2013年11月

2013年11月24日 04:45

今月の16日にギフト券を贈って頂きありがとうございます。とても助かります…。本当にありがとうございます。返答が遅れて申し訳ありません。メールに気づいたのが本日でして申し訳ないです…。挙げて頂いた作品の中で現在プレイしたことがあるのは「ファタモルガーナの館」「ダンガンロンパ1」だけなので、他の作品もプレイしてみたいなと思います。ありがとうございます。

「ファタモルガーナの館」はとても良かった作品ですね。バッドエンドも含めて余すところなく全てクリアした思い出の作品です。イギリスの作家タニス・リーの幻想ファンタジー諸作品に良い意味で非常に似ていますね。本作は、オタクの人々の支持を受けるだけではなく、一般的な人々の心にも訴求できる品質を持っている。本作は耽美な本格幻想ファンタジーとして優れており、日本のオタク向け和製ファンタジーとは一線を画していて、時代の流行り廃りを超えている本格作品としての心地のよさを堪能できる作品でした。

ウィキペディア「耽美主義」
耽美主義(たんびしゅぎ、aestheticism・唯美主義、審美主義とも)は、道徳功利性を廃して美の享受・形成に最高の価値を置く西欧の芸術思潮である。これを是とする風潮は19世紀後半、フランス・イギリスを中心に起こり、生活を芸術化して官能の享楽を求めた。1860年頃に始まり、作品の価値はそれに込められた思想やメッセージではなく、形態と色彩の美にある、とする立場である。

アルジャーノン・スウィンバーンがある絵画を評して曰く「この絵の意味は美そのものだ。存在することだけが、この絵の存在理由(raison d'être) なのだ」という表現が耽美主義の本質を説明している。耽美主義者の中ではオスカー・ワイルドなどが代表的である。19世紀の末に近づくにつれ、デカダンスの様相を呈した反社会的な動きとなっていった。これは、当時ヨーロッパを席巻していた楽観的な進歩主義へのアンチテーゼでもあった。

その反社会的思潮から悪魔主義などと括られることもあるが、耽美主義じたいは悪魔主義や退廃芸術とは必ずしも一致しない。むしろ感性の復興という意味ではルネサンスとも通底している。その一方で神秘主義とも相通じるものもある。フランス人作家ペラダン(Joséphin Péladan) は「美が生み出すのは感情を観念に昇華させる歓びである」と語っている。

耽美主義の流れは日本の知識人にも影響を与え、三島由紀夫や谷崎潤一郎も耽美派に含まれる場合がある。

本作「ファタモルガーナの館」は俗な物事から完全に高踏的に離れていて、本作全体の耽美さそのものが純粋に美しいと感じさせる仕上がりになっている。タニス・リーやアン・ライス、日本で言うと野阿梓さんや倉橋由美子さんを彷彿とさせる耽美幻想の世界ですね。

上記で挙げた作家さんの諸作品と、本作の通底するところを耽美主義以外に挙げるとすれば、非常に美的に魅力的な題材として性倒錯を描いているところですね。主人公であるミシェルの性同一性障害は、苦悩と外部からの拒絶も含めて、彼の聖痕として機能している。彼は最終章にてモルガーナを癒すわけですが、彼自身が生まれつきの欠如に非常に苦しんできた体験があってこそ、モルガーナをある種理解し、癒すことができたのだと思いますね。

本作は最終章が非常に倫理的で、最後に美と倫理を融合させようとしている。ここの展開が感動的で素晴らしいと深く心から思いましたね。プレイしながらヴァルター・ベンヤミンの歴史哲学を思い出していました…。

