「クズの本懐」第一話視聴。これ以前漫画が話題になってたとき、1〜3巻ぐらいまでブックオフでさらっと読んで、自分には合わないなと思った作品なんですよね。原作もそうですが登場人物達がなんでこんなに外面を気にしてるのか分からない…。

今回のアニメ版は原作漫画より遥かに演出・構成が上手く、演出で雰囲気出していますが、結局のところ、お互いに好きな人間がいる同士が、それとは別に性的満足を満たす為にお互いに好きではない異性とセックスフレンド(外見上は恋人関係)になっている関係を描いているだけで、しかもなぜかお互いにそのことを非常に気にしている(外面を気にしている)。原作と同じく大筋が微妙なんですよね…。お互いに合意の上のセックスフレンド関係は別に何の問題もないだろうって感じる人向けではないです。本作は価値観の中においてセックスや恋人という概念の占める割合が極めて大きい一部の若者(いわゆるリア充な若者カップル)向けの作品だと思います。実写化も決まっているように、商業的には売れる作品と思います。前述のような若者こそが「君の名は」の大ヒットを見れば分かるように日本の購買層において大きなシェアを占めていますから。ただ、オタク向けかといわれると微妙だなあ…。どちらかというと前述した、既にカップル関係を築いているリア充の若者向け作品だと思います。

ただ、アニメ版で一つだけ感心したのは、ヒロイン役をやっている安済知佳さんの独白や台詞の声色が凄まじくエロティックで、ここは見事に上手いと思いましたね。

最初、メインヒロイン役は花澤香菜さんだと思って間違えてブログ書いてしまった…。申し訳ない。違う方だったのか…。

メインヒロイン役の安済知佳さん、性的なものを強く抑圧していることで逆に非常に性的なものに対して強い渇望を抱いている(その渇望は異性に対する精神的な好意などを凌駕している)、そして自らがそのような渇望を抱いていることを男性に意識させる声色を出す本作のヒロインを極めて見事に演じていて感服致しました。本作はこの声を聞くためだけに視聴を継続していいかなと…。エロティックな「男の煩悩を刺激する、味の濃い煮詰まってる声」(田辺聖子)なんですよね。それを本作では、まさにフルパワー、100%の100%で発揮していて凄かった。素晴らしい適役です。男子中学生が聞いていたら声だけで鼻血を吹くんじゃないかと心配になるほどの破壊力です。マルキ・ド・サドが「人間の最もエロティックな要素は声色である」と述べていたことを思い出します…。

久野ははじめて以和子と寝たときに、
〈やっぱりや…思た通りや〉
と深い満足に嗄れた声で囁いた。
〈何がですか?何が思た通りやのん?〉
〈肌や。あんたの顔見てて、綺麗な肌やろな、思てたんや。それに声、やな〉
〈声〉
〈そや。スケベな声や〉
〈……そんなん、いわれたことない〉
〈世間のアホは知らんねん。知ってるもんはわかる〉
〈べつにわたし、スケベな声、出してるつもりあらへんわ……〉
〈違うねん、どないいうのんかいなあ、あんたの声はいろんなこと想像させるねん……こんなん知っとる女と違うか、とか、こんなんさせたらどないやろ、とか、男に煩悩おこさせるんやな、男の想像いうたらみな、煩悩やさかい……〉
〈でもわたし、もてたことありません……〉
〈うそつけ、あんたのスケベは度が深いデ。煮返して、かなり味が濃うなっとる。煮詰まっとるんやな〉

あの久野という男は阿呆であったが、煩悩という言葉を使ったのと、以和子の「煮詰まった」雰囲気を嗅ぎ当てたのはちょっとマシや、と以和子は思っている。しかし遊び人というのは底が浅く、じきに以和子は飽いてしまった。久野のほうがまだ煮詰まっていないのだ。もっと煮返してから来い、と以和子は言いたかった。

鹿を逐う猟師山を見ずというけれど、あんまり遊びすぎるとまた野暮にかえってしまい、女心が見えなくなってしまうのであろうか、いややはり天性のものなのであろう。
(田辺聖子「雪の降るまで」「ジョゼと虎と魚たち」より)

