新都社のweb漫画として始まり、現在コミックウォーカーで連載中のSF漫画「ドキュンサーガ」が、本格派のポストヒューマンSFとしてとても良質な作品で、これはぜひ紹介しなければと筆を取りました。web版は下記の、作者いとまんさんの公式サイトで全て読むことができます。



本作「ドキュンサーガ」の特徴としては、きわめて壮大なポストヒューマンSF、ポストアポカリプスSFとしての設定と、様々なパロディ的面白みを上手く融合させたストーリーテリングが、次々と読者の思い込みを逆転させてゆく見事さがあります。パロディになれた読者を、シリアスな展開でうならせて、その展開も読者のパロディ的な思い込みを裏切って次々と新しい展開を見せていく。それが骨太で壮大なSF設定及びSF的奇想に富んだ表現と見事に合致している優れたSF漫画です。

本作は、如何にも、なろう的パロディとして始まる(品性下劣だが極めて強いなドキュンな勇者が魔王退治を始める)ように見えて、そのパロディとしての思い込みを多重に裏切ってゆくストーリーテリングが、極めて見事です。

例えば、ドキュン勇者は極めて品性下劣ですが、魔王との戦いで、戦士として高潔な部分も見せる。魔王はその勇者を始末せずに生かしておきます。読者は『ドキュン勇者が高潔な部分を見せたからかな』と思う。しかし、ドキュン勇者を魔王が生かしておく理由として、勇者が見せた高潔さとは実は全く違う理由が示される。そして話が進むと更に違う理由が示されるという形で、ストーリーに多重性が含まれており、読者のテンプレ的思い込みからの読みを良い形で裏切って行きます。

ストーリー自体が、テンプレ的な構図をどんどん逆転させてゆく形で、テンプレ的ファンタジーなどに慣れている読者の思い込みを利用して、上手にミスリーディングしてゆく形になっている。様々な構図がテンプレ的なものとは逆になっていて、先が読めない面白さがある。

ドキュンサーガの世界は、現代から1000年程度未来の話ですが、その1000年の間に起きたミュータントと人類の最終戦争の話になってゆき、この長い最終戦争の展開が、物語のテンプレ的なものを上手く外して逆転させながら展開する。

視点としてはミュータント側が主に描かれますが、人類との最終戦争で優勢なミュータント側もかなり突き放された描き方をされており、ミュータント側も人類側も戦争において相手を異なる種(相手を互いに害獣的なものと見ている)であるとして平然と残虐行為を行うアンチヒーロー的な陣営として描かれていて、キャラクターへの感情移入よりも、物語全体としての俯瞰的なスタンスを重んじる展開と設定ゆえに、全体の歴史を楽しむ叙事詩的作品として読むことができる。これが滅法面白いです。

またポストヒューマンSFとしての描写、多様な変異が現れて、種の秩序と安定性が崩壊して、全てが混沌としていく世界を絵として表現するのも極めて上手い。これはまさにSF漫画ならではの面白さがありますね。ミュータントと人類は、互いに交配可能な種でありながら、相手を同族とは認めず、憎しみあって双方ジェノサイドなど残虐な行為を行っていますが、交配可能な点を利用して相手を苗床にすることで戦力を生み出そうともしており、これが皮肉になっている。交配可能なほど近い種にも関わらず、互いに相手を殲滅すべき別種のものとして戦っている訳です。

この絶滅戦争の描写や、ミュータントが元々、現代の格差が極限まで開いた社会で、高ストレス下で誕生したということなど、社会風刺の視点も上手く入っているところもなかなか魅力的なところです。

全般的に極めて優れたポストヒューマンSF漫画、ぜひご一読お勧めです。打ち切りになってしまっては本当に勿体無い傑作SF漫画なので、ぜひ購入して読んで欲しい作品です。SFファンとして、心からお勧めです。

ドキュンサーガ 1 (MFC)
いとまん
KADOKAWA
2021-03-23


ドキュンサーガ 2 (MFC)
いとまん
KADOKAWA
2021-03-23




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