時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

TPP発効へ努力継続を=トランプ氏翻意に期待―産業界
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161122-00000152-jij-bus_all
トランプ次期米大統領が米国の環太平洋連携協定(TPP)離脱を公約通り進める方針を示したことに対し、産業界からは発効に向けた努力を継続するよう日本政府に求める声が相次いだ。

日本の上記のような状況を見ると、日本の長期的な先行きについて悲観的にならざるえないですね…。トランプ大統領がTPPを大統領就任初日に離脱すると宣言した21日のユーチューブ演説、アメリカの各ニュースサイトだと大多数のアメリカ人が「トランプが選挙公約における最も重大な公約を守った」ということで、トランプ大統領支持のコメント出してるんですよね。日本がそこに外圧を掛けてゆくということは、トランプのTPP離脱を支持している草の根のアメリカの人々を完全に敵に回すということで、ネットの影響力が拡大した現代においては、それこそ1980年代のジャパン・バッシングなどとは比較にならないほどにアメリカの人々の反日感情を大きくかき立てることになると思いますね…。

そこまでしてアメリカとの関係を悪化させてまでTPPによるグローバル大企業群の利益の最大化を図っても、グローバル大企業群は日本のことなど1ミクロンほどにも考えてないですし、日本国に税金を納めることすら考えていないですよ(タックスヘイブンによる脱法的節税)。安倍首相がグローバル大企業群の言いなり政治しかしていないことは、結局、日本国と他国の関係を悪化させて日本国全体に大打撃を与えていくだけ。

だいたい、グローバル大企業群の利益のみを考えて作られた協定であり協定各国の国家主権を制限する協定であるTPPが中国包囲網に使えるという発想自体が意味を為さない幻想であって、グローバル大企業群にとっては国家は、日本であろうとアメリカであろうと中国であろうと、どこでも利益を得るための獲物にしか過ぎない訳です。クルーグマンとかスティグリッツとか経済学者達がそれこそみんな口を揃って述べてますが、そのような代物(国家への帰属意識など元から無いグローバル企業)を国家戦略として使うことは元々できないんですね。グローバル大企業群は利益のためだけに動き、ゆえに利益で誘導されるので、国家間同盟などとは違い、身軽で自由に世界中を動くため、裏切りとかそういう概念は通用せず、ただ利益に誘導されて何処へでも行くだけです。つまり、TPPがあろうがなかろうが、グローバル大企業群は中国に利益があるとみれば中国に味方する。グローバル大企業群というのはそういう存在ですよ。

いい加減、グローバル大企業群と民主主義国民国家は基本的に対立する存在であるということを、日本国も認めるべきだと思います。グローバル大企業群と相性が良いのは開発独裁などを行い資本主義経済を敷いている独裁国家やタックスヘイブン国家などであって、民主主義国民国家とグローバル大企業群の相性は最悪なんですね。日本以外の先進的な民主主義国民国家(欧米諸国)はみんなそのことが分かっているのに、日本だけそのことが全然分かっていないし周知もされていないのは、本当に日本の明日を危機に陥らせることと思います。「グローバル大企業群と民主主義国民国家は基本的に対立する存在」ということについて、ドイツの社会学者のヴォルフガング・シュトレークがとても分かりやすく語っているので抜粋して引用致しますね。

(インタビュー)グローバル化への反乱 社会学者、ヴォルフガング・シュトレークさん
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12669687.html
――グローバル化の盟主だった米国で、世界に背を向ける発言を繰り返してきた人物が大統領に就くことになりました。

「私たちが目にしてきた形のグローバル化が、終わりを迎えようとしているのかもしれません。自由貿易協定も、開かれすぎた国境も、過去のものとなるでしょう」

「米大統領選はグローバル化の敗者による反乱でした。国を開くことが、特定のエリートだけでなく全体の利益になるというイデオロギーへの反乱です。そのような敗者たちはさげすまれ、政治からいずれ離れるというエリートたちの楽観は、一気にしぼみました」

――技術の進歩やグローバル化の恩恵にあずかれず、「置き去りにされた」という不満が、米国だけでなく世界で渦巻いています。

「格差の広がりは、自由市場の拡大がもたらした当然の結果です。国際競争で生き残る、という旗印のもと、それぞれの国家は市場に従属するようになりました。政府が労働者や産業を守ることが難しくなったのです」(中略)

「グローバル化に対する(グローバル化を推進するリベラル左翼からの)一つの答えは、『よし、みんなでスウェーデン(自由資本経済を推進する社会民主主義国家)になろう』です。しかし、スウェーデンは腐敗のない政府や労働市場、教育に対し、半世紀以上にわたり投資を続けてきた国です。小国ゆえ、競争力と社会的平等を両立できるポジションを、世界経済の中に見つけることもできました。ごく例外的なケースであり、ほかの国が簡単にマネできるようなものではありません」

