2011年04月07日 03:13

放射線量の基準値を上げても問題ないとネットで出回っているので反論データを示します(東大チーム中川読売新聞ベラルーシ等)。今、日本がするべきは、汚染のチェックを確り行い、将来の健康被害を減らすために全力を注ぐことです。危惧していること読んで欲しいです。

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)

追記:内部被曝の脅威、amazonに入荷しました。未読のお方々はぜひ読んで欲しいです。
専門家の間でも議論はありますが、妊婦の方に安心していただけるよう、妊娠中の被ばく線量限度を10mSv以下にすべきであると考えています。(国際放射線防護委員会レポート84)
(東京大学team nakagawa)

放射線量の基準許容値を引き上げるべき、放射線量100ミリシーベルト浴びても癌発生率はほとんどあがらず安全とか怪しげな説が幾つもネットで出回っていて、非常に危機感を覚える状況になっているので、簡単にですが、いくつかデータを示します。当然ですが、放射線障害が起因となる疾病は癌だけではないのです。それに例えば妊婦さんと80歳のご老人だったら、同じ放射線量でも、その放射線による危険性は天と地ほどに違います。100ミリシーベルトなんて大雑把な基準でそんな簡単にざっくりと分けられるわけがないということを理解して欲しいです。ネットで、放射線量の基準を引き上げても安全とか出回っているのを見たら、それを鵜呑みにするのではなく、その文章にはきちんとしたソースデータがまずはあるかどうか、また反証のデータがあるかどうかを検証し、それまではそういった怪しげな説を鵜呑みにして判断しない、慎重な対応を行って欲しいと願います。

東京大学team nakagawa
東大病院で放射線治療を担当するチームです。医師の他、原子力工学、理論物理、医学物理の専門家がスクラムを組んで、今回の原発事故に関して正しい医学的知識を提供していきます。
http://tnakagawa.exblog.jp/15158073/
福島第一原発30km圏における被ばく
一昨日(2011年3月31日)、一部が福島第一原発30km圏内に含まれる飯舘村の住民全員を、退避させるか否かで議論が沸き起こり、戸惑われた方も多くいらっしゃると思います。

発端は、国際原子力機関(IAEA)が、「飯舘村で観測された放射性物質の量は、避難基準を上回っている」とし、飯舘村の状況を注視していくよう、日本政府や関係する機関に促したことにあります。(中略)

医学的には、実効線量250 mSv以下であれば確定的影響はまず見られません。100 mSvの被ばくにより、発がんリスクが0.5%上昇すると考えていますが、それ以下では、はっきりとしたリスクの上昇は観測されていません。

非常にゆっくりと被ばくする場合には、瞬時に同じ量を被ばくするよりも、効果が弱まることも想定されます。したがって私たちは、乳幼児も含め、実効線量100 mSvの被ばく量を医学的な線量限度の指標の一つと考えています。

ただし、妊娠中の方に対しては、もっと厳しい基準を設けるべきです。専門家の間でも議論はありますが、妊婦の方に安心していただけるよう、妊娠中の被ばく線量限度を10 mSv以下にすべきであると考えています。(国際放射線防護委員会レポート84)
http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%2084

それでは、これまで飯舘村で観測された環境放射線測定データを見てみましょう。東大の早野龍五先生が毎日更新してくれています(http://plixi.com/p/88495151 いつも有難うございます)。

昨日までの積算線量(放射線の総量)は、すでに「公衆被ばく」の上限(一般の人の被ばくの上限)である1 mSvを超えていることがわかります。しかし、まだ10 mSv未満です(私たちが考えている、妊婦の被ばく線量の限度が10 mSvです)。

またこの積算線量は、原発事故が起こってからこれまでの間、“環境測定モニタの近くにずっといた場合”ですので、住民の皆様の実際の外部被ばく量より少し多めに見積もっていることになるでしょう。また、今後、原発から放射性物質の大きな飛散がなければ、放射線もどんどん少なくなっていくと考えられます。

ただし、注意しておくことがあります。一つは“放射性セシウムの影響”です。上記の図(環境放射線測定データ)では、時間が経つにつれ、1時間あたりの線量がどんどん小さくなっていることがわかります。

これは、放射性ヨウ素が、「崩壊」によって放射線を出しながら、どんどん少なくなっていることが原因と考えられます。放射性ヨウ素131(I-131)は8日で半分になります(半減期が8日)。したがって原発からの放射性物質の飛散がない状態が1〜2ヶ月も続けば、I-131は考える必要がなくなります。

