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バッハ:無伴奏チェロ組曲 全曲

眩暈と不安が酷く、生活苦の辛さが非常に心痛で(病院への交通費等で貯金の減りが激しい)、寝込みながらベルリオーズの「幻想交響曲」を聴いていました。指揮アバドで音楽は素晴らしかったですが、音色を聴いていて、その美が安らぎを与えてくれるとともに、それでも不安が常に影のように離れないことも感じました。

僕の好きな手塚治虫作品に「ばるぼら」という作品があるのですが、その一節を思い出しました。創作の原動力を失った作家の嘆きの言葉です。

私は風の吹き抜けるような部屋の中いっぱいにベルリオーズの「幻想交響曲」を鳴らした。ベルリオーズは恋に破れて麻薬中毒者となり、この狂おしい曲を生み出したのだ。だが、私には…何が生めるというのだ?
それは死へのラッパだ…

三島由紀夫は死ぬ直前に何を思っていたのだろうか?
川端さんは?あの死の部屋で何を捨て、何を得たのだろう。
(手塚治虫「ばるぼら」)

僕には、元々創造する能力が、根幹的に欠けているのかも知れず、真面目な小説も真面目な絵画も真面目な音楽も、どんなに一生懸命創作に取り組んでも、どうしてもものにならず、ただ、鑑賞して、自分が良い、素晴らしいと思ったものを皆様にご紹介することだけはできて、そのことで、少しでも、皆様方にお役立ちできたらと思っていました。

でも、うつ病の苦しみ(調子が酷いときは感覚・感情を喪失します、アニメは大好きでしたが、今は、アニメは色彩が明るく豊かなのでうつで辛くてなかなか見られなくて…)と貧困(日用必需品以外ほとんど何も買えないので、取り貯めた古い映画のビデオとか図書館で借りられる本、後クラシックCDくらいしか鑑賞できるものがありません)で、鑑賞自体がなかなかできなくなり、皆様に申し訳なく、病気と貧困に陥ると、人間は何も生み出せなくなっていくのだなということを、強く感じさせられて、悲観的にしか頭が働きません(これもうつ病の症状だと思いますが、常に悲観的・絶望的です)。

ただ、それでも、なんとか生きながらえている限りは、皆様に、限られた貧困の枠の中で、それでも、なんとか、生活苦の限界により死へ運ばれるまでの間、なんとか生き延びている間は、僕が良いと思った作品を紹介していきたいなと思います。

このままだといずれ精神障害保健福祉手帳がでることになりまして、そうなりますと東京都写真美術館、東京都現代美術館など、公共の美術館、庭園などの利用が無料になり、皆様に、美術品などのご紹介ができるかも知れませんが、そこまで行く交通費が一番のネックで、JRが交通費を決して割り引いてくれないことに悲しみを感じます。

「貧困とはだれとも繋がれなくなることだ」と云った、リチャード・ローティの言葉を思い出します。何か、皆様に、良いものをご紹介したい気持ちはあるのですが、生活費で一杯一杯で、ギフト券とアフィリエイトで援助してくださる方々のおかげで、現在なんとか生き延びております。後は、図書館から本や音楽CDを借りたりして、なんとか、頑張っています。今は、不安と、胸とお腹の痛みの中、ミッシャ・マイスキーの無伴奏チェロ組曲(全曲)を聴いています。実に素晴らしい演奏です。マイスキーの天才を感じます。彼は非常に不遇な半生を送ってきておりますが、それでも、その素晴らしい音楽演奏により、今は世界最高のチェリストの一人として認められています。

1969年(マイスキー21歳の時)、マイスキーの姉が亡命したのである。元来、ユダヤ系のラトヴィア人として注意されていたマイスキー一家への風当たりは厳しくなり、一家の動静は当局の管理下におかれた。おまけにマイスキーは、当時、反体制作家といわれたソルジェニーツィンを別荘にかくまっていたロストロポーヴィチ家に出入りしている。(ソ連体制からみれば抹殺すべき反動分子芸術家としての)ブラック・リストに載ったとしても仕方がなかった。(中略)当時マイスキーは、(音楽の練習の為に)旧式のテープレコーダーを持っていた。(中略)ある日それが動作しなくなった。(修理に出しても)修理不可能であった。愛用のテレコが壊れて困っていた彼に、ある特殊な証明書が手に入る事を教えてくれた者がいた。党幹部や役員の家族だけが利用できる外貨専用の店への証明書で、それを持って行けば、新型のテープレコーダーが直ぐに買える筈であった。

