2015年06月04日 14:06

ローゼンクロイツ工房「すでに私たちは地獄のまっただ中でした。」クリア。非常に良くできた作品、お勧めです。

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語(完全生産限定版) [Blu-ray]

ローゼンクロイツ工房さんのフリーゲーム「すでに私たちは地獄のまっただ中でした。」クリア。非常に良くできたRPGで最初から最後までぐいぐいプレイさせる訴求力に満ちた傑作でした。ドラクエ10をプレイやめてから、フリーゲームを色々遊んでいたんですが、本作はまさに傑出と呼ぶに相応しい見事な作品でしたね、お勧めです。

「すでに私たちは地獄のまっただ中でした。」(DLできます)
http://vipkohaku2011.web.fc2.com/entry/065.html

ローゼンクロイツ(製作者さんツイッター)
https://twitter.com/2hard_dirge

本作は、滅びかけている世界を舞台にしたRPG。クリア後にこんなに余韻が残る作品をやったのは久々です。作品中にまどか☆マギカの影響が大きく見られており、下記の本作レビューでも指摘されておられますね。

あらゆる問いがあらゆる答えを導き、あらゆる答えがあらゆる問いを導くというのであれば、もう世界なんていりはしない。
http://kizuki39.blog99.fc2.com/blog-entry-1064.html

12月16日(日)

ローゼンクロイツ「すでに私たちは地獄のまっただ中でした。」をやった。やや物語が短いところが難点だけれど、「Knight Night」以来やったゲームのなかではものがちがうと思う。

主人公マルクトは顔がいいだけの男の子で、父親がつくった莫大な借金を返すために男娼をしている。気狂いの貴族に買われた彼は牢屋に幽閉されるが、貴族の息子フェイ(ガチホモ)に助けだされ、ペニシアという謎の女のひとに出会う。逃避行の際にマルクトはカティクル病にかかっていることが判明する。

カティクル病とは目にうつるものすべてが汚く歪んで見えるという病気で、末期になると身体が変質しておそろしい化物に変わってしまう(ゲーム画面はマルクトの視線を反映して、すべてが毒々しく、内蔵や血にまみれたグラフィックで描かれ、台詞は「ビッチ、クソ、キチガイ」などほとんどのゲームでは描かれない単語ばかりが頻出する)。

彼らはマルクトの病気を治すために各地のパワースポットをまわり、その過程で、マルクトが父親にされたこと、およびペニシア、そしてカティクル病の真相を知り、この惑星の命運にまきこまれていく。

ペニシアによれば、すでにこの惑星は滅亡しかけているという。原始の時代、人類は個性を持たずにすべて同一意志に基づいた思念を持って生活していた。カティカル病とは個性を持ってしまった人類を再び同一意志に基づいた集合的な個体に還元し、べつの惑星で再出発を営もうとする働きであり、マルクトはその代表者、新人類の王として選ばれた存在だった。新人類の王として、マルクトの父親はマルクトに幼少の頃から試練をあたえていた。それは、外面的にはおぞましい性的虐待にほかならなかった。

ここで重要なのは、性的虐待と新人類誕生への希求がほとんど同一視されおなじあつかいかたをされていることだと思う。そしてもっと重要なことは、おそらくはマルクトの父親によるマルクトの性的虐待にはほとんど物語的必然性はないということだと思う。マルクトはただたんじゅんにその境遇の「不幸化」のためだけに性的虐待を受け、それが新人類の王へとつらなる通過儀礼へとまったく無意味にすりかえられている。

だから、それは物語的要求とは関係なく、ただたんに作者の欲求にしたがっている。通常であればそれは「ご都合主義」と呼ぶべきもののように見えるかもしれないけれど、わたしの感触では、それはそう呼べるようなものではない。物語として、マルクトが性的虐待を受けていることと受けていないことにさして変わりはないからだ。

おそらく、マルクトはただ不幸であるということによってのみ不幸なんだと思う。わたしの考えだと、これは「エヴァンゲリオン」、「沙耶の唄」などを下敷きにした、「タオルケットをもう一度」以降の作品だと思う。それは、はっきり言ってしまえば「世界はただそこにあるだけでグロテスクだ」というありかただと思う。

それはひどくたんじゅんな考えであって、そのたんじゅんさゆえに、マルクトはただ「不幸化」への裏返しとして愛を選択できてしまう。この物語のエンディングはふたつに分岐する。ひとつは「マルクトがカティクル病を受けいれて新人類の王として新たな世界へシフトする」というもので、もうひとつが、「人類の愛へのありかたに賭け現人類を存続していく(ただし、その愛の可能性へのきっかけはフェイからマルクトへのホモ的なものだけれど)」というものだ。

