2016年12月08日 18:26

AFPによるとドイツ公共放送がポリティカル・コレクトネスを理由にメディアコントロール。PCが完全にメディア統制の道具にされていますね。グローバリズムは最終的に独裁に帰結する。

市場独裁主義批判 (シリーズ社会批判)

(グローバリズムによって)社会的・人間的なものの全ては脇に除けられ、ゴミのように捨てられます。
(ピエール・ブルデュー)

ドイツ公共放送、難民少年のレイプ殺人報道控え非難殺到
http://www.afpbb.com/articles/-/3110554
12月8日 AFP】ドイツで女子医学生(19)をレイプして殺害した容疑で難民申請中のアフガニスタン人少年(17)が逮捕された事件について、反移民感情をあおるとの懸念から報道を控えたドイツ公共放送ARDに批判が殺到している。(中略)ソーシャルメディア上では、「ポリティカル・コレクトネス(政治・社会的な公正さ)」の立場を維持したいとの思惑や、政府のリベラルな移民政策に否定的なイメージを与えるとの懸念から事件を故意に無視したとの番組批判は収まっていない。

反民主的な独裁国家が最も重視することは、メディアを統制下においてコントロールすることなんですね。軍事クーデターの時に真っ先にテレビ局が狙われるのはこの理由です。ポリティカル・コレクトネスは、反民主的な独裁政治がメディア・コントロールを行う時の理由付け・大義名分にされるのではないかということは、相当前からヨーロッパの広範な知識人層に懸念されていたことですが、ついにきてしまったという感じですね…。

今回ドイツで起きたメディア統制は、ポリティカル・コレクトネスというよりは、PC(ポリティカル・コレクトネス)を大義名分にした単なる独裁的なメディア統制であり、国家によるメディア統制は反民主主義な犯罪的行為であるということをきちんと欧州の国民が主張していかないと、欧州の独裁的グローバリスト達・EU官僚達がポリティカル・コレクトネスを大義名分としてメディア統制、そして国民統制を強化してゆく可能性が高く、欧州の民主主義の先行きが非常に危険ですね…。

グローバリズムは反論を許さないドグマそのものなので(グローバリズムは常に労働力の移転が必要な為、後退を許さない全世界主義であり、思想的にはナチスドイツなどの世界主義的な独裁国家と親和性が高い)、各種多様な意見を折衝してすり合わせる民主主義とグローバリズムの相性は最悪なんですね。ですので、グローバリスト達はグローバリズムが国民の支持を失えば、今度は独裁を始める。それは昔から予想されていましたが、ついに始まったという感じですね…。「これは終わりではない。始まりなのだ」(チャーチル)ですね…。

独裁的な党派が、独裁的な意思決定プロセスで実現した革命後の世界が、民主的なものになるはずはないのである。(中略)(メディアを統制するグローバリズム国家は、国民の為にメディアを統制しているというが)秘密をリークされて困るのは権力者であって、国民ではないのだ。国民に秘匿された情報を誰が何の為に使うのだろうか。たとえそれが、国家の安全の為に使われるのだとされても、その権利の行使は国民ならざるもののみに付与されるということになってしまうだろう。
(平川克美「グローバリズムという病」)

(グローバリズムによって)数々の前提が当たり前のこととして刷り込まれます。(グローバリズムの目標は)最大限の成長、したがって生産性と競争力が人間の活動の唯一最終の目標である、ということになります。経済的な力には抵抗できない、ということになります。さらに、経済のすべての前提を基礎付ける前提として、経済的なものと社会的なものがラディカルに切断されます。

後者(社会的なもの・人間的なものの全て)は脇に除けられ、ゴミのように社会学者の足元に棄てられます。さらにもう一つ、重要な前提があります。それは私たちに襲いかかってくる言語表現です。新聞を開きラジオをつけるたびに、私たちが否応なしに読まされ聞かされる婉曲語法です。(中略)

皆さん自身、容易に見つけることができることでしょう。フランスでは、いまでは「経営者」とは言いません。「国の活きた力」と言います。「解雇」ではなく、スポーツを連想させる隠喩を使って(力強い身体はひきしまってないといけません)「減量(低脂肪化)」と言います。二千人の労働者を解雇しようとしている企業について「アルカテル社の大胆な人事計画」とコメントされます。含意に富み、好都合な連想をさせる「弾力性」だとか「規則解除」だとかいった用語を使って、ネオ・リベラリズムのメッセージは自由化・解放の普遍主義的なメッセージであると信じ込ませようとするのです。(中略)

現状においては、知識人や組合、市民団体の批判的な戦いは、まず第一に国家の消滅に反対することに向けられなければなりません。国民国家は今、外からは金融勢力によって、内からはそれら金融勢力の共犯者たち、すなわち金融業界、高級財務官僚などによって、その土台を掘り崩されています。

被支配層は国家を、特にその社会福祉的側面を、擁護しなければならない、と私は考えています。この意味での国家擁護はナショナリズムに発するものではありません。国民国家と戦うことはありえます。しかし、国民国家が果たしている「普遍的な」機能――そして、超民族国家もまた同じく果たしうるであろうような「普遍的な」機能は擁護しなければなりません。
(ピエール・ブルデュー「市場独裁主義批判」)

『経済のすべての前提を基礎付ける前提として、経済的なものと社会的なものがラディカルに切断されます』
『ネオ・リベラリズムのメッセージは自由化・解放の普遍主義的なメッセージであると信じ込ませようとするのです』
『被支配層は国家を、特にその社会福祉的側面を、擁護しなければならない、と私は考えています。この意味での国家擁護はナショナリズムに発するものではありません』

ブルデューの述べる上記のこと、このことこそが大事なことなのに、日本のリベラルはグローバリズムを進めることが無条件が良いことだと思っている人が多くて、その結果、安倍政権は間違っているが安倍政権の掲げる「グローバリズム推進」自体は正しいみたいなおかしな考えになるリベラルの人も大勢いる(政権を取ったらグローバル貿易・投資省を作ると言っている民進党とかこういう考えの人が大勢いる)。グローバリズムこそが、国民主権国家を解体し、社会福祉、そしてそれだけにとどまらず、民主主義と人権すらも、それらの存在自体を根底から消滅させるものなんですよ…!このままグローバリズムを推し進めたらその先には独裁国家、自由と人権は失われ、資本が人々を独裁統治する封建的世界しか待っていません…。

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