それに変わって環境放射線で支配的になってくるのが“放射性セシウム”の放射線です。放射性セシウム134(Cs-134)と放射性セシウム137(Cs-137)の数が半分になる時間は、それぞれ2年と30年であるため、I-131よりも長い期間、環境に影響を及ぼすことになるのです。
http://tnakagawa.exblog.jp/15135577/
早野先生のツイートもぜひご覧下さい。

もう一つ注意すべきことは、環境放射線測定データだけでは“内部被ばく” の寄与が見積もられていないという点です。

内部被ばくには、飲食物や呼吸による摂取、皮膚からの吸収などがあります。飯舘村における内部被ばくの影響について、私たちteam_nakagawaは、データを用いた数値化がまだできておりません。

そこで、1986年にチェルノブイリで起こった原発事故における、ベラルーシ・ホメリ地域(原発から200km程度の距離)の方々の「内部被ばく」と「外部被ばく」がほぼ等しい、という解析をここでは採用することにします。
http://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/pub1239_web.pdf

この仮定に立って、内部被ばくまで考慮した場合、飯舘村の実効線量はすでに10 mSvを超えているおそれがあります。これまでの記述の中で、私たちは、外部被ばくを少し多めに見積もっていると述べました。しかし、飯舘村の中でも、位置によって環境放射線に差が出ていることも考えられ、その最も放射線量が高い場所では、実際に実効線量が10 mSv程度になっている方がおられる可能性があります。

もちろん現時点で、私たちは、この数値(放射線量)の被ばくが、一般の方々の健康に影響を及ぼすとは考えていません。しかし、妊婦の方に対しては、万が一のことを考え、政府や関係機関が対策を検討すべき観測量に達していると思います。

今後、放射性セシウムの量により、環境放射線の減少幅が少なくなってくることが予想されます(放射性ヨウ素は半減期8日で半分になっていきますが、放射性セシウムは半減期が2年あるいは30年と長いため、なかなかセシウムが減少しないのです
http://tnakagawa.exblog.jp/15135577/)。

ヨウ素やセシウムの他に、ここではまだ考慮していない核種(放射性物質)の存在もあります。また、文科省が、継続して観測してきた、多くの地点での取得データを解析すると、原発から同じ距離を離れても、飯舘村のように高い環境放射線を計測する地点もあり、そうでない地点もあることが、よくわかってきました。こうした点を認識し、政府や関係機関は今後の対応を協議していく必要があるでしょう。

次は読売新聞のデータを。読売新聞には、原爆被爆者の疫学データの分析を行うと、100ミリシーベルト以下の人々でも2%癌発生率が上がったと書かれています。ベラルーシのデータもどうぞ。非常に微量の放射線量においても有意の確率において痛ましい放射線障害が発生しているデータです。

読売新聞 放射線対策 健康への影響、100ミリ・シーベルトが目安
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=38404
放射線の身体への影響は、どうなのか?
過去の放射線事故のデータなどから、3000ミリ・シーベルトの強い放射線を浴び、何も治療を受けられないと、60日以内に約半数が死亡することがわかっている。

 長期的な影響で、唯一はっきりしているのは、広島・長崎の被爆者の健康状態を追跡したデータだ。1000ミリ・シーベルトの強い放射線を浴びた人は、がんを発症する確率が1・5倍高まる。

 被曝量が減るにつれて、がんの発症率は減る。100ミリ・シーベルト以下の被曝を受けた約2万8000人のうち、40年間にがんを発症した人は約4400人で、被曝をしていない人に比べ、約2%(81人)多かった。

 ただし、この差はわずかであり、100ミリ・シーベルト以下の低い線量の被曝でがんが増えるかは定かでなく、専門家の間でも議論が続く。健康に明らかな影響が出る恐れが出る目安が100ミリ・シーベルトとされているのは、こうした結果などからだ。

 人は日常でも、自然界に存在する放射線(年間平均約2・4ミリ・シーベルト)を浴びている。またCT(コンピューター断層撮影法)などの医療における被曝は、病気を見つけて治す利点の方が上回るとの観点から、被曝量の上限は設けられていない。

 とは言え、低い線量の被曝の影響が不明な以上、不必要な放射線は浴びない方が無難だ。原子力発電所については、敷地外にいる一般の人に、年間1ミリ・シーベルトを超える被曝が起きないような環境を保つよう、決められている。