過去はある秘められた想いを伴って現れ、救済への道を示している。実際また、かつては在りし人々の回りに漂っていた空気のそよぎが、私たち自身にそっと触れてはいないだろうか。私たちが耳を傾けるさまざまな声の中に、今では沈黙してしまっている声が混じってはいないだろうか。私たちが愛を求める娘たちは、もはや知ることのなかった姉たちを持っているのではなかろうか。もしそうだとすれば、かつて在りし諸世代と私たちの世代との間には、ある秘密の約束が存在していることになる。
(ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」「ベンヤミン・コレクション1」より)

ベンヤミンのメッセージ ―― 希望の倫理へ
http://chikyuza.net/n/archives/1570
ベンヤミンの歴史哲学は、認識論的な性格を持つと同時に倫理的な性格も持っています。『歴史哲学テーゼ』はその倫理的側面に関わっています。その核にあるのは、忘却に委ねられている過去をもう一度救い出さねばならないという当為です。忘却される過去を最も本質的な意味で象徴しているのは死者であり歴史の敗者です。勝者は記憶を独占します。死者や敗者は、敗北によって記憶から排除されたまま過去へと追いやられ忘却のかなたへと消滅してゆきます。歴史をアレゴリー的に読み解き、根源からメッセージを受けとめることは、何よりも死者、敗者を救い出すこと、それによって根源の再生を図ることを意味しました。これが彼にとっての大切な倫理となります。

ベンヤミンの重要な概念である「アイゲデンケン」(私は「哀悼的想起」と訳しています)の核心は「悼む」ことです。忘却のかなたへと追いやれた死者、敗者、忘却され歴史から消えてゆく過去を悼むこと、それが救いの始まりになります。ここでベンヤミンが強調しているのは、われわれの幸福が、忘却へと追いやられてしまった死者たちとのかすかではあっても、確実に存在するつながり、それを通じた応答に根ざすということです。この幸福は、根源としての階級なき社会が実現され、それによって世界が不正から解放されることを意味します。裏返していえば、根源としての階級なき社会へとわれわれが向かうためには、忘却された過去、あるいはそこに属する死者たちとのつながりをはっきりと自覚し、失われた過去をもう一度取り戻さねばならないということです。そしてそれは死者たちに対する哀悼的想起を通して行われるのです。(中略)

<テーゼ九>進歩の風に運ばれる天使の前に廃墟の山

【「新しい天使」と題されているクレーの絵がある。それには一人の天使が描かれており、天使は、彼が凝視している何者かから今にも遠ざかろうとしているところのように見える。彼の目は大きく見開かれて、口は開き、翼は広げられている。歴史の天使はこのような様子であるに違いない。彼は顔を過去に向けている。僕らであれば、事件の連鎖を眺めるところに、彼はただカタストローフのみを見る。そのカタストローフは休みなく廃虚の上に廃虚を積み重ねて、それを彼の鼻先へ突き付けてくるのだ。多分彼はそこに滞留して、死者たちを目覚めさせ、破壊されたものを寄せ集めて組み立てたいのだろうが、しかし楽園から吹いてくる強風が彼の翼にはらまれているばかりか、その風の勢いが激しいので、彼はもう翼を閉じることができない。強風は天使を彼が背中を向けている未来の方へ不可抗的に運んでいく。その一方で、彼の眼前の廃虚の山が天に届くばかりに高くなる。僕らが進歩と呼ぶものは、(この)強風なのだ】

この詩的イメージに富んだ断章は、ある意味ベンヤミンの思想の総決算といってよいと思います。ここではもう救済すらもが断念されているように見える。天使は地上にとどまることができないまま、進歩の強風に乗せられて未来へと遠ざかってゆく。天使が遠ざかるにつれて、われわれの地上の世界、被造物の世界には廃虚が積み上がってゆく。歴史の進歩の中で被造物がどんどん根源から隔てられてゆくのです、それとともにこの地上世界は全面的な廃虚と化してゆくのだとベンヤミンはいっています。われわれは廃虚が積み重なっていくこの地上世界に取り残される他ありません。ではそこにはほんとうにもう救いの余地は残されていないのか。そうではないはずです。この本の中にも書きましたが、最後に残されているのはやはり人間の認識の力だろうと思います。それを通して、われわれは何度も断たれそうになるか細いメシア的なものとのつながり、つまりは根源との、救済と解放とのつながりを繰り返し歴史のただ中で掘り起こしていかなければいけない。そうしたかたちでたえず過去に介入してゆかなければならない。そういうメッセージをベンヤミンはわれわれに残してくれたんだと思います。それはブロッホの主著『希望の原理』をもじっていえば、ベンヤミンの「希望の倫理」といえるかもしれません。

