2011年12月28日 00:15

高橋源一郎「悪と戦う」読了。侵略!?イカ娘最終回。大好きなアニメだったので終わりはなんとも寂しいですね…。

「悪」と戦う
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最近、アニメを最終回まで見続けるということがどんどん減っているのですが、そんな中、最後まで全部見た侵略!?イカ娘が最終回を迎えました…。大好きなアニメだったので終わりはなんとも寂しいです…。最後までほのぼのとした、見ていると心が和むアニメ、見て良かったですね…。

あと、高橋源一郎さんの小説「悪と戦う」読了。うーん…面白い、面白いんですよ。ただ、これはないものねだり的な見方であることは重々承知ですが、『高橋源一郎さんの作品にしては物足りないな』と。高橋源一郎さんの作品って、アラレちゃんとかの既存のキャラクターを使いながら、更に一ひねり二ひねり三ひねりとしてゆくところに面白さがあると思うんですね。今回の「悪と戦う」の場合、そういったひねった展開は何もなく、最初から最後まで通俗的なパターンをなぞっている感は否めないなと…。

「悪と戦う」の中の悪の定義の凡庸さにそれが現れていて、本書におけるそれぞれのパラレルワールドでのミアちゃんが悪を象徴している訳ですが、スタンド(背後に立つもの)を使っていじめっ子達を残虐に切り刻み処刑していくワールド(ジョジョの奇妙な冒険オマージュ)のミアちゃんの悪は『残虐な私的復讐や暴力で人を言いなりにするのは悪である』、非常にわかりやすいです。

その次のワールドの展開はちょっと捻ってあって、『罪なき無辜の人をスケープゴートにして犠牲を強いることは悪であり、それを犠牲者が受け容れてしまうことも悪である』ということですね。前段は分かりやすいですが、後段の『犠牲者が犠牲を受け容れてしまうこと』も悪として定義しているのがなかなか面白かったです。ようするに『無理やりスケープゴートとして人を犠牲にしてくるような世界とは戦え』ってことですね。スケープゴートの自己犠牲に対して、それを『悪』として批判的なのは面白いですね。スケープゴートが自己犠牲精神を発揮することで、その世界の悪のシステムが稼動し続けるということを批判しているのでしょう。これはなかなか面白かったです。

三つ目は、多分『本当の自分探しは悪である』ではないかなと。これは、ちょっとうーんと思いましたね。いまどき『本当の自分探し』なんてやっている暇人は日本に存在しないのではないかと思いますが…。みんな不景気で一杯一杯ですから、どうやって生活するかに手一杯で(少なくとも僕はそうです)、「真なる自分を生み出す」みたいな、そういうスピリチュアルっぽい戯言はもう意味を失っていると思うんですね…。

で、最後が思い切り通俗的で、『赤ん坊の頃に死んでしまった魂達の怨念と主人公が戦い、主人公の中の姉(多分バニシング・ツイン)が主人公を助けて勝利』、ちょっとこれは…通俗的過ぎる…(^^; 「これを書いているのは高橋源一郎さんだから、絶対ひねってあるだろう」と思ったら何にもひねってなかったです…。

うーん…、普通の娯楽小説としては十二分に面白い作品なのですが、高橋源一郎さんの小説にしては物足りないなと思いました。amazonのレビューにも「ギョーカイ人向け小説」とありましたが、まさにその通りなんですね。本書は人間の生活、その基盤である生活費というものが一切省かれている富裕でお洒落な人々の世界なので、地に足の付いていない感じなんですね。本作に特徴的なのは、作品に貧乏人は一人も出てこず、みんなブランド品を自然に着こなしている生活感のないふわふわしたお洒落な人物、いわゆる「業界」(文壇・芸能界・マスコミなどの富裕かつお洒落な業界)を感じさせる人物ばかりであるところです。高橋源一郎さんは業界生活に慣れすぎて、市井の人々の生活というものを見る目をなくしちゃったのかなと思いました…。昔からの高橋源一郎ファンとしてはこうなってしまったのはちょっと残念ですね。高橋源一郎小説はアニメキャラクターに生活感を持たせたりするところが面白かったですから…。

ただ、前述しました通り、普通の娯楽小説としては十二分に面白い作品なので、お勧めできる作品です。なかなか面白かったです。僕みたいな昔から高橋源一郎さんのファンの読者よりも、この本で始めて高橋源一郎さんの本を読む読者さんの方が、先入見なく楽しめる作品かなと。ふわふわしたファンタジーとして見れば、なかなか面白い小説でしたね。

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