「重要なのは、そのスウェーデンですら1990年代以降、格差の拡大が世界的にも最速で進んだということです。資本の移動が自由になったからです。企業が課税に抵抗するようになり、投資を国内にとどめておくため、政府が税率を劇的に引き下げたのです」

――法人税など企業の負担軽減を競い合う「底辺への競争」から、どの国も逃れられないというわけですね。

 「国家までが国際競争にさらされた結果、福祉国家であることがとても高くつくようになりました。グローバル化した資本は、規制や労働組合、高税率といった『社会民主主義の檻』に我慢できなくなった。資本が動きやすくなる一方、働き手は簡単には移動できない。資本がどんどん優位になり、こうした『檻』が打ち破られてきたのです」(中略)

今は中央銀行によるマネーの供給に頼りきりです。いずれも、先駆けたのは米国でした。『時間かせぎ』の間に、危機は深刻さを増しています」

――日本も同じ流れのなかにあるのでしょうか。

「大きな傾向は日米欧とも同じですが、停滞を真っ先に経験したのが日本でした。日本では長期雇用と年功賃金制が社会の安定の源でした。80年代以降、企業が競争力を失っても、政府の支えのもと銀行が融資を続けたのは、長期雇用に手をつけて『内戦』になるのを避けるためです。その結果が不良債権問題であり、長期停滞です。賃金は上がらず、非正規雇用へのシフトが進みました」

「やはり金融緩和に頼ったアベノミクスは、目標をまったく達成できずに失敗しました。他の国も含め『時間かせぎ』はそろそろ限界です。いつかの時点で、借金取りが回収にやってくるのです」

――そもそも長期停滞は避けられないのですか。

「いま成長を阻んでいるのは格差です。お金は、それを使わないお金持ちのポケットにたまっているだけ。人々の不満が高まり政治が不安定化したことで、投資もしづらくなり、人を雇うよりも金融市場で投機的に利益を上げようという考え方が幅をきかせました。現金の山の上に富裕層が座ったまま、雇用が増えなければ、需要など生まれません」

――欧州も米国もナショナリズムの高まりが懸念されています。

「私はさほど問題だとは思いませんね。むしろ国家が機能していないことが問題です。市場経済がもたらす不確実性に生身の人間がさらされるとき、守ってくれるのは政府であり国家です。しかし既成政党は『残念ながら何もできない』と告げるばかり。いやならもっと働け、もっと努力しろ、と」

「私たちがいま直面しているのは、国境のコントロールを失って国が形骸化する、現代国家そのものの危機なのです。英国のEU離脱運動のかけ声は『コントロールを取り戻せ』でした。ここドイツでも、難民問題、資本の流出、パナマ文書が示すような税逃れ、雇用の空洞化と、同様の問題には事欠きません」

――そうした不安が、ポピュリズムの台頭を招いたのですか。

「先進国の投票率は70年代から低下し続けました。政治への満足感とみなす説もありますが、私はむしろ、あきらめの表れだと思います。それが、この数年間で上昇に転じたのです。ポピュリズム政党などが支持を集めたせいです」

「こうした民意の反乱は、エリートが当てにならない場合に出てくる、先々に望みのある反応です。ときに醜い形をとりますが、墓地のような静けさを保ったままでは、なにも変わりません」

――そうは言っても、トランプ氏やポピュリズム政党の政策を見てください。排外的だったり、実現可能性が疑わしかったりして、とても真っ当とは思えません。

「反グローバル化デモに繰り出す人やポピュリズム政党を支持する人たちを、政策がダメなのになどと批判するのはお門違いです。『真っ当な政策』など、政治家や官僚、エコノミスト、国際機関にだってないのだから。ドラギ(欧州中央銀行総裁)やイエレン(米連邦準備制度理事会議長)は、あたかも長期的な戦略があるかのように振る舞っていますが、実際には完璧なプランなどありません」

――この際、さらに「時間かせぎ(更なる世界的金融緩和)」をする手はありませんか。

「金融緩和が行き詰まった後に危機を先送りできる手段は見当たりません。もしドラギが『答えがない』と言えば、翌朝には世界経済は大炎上でしょう。しかし、私は解決策はないと断言させてもらう。(中略)」

――解決策とまではいかずとも、事態を改善するために何かできることはないのでしょうか。

「毎日仕事に出かけ、子育てに追われる普通の人々が、政治から遠ざけられてきました。富だけでなく、政治へのアクセスをめぐる格差の広がりが何をもたらしたのか、政治権力に真剣に考えさせるべきです。彼らは臆病なので、人々が立ち上がれば向き合わざるを得なくなります」

「トランプは問題解決にはほど遠いですが、彼のおかげで、問題を否定し続けることはできなくなりました。人々が利害を軸に集団をつくり、そのために進んで戦うという、生々しい意味での政治制度の復権。そこに私はまだ、希望を持っています」