起きてしまったことは変えられないけれど、起きてしまった事柄、過ぎ去ってしまった人々について想起することによって、起きてしまった事柄、過ぎ去ってしまった人々に対する認識が変化し、過去と現在と未来が繋がる。過去を想起することは過去と現在と未来を繋げていくことなんですね。もし救済が未来(我々が死した後の果て無き未来)にあるのなら、その未来と過去を繋げること、過去を想起し今と繋げ、救済に連なる道標として新たに過去に道を開く、それが今を生きる人間の行うべきことと、歴史哲学は考えるんですね…。そして、過去を想起するとき、ここで本作は、タブラ・ラサなんですね。人間性をとても信じる見方を取る。

ウィキペディア「タブラ・ラサ」
タブラ・ラーサ(ラテン語: tabula rasa)は、白紙状態の意。蝋などを引いた書字版を取り消して何も書き込まれていない状態。感覚論において魂は外部からの刺激による経験で初めて観念を獲得するとされており、その経験以前の魂の状態。ロックの用語とされるが古くからある概念。プラトン、ストア派、特にアリストテレスに同様の考えがあり、タブラ・ラーサはアリストテレスの訳語としてローマのアエギディウスが考案したとされる。後にアルベルトゥス・マグヌス、トマス・アクィナスが用いて定着した。経験主義の比喩。原義はラテン語で「磨いた板」の意味。人は生まれたときには何も書いていない板のように何も知らず、後の経験によって知識を得ていくというものである。

人間の行いはその環境によって形成される。その環境において良心が育つならば、良き行いを選びとり、悪しき行いを選ばぬであろう、という人間性への信頼の見方から、起きてしまった悲劇をもう一度捉えなおす本作のメインモティーフ。ここが本当に凄いとしかいいようがなくて、心打たれましたね…。「ファタモルガーナの館」実に見事な作品、大勢の人々にプレイして欲しい作品ですね…。

現在、体を壊しておりまして、昔のように更新したり、ゲームのプレイ時間を作ったりするのがなかなか困難な状況ですが、できるだけ、ブログの更新とかしていけたらよいなと思っております。ギフト券を贈っていただいたりアフィリエイトでお買い物をして頂けたり、本当にありがとうございます…。

ファタモルガーナの館
ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読 (岩波現代文庫)
ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味 (ちくま学芸文庫)

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2013年11月15日 03:02

なつくもゆるる【予約特典:CD】
なつくもゆるる

すみっこソフトの新作SFゲーム「なつくもゆるる」クリア。製作陣が同じである前作のSFゲーム「はるまで、くるる。」がSFとして素晴らしかったので期待しながらプレイしたのですが…

期待に十二分に応えてくれる素晴らしい最高の傑作SFでした!!

すみっこソフト公式ホームページ「なつくもゆるる」
http://www.sumikko-soft.com/natsukuru/index.html

本作は時間SFとしてはある種の頂点を極めていて、今から数えて10の72乗年後(無量大数年の彼方)、宇宙の最終的な終焉(あらゆる元素が崩壊し原子、陽子、中性子などの素粒子までもが崩壊し、エントロピーが究極まで増大して全てが平坦化した熱死した宇宙)まで描いているんですね。そして、そのような宇宙から、知的生命(エントロピーを減少させる秩序存在)がどのようにすれば生き残れるかを描いた、とてつもないスケールのSFゲームです。