京都大学原子炉実験所 チェルノブイリ原発事故によるベラルーシでの遺伝的影響
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Lazjuk-J.html
チェルノブイリ原発事故で放出された放射能により,ベラルーシ,ロシア,ウクライナの数多くの住民が被曝し,その影響が遺伝的な損傷,とりわけ染色体の異常として現れていることは多くの研究結果によって示されている1,4,6.染色体異常の増加は,不安定型と安定型,また染色体型と染色分体型といった,いずれのタイプの異常にも認められている4,7,8.(放射線被曝に特徴的な)2動原体ならびに環状染色体といった異常とともに,化学的変異原にも共通するその他の染色体異常の増加が認められていること6,9,また実際に観察された染色体異常の頻度が被曝量推定値から計算されるものより大きいこと4,5が明らかとなっている.これらの事実は,チェルノブイリ事故被災者に認められる染色体異常は,被曝の影響に加えて他のいろいろな変異原によって引き起こされているか,または,物理的な手法に基づく被曝量が過小に評価されている可能性を示している.(中略)

合法的流産胎児の形成障害

われわれは,放射能汚染管理地域とミンスク市(対照グループ)における,合法的流産胎児の形成障害頻度の観察を行なっている.汚染管理地域とは,ゴメリ州とモギリョフ州のセシウム137による汚染が15Ci/km2以上の地域である.ベラルーシ先天性疾患研究所では,胎齢5週から12週の間に掻爬された胎児を調べている.検査は,ステレオ顕微鏡下で胎児を解剖しながら行なわれ,必要であれば,病理標本を作成する.すべての胎児の胎齢は,カーネギー研究所方式で決定されている.掻爬にともなっていくつかの臓器が検査不能になることもあるので,形成障害の頻度は,検査された胎児数ではなく,検査された臓器数に基づいて決定される.また,胎児の形成過程を考えると,いくつかの障害はある胎齢以降にしか観察されないので,そうした障害の頻度は,その胎齢に達した胎児のみを考慮する.検査で発見した形成異常はすべて記録している.これまでに,3万3376例の胎児を検査し,その中には(1986年後期以降の)汚染管理地域の2701例が含まれている.

検査結果の一部を表1に示す.汚染管理地域での形成障害の頻度を,チェルノブイリ事故前6年間および以降11年間のミンスク市と比べると,汚染管理地域の値はミンスク市のどちらの値よりもかなり大きい.また,汚染管理地域において,1986年から1995年の平均値(7.21%)に比べ,1992年に大きな値(9.87%)があったことを指摘しておく(中略)

新生児の先天性障害

ベラルーシ共和国では,新生児の先天性障害に関する国家規模でのモニタリングプログラムが1979年から行なわれている.医療施設のランクにかかわらず,すべての医療施設において周産期児(分娩前後の胎児・新生児)の先天性障害が診断・登録されている.それぞれの症例については,診断にあたった医師が登録用紙に記入し,その用紙がミンスクの遺伝センターに送られる.先天性疾患研究所のスタッフが,定期的な地域巡回か,センターにおける家族面談の際に,記載のチェックを行なっている.新生児,および胎児診断後に人工流産された胎児に観察された障害は,無脳症,重度脊椎披裂,口唇・口蓋裂,多指症,重度四肢欠損,食道閉塞,肛門閉塞,ダウン症,および複合障害に分類されて登録される.セシウム137の汚染レベル別の結果を表2に示す.セシウム137の汚染レベルが1Ci/km2以下の30地区を対照グループに選んである.

セシウム汚染地域と対照地域とも,チェルノブイリ事故後に先天性障害頻度が増加していることは明らかである.また,セシウム汚染レベルが大きくなるほど,頻度の増加が大きくなっている.対照地域では50%の増加であるのに対し,15Ci/km2以上の地域は83%の増加である.対照地域における頻度増加が放射線被曝によるものではないことは確かであろう.一方,汚染地域では,対照地域を越える増加が,54地区では1%(51−50),17地区での33%(83−50)と汚染レベルに応じて認められている.

こうした増加をもたらす原因として考えられるのは以下の4つである.

