであるという批判を前衛クラシック側から受けますが、僕は、大勢のお方々の気分を楽しくさせる音楽は素晴らしい音楽であると感じますので、こういった批判には与しません。寧ろ、こういった、楽しい近現代クラシック音楽を紹介して、世界的大不況やインフルエンザの世界的大流行で暗い世相を少しでも明るくする音楽を紹介してゆければいいなと思います。

調性音楽の代表的な、調和を重視した明るい古典合奏曲としてはヴィヴァルディが有名で、本アルバムに収録されているボリス・ポレーナの「ヴィヴァルディ」はヴィヴァルディの作品「調和の霊感 作品3-10」のオマージュパロディで元曲を知っていると思わず笑ってしまいます。パロディ編曲の名手だったシェーンベルクを思い出します。

本アルバムでは、やはり、映画音楽のマエストロ、ニーノ・ロータの「弦楽のための協奏曲」が素晴らしく、聴いていると元気がでてくる感じの合奏曲でお勧めです。ヴィヴァルディやジェミニアーノの最良の部分を見事に活かした名曲であると思います。ぜひご一聴お勧め致します。

僕は古典イタリアクラシック合奏曲では、ヴィヴァルディとジェミニアーニがとても好きでして、ヴィヴァルディは有名ですので、皆様方お聴きになったことがあると思うのですが、知名度の低いジェミニアーニもヴィヴァルディに匹敵する素晴らしい合奏曲作曲者であると僕は常々思っています。この作曲家は悲劇的な人物で、作曲家にとって命のようにかけがえのない作譜を複写する前に泥棒に盗まれて憤死した悲劇の作曲家です。この盗まれた譜は出てこなかったので、音楽の価値の分からない泥棒が捨ててしまった可能性が高く、無念です。この消えた作品、聴きたかったです…。ジェミニアーニは基本的に明るく、聴いていると楽しくなってくる音楽を作曲しました。聴いていると明るい気分になるとても良い合奏曲が沢山あり、ぜひご一聴お勧めです。

ウィキペディア「フランチェスコ・ジェミニアーニ」
フランチェスコ・ジェミニアーニ(Francesco Geminiani, 1687年12月5日 - 1762年9月17日)はイタリア後期バロック音楽の作曲家・ヴァイオリニスト・音楽理論家。演奏家としてロンドンやダブリンで活躍し、作曲家としてコレッリからヘンデルをつなぐ存在であった。(中略)

音楽教師や作曲家として生計を立てつつ、美術の蒐集・販売にも熱を上げたが、こちらは常に成功したとはいえない。パリを訪れしばらくその地に暮らしたが、1755年にイングランドに戻る。1761年にダブリンを訪れた際、多くの時間と労力を捧げた手稿を使用人の一人に盗まれる。一説によると、手稿が盗まれた悔しさが死を早めたという(憤死)。

ジェミニアーニは第一級のヴァイオリニストであったようだ。言い伝えによると、イタリアにおける門人からは、表情豊かなリズムのために、「熱血漢 Il Furibondo」と呼ばれていたという。こんにちでは、全部で42曲の協奏曲のうち、作品3や作品7の《合奏協奏曲集》が最も有名である。ジェミニアーニの合奏協奏曲は、コンチェルティーノにヴィオラを導入して、実質的な弦楽四重奏を形成している。これらの作品は、当時なおコレッリを愛したロンドンの聴衆を喜ばせるために、非常に対位法的に労作され、同時代のヨーロッパ大陸における「ギャラント様式」の流行とは好対照をなしている。ジェミニアーニはまた恩師コレッリのトリオ・ソナタを改作して、合奏協奏曲に仕立てたものを出版している。(中略)

ジェミニアーニはたくさんのヴァイオリン作品を出版し、3巻のヴァイオリン協奏曲集、12のトリオ・ソナタ、チェンバロのためのレッスン、鍵盤楽器による伴奏法、ギター奏法論などの楽曲や著作がある。

イタリア音楽の合奏曲はアッパー系(気分が上昇する)タイプの合奏曲が多く、ダウナー系(気分が低下する)タイプの合奏曲が多いドイツ音楽の合奏曲と対照的であり、面白いです。季候が寒いドイツのゲルマン的な厳格気質と、季候が暖かいイタリアの楽天的なラテン気質の差異が音楽に現われているのかなと僕は考えています。僕は音楽における比較文化論を研究したかったのですが、お金がなくてそちらの道には進めませんでした…。