やってて感動しましたね…。こういう超大規模の巨大な物語を紡いで感動を与えるのは、SFならではの愉悦ですね…。

前回紹介した「君と彼女と彼女の恋。」のクリエイターズインタビュー(この作品をプレイしたクリエイターに感想を聞く催し)の中で、本作「なつくもゆるる」のシナリオライターさんが『「君と彼女と彼女の恋。」は確かに凄い作品だが、同時期に発売される俺の作品(なつくもゆるる)の方が更に凄いぜ!!』みたいなことを述べていましたが、僕としてはまさにその通りだと思いましたね。僕はこちら(なつくもゆるる)の方に圧倒的高評価を付けます。この作品にはSFの真髄たる愉悦、圧倒的なセンスオブワンダーがある。まどか☆マギカの問題(宇宙のエントロピー問題)にSFというジャンル、すなわち科学的思考とそこから生まれる科学的想像で返答している、本作はまさにそんな作品なんですね。

本作の世界では、人類(ホモ・サピエンス)は宇宙に進出し、科学技術を発展させ続け、種の限界寿命を超えて、果てしない時を生き延びるんですね。けれど果てしない時の流れの中で宇宙が老いてゆき、あらゆる元素が崩壊し、物質そのものが形成できなくなり、恒星はもはや生まれず宇宙は暗黒と化してゆき、エネルギーの移転は起きなくなってゆく…。

ニコニコ大百科「エントロピー」
エントロピー増大則と宇宙の熱的死
熱力学第二法則とも呼ばれる。「何かの現象が起こるとき、エントロピーは必ず増大する。また勝手に減少する事は無い」という法則である。

ミルクとコーヒーが接触すれば、かならずそれらは交じり合う。熱いものと冷たいものを接触させると、両者は最終的に同じ温度になる。例えば冷たい水の中に熱した鉄の棒を突っ込んだ場合、水が熱せられて鉄の棒が冷める。ぬるいお湯に同じ温度の鉄棒を突っ込んで、水が冷たく、鉄が熱くなることはない。こういう一方通行の出来事、不可逆な現象(逆向きは起こらない)があることをこの法則は意味している。

エントロピーの増大した終焉、世界が平衡状態に達した状態というのは、宇宙のありとあらゆるところが同じ温度、同じ物質の密度となった混沌の海のようなものであると想像された。その世界ではもはや新しい現象は起こらず生命などというものは存在せず、永久にその静かな状態を保つことになる。この宇宙の終焉予想図を熱的死と呼ぶ。

無量大数年の彼方、超未来の人類(昔人類だったけれど、もはや人類とはかけ離れた何か)は、物質的形成(肉体)を完全に放棄し、エネルギー(魂)だけの存在として、ブラックホールの蒸発から起きるエネルギー移転を使って自己の形成を保つことで、宇宙の終焉の時(完全なる熱的死)の近くまでなんとか永らえるのですが、もはや、完全に自我とかそういった人間的な意志を失っており、ただ存在するだけで、宇宙の完全な熱的死が迫っても何もしない存在なんですね…。

人類(現行人類ではなく、未来の超科学によって宇宙に進出し変貌した人類)はこうなる前に、人類(知的生命)がこうなってしまうことを予見しており、知的生命が何とかして宇宙の終焉を乗り越えて存続できないか、その可能性を探るプロジェクトを行うのですね。ブラックホールと宇宙ひもを使って、時空間を極度に歪めることのできる観察者を生成し、その観察者は、「人類に宇宙終焉を乗り越えさせる」という目的のために人類の歴史をずっと観察し、干渉する。

ここからが面白いところで、小松左京さんの「継ぐのは誰か?」と「神への長い道」を合成して、超弦理論とM理論で味付けするみたいな、SF好きにはたまらないことになってきます。重力子(グラビトン)を感じとることのできる新しい人類、ホモ・サピエンスの亜種が、宇宙の終焉を乗り越える可能性を持つ。超弦理論において、四つの力のうち、重力だけ、ひもが閉じている(現行の時空間とは繋がらない)ゆえに別宇宙と繋がることができる。