チェルノブイリ事故後の先天性障害の増加は,真の増加ではなく,単に見せかけのものと考えられる.つまり,登録がより完全になったこと,言い換えると,被災地域における問題への関心が増加した結果である.
放射能汚染による胎内被曝にともなう胎児への直接的な被曝影響.
どちらかの親の生殖線被曝にともなう突然変異による遺伝的影響.
チェルノブイリ事故を含めたネガティブな要因(放射線のほか,化学汚染,栄養悪化,アルコールなど)の複合的影響.

最初の見せかけ説は,ベラルーシにおける国家モニタリングを基に,以下の理由で否定されよう.第1に,厳密に診断された先天性障害のみを考慮していること,第2に,先天性疾患研究所のスタッフによって診断の正確さは常にチェックされてきたこと,第3に,チェルノブイリ事故前はさまざまな地区においてほぼ同じ頻度であったこと,最後に,先天性障害頻度と汚染レベルに相関性が認められることである.

胎内被曝原因説も,放射線感受性の大きい胎児期での胎児の被曝量がしきい値以下であったことを考えると否定される.先天性障害児の母親のうち,チェルノブイリ事故がおきてから妊娠第1トリメスター(妊娠期間を3つに分けた最初の時期)の終わりまでに55ミリシーベルト以上の被曝を受けたものはいない.放射線被曝に最も特徴的な先天性障害である,中枢神経系欠陥の形成時期は,第1トリメスターに含まれている.国家モニタリングの調査結果(表1と表2)は,中枢神経系障害の有意な増加を示していない.

ベラルーシにおいて先天性障害の増加をもたらしている原因として最も考えられることは,慢性的な被曝またはネガティブ要因の複合的な影響による,突然変異レベルの増加である.以下の事実も間接的にこれを示している.

チェルノブイリ事故で被曝したベラルーシ,ウクライナ,ロシアの人々の末梢血白血球において突然変異レベルが増加している2,5,8.
15Ci/km2以上の汚染地域での増加が大きく,なかでも,新しい突然変異が大きく寄与する障害(多指症,四肢欠損,複合障害)が増加している.ただし,新しい突然変異のうち,ダウン症といったトリソミーの増加は認められていない.
先天性障害の増加とチェルノブイリ事故による被曝との関係を調べるため,ゴメリ州とモギリョフ州における(大きな都市は除いた)データを,放射能汚染については安全と考えられるビテプスク州のデータを対照としながら解析してみた.被曝量は,放射線医学研究所のデータで,18歳以上の住民について,事故発生以来の外部被曝と内部被曝を合わせた平均被曝量である.

解析結果を表3に示す.対照地域に比べ,汚染地域での先天性障害頻度の増加1%当りの平均被曝量は,モギリョフ州では0.20ミリシーベルト,ゴメリ州では0.31ミリシーベルトである.これらの値を,放射線被曝による遺伝的影響の倍加線量に換算すると0.02〜0.03シーベルトとなり,国際放射線防護委員会(ICRP)や国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)が採用している倍加線量値の1シーベルトに比べ極めて小さな値となる.この結果は,放射線被曝にともなう遺伝的影響が従来考えられてきたより大きいものであるか,または,解析に用いた被曝量の値が実際の被曝よりかなり小さく評価されていることを示唆している.

われわれの調査結果は,ベラルーシの住民において胎児異常の頻度が増加していることを示している.それらは,人工流産胎児の形成障害および新生児の先天性障害として現われている.そうした増加の原因はまだ断定されていない.しかしながら,胎児障害の頻度と,放射能汚染レベルや平均被曝量との間に認められる相関性,ならびに新たな突然変異が寄与する先天性障害の増加といったことは,先天性障害頻度の経年変化において,放射線被曝が何らかの影響を与えていることを示している.

最後に、放射線量基準値を引き上げるべきなどの話題の発端になっている枝野官房長官の述べた放射線許容量基準の変更とは、現在、避難の目安は50ミリシーベルトだが、これでは危険なので、20ミリシーベルトに引き下げると言っているという、基準値を引き下げる話なのに、それがなぜか現在の基準を更に引き上げるという全く逆の話にされていることに留意すべきだと思います。放射性物質・放射線量の安全性の引き上げを述べる人々とそれを称えている人々には、人々が受ける人工放射線の許容量を積極的に引き上げたいという原発推進派特有の願望があるのではないかと推察します。一般の人々に対する放射線量の許容量が引き上げられると原発の管理が楽になるからです。