余談ですが、音楽を本格的にやるにはお金が沢山必要で、お金なくて音楽の道を泣く泣く諦めた人々は大勢います。箱物(無駄な建築物)とか、そういうことにお金(国税)を使うのではなく、貧しい人々にも音楽などと触れ合え、向学心のある音楽家志望の人々を援助するような形で、国税を使って欲しいと僕は心から願います。URLが分からなくて申し訳ないのですが、以前、ニコニコ動画に音大を目指している学生が「音楽の為のお金と環境がないよう」って切実な想いを語っているミクの歌があって、それを聴いて心打たれたことがあります。エコロジカルな持続可能な地球環境の為にも、公共工事ではなく、公共文化に国税を使って欲しいと願います。

余談の余談ですが、貧乏人の味方である図書館もサービスが削減されており心が痛いです。東京都都立図書館が、各地方自治体への蔵書貸し出しサービスを停止する、また各地方自治体図書館に都立図書館への金額負担を求めるとの都立図書館政策要綱を今年発表し、各地方自治体が猛反発して反対運動が起こっております。僕はよく近所の自治体図書館を通して都立図書館から本を借りていたので、これは死活問題です。もしこの政策が通ってしまうと都立図書館の蔵書が借りれなくなります。どうか都立図書館は各地方自治体図書館とその利用者の反対運動を吟味して、このような公共サービスの削減を止めて欲しいです。公共サービス削減は僕のようなかつかつの生活をしている貧乏人にとって極めて重大な死活問題です。ネット上では下記リンクが詳しいです。

東京都立図書館資料の提供(協力貸出)が変更になりました
http://www.library.kiyose.tokyo.jp/p10-torituhennkou.html


最大の問題は希少図書が借りられなくなる(館内閲覧のみになる)ことで、僕はよく都立図書館から今回の制限対象となる古い希少図書(古典文学や古典学術書等)を借りているので、分厚い重厚な希少図書を館内閲覧のみで読むのは無理です。借りられないと読めないし、本ブログにて引用も出来ません。酷く絶望的で、こうやって貧乏人は公共の福祉を削減されて、学ぶこともできなくなり追い詰められてゆくんだなというお腹が痛くなる真っ暗な気持ちで一杯です。

閑話休題して本題に戻ります。「ロータ:弦楽のための協奏曲」は、近現代クラシックにしては珍しい、明るい合奏曲集音楽であり、良い意味でイタリアらしい音楽性を楽しめる作品でお勧めです。楽天的な明るさに満ちているので、漫画の「ヘタリア」あたりと一緒に読むと更に面白いかも知れません。ヘタリアは比較文化史的作品で比較文化史が好きな僕にとってとても面白いです。

ただ、明るいといっても、あくまで「近現代クラシック」のなかでは明るいということで、「近現代クラシック」の最大の特徴は「全般的にあらゆる面において暗い」というところがありますので、ヴィヴァルディやジェミニアーニのような屈託のない明るさ、大勢の人々に喜んでもらうための古典イタリアクラシックの良い意味での底抜けの明るさに比べると、明るいニーノ・ロータやジャン・フランチェスコ・マリピエロの合奏曲でも、やや暗い影があります。これは、現代という社会が過去に比べ世界全体が暗く(第二次世界大戦等)、世界の影響を受ける音楽作曲においてどうしても避けられない宿命としてあるのかも知れません…。以前下記エントリにて書きましたが、ピアソラなど、南米の近現代クラシック音楽はイタリアに通じる明るさがあって僕は好きです。

「ヴィヴァルディ&ピアソラふたつの《四季》」音楽の変化とアートの公共性について。
http://nekodayo.livedoor.biz/archives/723825.html


底抜けに明るい聴いていると気持ちが明るくなる曲としては、イタリアの古典クラシックの名盤、ジェミニアーニ「合奏協奏曲集」がお勧めです。明るさということではヴィヴァルディを超える部分を持つ名曲集と思います。

暗い世相ですが、皆様方にどうか、少しでも明るさがあればと思って書きました。皆様方に幸福があることを僕は心から願っております。

参考作品(amazon)
ロータ:弦楽のための協奏曲
ジェミニアーニ:合奏協奏曲集
ヴィヴァルディ:協奏曲集「調和の霊感」
ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」
Vivaldi Masterworks
ラ・フォリア ~イタリアの作曲家6人による~
ヘタリア Axis Powers
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