2014年12月23日 14:34

グリザイアの果実12話視聴。人里の近くでの遭難ノンフィクション「荒野へ」。

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グリザイアの果実の12話視聴。山での遭難、仲間割れ、人肉食、殺し合いという陰惨酸鼻を極めた話を上手にアニメ化していると思いましたね…。僕はこの作品の原作ゲームをプレイしたことはなく、アニメで始めて見たのですが、非常にセンセーションな題材を真面目に描いていると思いました。昔読んだ武田泰淳の「ひかりごけ」とか思い出していました。

グリザイアの果実の遭難は、実は人里の近くの森林で遭難していたというところが、凄惨な地獄絵図の遭難事件に皮肉な彩を与えていますが、人里近くの森林で遭難して人里に出れずに死亡(餓死)した事象としては、ジョン・クラカワーのノンフィクション「荒野へ」が非常に良質な出来でお勧めですね。

この「荒野へ」は、クリス・マッカンドレスというアメリカのエリート層の青年が、冒険旅行で出かけたアラスカ山脈の北裾の森林(デナリ国立公園)で遭難し、餓死により死亡した事件のノンフィクション(映画化もされた)なのですが、その青年の様相を非常に丁寧に描いていて読み応えのある優れた本となっています。

クリス・マッカンドレスは勿論、ちゃんと生きて戻るつもりで冒険旅行に出立したわけで、国立公園内で遭難して死ぬつもりとかは全然無かった訳ですが、文明と隔絶した自然の中というのは、そういった人間の意志を挫くような自然の罠が沢山ある訳ですね。

クリスの場合は、テクニラカ川という川が増水してハイウェイに戻れなくなり、結果として森林内で遭難することとなりました(彼の残したノートに記述がある)。彼は森林内でワイルド・スイートピー(食用になるアメリカホドイモに似ているが、こちらは毒性があり食用にならず身体を壊す)を食べ、それによって体調を低下させ、最終的に餓死に至ったのではと遭難原因として推測されています(ちなみに「荒野へ」の筆者はこの意見に反対し、クリスはアメリカホドイモだけを食べてスイートピーには手を出さなかったが、アメリカホドイモの莢の部分まで食べてしまい、莢にある毒性によって中毒を起こしたのではないかと推測している)。

人里近い森林でありながら、人里に出れず、遭難してしまうというのは、自然の恐ろしさというものを深く感じさせてくれますね…。

ちなみに、このノンフィクションの書き手であるジョン・クラカワーは自身も冒険家・登山家であり、遭難ノンフィクションの傑作を幾つも書いています。日本人登山家も犠牲になった1996年のエレベスト大量遭難死亡事件についてのノンフィクション「空へ」も非常に読み応えがあってお勧めですね。

ウィキペディア「1996年のエベレスト大量遭難」
1996年のエベレスト大量遭難(-たいりょうそうなん、英称;1996 Mount Everest disaster)は、1996年5月に起きたエベレスト登山史上最悪の遭難事故の一つで[1]、8名の登山家が死亡した(12名とする出典もある)。

我々は普段、文明の中で保護されているわけで、山のむき出しの自然、人の手の加わっていない自然というのは、人間にとって実は恐ろしいものであるということに、クラカワーの遭難ノンフィクションは気づかせてくれるところがありますね…。少なくとも、例えば登山アニメの「ヤマノススメ」よりも、登山の恐ろしさを教えてくれるクラカワーのノンフィクションの方が、もし山に登るなら登る前に読む本としてお勧めですね…。もしむき出しの自然の中に入っていくなら、自然は恐ろしいものであるということを考えての行動が必要だと思います。

(デナリ国立公園の山小屋に)救助の要請文を張った後、彼は重い足を引きずりながら、ベリーを取りにでかけていった。ゴーゴリの『タラス・ブーリバ』から破り取ったページに、きちんとしたブロック体の文字で書かれた救助の要請文は、次のようなものである。

『SOS。助けて欲しい。怪我をしている。重傷で、ひどく弱っており、ここから脱出できないでいる。僕は一人ぼっちです。これは悪ふざけではない。お願いだからどうか待っていて。僕を助けてください。すぐ近くへ、ベリーを取りに出かけていて、夕方には戻ってきます。よろしく クリス・マッカンドレス 八月?』(中略)

餓死は楽な死に方ではない。肉体が肉体自身を消費し始める飢餓の進んだ段階では、犠牲者は筋肉痛、心臓障害、抜け毛、眩暈、息切れ、寒冷過敏、肉体的、精神的消耗に苦しめられる。肌は血の気がなくなる。必須栄養素の不足で、深刻な化学的アンバランスが脳内で進行し、痙攣と幻覚を引き起こす。
(ジョン・クラカワー「荒野へ」)

あえてくどくど書かなかったが、(アルプス登山には)深い悲しみがあった。それらを記憶にとどめた上で、私は言う。

その気があれば、登るがいい。

だが、慎重さを欠いた勇気と体力は無価値であり、一瞬の油断が幸福な一生を台無しにすることを忘れてはならない。事を急いではならないのだ。一歩一歩を気をつけるがいい。最初から結末がどうなるかを考えるのだ。
(エドワード・ウィンパー「アルプス登攀記」)

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