2016年02月24日 07:16
ウェイクフィールド「ゴースト・ハント」読了。近代最後の幽霊譚にしてフリーホラーゲームの原点!
ゴースト・ハント (創元推理文庫)
近代最後の幽霊譚(ゴースト・ストーリー)作家として名高いH・R・ウェイクフィールドの傑作短編集「ゴースト・ハント」読了。面白くて徹夜で読んでしまいました。幽霊屋敷譚の代表的な傑作である表題作「ゴースト・ハント」をはじめ、幽霊屋敷譚が多いのも現代の視点から見ると新鮮で面白い。幽霊屋敷譚以外もバラエティに富んだ超自然現象ホラーの数々が楽しめる珠玉の短編集でした。
「怪奇文学大山脈」(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1876667.html)でも触れられていましたが、第二次世界大戦前から幽霊譚の名手として欧州でで活躍したイギリス人作家ウェイクフィールドは、第二次世界大戦後、怪奇幻想文学が欧州で衰退していく「怪奇文学の黄昏」において、名の知れた最後の幽霊譚作家となったのですね。戦後もアメリカでは怪奇幻想文学は「ウィアード・テイルズ」などのパルプ雑誌の隆盛やクトゥルフ神話のムーブメントなどで一定の隆盛を見せましたが(それが最終的にはS・キング等が代表するモダンホラーの大隆盛に繋がる)、欧州においては、戦前は「グラン・ギニョール」(余談ですが女神転生4ファイナルでもこれがテーマになっていましたね…メガテンでクリシュナが言ってたような人形劇では別にないんですが…)によってムーブメントになった怪奇幻想は、第二次世界大戦の打撃によって廃れてしまい、古典的な幽霊譚などは衰退してしまったのですね…。
ウェイクフィールドは「戦後の欧州における怪奇幻想文学の衰退」の余波を最も受けた、「最後のゴースト・ストーリー作家」なのですね…。残念なことに、彼の多くの作品は彼自身が晩年に原稿を破棄し、戦前に雑誌などに発表した作品も、発表された雑誌が第二次世界大戦中の混乱期に市場から消えて見つからなかったりで、もはやどうなったのか行方の分からないものが多いようです…。
晩年のウェイクフィールドは、アメリカのパルプ雑誌以外に発表の場がなく、怪奇幻想文学の先行きに非常に悲観的になっていて、「ゴースト・ストーリーの創作は滅び行く芸術だと信じている」(さらばゴーストストーリー)といったようなことを書いておりますが、これだけは違ったかなと…。戦後の欧州に怪奇幻想テーマの発表の場がなかっただけで、発表の場さえあれば、怪奇幻想を求める人々は大勢いたと思うんですね。現に戦後のアメリカや日本では怪奇幻想は小説と言う枠を遥かに超えて、「モダンホラー」としてエンターテイメントの一大ジャンルな訳でありますし。まあ、日米の両国はその他の諸外国に比べると、日米の国民の大勢は娯楽としての怪奇幻想がとびきり大好きというものもありますが…。
ウェイクフィールドの短編は読んでて感じるのは、本当に上手いんですね。不気味で何だか分からない雰囲気をどんどんと盛り上げていって、一気に恐怖が来て、そしてパッと幕を引く。凄く読んでて面白い。これって、「コープスパーティ」を始めとする日本のホラーのフリーゲームだなと読んでて感じましたね。というか、ウェイクフィールドが近代幽霊譚の原点かつ最後の終点としてあって、その影響が回りまわって日本の洋館幽霊譚ホラーになっているわけで、その辺が凄く面白い。表題作の「ゴーストハント」とか収録作の「赤い館」とか、展開や恐怖感の盛り上げ方(何だか分からないけど恐ろしいものがいる屋敷にいて逃げられない恐怖、その恐怖が盛り上がっていく)やその陰鬱な幕切れ、まさにフリーホラーゲーム、VIPRPGの傑作「闇市を廃館に閉じ込めて微笑ましく見守りたい」とか読んでいて思い出していました。
