スペース☆ダンディ 1 [Blu-ray]

スペースダンディ2期1巻のブルーレイディスク813本しか売れてないみたいですね…。僕はスペースダンディ1期1話から2期の最終話まで全話見て、それこそアニメ史に今後もずっと残って欲しい痛快な娯楽傑作だと心から思ったのですが…。

なんというか…やはり日本のアニメにおいては、理想系・超越系・近代恋愛系の作品は強くて、いき(粋)な冒険系の作品は弱いのかなと感じたので、その辺について書いてみますね。

スペースダンディの凄く面白い、いきなところ(粋なところ)って、毎回1話完結で、ダンディがどこの超越性にも回収されずに、常にダンディとして振舞っているところだと思うのですね。これはアニメとして稀有なことで、現在やっている深夜帯のアニメの多くはなんらかの超越性(主に女性ヒロインへの聖性としての超越性)を崇拝させることで成り立っている近代恋愛的作りなので、そういったものを完全に断っているダンディの姿はまさに粋でカッコいい、見ていて楽しさがあると僕なんかは感じるのですが…。

やっぱり現代日本アニメの趨勢としての人気は、近代恋愛的超越性への帰属(女性ヒロインへの崇拝)なのかなと…。

北村透谷や九鬼周造が書いてますが、「超越性への帰属」と「いき(粋)であること」というのは、ある種の対極的な立ち位置なのですね。

超越性への志向というのは、何か絶対的で超越的なシンボルを決めてそれを絶対視して崇拝することです。このシンボルを昔は神という概念が担うことが多かったのですが、ロマンティックな近代恋愛が近代以降に開発されてからは、異性をこのシンボルの対象とすることが多くなりました。勿論、近代以前にも異性をこの対象にすることはありましたが(日本の例でいうと心中などが挙げられる)、近代恋愛概念の開発により、異性がこの対象になることが急激に増えたんですね。ぶっちゃけていうと、色んなアニメのヒロインなんかはこのシンボルに当たる訳です。

「いき(粋)」っていうのは、そういう超越性への帰属を自分の意志で拒否することです。粋な男は、困っている女性を手助けしたり、惚れてる女の為に助力したりするのはカッコイイが、惚れてる女を崇拝したりして、その女の方が自分の意志よりも上になったらそれはカッコ悪い(粋じゃない)ってことです。何らかの超越性に帰属するよりも、自分自身の意志を常に最上位に置くことが粋の条件です。

よって、明治以降に欧米諸国から超越性の観念(近代恋愛やキリスト教等)が日本に輸入されると、江戸時代における最高のダンディズムであった「いき(粋)(超越性よりも自己を重視すること)」は、『粋とは単なる自己中心的個人主義である』『粋とは真の恋愛をしたことのない人間の考えだ』『超越性へ帰属することで初めて人間は充実する』等の考えを持つ、北村透谷らの恋愛至上主義者や観念至上主義者(何らかの崇拝する超越性を持つもの達)から「いき」はボコボコにされて、日本から消えてしまいました…。

柄谷行人
「(近代恋愛史上主義者であり、異性を崇拝する情熱恋愛が人間の最大の目的と説いた)北村透谷は、「いき」を排して、情熱恋愛を説いています。いわばそこから(超越性へ帰属することが登場人物達の目的である)近代文学になるわけですけど、逆にそこから振り返ると、「いき」というのは、超越性(に帰属すること)への誘惑がなければ成立しない訳ですが、しかしそこに到達してはいけないんで、手前でとどまり続けなければいけない、ということなんですね。到達してしまうのは、野暮なわけなんです。(中略)

(いきをダンディズムとした)徳川体制は、何によらず、「絶対主義」(超越性への帰属)を避けるんですよね。「絶対者」は下克上でやられてしまうから。だからそれは名目上の天皇に任せておけばよい。とにかく極端なものを嫌う。超越的な宗教は精神上の「下克上」ですからね。

元禄時代だと、超越性は、近松の「心中物」という形で出てくる。しかし、もっとあと、文化文政のころでは、いわば「いきの構造」となります。超越的なものに行きつく手前でとどまろうとする訳です。

とにかく、徳川体制は、下克上、すなわち欲望の競合関係を、押さえ込むことに必死だったという感じがする。『平和』というのは大変なものですね」

蓮実重彦
「そのとき、完全に競合関係が消滅したんじゃなくて、それを楽しんでいるところもあるでしょう。(超越性への帰属までは行かないことで)破滅に陥らない程度の競合関係をなんとなく楽しんで、その楽しみみたいなものが、(江戸の粋として)芝居にでてきたり文学にでてきたりする」

柄谷行人
「欲望の競合関係が自滅的に拡大しないようになっているのが『いき』で、それがすなわち江戸時代なんでしょう。

競合関係の無制限の拡大に対して、そのことが起こり得る条件の中でそれを抑える知恵とか感受性とかが、17世紀から18世紀にかけてできたというところが、日本の日本らしさみたいなとこなんじゃないですかね」
(柄谷行人蓮実重彦全対話)

スペースダンディを最後まで見て、この作品はまさに『いき』(超越性への帰属を否定する面白さカッコよさ)だなあと感じたんですが、そういった『いき』に魅力を感じる僕みたいなのは非常に弱い勢力であって、日本のアニメ好きの大勢を占めるであろう近代恋愛的超越性への帰属の前には、「いき」な作品は全く支持を得られないというのが、日本アニメから映し出される現代日本の現状という感じですね…。ダンディの『いき』なカッコよさ好きとしては、うーんって感じですね…。

柄谷行人蓮實重彦全対話 (講談社文芸文庫)

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