(結婚や恋愛と繋がらない大人の男女関係は)スマートで、社会的に影響を与えないなかで自分たちだけで駆け引きしている、いわゆるラブアフェア。つまり、情事の類です。
 
後腐れのないアフェアは楽しいから、それはそれで楽しめれば素晴らしいんじゃないかな。常軌を逸したいタイプの私はそれを恋とは呼ばないけれど、肉体的にも精神的にも少しでも人に求められると気持ちいいじゃない?誰だって愛されたいと願うし、それは卑しいけれども必要な欲望。(中略)

田辺聖子さんの短編に「雪の降るまで」という作品があって、あれこそが私の理想の大人の恋愛です。しっぽりしていて、性の歓びも描いてある。滋味のわかる大人でないと書けないもの。
(山田詠美「大人こそ欲望に忠実でありたい」婦人公論2009年7月号より)

「あんたの声はいろんなこと想像させるねん……」というまさにこれなんですね。例えば悠木碧さんの声色聞いて「純粋さを感じさせる美しいクリアな声色だな、好感が持てるな」と感じる人は大勢いると思いますが、「エロティックさ」を感じる人はあまりいないと思うんですね。声優さんの声色の特質は千差万別ですが、本作の声色、男子中学生が聞いただけで鼻血を吹く声といいますか、まさに、

……どないいうのんかいなあ、あんたの声はいろんなこと想像させるねん……こんなん知っとる女と違うか、とか、こんなんさせたらどないやろ、とか、男に煩悩おこさせるんやな、男の想像いうたらみな、煩悩やさかい……

そんな声色を本作のメインヒロインに抜擢したのは完璧な配役であると断言できますね!!パーフェクトだ!!

この声を聞くためだけに本作視聴を継続しよう…。画面は見ないで本を読みながら声だけ聞いていればいいかな…。

最後に余談ですが、田辺聖子さんの「雪の降るまで」が収録されている短編集「ジョゼと虎と魚たち」の表題作は映画も素晴らしいので、まだ見ておられないお方々は映画もぜひ見て欲しいな。

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)
著者:田辺 聖子
KADOKAWA/角川書店(1987-01-01)
販売元:Amazon.co.jp

ジョゼと虎と魚たち Blu-ray スペシャル・エディションジョゼと虎と魚たち Blu-ray スペシャル・エディション
出演:妻夫木聡
TCエンタテインメント(2012-09-05)
販売元:Amazon.co.jp

([た]1-3)感傷旅行 Tanabe Seiko Col (ポプラ文庫)([た]1-3)感傷旅行 Tanabe Seiko Col (ポプラ文庫)
著者:田辺 聖子
ポプラ社(2009-02-02)
販売元:Amazon.co.jp

孤独な夜のココア (新潮文庫)孤独な夜のココア (新潮文庫)
著者:田辺 聖子
新潮社(2010-02-26)
販売元:Amazon.co.jp

クズの本懐(8) プレミアムヴィジュアルコレクション付き 初回限定特装版 (SEコミックスプレミアム)クズの本懐(8) プレミアムヴィジュアルコレクション付き 初回限定特装版 (SEコミックスプレミアム)
著者:横槍 メンゴ
スクウェア・エニックス(2017-03-25)
販売元:Amazon.co.jp

【Amazon.co.jp限定】クズの本懐 1(全巻購入特典:「描き下ろしイラストB2布ポスター(花火、茜)」、全巻購入メーカー特典:「横槍メンゴ描き下ろしイラスト全巻収納BOX」引換シリアルコード付)(完全生産限定版) [Blu-ray]
アニプレックス(2017-03-29)
販売元:Amazon.co.jp

閨房哲学 マルキ・ド・サド選集 (河出文庫)閨房哲学 マルキ・ド・サド選集 (河出文庫)
著者:マルキ・ド・サド
河出書房新社(1992-04-06)
販売元:Amazon.co.jp

アマゾンギフト券ストア



アマゾンOTAKUストア
TVゲーム総合ストア
アニメーション総合ストア
漫画コミック総合ストア
ホビー・フィギュア・トレカ総合ストア
食品&飲料総合ストア
ペット用品総合ストア
電化製品・家電製品総合ストア
パソコン及び周辺機器・消耗品総合ストア
PC18禁ゲーム総合ストア
amazon液晶テレビ総合ストア
クラシック音楽総合ストア
アマゾンギフト券ストア
amazonトップページ