「闇市を廃館に閉じ込めて微笑ましく見守りたい」(VIPRPGWIKI)
http://www10.atwiki.jp/vip_rpg/pages/620.html
本書、凄く雰囲気のあって面白いホラー短編集です。極めて王道で古典的なホラーの楽しみが味わえる優れた傑作集です。ホラー小説好きの方だけでなく、フリーのホラーゲームが好きな方にもお勧めですね。まさにホラーゲームの代表である「幽霊屋敷譚」等、様々なバラエティに富んだ古典的ホラーの原点の楽しさが味わえて読んでいてぞくぞくして楽しいですよ。ご一読お勧めできる良い作品集でした。
ゴースト・ハント (創元推理文庫)
著者:H・R・ウェイクフィールド
東京創元社(2012-06-28)
販売元:Amazon.co.jp
グラン=ギニョル傑作選―ベル・エポックの恐怖演劇
水声社(2010-11)
販売元:Amazon.co.jp
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近代最後の幽霊譚(ゴースト・ストーリー)作家として名高いH・R・ウェイクフィールドの傑作短編集「ゴースト・ハント」読了。面白くて徹夜で読んでしまいました。幽霊屋敷譚の代表的な傑作である表題作「ゴースト・ハント」をはじめ、幽霊屋敷譚が多いのも現代の視点から見ると新鮮で面白い。幽霊屋敷譚以外もバラエティに富んだ超自然現象ホラーの数々が楽しめる珠玉の短編集でした。
「怪奇文学大山脈」(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1876667.html)でも触れられていましたが、第二次世界大戦前から幽霊譚の名手として欧州でで活躍したイギリス人作家ウェイクフィールドは、第二次世界大戦後、怪奇幻想文学が欧州で衰退していく「怪奇文学の黄昏」において、名の知れた最後の幽霊譚作家となったのですね。戦後もアメリカでは怪奇幻想文学は「ウィアード・テイルズ」などのパルプ雑誌の隆盛やクトゥルフ神話のムーブメントなどで一定の隆盛を見せましたが(それが最終的にはS・キング等が代表するモダンホラーの大隆盛に繋がる)、欧州においては、戦前は「グラン・ギニョール」(余談ですが女神転生4ファイナルでもこれがテーマになっていましたね…メガテンでクリシュナが言ってたような人形劇では別にないんですが…)によってムーブメントになった怪奇幻想は、第二次世界大戦の打撃によって廃れてしまい、古典的な幽霊譚などは衰退してしまったのですね…。
ウィキペディア「グラン・ギニョール」
グラン・ギニョール(Grand Guignol)とは、フランス、パリに19世紀末から20世紀半ばまで存在した大衆芝居・見世物小屋のグラン・ギニョール劇場(Le Théâtre du Grand-Guignol)のこと。またそこから転じて、同座や類似の劇場で演じられた「荒唐無稽な」、「血なまぐさい」、あるいは「こけおどしめいた」芝居のことをいう。フランス語では"grand-guignolesque"(「グラン・ギニョール的な」)という形容詞は上記のような意味合いで今日でもしばしば用いられる。(中略)第二次世界大戦後の劇場は次第にマンネリ化が顕著になり、最終的には1962年、映画などとの競争に敗れる形で閉鎖された。
ウェイクフィールドは「戦後の欧州における怪奇幻想文学の衰退」の余波を最も受けた、「最後のゴースト・ストーリー作家」なのですね…。残念なことに、彼の多くの作品は彼自身が晩年に原稿を破棄し、戦前に雑誌などに発表した作品も、発表された雑誌が第二次世界大戦中の混乱期に市場から消えて見つからなかったりで、もはやどうなったのか行方の分からないものが多いようです…。