これ、非常に重要なことを指摘していて、日本を含めて全世界のグローバリズム支持リベラル左翼が持ち上げる社会福祉国家のスウェーデンすら、グローバリズム経済によって、貧富の格差の拡大と社会構造の不安定化(日本で起きてることと同じです)が起きて社会が全体を通して貧困化して国民の生活が厳しくなり国家が混乱してるんですよね。近年の北欧ミステリとか、グローバリズムによる貧困が陰惨な事件を引き起こすみたいなテーマが大きくなってきている。それなのにテレビのコメンテーター連中などは「グローバリズムは素晴らしい!」と、全く世界の現実に即していないたわ言をほざくばかり。日本みたいな社会福祉が全然整っていない国でグローバリズムを進めれば、北欧諸国以上の大惨事になることは当然でありそれは既に起こっているのに、そこから完全に目を背けてグローバル大企業群の言いなりになっているマスメディアには本当に怒りを感じますね…。

――法人税など企業の負担軽減を競い合う「底辺への競争」から、どの国も逃れられないというわけですね。

「国家までが国際競争にさらされた結果、福祉国家であることがとても高くつくようになりました。グローバル化した資本は、規制や労働組合、高税率といった『社会民主主義の檻』に我慢できなくなった。資本が動きやすくなる一方、働き手は簡単には移動できない。資本がどんどん優位になり、こうした『檻』が打ち破られてきたのです」

「いま成長を阻んでいるのは格差です。お金は、それを使わないお金持ちのポケットにたまっているだけ。人々の不満が高まり政治が不安定化したことで、投資もしづらくなり、人を雇うよりも金融市場で投機的に利益を上げようという考え方が幅をきかせました。現金の山の上に富裕層が座ったまま、雇用が増えなければ、需要など生まれません」

「反グローバル化デモに繰り出す人やポピュリズム政党を支持する人たちを、政策がダメなのになどと批判するのはお門違いです。『真っ当な政策』など、政治家や官僚、エコノミスト、国際機関にだってないのだから。ドラギ(欧州中央銀行総裁)やイエレン(米連邦準備制度理事会議長)は、あたかも長期的な戦略があるかのように振る舞っていますが、実際には完璧なプランなどありません」

「トランプは問題解決にはほど遠いですが、彼のおかげで、問題を否定し続けることはできなくなりました。人々が利害を軸に集団をつくり、そのために進んで戦うという、生々しい意味での政治制度の復権。そこに私はまだ、希望を持っています」

欧米諸国の場合は、おそらくシュトレークが希望を抱き、ダニ・ロドリックが「グローバリゼーション・パラドクス」で予想した通り(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1916039.html)、ボトムアップな民主主義(草の根の国民の声)がポピュリズム政党を通してグローバリズムにストップを掛けて、保護主義によって労働者を保護しながら社会福祉などが拡充されることになり、国民がそれなりの生活を再びできるようになって、国家がこれまで通りの国民国家として存続し続けると思います。ただ、日本国については、悲観的にならざるを得ませんね…。

なぜかといいますと、日本の主要政党はほぼ全てグローバリズム推進派で政治の選択肢がない(反グローバリズムのポピュリズム政党が日本には存在しない)という、非常に詰んだ政治状況があるんですね。そのため日本の場合は、今後十数年はグローバル大企業群の横暴な収奪がもっともっと酷くなって、国内が格差の拡大と貧困化により混乱して、最終的には国家が滅びるような絶望的な予感がしますね…。

日本は地政学的にも厳しい立ち位置にある上に、社会福祉は脆弱で食料自給率も低く人口も減少しており、そしてなにより、与党自民党も野党民進党もグローバリストの集まりで、国家を滅ぼしてでもグローバリズムを進めようとしているグローバル大企業群の一員の連中しかいないという詰んだ状況なんですね。日本には国民の声を反映するポピュリズム政党が存在しない(政権を担う可能性を持つ主要な政党は全て財界の意向を受けたグローバリズム政党)、それにより民主主義が機能しないんですね…。

昔から指摘されている通り、日本の政治は官僚・政治家・財界人によるトップダウンだけの政治で、ボトムアップ(草の根民主主義)は完全にゼロなんですね。グローバリズムというのは、トップとボトムを格差の広がりで分離するので、ボトムアップの民主主義が機能しない国家(大多数の国民の意志が反映されない国家)の場合、それこそ第三世界もかくやのような極端な格差の開いた極端な非民主的階層社会になってしまうんですね…。そのような非民主主義的な国家でグローバリズムが更に進むと、格差の拡大による民衆の反乱とその抑圧が同時に進行して国内情勢が混乱するので、厳しい地政学的条件の中で生き残る可能性はかなり低いと言わざるをえないでしょう…。

時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか
著者:ヴォルフガング・シュトレーク
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