でも、ホモ・サピエンスは人類亜種を潜在的敵対種として認識し滅ぼしてしまうため(ネアンデルタール等、人類亜種は全て滅んでいる)、未来の人類の手によって、人類を宇宙終焉を越えて存続させるために創造された存在が、現行人類に滅ぼされようとしている人類亜種を守るという、非常に面白いことになってきます。SF好きとしてはこの辺がもうたまらなく好きですね。

物語は、この「現行人類」対「別宇宙に開かれている人類亜種」と言う対立を軸として進むかに見えて、実はもう一ひねりしてあるところが素晴らしい。「人類を宇宙終焉を越えて存続させるために創造された存在」は、人類や亜種を宇宙終焉を乗り越えさせて存続させることが目的な訳で、人類亜種の味方というのともまた違うんですね。この存在は、人類を、人類亜種を含めて、永遠に存続繁栄させるために働いている。この存在は、人類対亜種の対立をループした時空間の中でぐるぐるぐるぐる回し続けることで、人類亜種の能力(重力子に対する感受性)をどんどん高めて、別宇宙への移行の準備をしている。これが実に面白い。やってくれた!!って感じですね。こういうどんどん話が予想外に大きく広がって行くSF大好きです。

面白いのは、本作においては知的存在が物質に準拠した存在ではなくなると(死や個や種を克服した存在になると)、知的存在としては衰退してしまうということですね。エネルギーとなって何もしない超未来の人類のように。ゆえにSFとしては生命賛歌になっている。物質的基盤の上に成り立っている、「死」と「個」があるからこそ、「発展創造」と「愛」(次代の生命)があって、存在が未来へと向かう存続発展があるという思想に本作は貫かれていて、僕はこれはとても健康的で健全な考え方のように感じましたね。

本作のシナリオライターである渡辺僚一さんの作品って、本作や「はるまで、くるる」をプレイして、凄く健康的なSF作品だなって感じましたね。小松左京さんやハインラインが持っている、『科学と人類に対する究極的なところへの信頼』がこのシナリオライターさんにも確かにあるんですね。科学はとんでもない悲劇を引き起こすし、人類は愚かな行為を沢山引き起こしている、けれども、それでも、科学の発展と人類の営みは、時の流れと共に、より良いより豊かな世界を築いていくんだ!!っていうオプティミズムが物語の核としてあって、そこが凄く、作品をプレイして心が癒される感じなんですね…。作品の核として人間、そして人類に対する大きな希望がある。僕はこのシナリオライターさんの作品大好きです。ニトロプラスのシナリオライター虚淵玄さんと、作品を流れる思想が全く真逆に位置する作風ですね。

物事というのは、まぁ総じて放っておけば悪い方向に転がっていく。どう転んだところで宇宙が冷めていくことは止められない。”理に敵った展開”だけを積み上げて構築された世界は、どうあってもエントロビーの支配から逃れられないのである。
(虚淵玄。Fate/Zero同人版後書き)

ニトロプラス「君と彼女と彼女の恋。」クリエイターズインタビュー
http://www.nitroplus.co.jp/game/totono/playreview/creator.php
おまえ達(ニトロプラス)はそこまでやった。確かに凄い。だけど、僕達の『なつくもゆるる』だって凄い。やってやる、真っ向勝負だ、ファック!(中略)

僕は全身を震わせ、肌を粟立てながら、歯を食いしばって、想っている。おまえ達はそこまでやった。確かに凄い。だけど、僕達の『なつくもゆるる』だって凄い。方向性は違うがおもしろさでは負けちゃいない。テメーとやりあえるような奇特なゲームは6月じゃ、ウチくらいだ。やってやる! 何をやってやるのかよくわからんが、とにかくやってやる! ファッキン真っ向勝負だ!