(ウェイクフィールドは)ゴースト・ストーリーの伝統を継承しつつ現代的な作風で一世を風靡した作家でした。だが、全盛期の人気と専門家の高い評価にもかかわらず、今日、大方の読者には忘れ去られた存在であります。(中略)
晩年のウェイクフィールドは世捨て人同然の暮らしだったといいます。母国イギリスで(戦後の欧州にて怪奇文学が衰退して発表の場が消えたことで)作家活動の道が閉ざされ、病魔に冒されて若い頃から慣れ親しんできた戸外のレクリエーションもままらないとあっては無理からぬことだったかも知れません。彼は死の直前、こんな物に興味を示すものなどいないといって、日記や書簡、原稿類を全て破棄してしまいました。写真・肖像画のたぐいもほとんど残っておらず、彼の死後、「アーカム・ハウスの30年」という小冊子を発行する際に、オーガスト・ダーレスの求めに応じて未亡人が送ったパスポート用の写真ほか僅か数葉が知られているだけであります。だが、今回訳出した「蜂の死」、「Appointmentwith Fire」等の未発表作品が見つかったのは不幸中の幸いで、それらはアーカム版のアンソロジーに順次発表されていきました。
(ウェイクフィールド「ゴースト・ハント」訳者解説)
晩年のウェイクフィールドは、アメリカのパルプ雑誌以外に発表の場がなく、怪奇幻想文学の先行きに非常に悲観的になっていて、「ゴースト・ストーリーの創作は滅び行く芸術だと信じている」(さらばゴーストストーリー)といったようなことを書いておりますが、これだけは違ったかなと…。戦後の欧州に怪奇幻想テーマの発表の場がなかっただけで、発表の場さえあれば、怪奇幻想を求める人々は大勢いたと思うんですね。現に戦後のアメリカや日本では怪奇幻想は小説と言う枠を遥かに超えて、「モダンホラー」としてエンターテイメントの一大ジャンルな訳でありますし。まあ、日米の両国はその他の諸外国に比べると、日米の国民の大勢は娯楽としての怪奇幻想がとびきり大好きというものもありますが…。
ウェイクフィールドの短編は読んでて感じるのは、本当に上手いんですね。不気味で何だか分からない雰囲気をどんどんと盛り上げていって、一気に恐怖が来て、そしてパッと幕を引く。凄く読んでて面白い。これって、「コープスパーティ」を始めとする日本のホラーのフリーゲームだなと読んでて感じましたね。というか、ウェイクフィールドが近代幽霊譚の原点かつ最後の終点としてあって、その影響が回りまわって日本の洋館幽霊譚ホラーになっているわけで、その辺が凄く面白い。表題作の「ゴーストハント」とか収録作の「赤い館」とか、展開や恐怖感の盛り上げ方(何だか分からないけど恐ろしいものがいる屋敷にいて逃げられない恐怖、その恐怖が盛り上がっていく)やその陰鬱な幕切れ、まさにフリーホラーゲーム、VIPRPGの傑作「闇市を廃館に閉じ込めて微笑ましく見守りたい」とか読んでいて思い出していました。
「闇市を廃館に閉じ込めて微笑ましく見守りたい」(VIPRPGWIKI)
http://www10.atwiki.jp/vip_rpg/pages/620.html
本書、凄く雰囲気のあって面白いホラー短編集です。極めて王道で古典的なホラーの楽しみが味わえる優れた傑作集です。ホラー小説好きの方だけでなく、フリーのホラーゲームが好きな方にもお勧めですね。まさにホラーゲームの代表である「幽霊屋敷譚」等、様々なバラエティに富んだ古典的ホラーの原点の楽しさが味わえて読んでいてぞくぞくして楽しいですよ。ご一読お勧めできる良い作品集でした。

著者:H・R・ウェイクフィールド
東京創元社(2012-06-28)
販売元:Amazon.co.jp

水声社(2010-11)
販売元:Amazon.co.jp
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