けれど、それはどちらを選んでもそう変わるものではない。フェイはただマルクトへの無邪気な愛からマルクトがどちらを選択してもただついていくだけだし、ペニシアにいたってはマルクトへの選択にすべてをゆだねているだけにすぎない。どちらを選んでもその選択肢があっさり可決され、世界はそれにそったかたちで実行され、物語は終わりを迎えてしまう。この選択には事実上なんらかの重みは存在していない。

むしろ重みが存在するのはこの物語の途中、たとえば、ひとびとがただ無邪気に発狂し、そして内臓をぶちまけて死んでいくときに流れていくシガー・ロスめいた美しい音楽に世界が彩られたときだろう。そういったひとかけらの演出だけがただその世界のなかで重みを持ち、わたしの胸にせまっていくんだと思う。

わたしは「魔法少女まどか☆マギカ」を思いおこした。マルクトは人類の救済と進化の代償を性的虐待というかたちで受けもっていた。いっぽうでまどかは「魔法少女にならないこと」というかたちであらゆる犠牲をすりぬけ、そしてそれまですべての代償をしはらうかたちで全魔法少女の代償として別概念にシフトしてしまう。まどかのおこなった選択はマルクトのおこなったものよりもなお重い、けれどまどかにはその選択をおこなうというたしかな意志があったはずだし、逆にいえばマルクトにはその選択をたしかにおこなうという意志がなかったはずだと思う。

それは、かんたんにいえばマルクトがけっきょくのところ「なにをどうしたらいいのかわからない」からだと思う。そして、重要なのは「なにをどうしたらいいのかわからない」ということなんだと思う。だから、この物語で問題となるのはじつのところマルクトが最後に選んだ答えではなく、その中途にある「なにをどうしたらいいのかわからないという状況」、さっきわたしがつかった言葉をくりかえせば、「世界はただそこにあるだけでグロテスクだ」という状況なんだと思う。

本作ではまどか☆マギカ以上に凄惨な展開(人々が病気になり、発狂し、死んで行く)が描かれますが、それらには因果応報的なもの(後から何らかの解釈をして納得できるような悲劇)が全くといっていいほどないんですね。もう、本当に、悲惨な天災のようなどうしようもない悲劇の羅列なんですね。主人公のマルクトは、ドラゴンクエスト型の主人公で基本的に全くしゃべりませんが、選択肢が出るときに

「なにをどうしたらいいのかわからない」

という選択肢が出るんですね。そしてプレイしているとプレイヤーも、眼前に広がるあまりに凄惨でどうしようもない状況を前にして「なにをどうしたらいいのかわからない」という気持ちになるので、その点で非常にシンクロします。堀井雄二さんが全部シナリオを書いていた頃のドラクエの救いのないシナリオに通じるものがありますね…。

世界が解釈不可能な、それこそ偶然の運不運としか言いようのない、反因果応報的な無慈悲な残酷さに満ち溢れており、その残酷さが、基本的に暴力という形で世界に噴出しているという点をクローズアップしているところは、近現代ホラー、特にスティーヴン・キングを彷彿とさせるなあとも感じました。

ちなみに物語のキーモティーフである「カティクル」は、キルケゴールの「死に至る病」に出てくる医師の名前ですね。ただ本作には、キリスト教的な救いは一切ないんですね。逆に、クトゥルフ神話がモティーフとなっており、『ただ宇宙を動かすだけに存在する虚無的なルーティンである宇宙の究極神が、意味も目的も何もなく、ただ宇宙を動かすために宇宙を動かしている』という世界観で、あらゆる超越的な上位の意味付けが剥奪された世界であることが、物語中に明らかになるんですね。

ここは感服したところですね。ゲーム、特にRPGの場合、善悪や物事の位置づけを超越的な神などに投げていることが多いんですが、本作はそういった安易さにはっきり「No」を突きつけており、それが本作の世界と登場人物に大きな魅力を与えている。

あと、世界の残酷さに対抗しうるものとして、人間の共感と思いやりを挙げているんですが、この辺の描き方は結構さらっとしていて、逆にその淡白な描き方が良かったと感じますね。押し付けがましくない信頼や思いやりを上手く描いている。特にフェイの描き方が良かった。フェイは同性愛者で、主人公のマルクトに惚れているんですが、その惚れている感情を理性で制御して、マルクトの助けになる良き友人として振舞える大人として描かれている。自己の欲望よりも、理性的な共感と思いやりを優先できることこそ、人間(生命体)の最後の希望としてあるのだということを描いていて、それが世界の残酷さに比べるとちっぽけでささやかなものだからこそ、心打つんですね…。傑作です。RPGとしても良バランスですし、世界観、物語、人物、全てに独特の魅力ある作品でした。ぜひプレイお勧めですね。

寂しい気分のときはどこに行く?

ブルーな気分のときはどこに行く?

寂しい気分のときはどこに行く?

ぼくはきみを追いかけよう、

星がブルーになるそのときは。

――ライアン・アダムス

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