しかし、どんなに甘く見積もっても、何万、何十万という人々に(影響を受ける東北・関東圏の人口が膨大に多いため、どんなに甘く見積もっても確率的に万単位の膨大な人々に癌発生などの影響が出る)、これから十年、数十年という長いスパンにおいて深刻な健康被害が出てくると思います。そういった将来の健康被害を減らすために今必要なことは、ICRPの1ミリ基準を守り、水・食料の汚染濃度や空間放射線量に対する厳しいきちんとしたチェック体制の確立、農業、漁業など、暮らしを奪われた人々に対するきちんとした生活の保障、それらを行うことで将来の健康被害を一人でも減らすことだと思います。一般の人々に対する放射線量の基準値を上げるということは、全く逆行的な酷いこと、将来の健康被害を増大させる、確率的傷害罪、確率的殺人罪であって、絶対にやってはならないことだと思います。妊婦さんや子供達、これから子供を作るであろう若い人々を放射能汚染から守るのは、20を超えた我々大人の絶対的責務だと思います。僕は、枝野官房長官が放射線量の基準値の引き下げに言及したのは、あまりにも遅すぎますが、それでも、引き下げないよりはずっと良いことと思います。

僕が凄く危惧してるのは、なぜだか分かりませんが、こういう、危険性について一生懸命真面目に述べても、ほとんど注目されることはない(これは僕だけではなく、危険性についてデータを出して真剣に述べているブログなどはほとんど注目されない)、逆に、チェルノブイリのようなことには絶対ならないから安全だ、格納容器は安全だ、放射能汚染は安全だ、100ミリシーベルトなら安全だ、30キロ外なら安全だみたいな、安全性を謳うものには、そのことに根拠がなくても、ツイッターやはてななどのソーシャルブックマークが大量について物凄くネットで大きくもてはやされたりしていることで(原発事故が起きた当初からずっとそう、僕の原発問題に関するメールnekohinan@mail.goo.ne.jpにも『福島第一原発の事故はたいしたことにはならない。安全なのに危機感を煽るな』ってメールが沢山来ました)、それが、凄く心配です。その結果、本当は危険な放射線量や危険な場所なのに、それを安全と誤解させる方向にインターネットやテレビが人々を誘導し、結果、妊婦さんや小さいお子さんなどが危険にさらされることになったらどうしようと、物凄く心配です。データも出さずに、放射能汚染は安全、100ミリシーベルトは安全とかネットに書いたり、テレビに出て述べたりしている人々は、自らの良心に恥じない行いをどうかして欲しいです。

チェルノブイリ関連の本を図書館で借りてきて今勉強していますが、チェルノブイリの例を見ますと、初期に汚染を避けることを失敗したことが、長期的な汚染、特に小さい子供達の汚染に繋がっていて、小さい子供達が10年ぐらいしてから、どんどん放射線障害を発症している、それは癌に限りません。チェルノブイリの轍を踏まないようにするには、今が一番気をつけなくてはならないときだと思います。特に、妊婦さんと乳幼児はそうです。それを分かって欲しいです。妊婦さんは自分で気をつけることができますが(勿論、周囲のサポートあるのが一番良い)、小さい子供が自分で安全に気をつけるのは無理ですから、親や周囲の人々が子供を守って気をつけるしかない。しかし、根拠なき安全を唱えるネットやテレビが親をミスリードして、現状を安全と思い込ませて、その結果、子供に将来的な被害が出ないか、僕は物凄い心配です。

原発事故、被曝基準厳しく 政府検討、1号機に窒素注入
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9C81E2E2E3E2E2E2E78DE2E4E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
 枝野幸男官房長官は6日の記者会見で、東京電力の福島第1原子力発電所事故に関連して、政府の避難指示の基準となる被曝(ひばく)線量の限度見直しを検討していることを明らかにした。現行の50ミリシーベルトを20ミリシーベルト程度に下げ、事実上基準を厳しくする考え。20〜30キロメートル圏内でも屋内退避から避難指示に変わる地域があるとみられる。

 枝野長官は「一瞬で大量の放射性物質が出るのではなく、長期間にわたって出て累積することの健康影響を考えなければいけない」と指摘。新しい基準を「専門家で検討している」と述べた。

 原子力安全委員会の代谷誠治委員も6日夜の記者会見で、20ミリシーベルトを避難基準の一つの目安として政府に提案したことを明らかにした。20ミリシーベルトは国際放射線防護委員会(ICRP)が緊急時に、超えるべきでないとする参考レベル(20〜100ミリシーベルト)の下限値。