翌日、マイスキーは店の窓口で逮捕された。彼が行く事が、あらかじめ判っていたかのような手回しの良さであった。そんな証明書が、簡単に手に入った事自体が罠であったと、今にして彼は考えるのであった。投獄された彼は、天井にただひとつ、小さな明りとりの窓があるだけの独房で裁判を待った。数ヶ月がなすこともなく経過した。ある日、枯葉が天井の窓を塞いだことで秋が来たことを知った。

判決でゴーリキー市郊外の強制収容所に送られ、14ヶ月、チェロのかわりにシャベルを持って苦役につく。冬、夏、そして再び冬の季節。刑が終わった時、彼は僻地で兵役につくことになっているのを知らされた(当局がマイスキーを完全に抹殺する意向を知った)。

収容所を出所した彼はその足で、かつて紹介された事のあるユダヤ人の名医を訪ね、窮状を訴えた。医者は彼を精神病院に入れた。それが軍隊から彼を回避させる唯一の手段であった。「それほど悪い住み心地でもなかったですよ。少なくとも強制収容所よりはね!」とマイスキーは笑って言う。(当局の権限があまり及ばない)精神病院に入ったことで事態は急速に進んだ。国外移住の許可が出たのである。ただし、その前に、今日まで国家が彼に支給した教育費9000ルーブルを返却せねばならなかった。無論、彼にそんな大金を工面するあてはない。彼はあきらめなかった。

すると、今はイスラエルに住む姉がそれを知って、イエルサレム市長に直訴したのである。市長は慈善団体を通じてあるアメリカ人にマイスキーの窮状を説明した。そのアメリカ人は、直ちに必要な金額を揃え、モスクワに送金した。いつの日か、彼の「芸術家財団」に返済してくれれば良い、という条件であった。
(無伴奏チェロ組曲(全曲)ライナーノーツより)

これでマイスキーはアメリカに行くことができ、紆余曲折の挙句、ついにはカーネギーホールでデビュー・リサイタル、最高の大成功。そして後はとんとん拍子に、20世紀を代表するチェリストの天才として、世界中から認められるまでになったのです。

僕がマイスキーが好きなのは、彼の演奏は他のチェリストとは違い、旧ソ連時代の辛い想いが昇華されたような、暗い抒情性にあふれたようなところがあるのですね。そこがたまらなく、僕は好きで、大変な名盤、ミッシャ・マイスキーの無伴奏チェロ組曲こそが、他のチェリストよりも、優れた、素晴らしい、心揺さぶる音色として感じられます。皆様も、よろしければ、一度お聴きになってくださると、嬉しいです。

僕は、マイスキーのような芸術を創造するミューズの天才を、悲しいことに全く持っていないですが、それでも、優れた作品を鑑賞することは大好きなので、そういった、優れた作品、美しい作品、良き作品を、皆さんに、マイスキーのように諦めず、出来うる限り、貧困の中を生き延びて、紹介してゆきたいと思います。生活苦で、お金のかかる(図書館で借りられない)オタク系の作品はなかなか紹介できないと思いますが(以前、アリスソフトの闘神都市靴出た暁にはプレイをしたいと書きましたが、現状では購入が非常に困難な為、プレイはできないと思います、申し訳ありません)、なんとか自分のできる精一杯の範囲でご支援してくださる方々に感謝の気持ちを込めて一生懸命頑張りますので、よろしければ、どうか今後もよろしくお願い致します。

参考作品(amazon)
バッハ:無伴奏チェロ組曲 全曲
ベルリオーズ:幻想交響曲
ばるぼら (1) (手塚治虫漫画全集 (145))
ばるぼら (2) (手塚治虫漫画全集 (146))
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