2008年08月13日 23:32

貴志祐介「新世界より 下巻」、いせひでこ「にいさん」を読みました。前者は重く考えさせられ、後者は哀しく優しい気持ちになりました。

今日は調子が悪くて、あまり更新できなそうでごめんなさい。今日は以前紹介した貴志祐介さんの「新世界より 下巻」、図書館から借りられたので読了しました。上巻はエンターテイメントに徹している感じでしたが、下巻も面白い、とても面白いのですがそれだけでなく、なんとも云えない後味…。貴志祐介さんの「黒い家」を読了したときと同じような気持ちです。人間性というものに対して、貴志祐介さんの作品は非常に深い人間に対する絶望、それこそ世界の深淵にてブラックホールのように重く絶望しているようなところがあって、それが前面に現れてる、傑作SF小説だと思いました。読んですっきりするSFではありませんが、傑作です。人間というものの決して拭えず抱え込む深い業のようなものについて感じさせられます。後は、本書、重厚なブラームスのピアノ協奏曲第二番(指揮ハイティンク、演奏アシュケナージ・ウィーンフィル)を聴きながら読んでいたので、なおさら重く考えさせられる影響があったのかも知れません。こういった読書体験は貴重で、しかもエンターテイメントとしては抜群に面白い上下巻の作品です。心晴れやかになりたいという方にはお勧めできませんが、人間性の混沌と暗さを世界的規模で描いた傑作SFを読みたいという方には心からお勧めいたします。

それから、いせひでこさんの「にいさん」という絵本を図書館で借りて読みました。普段なら手に取らなかったかも知れませんが、今はうつ病なので、ゴッホの絵本ということで手に取ってみたら、これがとても優れた、良い絵本でした。ゴッホとテオの兄弟愛を主題にした、美しい絵本です。絵本ですゆえ読了までの時間は短いですが、哀しくて、優しい感覚に包まれた、大切なものを受け取った読書体験でした。皆様に一読お勧めの哀しくて優しい絵本です。

参考作品(amazon)
新世界より 上
新世界より 下
にいさん
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

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