 原子力安全委はこれまで予測される被曝線量が50ミリシーベルト以上は避難、10〜50ミリシーベルトは屋内退避との基準を提示。政府は同基準に基づき屋内退避指示などを出していた。

 一方、東電は6日夜、福島第1原発1号機の原子炉格納容器に窒素ガスを注入し始めた。爆発を引き起こす危険のある水素の濃度を相対的に下げる狙い。燃料棒は過熱して約7割が損傷し、化学反応で水素が発生しやすい状態という。

 また経済産業省原子力安全・保安院は6日夜、原発敷地内で原発から出たとみられる微量のプルトニウムを新たに検出したと発表した。これまでに見つかっている2カ所に加え新たに1カ所で検出した。

 東電は6日、高濃度の汚染水が出ていた2号機付近のピット(立て坑)のひび割れ部分にゴム板を設置した。7日には取水口部分に仕切り板も挿入する。汚染水は6日午前に止まった後、出ていないという。

飯舘村避難「正しい判断」 原子力安全委
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110406/dst11040622400073-n1.htm 原子力安全委員会の代谷誠治委員は6日、福島第1原発事故で放射性物質の検出が続く福島県飯舘村が、妊婦や乳幼児を村外避難させる方針を固めたことについて、「正しい判断」と述べた。

 局地的に高い放射線量が検出されており、その影響が懸念される妊婦らの自主避難は望ましいとしている。

 原発2号機取水口付近の亀裂から放射性物質で汚染された水の流出が止まったことについては「あれですべて終わったのか危惧している」とし、汚染水の処理に時間がかかるとの見方を示した。

武田邦彦 (中部大学) 原発 緊急情報(49) 新学期・・・人間ができる限度
http://takedanet.com/2011/04/49_1754.html
全国各地で新学期が始まろうとしています。そして放射線の強いところも新学期に入る学校がほとんどのようです。それは、教育委員会が国の判断をそのまま取り入れて「安全だ」としているからです。

でもこの問題は「安全かどうか」ではないのです。

これについてのわたくしの見解をぜひ述べたいと思っています。

日本の法律では、1時間に0.6マイクロシーベルト(外部被曝と内部被曝の合計)を越えたら、そこを「管理区域」に設定して、掲示をし、一般の場所と違う取り扱いをします。

つまり、幼稚園、小学校、中学校で1時間の放射線が0.6マイクロシーベルトを超えている場合は、次の標識(放射線管理区域の標識)を学校の門に張ってください。

驚くべきことに学校が管理区域に入っているところが多いのです。

この場合、「安全かどうか」ということは議論するべきではないのです。 法律的にある放射線を越えたら、管理区域にする必要があり、「学校に立ち入るには、本人の同意はもちろん必要ですし、みだりに人を立ち入らせてはいけない」のです。

学者の中には、放射線は害にならないとか、放射線を浴びた方がむしろ健康になるとか、プルトニウムを食べても食塩より安全だという先生がおられるのは事実ですが、それは学説です.学問の自由ですから、何を言ってもかまいません。

しかし、次のことはハッキリしています.

1) 安全かどうかは別にして、1時間に外部被曝と内部被曝の合計が0.6マイクロシーベルトを越えたら、標識をつける、

2) 学校にみだりに児童、生徒を立ち入らせてはいけない(もちろん、幼稚園、保育園、高等学校、大学も)、

3) 教育委員会は政府と独立であり、それでこそ児童生徒を守ることができる。

もう一つの問題を指摘します.

人間は「自分で選択できるもの」はある程度危険なことも許されます。しかし「強制的に全員が行うもの」については、一人残らず、全員が危険を冒すことについて同意する必要があります。

学校では、児童、生徒は先生の命令のままに行動しなければなりません。従って、教育委員会も先生も、管理区域に入るところでは、児童、生徒を強制的に校舎に入れることはできないのです.権限はないのです.

保護者の方も、ご自分でご判断できることではありません。お子さんの健康はお子さんのものであり、お子さんを勝手に管理区域に入れることは保護者でもできないと私は思います。

一体、誰のための教育なのでしょうか。教育は児童、生徒のためであって、教育委員会のためではありません。

人間には、命令できることの限度があります。児童、生徒は「物」でしょうか?

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