渡辺僚一氏

シナリオライター
半端マニアソフト所属
代表作 『なつくもゆるる』(すみっこソフト)等

「なつくもゆるる」とてもお勧めの作品です。特にSF好きなら、これをプレイせずにSFゲーを語るなかれと断言できる、素晴らしいSFゲームだと確信しています。僕が今までにプレイしたSFゲーム、そして読んできたSF小説の中においても、そのスケールの大きさ(果てしなき時の流れの後に訪れる宇宙の熱的死を乗り越える)において、最高峰に位置すると思います。そして、SF史に残る傑作「幼年期の終わり」に対する挑戦的なアンチテーゼになっているところも素晴らしい…。心から感動しました。

なつくもゆるる【予約特典:CD】
なつくもゆるる【予約特典:CD】

なつくもゆるる
はるまで、くるる。
継ぐのは誰か? (ハルキ文庫)
結晶星団 (ハルキ文庫)
果しなき流れの果に (ハルキ文庫)
幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

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2013年11月13日 15:15

君と彼女と彼女の恋。初回限定版
君と彼女と彼女の恋。通常版

ニトロプラスの新作「君と彼女と彼女の恋。」が4gamerのアドベンチャー開発者対談で凄く評価されていたのでプレイしてみたのですが…。

イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史
http://www.4gamer.net/games/074/G007427/20131108107/

うーん…。「君と彼女と彼女の恋。」をシステム的な面倒さ(意図的に導入されている面倒さ)に耐えて最終エンドを二回クリアしましたが(このゲームは一度クリアすると、アンインストールして再インストールしないと他のルートに行けない)、プレイした実感としては、対談で語られてる「アドベンチャーゲームの最先端を切り拓いた作品」とはとても思えない…。

この作品、基本構造も作品のメイントリックもキャラクター配置も何もかもが全て、エルフのゲーム「臭作」と全く同じなんですね。この作品はアドベンチャーゲームとして全く最先端ではないと思います。「臭作」は1998年のゲームなので、そこから全く同じアイデアを進化させることなくそのまま持ってくるというのは、むしろかなり古いタイプの作品なのではないかなと…。下記のようになっています。右が臭作、左が本作のキャラクターとなります。

ゲーム主人公:臭作=心一
ゲームプレイヤーに反旗を翻したゲーム主人公:メタに覚醒後の臭作=アオイ
ゲームヒロイン;絵理=美雪
ゲームプレイヤー:ゲームプレイヤー=ゲームプレイヤー

本作プレイ中、ずっと「これは二番煎じだなあ」という思いが胸をよぎっていました…。ゲームヒロインがゲーム主人公ではなく、その背後のゲームプレイヤーに恋をするゲームはメタフィクションゲーのある種の定番ですし、本作はその定番のお仕着せから抜けられていないかと思います。こういったタイプの作品では、「美少女ゲームキャラクターの限界」としての『ゲームキャラゆえの未知(現実の奥行き)の無さ』に自覚的だった「未来にキスを」とかの方が本作よりはメタゲーとしてずっと新しいと思います。

その人のことがわかってしまったら、もうその人のことでどきどきできなくなる。
(未来にキスを)

本作「君と彼女と彼女の恋。」は、メインヒロインがゲーム主人公ではなく、その背後でゲームをプレイしている現実のゲームプレイヤーを好きになるんですね。ゲームプレイヤーに直接アプローチしてくるまでゲームが進んだ頃には、ゲーム主人公のことはむしろ嫌っています。ちなみにヒロインはゲーム主人公のことを、『選択肢によって態度を変える人形』って呼んで嫌っていますが、プレイヤーから見るとヒロインの彼女こそがまさしくその言葉通りの存在なんですが…。

ゲームプレイヤーのことが好きになったヒロインは、ゲームプレイヤーに干渉するために、ゲーム内を改変するんですね。ヒロインはあくまでゲーム内のキャラクターなので、自分のいるゲーム内にしか干渉できない、それしかゲームプレイヤーに干渉する方法が無い訳です。

で、ヒロインに改変されたゲーム内がある意味凄い、なんというか、ゲームとして苦痛な世界です。セーブもロードもできず、延々とヒロインとループする日常を送らされます。

で、まあ色々あるんですが、基本的にヒロインはゲームシステムを支配しているため、結局はヒロインがゲーム内を支配して、プレイヤーに対してずーっと「好き好き」状態で終わりです。プレイ感としては臭作が無限に勝ち続ける終わりしかない臭作って感じですね…。うーん…。プレイ中ずっと劣化臭作をやっているような気分で、最後までそうでした。

本作と臭作は構造(ゲームキャラクターであることに自覚的でゲームシステムを自分に都合のよいように改変する登場人物、ゲーム主人公を嫌い、ゲームプレイヤーの方を愛するヒロイン)が全く同じな上、臭作と違って主人公にもヒロインにも全く魅力がないため、プレイしているとだんだん苦痛になってきます…。臭作はゲーム性の要素が高く、純粋にゲームとしても面白く遊べたんですが、本作はそういったゲーム性の要素は全く無いため、プレイが非常に辛い。

うーん…。本作、4gamerで名だたる開発者を集めて特集を組むほど新規にして優れた作品というのとは違うと思いました…。メタフィクションゲームとして、そこそこの出来という感じですね…。

最後に余談ですが、アドベンチャーゲームの新しい未来を目指すなら、ゲーム性を高くしてほしいなと思いますね。ただ文章を読むだけというのは、ゲームとしてはやはり辛い。プレイヤーが能動的にゲーム進行に関われる要素を増やして欲しいと、一プレイヤーとしては思います。

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2013年11月02日 20:20

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

まず初めに先月月末、ギフト券を贈って頂き本当にありがとうございます。お礼が遅くなり申し訳ありません。生活とても助かり心から感謝致します…。

本日は、九井諒子さんの短編漫画集「竜のかわいい七つの子」を読んだのですが、これがとても素晴らしい出来でしたのでご紹介致しますね。

九井諒子さんの漫画を読むのはこれが初めてなんですが、非常に質が高くて吃驚しました。どの作品にも優しくて気品があって暖かなユーモアと、短編漫画ならではの一つの局面の全体を大きくスケッチしたような客観的眼差しがあって、極めて質が高く面白い。読んでいて漫画家の川原泉さんの作品を思い出していました。優しくて暖かみのあるどこかすっとぼけたユーモアが、客観知性的に捉えられている(「知性的な眼差し=俯瞰的な突き放した眼差し」で捉えられてる)世界の諸様相を上手く中和して、全体を優しい感じの世界にしているのが川原泉さんに似た感じがあって素敵だなと…。

収録作のどの作品も非常によくまとまった短編なんで話をばらしてしまうことなく、ぜひこれは読んでみて欲しいという感じです。僕の一番好きな作品は「わたしのかみさま」ですね。こんなかみさまがいたらいいなあ…。

九井さんの作品のアマゾンレビューに「星新一っぽい」と書かれていましたが、どの短編集も確かにそんなところはありますね。先の「わたしのかみさま」を最後の落ちまで読んで、星新一さんの短編「ポケットの妖精」(「どこかの事件」収録)を思い出しました…。どの短編も星さんと同じく知性的(俯瞰的)に世界を捉えている。感情を抑えて世界の諸様相を捉えているところに気品があるんですね。そして、その上で九井さんの作品世界には叙情的な優しい眼差しがあるところがとても好きですね…。

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)
竜の学校は山の上 九井諒子作品集
ひきだしにテラリウム
どこかの事件 (新潮文庫)
川原泉著作一覧

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